)” の例文
新字:
髯の跡青く、受け口にて、前齒二本け落ちたり。右耳朶みゝたぶに小豆粒ほどの黒子あり。言葉は中國なまり。聲小にして、至つて穩かなり——
野菜を主にして脂肪分の濃厚なものは控えるように云われているのだが、夫は私との対抗上毎日かさず牛肉の何もんめかを摂取している。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あさになるとかさずとほ納豆賣なつとううりこゑが、かはらとざしもいろ連想れんさうせしめた。宗助そうすけとこなかそのこゑきながら、またふゆたとおもした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
鍛冶かぢとき仕事しごとつかへてたが、それでもういふ職業しよくげふくべからざる道具だうぐといふと何處どこでもさういふれいすみやかこしらへてくれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わがくにごと地震國ぢしんこくおいては、地震ぢしん出會であつたときの適當てきとう心得こゝろえ絶對ぜつたい必要ひつようなるにもかゝらず、從來じゆうらいかようなものがけてゐた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
行火あんかかはりにまでももちひられるようになり、今日こんにちでは人間にんげん生活上せいかつじよう電氣でんき寸時すんじくことの出來できない必要ひつようなものとなりました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
おや/\とおもひながら、なほねんれてつちつてると、把手とつての一のみけて完全くわんぜんなる土瓶どびんであつた。(第三圖イ參照)
いにしへ國民こくみん地震ぢしんつても、科學的素養くわがくてきそやうけてゐるから、たゞ不可抗力ふかかうりよく現象げんしやうとしてあきらめるだけで、これに對抗たいかうする方法はうはふ案出あんしゆつない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
石のおもてには所々ところどころけた所があるので、全く写しおわるまでにはすくなからぬ困難と時間とを要した。巡査もこんく待っていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半時間毎はんじかんごとくらゐかれ書物しよもつからはなさずに、ウオツカを一ぱいいでは呑乾のみほし、さうして矢張やはりずに胡瓜きうり手探てさぐりぐ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
製法せいはうは自然の扁平石へんへいせきの小さきものをり、又は石を打ちり减らして斯かる形と爲し、其上に燧石抔ひうちいしなぞの尖りたる角にて切り目を付けしものならん
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
スウスウとけた歯の間から鼻唄を洩らしながら、土間から天秤棒てんびんぼうをとると、肥料小屋へあるいて行った。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
我口より申すは如何いかゞなものなれども、二十を越えてはや三歳にもなりたれば、家に洒掃の妻なくてはよろづことけてこゝろよからず、幸ひ時頼見定みさだめ置きし女子をなご有れば
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
A ラヴレターならむかしから、うまんだら七駄半だはんなんて先例せんれいがあるんだけれど、母親はゝおや毎日まいにちかさずはまつた感心かんしんだね。けだ葉書利用法はがきりようはふ最上乘さいじやうじようなるものかね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
容姿端麗ようしたんれいとほ藤原氏時代ふぢはらしじだい木彫きぼりだとくが、ほそゆびさきまでいさゝかそんじたところがない、すらりとした立像りつざうの、法衣ほふえいろが、いまひとみうつつた萌黄もえぎなのである。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また錘石おもりいしといふのがあります。それはひらたい石塊いしころ上下じようげすこいて紐絲ひもいとけるのに便利べんりにしてあるもので、あみおもりとか、機織はたおりに使用しようしたものかといはれてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
巧みに表現されて居ますが、それを包む肝腎かんじんの人間の心持こゝろもち色合ニユアンスや、味ひがけて居ます。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
つくえりふれの白木作しらきづくりに白天竺しろてんぢくをかけて、勸工塲くわんこうばものゝ筆立ふでたてに晋唐小楷しんとうしようかいの、栗鼠毛りつそもうの、ペンも洋刀ないふも一ツにれて、くびけたかめ水入みづいれに、赤墨汁あかいんきびんがおしなら
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
されば家塾かじゆく放任主義はうにんしゆぎおこなふのは畢竟ひつきやう獨立心どくりつしんやしなためであつて、このせまちひさな家塾かじゆく習慣しふくわんをつけてくのは他日たじつおほひなる社會しやくわいひろ世界せかいことけない仕度したく御在ございます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
(二)がく載籍さいせききはめてひろけれども、しん六蓺りくげいかんがふ。(三)詩書ししよ(四)けたりといへども、しかれども(五)虞夏ぐかぶんなりげうまさくらゐ(六)のがれんとするや、虞舜ぐしゆんゆづる。
われは眞に有る物の間に有りてこれをわが身にからざる物とするに努む。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
おお、それに頭がこんなにけているじゃないか。ドライバーをあてがって、力をいれてねじ込もうとすれば、ドライバーがねじの頭から滑ってしまう。ひどいものをぜて寄越よこしたなあ。
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
あだなり。)かくてかわきてけもやする。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「怨まれもするわけだな。押しが強くて、人附き合ひが理詰めで、義理をかさないと來て居るから、こちとらには扱ひにくいな」
何にしても此の男は公の「秘密の楽園」に於ける好伴侶こうはんりょであり、公に取って必要くべからざるものだったことは確かである。
おほいに疲勞ひらうしてたので、引揚ひきあげやうかとかんがへてうち幻花子げんくわしは、口部こうぶだけけて、完全くわんぜんなる土瓶どびんを一掘出ほりだした。
そつちからもこつらからもれがかぞへられた。左手さしゆゆびが二げて二おこされてもつくせなかつた。勿論もちろんしまひには配偶はいぐうけたものまで僂指るしされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
總説 石片に鋭利えいりなる刄を設くるに二はふ有り。一は打ちき或は壓し缺くはふにして、斯くしてつくりたる石噐せききことは前項に記したり。他の一はふは研ぎ磨くはふなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
たゞ震災防止しんさいぼうしにつき、少年諸君しようねんどくしや現在げんざい小國民しようこくみんとしても、また他日たじつ國民人物こくみんじんぶつ中堅ちゆうけんとしても自衞上じえいじよう、はた公益上こうえきじよう必要ひつようくべからざる事項じこう叙述じよじゆつせんとするものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それはいしかん一方いつぽうけたようなかたちのものや、つゞみかたちをした土製品どせいひんで、まへまをした石器時代せつきじだい墓場はかばから、よく人骨じんこつみゝのあたりで發見はつけんされるのであります。(第四十一圖だいしじゆういちず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
成程なるほど、違っていた。今まで気が顛倒てんどうしていたので、流石さすがにそこまではかなかったが、安行の前歯は左が少しくけていた。この男の前歯は左右とも美事に揃っている。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その人形にんぎやうひたひすこけて、其所そこだけすみつてあつた。小六ころく眞面目まじめかほをして、これ袖萩そではぎださうですとつて、それを兄夫婦あにふうふまへいた。何故なぜ袖萩そではぎだか夫婦ふうふにはわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
したがつて吾々われ/\らずらずばけものからあたへられる趣味しゆみ如何いか豊富ほうふなるかは、想像さうざうあまりあることであつて、たしかにばけものは社會生活しやくわいせいくわつうへに、もつとくべからざる要素えうその一つである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
片側かたがはのまばらがき一重ひとへに、ごしや/\と立亂たちみだれ、あるひけ、あるひかたむき、あるひくづれた石塔せきたふの、横鬢よこびんおもところへ、胡粉ごふんしろく、さま/″\な符號ふがうがつけてある。卵塔場らんたふば移轉いてん準備じゆんびらしい。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
廉直れんちよくなる方針はうしん地方ちはう新聞紙しんぶんし芝居しばゐ學校がくかう公會演説こうくわいえんぜつ教育けういくある人間にんげん團結だんけつ是等これらみな必要ひつえうからざるものである。また社會しやくわいみづかさとつておどろくやうになければならぬとかなどとのことで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
B まだういふのがあるよ。矢張やはぼく友人いうじんだが、くに母親はゝおやがひとりでさびしがつてゐるとつて、毎日まいにちまいづつ繪葉書ゑはがきしてゐるが、モウそれを三四年間ねんかんにちかさずやつてるから感心かんしんだらう。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
いづれかけゆくくいのあわだつとき
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あの晩の人數が一人もけちやいけないよ。それに俺と三輪の親分を入れただけで、餘計な人間が來ると魔が差すから氣をつけろ
然らば人一倍眼も見え、耳も聞ゆるようにとこそ願うべきに、物も見えず、進退にも事をくように相成あいなり、何として手柄をたて得らるゝぞ
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
到底たうてい彼等かれらしろ菅笠すげがさあかおびとはひろかざ大輪たいりんはなでなければならぬ。ひとつの要件えうけんがおつぎにはけてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
時としてはぼうほんを以て毛拔き樣の道具だうぐを作り、之を用ゐて石片の周縁をつまきし事も有りしならん
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
活東子くわつとうしが十ぐわつ卅一にち鐵鉢形てつはつがた小土器せうどき掘當ほりあてながら、あやまつてそれをつたので、破鐵鉢はてつばつ綽號あだなりなどしたが、それと同時どうじした把手附とつてつき小土器せうどきは、すこげてはるが珍形ちんけい
「いや、さかんだな。」と、火鉢ひばちを、鐵火てつくわにおめしまたはさんで、をかざしながら莞爾につこりして、「後藤君ごとうくん、おらくに——みなみなよ、おれわり一杯いつぱいやらう。」殿樣とのさま中間部屋ちうげんべやおもむきがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿論もちろんこの學問がくもん研究けんきゆう容易ようい進歩しんぽしないのも震災國しんさいこくたるの一因いちいんには相違そういないが、しかしながら地震ぢしんたいして必要ひつよう初歩しよほ知識ちしきがわが國民こくみんけてゐることが、震災しんさい擴大かくだい最大原因さいだいげんいんであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
如何いかなれば規則きそくはあつても、こゝ學問がくもんいのである。哲學てつがくすてしまつて、醫師等いしやらのやうに規則きそくしたがつてらうとするのには、だい一に清潔法せいけつはふと、空氣くうき流通法りうつうはふとがくべからざるものである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たゞ角張かくばつていたあとのあるようにえるだけのものでせう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ただ聞く、まが沼水ぬまみづけかたぶき
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
きませんよ。尤も藤屋に死なれて困るのは利三郎やお吉で、死んでもらひ度いのは、養子の彌吉や番頭の佐兵衞ですが——
(妻ハソレヲ口ニ出シタヿハナイガ、ジェームス・スチュアートノ映画ダトカサズ見ニ行クラシイノデアル)
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
はばなんぢいた面皮めんぴかむが、忠義ちうぎのほどはわれれり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)