)” の例文
何? 親分はもう歸んなすつた、——それはしい事をした、大變な證據が手に入つたんだ。泥坊仲間でしめし合せた手紙を、千兩箱を
有爲轉變うゐてんぺんの世の中に、只〻最後のいさぎよきこそ肝要なるに、天にそむき人に離れ、いづれのがれぬをはりをば、何處いづこまでしまるゝ一門の人々ぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「さうなんでさ、うまいもんだからわしも到頭たうとうこめぺうそんさせられちやつて」勘次かんじはそれをいふたびさう容子ようすえるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それだのにおなゆきいたゞいたこゝのひさしは、彼女かのぢよにそのつたこゝろあたゝめられて、いましげもなくあいしづくしたゝらしてゐるのだ。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
いとがどうせかねばならぬものなら、もうすこし悲しく自分のめにわかれしむやうな調子てうしを見せてもらひたいと思つたからだ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
モンタギュー、其方そちは、この午後ひるごに、まうかすこともあれば、裁判所さいばんしょフリータウンへ參向さんかうせい。あらためてまうすぞ、いのちしくば、みな立退たちされ。
診察しんさつせし窒扶斯患者ちぶすくわんじや感染かんぜんして、しや三十路みそぢにたらぬわかざかりを北海道ほくかいだうつちしぬ、かぜ便たよりにこれをきしおそのこヽろ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
中將は南洲のげんて曰ふ、しいかな、天下の一勇將を失へりと、流涕りうていすること之を久しうせり。あゝ公私情盡せり。
婦人をんな衣服きものひツかけて椽側えんがははいつてて、突然いきなりおびらうとすると、白痴ばかしさうにおさへてはなさず、げて。婦人をんなむねおさへやうとした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小六ころくかく都合つがふ次第しだい下宿げしゆくはらつてあにいへうつこと相談さうだん調とゝのつた。御米およねは六でふけたくは鏡臺きやうだいながめて、一寸ちよつとのこしいかほをしたが
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あなたは情死しんぢゆうなすつたとふことで、あゝ飛んだことをした、いゝ華魁おいらんであつたがしいことをしてしまつた
それで朝日あさひはびつくらしてひがしやまからましたので、お月様つきさまはなごりしいけれどそれきりよるわかれました。
あるひはくさつてゐないものはひろつてほか器物きぶつつくなほしたりするといふことがあるうへに、むかしひとがはじめから石器せつきのようにもなくてることをしなかつたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
防人さきもりちしあさけの金門出かなとで手放たばなしみきしらはも 〔巻十四・三五六九〕 東歌・防人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
折角の赤筋入りたるズボンをあたらだいなしにして呆然ばうぜんとしたまひし此方には、くだん清人しんじんしき事しつと云ひ顔にあわてゝ床のうへなるものをさじもてすくひて皿にかへされたるなど
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
つきかゞやいてゐるそらひゞくおしろ太鼓たいこ。それは、もう門限もんげんだといふらせなのです。だがまうしばらく、つのをつてくれとかんじるのは、現在げんざい心持こゝろもちのなくなるのをしむこゝろなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あの狂氣きちがひのやうに立騷たちさわいで多人數たにんずうあひだけて、この柔弱かよわ夫人ふじん少年せうねんとを安全あんぜん端艇たんてい送込おくりここと出來できやう? あゝ人間にんげんはいざと塲合ばあひには、恥辱はぢ名譽めいよもなく、まで生命いのちしいものかと
奥山おくやますがぬぎふるゆきなばしけむあめなふりそね
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
なつかしくして、何時いつまでもつるにしきこの思ひ
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そがためによく、「わか」めぐし、「いのちしとも。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しからじ、願ふは極秘ごくひ、かのしきくれなゐの夢
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さけへばかつた。しいことをた』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とお名殘なごりしむやうにきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
のう、瀧口殿、最早もはや世に浮ぶ瀬もなき此身、今更しむべき譽もなければ、誰れに恥づべき名もあらず、重景が一懺悔ざんげ聞き給へ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
平次はさう言つて、一と握りの黒石くろを、ガチヤリとばんの上へ叩き付けました。御用聞にはしい人柄、碁さへ打たなきア、全く大した男前です。
かれ與吉よきちにさへしろくすりしんで醫者いしやからもらつたまゝしまつていたのであつた。卯平うへい凝然ぢつとして勘次かんじまゝまかせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それはそれは感心かんしんはふかおそろしいほどで、特別認可とくべつにんか卒業そつげう間際まぎはまできずなしにつてのけたを、しいことにおまへ腦病のうびやうつたではからうか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こと今朝けさ東雲しのゝめたもと振切ふりきつてわかれやうとすると、お名残なごりしや、かやうなところうやつて老朽おひくちるの、ふたゝびおにはかゝられまい、いさゝ小川をがはみづとなりとも
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誠に結構けつこうなおしなでございますと、めながらきずけるんだ、しい事には揚物あげものでございますつて。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あかねさすらせれどぬばたまのわたつきかくらくしも 〔巻二・一六九〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
同時どうじに、さうわけなら、自分じぶんぢか宗助そうすけから相當さうたうゆづつてもらへばかつたに、しいことをしたとつた。最後さいご横町よこちやう道具屋だうぐやをひどくのゝしつて、しからんやつだとつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どこもみななごりしいが、いまとほつてゐる播州ばんしゆう海岸かいがん印南野いなびぬも、とほりすぎきれないほどになつかしくおもつてゐると、ちょうどむかうのほうに、なんだか、ちかよつてきたいこゝろおこさせる
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
んでしいとはおもへども、小鳥ことりあしに、氣儘少女きまゝむすめが、囚人めしうどくさりのやうにいとけて、ちょとはなしては引戻ひきもどし、またばしては引戻ひきもどすがやうに、おまへなしたうもあるが、しうもある。
そがためによく、「若き世」めぐし、「命」しとも。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
さあ、うなるとしいことをした。
しむ風の一日ひとひや船のうへ
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しき涙をそゝぐらむ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
てるはしい。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此あたりは山近く林みつにして、立田たつたの姫が織り成せる木々の錦、二月の花よりもくれなゐにして、匂あらましかばとしまるゝ美しさ、得も言はれず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
へいから石垣へ、そのそと産土神うぶすながみの小さい森へ、肥料溜ひれうだめから空井戸へ、物置から裏の流れへと、暮れて行く陽の光をしむやうに、大急ぎで見廻りました。
「そんだが、今夜こんやはしみ/″\いたんぢやねえけ、あんでもおしなさんこた何程なんぼしいかんねえのがだかんな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かなひたりとも邪道じやだうにて正當せいたうひとよりはいかにけがらはしくあさましきとおとされぬべき、れはさても、殿とのをば浮世うきよそしらせまゐらせんことくち
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
へえ頂戴ちやうだいを……うも流石さすが御商売柄ごしやうばいがらだけあつて御主人ごしゆじん愛嬌あいけうがあつてにこやかなお容貌かほつき番頭ばんとうさんから若衆わかいしう小僧こぞうさんまでみな子柄こがらいなモシ、じつしいやうですな
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うつせみのいのちしみなみ伊良虞いらごしま玉藻たまもす 〔巻一・二四〕 麻続王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たゞ、しいかななかまる大樹たいじゆ枝垂櫻しだれざくらがもうえぬ。新館しんくわん新潮社しんてうしやしたに、吉田屋よしだや料理店れうりてんがある。丁度ちやうどあのまへあたり——其後そのご晝間ひるまとほつたとき切株きりかぶばかり、のこつたやうにた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それにもかゝはらず、太鼓たいこはどん/\つてゐます。それにたいして、なるほどはだん/\けてくが、このけてしまないひとが、誰一人たれひとりとしてあらうか、とかういふ心持こゝろもちです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しき涙をそゝぐらむ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「字でも書かうといふ程のものは、妙に筆をしがるものだよ。使ひ古した筆を洗つてごま化したのが間違ひさ」
ふくろ田舍いなか嫁入よめいつたあねところ引取ひきとつてもらひまするし、女房にようぼをつけて實家さともどしたまゝ音信不通いんしんふつうをんなではありしいともなんともおもひはしませぬけれど
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
講話かうわなどおもひもらなかつたからである。しかししいことをした。いまおもへば、かねて一ぽん用意よういして、前記ぜんき郷土会記録きやうどくわいきろくするところ新渡戸博士にとべはかせの三本木ぼんぎ開墾かいこん講話かうわ朗読らうどくすればかつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)