わり)” の例文
ところかほわりあたまうすくなりぎたふとつたをとこて、大變たいへん丁寧ていねい挨拶あいさつをしたので、宗助そうすけすこ椅子いすうへ狼狽あわてやうくびうごかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
帽子屋ばうしやッた一人ひとり場所ばしよへたために一ばんいことをしました、あいちやんは以前まへよりもぽどわりわるくなりました、だつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
先ず玉子を四つわりまして白身は別にしておいて四つの黄身へお砂糖のふるったのを混ぜてツブツブのないようにこの通りよくよく溶きます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
同時どうじに、一藝いちげいたつした、いや——從兄弟いとこだからグツとわりびく——たづさはるものの意氣いきかんじた。神田兒かんだつこだ。かれ生拔はえぬきの江戸兒えどつこである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一グラムとは一もんめまうして三ゲレンとは三わりにして硝盃コツプに三十てきはんゲレンぢやが、見てういふ工合ぐあいにするのだ。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いつも自分じぶん一人ひとり子持こもちになどなつてわりがわるいのだといふやうなかほをしていらつしやるほんたうにばちがあたりますよ。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
解禁後かいきんご爲替相場かはせさうばは四十九ドルぶんの一かあるひは四十九ドルぶんの三であらうから、これにらぶれば一わりさがつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
「そうだ。四月よつきぶりの都入り。宿所わりの沙汰が来るまで、せめて髯でもって少し洒落しゃれておこうよ。早く借りて来い」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
專門教育を受ける人間は現代日本では六十人に一人のわり合であると、以前にたれからか聞かされたことのあるのを思ひ出しながら、金太郎は坂を下り始めた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
れてゐるばかりでなく、わりによくうつ寫眞器しやしんきで、一ダースが一ダース、めつたに失敗しつはいもないといふやうなことが、ふまでの心のおもひ出と相つて
おりよく、母のところへは、きんじょの人が何まいかの着物の仕立したてをたのんできた。これはハンケチのへりかがりよりは、ずっとわりのよいしごとであった。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
肉は薄い方だ、と謂ツてとがツた顏といふでは無い。輪郭りんくわくを取つたら三かくに近い方で、わりひたひひろく、加之拔上ぬけあがツて、小鼻まわりに些と目に付く位に雀斑そばかすがある。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
身體からだわりにしちやえな」と鍛冶かぢ微笑びせうした。てつにほひのする唐鍬たうぐはげて勘次かんじまた土手どてはしつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
どうぞ哀れと思って、と畳に喰いついてどうしても帰ると言わない。金三郎も、はじめはきついことを言っていましたが、とうとうお米の情にほだされてわりない仲になった。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
もっと音色ねいろうつくしいわり毛並けなみ案外あんがいつまらないとりで、あるとき不図ふとちかくのえだにとまっているところをると、おほきさは鳩位はとぐらい幾分いくぶん現界げんかいたかて、頚部けいぶながえていました。
百姓はわりに合はん仕事やちうことは、ようかつてるが、そいでも地價がズン/\あがるさかい、知らん身代しんだいが三ぞう倍にも五層倍にもなつたアるちうて、みな喜んではつたが
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
船のわりにしては多勢たぜい乗組人のりくみにんでありしが、この航海の事については色々お話がある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
偶娼あひかたにせしが惚合やみづきにて二度が三度と深くなり互ひに思ひ思はれてわりなき中とは成りにけり偖此伊勢屋五兵衞と云ふはためしなき吝嗇りんしよく者にて不斷ふだん口癖くちぐせにて我程仕合者しあはせものは有るまじ世の中に子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
貴方あなたは一生涯しやうがいだれにも苛責かしやくされたことく、健康けんかうなることうしごとく、嚴父げんぷ保護ほごもと生長せいちやうし、れで學問がくもんさせられ、それからしてわりやく取付とりつき、二十年以上ねんいじやうあひだも、暖爐だんろいてあり
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
本にある通りの比重ひじゅうでやったらかめは半分ものこらなかった。去年きょねん旱害かんがいはいちばんよかったところでもこんな工合ぐあいだったのだ。けれども陸羽りくう一三二ごうのほうは三わりぐらいしか浮く分がなかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「平太郎さんと、お由利さんとはわりない仲になっていなすったのかね」
歌子は裁縫や洗濯せんたくを彼女の家に頼んで、わりのよい価を支払らっていた。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いだくるま一散いつさん、さりながらつもゆき車輪しやりんにねばりてか車上しやじやう動搖どうえうするわりあはせてみちのはかはかず萬世橋よろづよばしころには鐵道馬車てつだうばしや喇叭らつぱこゑはやくえて京屋きやうや時計とけい十時じふじはうずるひゞきそらたか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もっともこの変りやすい空模様思いがけない雨なるものは昔の小説に出て来る才子佳人がわりなきちぎりを結ぶよすがとなり、また今の世にも芝居のハネから急に降出す雨を幸いそのまま人目をつつむほろうち
石谷さんはわりから顔をあげた。
角力 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
けんしゆわりもつて配つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
前刻さつきから、通口かよひぐちかほして、髯旦ひげだんのうめかたが、まツとほり、小兒こども一寸いつすんみづ一升いつしようわりのぞいて、一驚いつきやうきつした三助さんすけ
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かへつて主人しゆじんくち子供こども煩冗うるさがるわりに、すこしもそれをにする樣子やうすかほにも態度たいどにもえないのをうらやましくおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これを解禁後かいきんご推定相場すゐていさうば四十九ドルぶんの三と比較ひかくするとわづかに一ドルらずとなつて一わりさがつてつた爲替相場かはせさうばは九回復くわいふくしたわけであつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ところへ大きなたけしやくもある白張しらはり提灯ちやうちんつるさがつてります、其提灯そのちやうちんわりには蝋燭ろうそくほそうございますからボンヤリして、うも薄気味うすきみの悪いくらゐなん陰々いん/\としてります。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
その前を、武田伊豆が例の“宿所わり”の図面を持って先駆して行った。案内のためにである。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陸稻をかぼめづらしいうち出來できるもんだわ、わりにやけねえが、そんでも開墾おこしたばかしにやくさねえから手間てまらねえしな、それに肥料こやしつちやなんぼもしねえんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
貴方あなたは一生涯しょうがいだれにも苛責かしゃくされたことはく、健康けんこうなることうしごとく、厳父げんぷ保護ほごもと生長せいちょうし、それで学問がくもんさせられ、それからしてわりのよいやく取付とりつき、二十年以上ねんいじょうあいだも、暖炉だんろいてあり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
俊男は今年ことし三十になる。ぼう私立大學しりつだいがく倫理りんり擔任たんにんしてゐるが、講義の眞面目まじめで親切であるわりに生徒のうけくない。自躰じたい心におもりがくツついてゐるか、ことばにしろ態度にしろ、いやに沈むでハキ/\せぬ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たくむ者あり又顏色おどろにして恐ろしなる者も心はまことに竹をわりたる如き善人あり或ひは言葉を巧みに人を罪に落とすもあり又おのれ十分の理を持ながら訥辯とつべんの爲に言伏られて無實むじつつみおつるもあり其善惡そのぜんあく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わりながれのあるみづはともすればかれ横倒よこたふしにしさうになつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
わりさがつてつた爲替相場かはせさうば貿易ぼうえき改善かいぜんせらるゝにしたがつて段々だん/\騰貴とうきして十一ぐわつ二十一にち短期期限附たんききげんづき金解禁きんかいきん發表前はつぺうぜんには四十八ドルぶんの一となつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
代助は神経質なわりに、子供の時からの習慣で、人中ひとなかるのを余りにしなかつた。宴会とか、招待とか、送別とかいふ機会があると、大抵は都合して出席した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
みづつたとはこと停車場ステエシヨンわりしづかで、しつとりと構内こうない一面いちめんれてる。赤帽君あかばうくん荷物にもつたのんで、ひろところをずらりと見渡みわたしたが、約束やくそく同伴つれはまだない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「うむ、さうかな、さうすつとわりえもんだな」各自てんでにさういつてると
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なるほど、みやくはうおほうございますな、みやくわりにするとねついんにこもつてりますな。「モウ/\わたしとても助かるまいと思ひます。「そんな事をおつしやつちやアいけませんよ、どうかしつかりなさい。 ...
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
場所は、野尻湖のじりこの東南で、越後信州の国境にあたり、山地ではあるが、北するも、西するも、南するもここを分岐点ぶんきてんとする交通の要衝ようしょうで、わりたけの嶮にって、越後勢のたてこもっている一じょうがある。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
領す澤井佐太夫の次男に友次郎といふ者あり當年十九歳にて古今無双の美男なりしが早晩いつの程にかお花とわりなき中となり喜内が當番たうばんの留守の夜などにはひそかにお花がねやに忍び來り語らう事も稀に有しかば彼の若黨の吾助は此樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(お妾のお妻さん)(わり鹿のお京さん)——極彩色の中の一人、(薄墨の絵のお銀さん)——小銀こぎんのむかし話を思わせます——継子ままこではないが、預り娘の掛人居候かかりゅうどいそうろう
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成程なるほど銘仙めいせんだの御召おめしだの、白紬しろつむぎだのが其所そこ一面いちめんらしてあつた。宗助そうすけこのをとこ形裝なり言葉遣ことばづかひ可笑をかしいわりに、立派りつぱ品物しなもの脊中せなかせて歩行あるくのをむし不思議ふしぎおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、さかんだな。」と、火鉢ひばちを、鐵火てつくわにおめしまたはさんで、をかざしながら莞爾につこりして、「後藤君ごとうくん、おらくに——みなみなよ、おれわり一杯いつぱいやらう。」殿樣とのさま中間部屋ちうげんべやおもむきがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「人間は食うわりふとらんものだな。あいつはあんなに食う癖にいっこうえん」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
紅梅焼こうばいやきと思うのが、ちらちらと、もみじの散るようで、通りかかった誰かのわり鹿黄金きん平打ひらうちに、白露しらつゆがかかる景気の——その紅梅焼の店の前へ、おまいりの帰りみち、通りがかりに
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三四郎は其当時を思ひして、今度もまたうかゞひを立てられる事かと思つた。然し手紙には御稲荷様の事はいてない。たゞ三輪田の御光さんも待つてゐるとわり註見た様なものがいてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
四手場よつでばこさえてあみるものは近郷近在きんがうきんざいわしほかいのぢやが、……お前様めえさまさしつた、じやうぬま四手場よつでば足代あじろうへ黒坊主くろばうずと……はてな……坊様ばうさまおほきわりに、いろあをざめてはらんかの。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)