トップ
>
取出
>
とりだ
ふりがな文庫
“
取出
(
とりだ
)” の例文
猶
(
なお
)
其袂
(
そのたもと
)
から
手巾
(
はんかちーふ
)
を
取出
(
とりだ
)
して、声立てさせじと口に
喰
(
は
)
ませた。
斯
(
か
)
くして冬子は、
彼
(
か
)
の
空屋
(
あきや
)
まで
手取
(
てど
)
り
足取
(
あしど
)
りに担ぎ去られたのであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
痩
(
やせ
)
た
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
眼
(
め
)
が
再
(
ふたた
)
び
春重
(
はるしげ
)
の
顔
(
かお
)
に
戻
(
もど
)
った
時
(
とき
)
、
春重
(
はるしげ
)
はおもむろに、ふところから
何物
(
なにもの
)
かを
取出
(
とりだ
)
して
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
にひけらかした。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんの
鍵
(
かぎ
)
は
金網
(
かなあみ
)
の
張
(
は
)
つてある
重
(
おも
)
い
藏
(
くら
)
の
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
ける
鍵
(
かぎ
)
で、
紐
(
ひも
)
と
板片
(
いたきれ
)
をつけた
鍵
(
かぎ
)
で、いろ/\な
箱
(
はこ
)
に
入
(
はひ
)
つた
器物
(
うつは
)
を
藏
(
くら
)
から
取出
(
とりだ
)
す
鍵
(
かぎ
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
訛りのある
仏欄西
(
フランス
)
語で口やかましく話しながら、自分たちの
卓子
(
テーブル
)
に就いて煙草を
取出
(
とりだ
)
した、——もう毎日のことで注文は分っているらしく
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
うつくしき人はなかばのりいでたまひて、とある
蒔絵
(
まきえ
)
ものの手箱のなかより、
一口
(
ひとふり
)
の
守刀
(
まもりがたな
)
を
取出
(
とりだ
)
しつつ
鞘
(
さや
)
ながら
引
(
ひき
)
そばめ、
雄々
(
おお
)
しき声にて
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
それはどういうときだというと、おまえに
肖
(
に
)
た青年の
後姿
(
うしろすがた
)
を見たとき、おまえの家へ残して行った
稽古
(
けいこ
)
用品や
着古
(
きふる
)
した着物が
取出
(
とりだ
)
されるとき。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
東野南次は精一杯事務的な調子で、用意したレター・ぺーパーを
取出
(
とりだ
)
して、愛蔵のウォーターマンのキャップを取りました。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
といって刃物を
取出
(
とりだ
)
して取る訳にも行かない。小指でしっかり竿尻を
掴
(
つか
)
んで、丁度それも
布袋竹
(
ほていだけ
)
の節の処を握っているからなかなか取れません。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ズル/\ツと
扱出
(
こきだ
)
したは
御納戸
(
おなんど
)
だか
紫
(
むらさき
)
だか
色気
(
いろけ
)
も
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつた
古
(
ふる
)
い
胴巻
(
どうまき
)
やうな
物
(
もの
)
を
取出
(
とりだ
)
しクツ/\と
扱
(
こ
)
くと
中
(
なか
)
から
反古紙
(
ほごがみ
)
に
包
(
つつ
)
んだ
塊
(
かたまり
)
が
出
(
で
)
ました。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
まで
長吉
(
ちやうきち
)
は
東照宮
(
とうせうぐう
)
の
裏手
(
うらて
)
の森の中で、
捨石
(
すていし
)
の上に
横
(
よこた
)
はりながら、こんな事を考へつゞけた
後
(
あと
)
は、
包
(
つゝみ
)
の中にかくした小説本を
取出
(
とりだ
)
して読み
耽
(
ふけ
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
菜切庖丁
(
なきりばうちやう
)
を
取出
(
とりだ
)
して、
其
(
その
)
高
(
たか
)
い
蜀黍
(
もろこし
)
の
幹
(
みき
)
をぐつと
曲
(
まげ
)
ては
穗首
(
ほくび
)
に
近
(
ちか
)
く
斜
(
なゝめ
)
に
伐
(
き
)
つた。
穗
(
ほ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
手
(
て
)
に
止
(
とま
)
つて
幹
(
みき
)
は
急
(
きふ
)
に
跳
(
は
)
ね
返
(
かへ
)
つた。さうして
戰慄
(
せんりつ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
兎
(
うさぎ
)
が
襯衣
(
チヨツキ
)
の
衣嚢
(
ポケツト
)
から
時計
(
とけい
)
を
取出
(
とりだ
)
して、
面白
(
おもしろ
)
さうにそれを
燒
(
や
)
いて
了
(
しま
)
うなんてことを、
是
(
こ
)
れまで
决
(
けつ
)
して
見
(
み
)
たことがないわと
心
(
こゝろ
)
に
一寸
(
ちよつと
)
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
大奉書に大水引のかかりたるを
取出
(
とりだ
)
したるが
大熨斗
(
おおのし
)
の先の斜めに折れたるを手にて
撫
(
な
)
で
展
(
の
)
ばし「お登和さん失礼ですけれども」と
勿体
(
もったい
)
らしく差出たり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
塵
(
ごみ
)
と一
處
(
しよ
)
に
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
たのを、
博士
(
はかせ
)
が
戯
(
たはむ
)
れに
取出
(
とりだ
)
されたので、
之
(
これ
)
は一
抔
(
ぱい
)
頂戴
(
てうだい
)
したと、一
同
(
どう
)
クツ/\
笑
(
わら
)
ひ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
信如
(
しんによ
)
は
机
(
つくえ
)
の
引出
(
ひきだ
)
しから
京都
(
きやうと
)
みやげに
貰
(
もら
)
ひたる、
小鍛冶
(
こかぢ
)
の
小刀
(
こがたな
)
を
取出
(
とりだ
)
して
見
(
み
)
すれば、よく
利
(
き
)
れそうだねへと
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
む
長吉
(
ちようきち
)
が
顏
(
かほ
)
、あぶなし
此物
(
これ
)
を
振廻
(
ふりまわ
)
してなる
事
(
こと
)
か。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「此はお嬢様に」と婦人が
取出
(
とりだ
)
したのは、十七八ずつも
実
(
な
)
った
丹波酸漿
(
たんばほおずき
)
が二本。いずれも
紅
(
あか
)
いカラのまゝ虫一つ喰って居ない。「まあ
見事
(
みごと
)
な」と主婦が歎美の声を放つ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
放逐
(
ほうちく
)
されると覚悟をすれば、何も
畏
(
おそ
)
れる事は無いと度胸を
極
(
き
)
め、
或
(
ある
)
夜師の坊の寝息を考え、本堂の
橡
(
えん
)
の下に隠してある、例の待網を
取出
(
とりだ
)
して
彼
(
か
)
の小溝へ掛けたが、今夜は
如何
(
どう
)
した訳か
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
愈〻
(
いよ/\
)
平地
(
へいち
)
を
離
(
はな
)
れて
山路
(
やまぢ
)
にかゝると、これからが
初
(
はじ
)
まりと
言
(
い
)
つた
調子
(
てうし
)
で
張飛巡査
(
ちやうひじゆんさ
)
は
何處
(
どこ
)
からか
煙管
(
きせる
)
と
煙草入
(
たばこいれ
)
を
出
(
だ
)
したがマツチがない。
關羽
(
くわんう
)
も
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
ない。これを
見
(
み
)
た
義母
(
おつかさん
)
は
徐
(
おもむろ
)
に
袖
(
たもと
)
から
取出
(
とりだ
)
して
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
しばらくして、もう
煮
(
に
)
えたらうと一つ
取出
(
とりだ
)
して
囓
(
かぢ
)
つてみました。
固
(
かた
)
い。まるで
石
(
いし
)
のやうです。も
少
(
すこ
)
したつて、また
取出
(
とりだ
)
してみました。
矢張
(
やつぱ
)
り
固
(
かた
)
い。いくら
煮
(
に
)
ても
石
(
いし
)
のやうで
食
(
た
)
べられません。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
『はゝゝゝゝ。
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
つたよ。
然
(
しか
)
しこれで
當分
(
たうぶん
)
餓死
(
うゑじに
)
する
氣遣
(
きづかひ
)
はない。』と
私
(
わたくし
)
は
直
(
たゞ
)
ちに
小刀
(
ナイフ
)
を
取出
(
とりだ
)
した。
勿論
(
もちろん
)
沙魚
(
ふか
)
といふ
魚
(
さかな
)
は
左程
(
さほど
)
美味
(
びみ
)
なものではないが、
此
(
この
)
塲合
(
ばあひ
)
にはいくら
喰
(
く
)
つても
喰足
(
くひた
)
らぬ
心地
(
こゝち
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
今年も
取出
(
とりだ
)
して掛ける
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
白痴
(
あはう
)
が
泣出
(
なきだ
)
しさうにすると、
然
(
さ
)
も
怨
(
うら
)
めしげに
流盻
(
ながしめ
)
に
見
(
み
)
ながら、こはれ/\になつた
戸棚
(
とだな
)
の
中
(
なか
)
から、
鉢
(
はち
)
に
入
(
はい
)
つたのを
取出
(
とりだ
)
して
手早
(
てばや
)
く
白痴
(
あはう
)
の
膳
(
ぜん
)
につけた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
御徒士町辺
(
おかちまちあたり
)
を
通
(
とほ
)
つて見るとお
玄関
(
げんくわん
)
の
処
(
ところ
)
へ
毛氈
(
もうせん
)
を
敷詰
(
しきつ
)
め、お
土蔵
(
くら
)
から
取出
(
とりだ
)
した
色々
(
いろ/\
)
のお
手道具
(
てだうぐ
)
なぞを
並
(
なら
)
べ、
御家人
(
ごけにん
)
やお
旗下衆
(
はたもとしゆう
)
が
道具商
(
だうぐや
)
をいたすと
云
(
い
)
ふので
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
爺
(
ぢい
)
やは
父
(
とう
)
さんの
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
前
(
まへ
)
で、
爐邊
(
ろばた
)
にある
太
(
ふと
)
い
鐵
(
てつ
)
の
火箸
(
ひばし
)
を
取出
(
とりだ
)
しました。それで
澁柿
(
しぶかき
)
に
穴
(
あな
)
をあけました。
栗
(
くり
)
を
燒
(
や
)
くと
同
(
おな
)
じやうにその
澁柿
(
しぶかき
)
を
爐
(
ろ
)
にくべました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そのお礼としてお前さんに差上げるものがあります。あの
宝叔塔
(
ほうしゅくとう
)
の幾階目に白金が少しばかり隠してありますから、どうぞ
取出
(
とりだ
)
して御勝手にお使いください。
自来也の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると間もなく、
道化
(
ピエロ
)
が余り邪魔をするので、奇術師の一人が憤然と怒り、
拳銃
(
ピストル
)
を
取出
(
とりだ
)
して
道化
(
ピエロ
)
を射った。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二人は、人に見とがめられないように、真弓の部屋の前まで辿り付いて、化粧道具の中から、口紅の皿を
取出
(
とりだ
)
させて
斯
(
こ
)
んなつまらない
悪戯
(
わるさ
)
に
耽
(
ふけ
)
って居るのでした。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
道子
(
みちこ
)
はハンドバツグからピースの
箱
(
はこ
)
を
取出
(
とりだ
)
しながら、
見渡
(
みわた
)
すかぎりあたりは
盆
(
ぼん
)
の十
四日
(
よつか
)
の
夜
(
よる
)
の
人出
(
ひとで
)
がいよ/\
激
(
はげ
)
しくなつて
行
(
ゆ
)
くのを
眺
(
なが
)
めた。(昭和廿八年十二月作)
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つて
可
(
い
)
いか
解
(
わか
)
らぬので、
愛
(
あい
)
ちやんは
只
(
たゞ
)
一
禮
(
れい
)
し、
成
(
な
)
るべく
嚴格
(
げんかく
)
な
容貌
(
かほつき
)
をして
指環
(
ゆびわ
)
を
取出
(
とりだ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それは、二十
坪
(
つぼ
)
ばかりの
貝殼
(
かひがら
)
を、
殘
(
のこ
)
らず
綺麗
(
きれい
)
に
取出
(
とりだ
)
して、
他
(
た
)
の
藪
(
やぶ
)
の
方
(
はう
)
に
運
(
はこ
)
び、
其所
(
そこ
)
で
綺麗
(
きれい
)
に、
貝
(
かひ
)
は
貝
(
かひ
)
、
石
(
いし
)
は
石
(
いし
)
、
土
(
つち
)
は
土
(
つち
)
と、
篩
(
ふるひ
)
で
分
(
わ
)
けてあるに
拘
(
かゝは
)
らず、
石器
(
せきき
)
も、
土器
(
どき
)
も、
獸骨
(
じうこつ
)
も、
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
て
居
(
を
)
らね。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
被
(
かぶ
)
っていた
桐油
(
とうゆ
)
を、
見世
(
みせ
)
の
隅
(
すみ
)
へかなぐり
棄
(
す
)
てて、ふところから
取出
(
とりだ
)
した
鉈豆煙管
(
なたまめぎせる
)
へ、
叺
(
かます
)
の
粉煙草
(
こなたばこ
)
を
器用
(
きよう
)
に
詰
(
つ
)
めた
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、にゅッと
煙草盆
(
たばこぼん
)
へ
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
ばしながら、ニヤリと
笑
(
わら
)
って
暖簾口
(
のれんぐち
)
を
見詰
(
みつ
)
めた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
お茶よりもここに
好
(
い
)
い飲み物がありますよ。(リュックサックより
大罎
(
おおびん
)
の酒を
取出
(
とりだ
)
す。)これはどうです。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
海道丸は腹掛を探って、二枚の絵図面の切れを
取出
(
とりだ
)
し、皺を
伸
(
のば
)
すように岩の上に並べるのでした。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平野氏は急に振返ると、大股に
卓子
(
テーブル
)
へ
歩寄
(
あゆみよ
)
って
抽出
(
ひきだし
)
の中から懐中電灯と護身用の
拳銃
(
ピストル
)
を
取出
(
とりだ
)
し
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
中を
検
(
あらた
)
める
振
(
ふり
)
をしてそっと
彼
(
か
)
のお納戸縮緬の胴巻を
袂
(
たもと
)
から
取出
(
とりだ
)
して中へズッと差込んで置いて。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
拂底
(
ふつてい
)
な
蝋燭
(
らふそく
)
の、それも
細
(
ほそ
)
くて、
穴
(
あな
)
が
大
(
おほ
)
きく、
心
(
しん
)
は
暗
(
くら
)
し、
數
(
かず
)
でもあればだけれども、
祕藏
(
ひざう
)
の
箱
(
はこ
)
から……
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
た
覺
(
おぼ
)
えはないけれど、
寶石
(
はうせき
)
でも
取出
(
とりだ
)
すやうな
大切
(
たいせつ
)
な、その
蝋燭
(
らふそく
)
の
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
(
後
(
あと
)
からよく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
れば
不思議
(
ふしぎ
)
だが、
其時
(
そのとき
)
にはそれが
全
(
まつた
)
く
通常
(
あたりまへ
)
のやうに
思
(
おも
)
はれました)が、
其時
(
そのとき
)
兎
(
うさぎ
)
は
實際
(
じつさい
)
襯衣
(
チヨツキ
)
の
衣嚢
(
ポケツト
)
から
時計
(
とけい
)
を
取出
(
とりだ
)
して、それを
見
(
み
)
てゐましたが
軈
(
やが
)
て
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
しました
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
樂
(
たの
)
しい
御休處
(
おんやすみどころ
)
。
父
(
とう
)
さんが
祖母
(
おばあ
)
さんから
貰
(
もら
)
つて
來
(
き
)
た
金米糖
(
こんぺいたう
)
なぞを
小
(
ちひ
)
さな
鞄
(
かばん
)
から
取出
(
とりだ
)
すのも、その
御休處
(
おんやすみどころ
)
でした。
塲處
(
ばしよ
)
によりましては、
冷
(
つめた
)
い
清水
(
しみづ
)
が
樋
(
とひ
)
をつたつて
休茶屋
(
やすみぢやや
)
のすぐ
側
(
わき
)
へ
流
(
なが
)
れて
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
千
吉
(
きち
)
がふところから
取出
(
とりだ
)
したのは、
巻紙
(
まきがみ
)
と
矢立
(
やたて
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
此
(
こ
)
のままに眠って
了
(
しま
)
えば、彼等は平和に夢を結ばれたのであろうが、
斯
(
かか
)
る
徒
(
やから
)
の癖として重蔵は
懐中
(
ふところ
)
から小さな
賽
(
さい
)
を
取出
(
とりだ
)
した。二人は焚火の
傍
(
そば
)
で賽の目の勝負を争った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
初秋の
浜名湖
(
はまなこ
)
を渡って、
舞坂
(
まいさか
)
の宿外れ、とある茶店で
中食
(
ちゅうじき
)
を認め、勘定をする
積
(
つも
)
りで
取出
(
とりだ
)
した紙入を、
衝立
(
ついたて
)
の蔭から出た長い手が、いきなりさらって表口へ飛出したのです。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どういふ
訳
(
わけ
)
で
梅廼屋
(
うめのや
)
が
塔婆
(
たふば
)
を
上
(
あ
)
げたか、
不審
(
ふしん
)
に思ひながら、
矢立
(
やたて
)
と
紙入
(
かみいれ
)
の
鼻紙
(
はながみ
)
を
取出
(
とりだ
)
して、
戒名
(
かいみやう
)
や
俗名
(
ぞくみやう
)
を
皆
(
みな
)
写
(
うつ
)
しましたが、
年号月日
(
ねんがうぐわつぴ
)
が
判然
(
はつきり
)
分
(
わか
)
りませぬから、
寺
(
てら
)
の
玄関
(
げんくわん
)
へ
掛
(
かゝ
)
つて
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
云われるままに、皆は
夫々
(
それぞれ
)
拳銃
(
ピストル
)
を
取出
(
とりだ
)
し、いつでも射てるように
確
(
しっか
)
りと右手に握った。船長は血溜りを避けつつ片手に懐中電灯、片手に
拳銃
(
ピストル
)
を持って船内へ下りて行く、——
矢張
(
やは
)
り血だ。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
バスケツトとも
言
(
い
)
はず
外套
(
ぐわいたう
)
にあたゝめたのを
取出
(
とりだ
)
して、
所帶持
(
しよたいもち
)
は
苦
(
くる
)
しくつてもこゝらが
重寶
(
ちようはう
)
の、おかゝのでんぶの
蓋
(
ふた
)
ものを
開
(
あ
)
けて、さあ、
飮
(
や
)
るぞ! トンネルの
暗闇
(
やみ
)
に
彗星
(
はうきぼし
)
でも
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ろと
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
懐中時計を
取出
(
とりだ
)
して
視
(
み
)
ると、
先刻
(
さっき
)
からの騒ぎで
何時
(
いつ
)
何
(
ど
)
うしたか知らぬが、
硝子
(
がらす
)
の蓋は
毀
(
こわ
)
れて針は折れていた。
日光
(
ひのめ
)
の
視
(
み
)
えぬ穴の底では、今が昼か夜か、それすらも殆ど見当が付かぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まア
結構
(
けつこう
)
なお
薬
(
くすり
)
を
頂
(
いたゞ
)
くのみならず、お
料理
(
れうり
)
の
残余物
(
あまりもの
)
まで
下
(
くだ
)
され、
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます、
左様
(
さやう
)
ならこれへ
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しますと、
襤褸手拭
(
ぼろてぬぐひ
)
へ
包
(
くる
)
んであつた
麪桶
(
めんつう
)
を
取出
(
とりだ
)
して、
河合金兵衛
(
かはひきんべゑ
)
の
前
(
まへ
)
へ
突出
(
つきだ
)
すのを
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
また
取出
(
とりだ
)
して調べる方法も無かったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とお國が
重籐
(
しげとう
)
の弓の
折
(
おれ
)
を
取出
(
とりだ
)
し、源次郎に渡す。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“取”で始まる語句
取
取縋
取柄
取除
取次
取敢
取交
取做
取着
取付