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切
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き
ふりがな文庫
“
切
(
き
)” の例文
手
(
て
)
を
見
(
み
)
ると
竦
(
ぞつ
)
とする。
鱗
(
こけ
)
のある
鉛色
(
なまりいろ
)
の
生物
(
いきもの
)
のやうに、
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にそれが
動
(
うご
)
いてゐる。
噫
(
あゝ
)
、
切
(
き
)
つて
了
(
しま
)
ひたい。
此手
(
このて
)
の
触
(
さは
)
つた
所
(
ところ
)
も
忌
(
いま
)
はしい。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
「あの
木
(
き
)
を
切
(
き
)
るのは、かわいそうだ。」といって、
大人
(
おとな
)
たちに
向
(
む
)
かって、
同意
(
どうい
)
を
求
(
もと
)
め、この
木
(
き
)
を
切
(
き
)
ることに
反対
(
はんたい
)
したでありましょう。
町はずれの空き地
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
建築用
(
けんちくよう
)
の木材は火にて
燒
(
や
)
き切り又は打製
石斧
(
いしおの
)
にて
扣
(
たた
)
き
切
(
き
)
りしなるべし、是等を
括
(
くく
)
り合するには諸種の
繩
(
なわ
)
及び
蔦蔓
(
つたづる
)
の類を用ゐしなるべし
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
固
(
もと
)
より云う事はあるのだから、何か云おうとするのだが、その云おうとする言葉が
咽喉
(
のど
)
を通るとき
千条
(
ちすじ
)
に
擦
(
す
)
り
切
(
き
)
れでもするごとくに
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尺八の穴みなビューッと鳴って、一角の大刀を
大輪
(
おおわ
)
に払うと、払われたほうは気を
焦
(
いら
)
って、さっとその
切
(
き
)
ッ
尖
(
さき
)
を
足下
(
あしもと
)
からずり上げる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
『えゝ
只今
(
たゞいま
)
、
足下
(
そくか
)
に
御關係
(
ごくわんけい
)
の
有
(
あ
)
る
事柄
(
ことがら
)
で、
申上
(
まをしあ
)
げたいと
思
(
おも
)
ふのですが。』と、
市役所員
(
しやくしよゐん
)
は
居並
(
ゐなら
)
ぶ
人々
(
ひと/″\
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
が
濟
(
す
)
むと
恁
(
か
)
う
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
した。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
切
(
き
)
り
烏賊
(
いか
)
、
椎茸
(
しいたけ
)
、
牛蒡
(
ごぼう
)
、凍り豆腐ぐらいを
煮〆
(
にしめ
)
にしてお
平
(
ひら
)
に盛るぐらいのもの。別に
山独活
(
やまうど
)
のぬた。それに山家らしい
干瓢
(
かんぴょう
)
の
味噌汁
(
みそしる
)
。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
農家の垣には梨の花と八重桜、畠には
豌豆
(
えんどう
)
と
蚕豆
(
そらまめ
)
、
麦笛
(
むぎぶえ
)
を鳴らす音が時々聞こえて、
燕
(
つばめ
)
が街道を斜めに
突
(
つ
)
っ
切
(
き
)
るように飛びちがった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
とその中の
頭分
(
かしらぶん
)
らしい
侍
(
さむらい
)
がいいました。それから
二言
(
ふたこと
)
三言
(
みこと
)
いい
合
(
あ
)
ったと
思
(
おも
)
うと、
乱暴
(
らんぼう
)
な
侍共
(
さむらいども
)
はいきなり
刀
(
かたな
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
切
(
き
)
ってかかりました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
『
譽
(
ほ
)
められても
嬉
(
うれ
)
しくはないぞ。
玄竹
(
げんちく
)
、それより
何
(
なに
)
か
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
でもせんか。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
顏
(
かほ
)
には、どうも
冴
(
さ
)
え
切
(
き
)
らぬ
色
(
いろ
)
があつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
小賊
(
せいぞく
)
肯
(
き
)
かずして、
則
(
すなは
)
ち
刀
(
かたな
)
を
執
(
と
)
つて
其
(
そ
)
の
指
(
ゆび
)
を
切
(
き
)
つて
珠
(
たま
)
を
盜
(
ぬす
)
むや、
指
(
ゆび
)
より
紅
(
くれなゐ
)
の
血
(
ち
)
衝
(
つ
)
と
絲
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
く
迸
(
ほとばし
)
りぬ。
頭領
(
とうりやう
)
面
(
おもて
)
を
背
(
そむ
)
けて
曰
(
いは
)
く、
於戲痛哉
(
あゝいたましいかな
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いたずらに、もてあそんでいた三
味線
(
みせん
)
の、いとがぽつんと
切
(
き
)
れたように、おせんは
身内
(
みうち
)
に
積
(
つも
)
る
寂
(
さび
)
しさを
覚
(
おぼ
)
えて、
思
(
おも
)
わず
瞼
(
まぶた
)
が
熱
(
あつ
)
くなった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ロミオ あれは
自分
(
じぶん
)
の
饒舌
(
しゃべ
)
るのを
聽
(
き
)
くことの
好
(
す
)
きな
男
(
をとこ
)
、
一月
(
ひとつき
)
かゝってもやり
切
(
き
)
れぬやうな
事
(
こと
)
を、一
分間
(
ぶんかん
)
で
饒舌
(
しゃべ
)
り
立
(
た
)
てようといふ
男
(
をとこ
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
で、
私
(
わたくし
)
は
思
(
おも
)
い
切
(
き
)
ってその
門
(
もん
)
をくぐって
行
(
ゆ
)
きましたが、
門内
(
もんない
)
は
見事
(
みごと
)
な
石畳
(
いしだた
)
みの
舗道
(
ほどう
)
になって
居
(
お
)
り、あたりに
塵
(
ちり
)
一
(
ひと
)
つ
落
(
お
)
ちて
居
(
お
)
りませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
糟谷獣医
(
かすやじゅうい
)
は、去年の
暮
(
く
)
れ
押
(
お
)
しつまってから、この
外手町
(
そとでまち
)
へ
越
(
こ
)
してきた。入り口は
黒板
(
くろいた
)
べいの一部を
切
(
き
)
りあけ、
形
(
かたち
)
ばかりという門がまえだ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つたる
大形
(
おほがた
)
の
裕衣
(
ゆかた
)
に
引
(
ひつ
)
かけ
帶
(
おび
)
は
黒繻子
(
くろじゆす
)
と
何
(
なに
)
やらのまがひ
物
(
もの
)
、
緋
(
ひ
)
の
平
(
ひら
)
ぐけが
背
(
せ
)
の
處
(
ところ
)
に
見
(
み
)
えて
言
(
い
)
はずと
知
(
し
)
れし
此
(
この
)
あたりの
姉
(
あね
)
さま
風
(
ふう
)
なり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
カラクリが
判
(
は
)
っ
切
(
き
)
り分らア。全くよ。俺ア、
遂
(
つい
)
此間
(
こないだ
)
迄信者様だった。騙されたのも知らねえで悦んで奴等の手品に見とれていたからなア。
反逆
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
現に、自分が今、
髮
(
かみ
)
を拔いた女などは、
蛇
(
へび
)
を四寸ばかりづゝに
切
(
き
)
つて干したのを、
干魚
(
ほしうを
)
だと云つて、
太刀帶
(
たてはき
)
の陣へ賣りに行つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて、それ
切
(
き
)
り
余
(
よ
)
は
引揚
(
ひきあ
)
げたが、
如何
(
どう
)
も
氣
(
き
)
に
成
(
な
)
つて
耐
(
た
)
えられぬので、
再
(
ふたゝ
)
び
談判
(
だんぱん
)
に
行
(
ゆ
)
かうと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、
友人
(
いうじん
)
の
眉山子
(
びさんし
)
が
例
(
れい
)
の
自殺
(
じさつ
)
。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
後ろに突っ立って、ブッ
切
(
き
)
ら棒に挨拶をして居るのは、二十一、二の若い男、八五郎に
青瓢箪
(
あおびょうたん
)
と形容された、総領の幾太郎です。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
再
(
ふたゝ
)
び
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
云
(
い
)
ひ
續
(
つゞ
)
けました、『二十四
時間
(
じかん
)
だつたわ、
確
(
たし
)
か、ハテ、それとも、十二
時間
(
じかん
)
だつたかしら?
私
(
わたし
)
は——』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
婦人は指先に一寸
切
(
き
)
り
創
(
きず
)
をしてゐたのに過ぎなかつたが、医者が丁寧に
心
(
しん
)
の臓まで診察しようとしたので
大分
(
だいぶん
)
時間が手間どつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
剥
(
む
)
いてゆくうちに、
指
(
ゆび
)
を
切
(
き
)
ったので、
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
へ
血
(
ち
)
がたれました。(*(註)杜松は檜類の喬木で、一に「ねず」又は「むろ」ともいいます)
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そうして、彼は? あの激しい情熱をもって妻を愛した彼は、今は感情の
擦
(
す
)
り
切
(
き
)
れた一個の機械となっているにすぎなかった。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それだのに
同
(
おな
)
じ
雪
(
ゆき
)
を
戴
(
いたゞ
)
いたこゝの
庇
(
ひさし
)
は、
彼女
(
かのぢよ
)
にその
冷
(
ひ
)
え
切
(
き
)
つた
心
(
こゝろ
)
を
温
(
あたゝ
)
められて、
今
(
いま
)
は
惜
(
を
)
しげもなく
愛
(
あい
)
の
雫
(
しづく
)
を
滴
(
したゝ
)
らしてゐるのだ。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
お三根を
殺傷
(
さっしょう
)
した
凶器
(
きょうき
)
は、なんであるかわからないが、なかなか
切
(
き
)
れ
味
(
あじ
)
のいい
刃物
(
はもの
)
であるらしく、頸動脈はずばりと一気に切断されていた。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「光子さん、そんな事してたら
切
(
き
)
りがないよって
蕨
(
わらび
)
でも採りに行きまひょ。わたしこの山に蕨や
土筆
(
つくし
)
のたんと
生
(
は
)
えてるとこよう知ってるわ」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この
鋸
(
のこぎり
)
で
難
(
なん
)
なく
切
(
き
)
れる
家尻
(
やじり
)
を五つ
見
(
み
)
て
来
(
き
)
ましたし、
角兵ヱ
(
かくべえ
)
は
角兵ヱ
(
かくべえ
)
でまた、
足駄
(
あしだ
)
ばきで
跳
(
と
)
び
越
(
こ
)
えられる
塀
(
へい
)
を五つ
見
(
み
)
て
来
(
き
)
ました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そこで
早速
(
さつそく
)
、
理髪店
(
とこや
)
に
行
(
い
)
つてその
耳
(
みゝ
)
を
根元
(
ねもと
)
からぷつりと
切
(
き
)
つて
貰
(
もら
)
ひました。おもてへ
出
(
で
)
ると
指
(
ゆびさ
)
して、
逢
(
あ
)
ふもの
毎
(
ごと
)
に
笑
(
わら
)
ふのです。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
長
(
なが
)
い
形
(
かたち
)
と
横
(
よこ
)
にひらたいものとがありますが、
双方共
(
そうほうとも
)
に
一方
(
いつぽう
)
につまみがあり、
他側
(
たがは
)
は
切
(
き
)
れるほど
鋭
(
するど
)
くはありませんが、
鈍
(
にぶ
)
い
刃
(
は
)
になつてゐます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
西京
(
さいきやう
)
大坂
(
おほさか
)
の
芸妓
(
げいこ
)
も
参
(
まゐ
)
つて
居
(
を
)
りましたが、
皆
(
みな
)
丸髷
(
まるまげ
)
で
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
羽織
(
はおり
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
黒紗
(
くろしや
)
の
切
(
き
)
れを
縫
(
ぬ
)
ひつけて
居
(
を
)
りまして、
其
(
そ
)
の
様子
(
やうす
)
は
奥様然
(
おくさまぜん
)
とした
拵
(
こし
)
らへで
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わたしはおかみさんに打ち明けて一斤半でたくさんだというわけを話して、それ
以上
(
いじょう
)
を
切
(
き
)
らないようにていねいにたのんだ。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
大久保
(
おほくぼ
)
が、
奈美子
(
なみこ
)
の
美
(
うつく
)
しい
髪
(
かみ
)
を、
剃刀
(
かみそり
)
や
鋏
(
はさみ
)
でぢよき/\
根元
(
ねもと
)
から
全
(
まつた
)
く
切
(
き
)
り
取
(
と
)
つてしまつたことは、
大分
(
だいぶ
)
たつてから
知
(
し
)
つた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「それ
持
(
も
)
ち
出
(
だ
)
すんぢやねえ、
聽
(
き
)
かねえと
此
(
これ
)
で
切
(
き
)
つてやんぞ、
赤
(
あか
)
まんまが
出
(
で
)
るぞおゝ
痛
(
いて
)
え」
抔
(
など
)
とおつぎのいふのが
聞
(
きこ
)
えた。
其
(
その
)
度
(
たび
)
に
庖丁
(
はうちやう
)
の
音
(
おと
)
が
止
(
や
)
む。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
弼君が佳子さんへの
切
(
き
)
っかけだった。行き会うとお辞儀をするようになった。安達君と吉川君は期せずして弼君の御機嫌を取ることに一致した。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それは美濃の國のアヰミ河の河上の
喪山
(
もやま
)
という山になりました。その持つて
切
(
き
)
つた
大刀
(
たち
)
の名はオホバカリといい、またカンドの劒ともいいます。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
春
(
はる
)
になる
色
(
いろ
)
といふのは、まだ
春
(
はる
)
になり
切
(
き
)
つてゐるわけではありません。
春
(
はる
)
の
樣子
(
ようす
)
が
調
(
とゝの
)
つて
行
(
い
)
つてゐることをいふのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
かうして
最初
(
さいしよ
)
の
大地震
(
だいぢしん
)
に
蹈
(
ふ
)
み
耐
(
こら
)
へる
家屋
(
かおく
)
が、
其後
(
そのご
)
、
三分
(
さんぶん
)
の
一
(
いち
)
以下
(
いか
)
の
地震力
(
ぢしんりよく
)
によつて
押
(
お
)
し
切
(
き
)
られることはないはずである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
凡
(
およ
)
そ
眞
(
しん
)
の
化物
(
ばけもの
)
といふものは、
何處
(
どこ
)
の
部分
(
ぶぶん
)
を
切
(
き
)
り
離
(
はな
)
しても、一
種
(
しゆ
)
異樣
(
いやう
)
な
形相
(
げうさう
)
で、
全體
(
ぜんたい
)
としては
渾然
(
こんぜん
)
一
種
(
しゆ
)
の
纏
(
まと
)
まつた
形
(
かたち
)
を
成
(
な
)
したものでなければならない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
一団となって襲い掛ろうとすると、敷居を踏み切って斬り込んで来る! と見せた右近、スッと退ったかと思うと、ピタリ
襖
(
ふすま
)
を
閉
(
し
)
め
切
(
き
)
ってしまった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
暫時
(
しばら
)
くすると
箱根
(
はこね
)
へ
越
(
こ
)
す
峻嶺
(
しゆんれい
)
から
雨
(
あめ
)
を
吹
(
ふ
)
き
下
(
おろ
)
して
來
(
き
)
た、
霧
(
きり
)
のやうな
雨
(
あめ
)
が
斜
(
なゝめ
)
に
僕
(
ぼく
)
を
掠
(
かす
)
めて
飛
(
と
)
ぶ。
直
(
す
)
ぐ
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
の
草山
(
くさやま
)
を
灰色
(
はひいろ
)
の
雲
(
くも
)
が
切
(
き
)
れ/″\になつて
駈
(
はし
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
下
(
した
)
にゐた
人
(
ひと
)
が
綱
(
つな
)
をひきそこなつて、
綱
(
つな
)
がぷっつりと
切
(
き
)
れて、
運
(
うん
)
わるくも
下
(
した
)
にあつた
鼎
(
かなへ
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
ちて
眼
(
め
)
を
廻
(
まは
)
しました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
假
(
か
)
りに
俺
(
おれ
)
が
其
(
そ
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
立
(
た
)
つたとして
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ても、
事柄
(
ことがら
)
の
如何
(
いかん
)
に
係
(
かゝ
)
はらず、
毎日
(
まいにち
)
葉書
(
はがき
)
で
何
(
なん
)
のかのと
云
(
い
)
つて
來
(
こ
)
られた
日
(
ひ
)
にや、
實際
(
じつさい
)
やり
切
(
き
)
れまいと
思
(
おも
)
ふよ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
「まさか私に殿の御暦の中を
裁
(
た
)
ち
切
(
き
)
って、すぐ八月が出るように、つないでくれと
仰
(
おっし
)
ゃるのではないでしょうね?」
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
着
(
き
)
せ此所へ殘し置き我また別に
能
(
よき
)
工夫
(
くふう
)
ありとてかの曲者並びに女の
首
(
くび
)
を
切
(
き
)
つて川へ流し二人の
着類
(
きるゐ
)
を着せ替て昌次郎夫婦は
甲州路
(
かふしうぢ
)
より江戸へ
赴
(
おもむ
)
かせたり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
面白くない勝負をして
焦立
(
いらだ
)
った仁右衛門の腹の中とは全く裏合せな
煮
(
に
)
え
切
(
き
)
らない景色だった。彼れは何か思い切った事をしてでも胸をすかせたく思った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
片手に握つてしまへば
切
(
き
)
れ
端
(
はじ
)
も現はれない樣な百圓札の十枚ばかりは直ぐに消えてしまつた。けれどもそんな小さな金ばかりの問題ではない筈であつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
伏見の戦争が初まる
三月
(
みつき
)
程前から再び薩州
邸
(
やしき
)
に行つた
切
(
き
)
り明治五年まで
足掛
(
あしかけ
)
六年の間一度も帰つて来なかつた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
六郎が父の
首
(
くび
)
は人々持ちかえりしが、彼素肌にてつき殺されし人は、ずだずだに
切
(
き
)
られて、頭さえ
砕
(
くだ
)
けたりき。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
わたしは彼に、君はそんなにはげしい開墾の仕事をしているから厚い長靴と丈夫な着物が入り用になり、しかもそれはじきにひどくなり
摩
(
す
)
り
切
(
き
)
れてしまう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
“切”の意味
《名詞》
(きれ)布の一部分。転じて布。
《形容動詞》
(セツ)緊急である、余裕がない。
(セツ) 心を込めて祈るさま。
(セツ) 身にしみて強く感じるさま。
《助詞》
(きり、ぎり)のみ。だけ。
(出典:Wiktionary)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“切”を含む語句
大切
一切
切々
突切
打切
切断
切歯
思切
切立
切端
引切
息切
掻切
巾着切
半切
仕切
切通
切符
切掛
手切
...