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飛込
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とびこ
ふりがな文庫
“
飛込
(
とびこ
)” の例文
四谷
(
よつや
)
の
通
(
とほ
)
りへ
食料
(
しよくれう
)
を
探
(
さが
)
しに
出
(
で
)
て、
煮染屋
(
にしめや
)
を
見
(
み
)
つけて、
崩
(
くづ
)
れた
瓦
(
かはら
)
、
壁泥
(
かべどろ
)
の
堆
(
うづたか
)
いのを
踏
(
ふ
)
んで
飛込
(
とびこ
)
んだが、
心
(
こゝろ
)
あての
昆布
(
こぶ
)
の
佃煮
(
つくだに
)
は
影
(
かげ
)
もない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
只
(
ただ
)
その周囲の処に人がドヤ/″\
群集
(
ぐんしゅう
)
して居るだけである。
夫
(
そ
)
れゆえ大きな声を出して
蹴破
(
けやぶ
)
って中へ
飛込
(
とびこ
)
みさえすれば誠に楽な話だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
此時
(
このとき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ!
見
(
み
)
ると一
尺
(
しやく
)
位
(
ぐら
)
いの
鰺
(
あぢ
)
で、
巨大
(
きよだい
)
なる
魚群
(
ぎよぐん
)
に
追
(
お
)
はれた
爲
(
ため
)
に、
偶然
(
ぐうぜん
)
にも
艇中
(
ていちう
)
に
飛込
(
とびこ
)
んだのである。
天
(
てん
)
の
賜
(
たまもの
)
と
私
(
わたくし
)
は
急
(
いそ
)
ぎ
取上
(
とりあ
)
げた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
途方
(
とはう
)
にくれて
其
(
そ
)
の
嫁
(
よめ
)
が
塩原
(
しほばら
)
の
内井戸
(
うちゐど
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで
幽霊
(
いうれい
)
に出るといふのが
潰
(
つぶ
)
れ
初
(
はじ
)
めで、あの大きな
家
(
うち
)
が
潰
(
つぶ
)
れてしまつたが、
何
(
なん
)
とこれは
面白
(
おもしろ
)
い
怪談
(
くわいだん
)
だらう
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「誰も口外してはならぬぞ——こいつは面倒なことになる、よいか、当人はこの間から気が変になっていて、潮入の井戸に
飛込
(
とびこ
)
んだことにするのだ」
奇談クラブ〔戦後版〕:15 お竹大日如来
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
俄
(
にわか
)
に天井に白い泡がたって、青びかりのまるでぎらぎらする
鉄砲弾
(
てっぽうだま
)
のようなものが、いきなり
飛込
(
とびこ
)
んで来ました。
やまなし
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
貞吉
(
ていきち
)
という小僧が、こくりこくりと
居寐
(
いねむ
)
りをしていたので、急いで内へ
飛込
(
とびこ
)
んで、
只今
(
ただいま
)
と奥へ挨拶をすると主人は「
大分
(
だいぶ
)
今夜は遅かったね」と云うから
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
は、
警察
(
けいさつ
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んでもみたさうですけれど、
大久保
(
おほくぼ
)
さんの
仰
(
おつし
)
やることが、やはり
真実
(
しんじつ
)
らしく
聞
(
きこ
)
えたものでせうか、その
時
(
とき
)
も
連
(
つ
)
れ
戻
(
もど
)
されてしまひました。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
隙間
(
すきま
)
もなう
黒
(
くろ
)
い
帳
(
とばり
)
を
引渡
(
ひきわた
)
せ、
戀
(
こひ
)
を
助
(
たす
)
くる
夜
(
よる
)
の
闇
(
やみ
)
、
其
(
その
)
闇
(
やみ
)
に
町
(
まち
)
の
者
(
もの
)
の
目
(
め
)
も
閉
(
ふさ
)
がれて、ロミオが、
見
(
み
)
られもせず、
噂
(
うはさ
)
もされず、
予
(
わし
)
の
此
(
この
)
腕
(
かひな
)
の
中
(
なか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んでござらうやうに。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
お葉の火の手が折角
鎮
(
しず
)
まりかかった処へ、又もや
斯
(
こ
)
んな
狂気婆
(
きちがいばばあ
)
が
飛込
(
とびこ
)
んで来て、
横合
(
よこあい
)
から余計な
藁
(
わら
)
を
炙
(
く
)
べる。重ね重ねの面倒に
小悶
(
こじれ
)
の来た市郎は、再び大きい声で
呶鳴
(
どなり
)
付けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
又、鉄製の
樽
(
たる
)
の中へ入ってナイヤガラの
滝
(
たき
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んだ男の話を聞いたことがある。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お
老婆
(
ばあ
)
さんは
中風
(
ちゆうふう
)
で
死
(
し
)
ぬし、お
絹
(
きぬ
)
さんはお
嫁
(
よめ
)
に
行
(
ゆ
)
くを
厭
(
いや
)
がつて
裏
(
うら
)
の
井戸
(
ゐど
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで
仕舞
(
しま
)
つた、お
前
(
まへ
)
は
不人情
(
ふにんじやう
)
で
己
(
お
)
れを
捨
(
す
)
てゝ
行
(
ゆ
)
くし、もう
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
もつまらない、
何
(
なん
)
だ
傘屋
(
かさや
)
の
油
(
あぶら
)
ひきなんぞ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
白襯衣君が、肩を
聳
(
そび
)
やかして
突立
(
つった
)
って、窓から
半身
(
はんしん
)
を
乗出
(
のりだ
)
したと思うと、真赤な
洋傘
(
こうもり
)
が一本、矢のように窓からスポリと
飛込
(
とびこ
)
んだ。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
其事
(
そのこと
)
は
此
(
この
)
虎髯
(
ひげ
)
がお
話
(
はなし
)
申
(
もう
)
すのが
順當
(
じゆんたう
)
でせう。』と
不意
(
ふゐ
)
に
室内
(
しつない
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで
來
(
き
)
たのは、
例
(
れい
)
の
磊落
(
らいらく
)
なる
虎髯大尉
(
こぜんたいゐ
)
、
本名
(
ほんめい
)
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
裏
(
うら
)
の
田圃
(
たんぼ
)
へ出て見ると
奥
(
おく
)
の
方
(
はう
)
の物置きの中に
素裸体
(
すつぱだか
)
で
年
(
とし
)
の
頃
(
ころ
)
三十二三になる
男
(
をとこ
)
が
棒縛
(
ぼうしば
)
りになつて
居
(
ゐ
)
るのを見て、
和尚
(
をしやう
)
は
驚
(
おど
)
ろき、
中
(
なか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで
来
(
き
)
て、僧
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
不意に、障子を蹴開いて、鞠のような感じのする男が
飛込
(
とびこ
)
みました。真弓の
許婚
(
いいなずけ
)
、祝言の盃事をするばかりになって居る半沢良平の、嫉妬に狂う浅ましい姿です。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大愉快
(
おほゆくわい
)
の
最中
(
もなか
)
へ
正太
(
しようた
)
の
飛込
(
とびこ
)
み
來
(
き
)
しなるに、やあ
正
(
しよう
)
さん
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
をば
探
(
さが
)
して
居
(
ゐ
)
たのだ、
己
(
お
)
れは
今日
(
けふ
)
は
大分
(
だいぶ
)
の
儲
(
もう
)
けがある、
何
(
なに
)
か
奢
(
おご
)
つて
上
(
あげ
)
やうかと
言
(
い
)
へば、
馬鹿
(
ばか
)
をいへ
手前
(
てめへ
)
に
奢
(
おご
)
つて
貰
(
もら
)
ふ
己
(
お
)
れでは
無
(
な
)
いわ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
惡黨
(
あくたう
)
!
何
(
なん
)
で
眞中
(
まんなか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んだんぢゃ
足下
(
おぬし
)
は!
足下
(
おぬし
)
の
腕
(
うで
)
の
下
(
した
)
でやられた。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
身を
躱
(
かわ
)
す間もあらばこそ、
彼
(
か
)
の怪物は早くも市郎の前に
飛込
(
とびこ
)
んで来て、左の
外股
(
そともも
)
の
辺
(
あたり
)
を
礑
(
はた
)
と打った。敵は兇器を持っているらしい、打たれた所は
唯
(
ただ
)
ならぬ
疼痛
(
いたみ
)
を感じて、市郎は思わず小膝を突いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
家
(
いへ
)
は
小路
(
せうぢ
)
へ
引込
(
ひつこ
)
んで、
通
(
とほ
)
りの
角
(
かど
)
に「
蒲燒
(
かばやき
)
」と
書
(
か
)
いた
行燈
(
あんどう
)
ばかりあり。
氣
(
き
)
の
疾
(
はや
)
い
奴
(
やつ
)
がむやみと
飛込
(
とびこ
)
むと
仕立屋
(
したてや
)
なりしぞ
不思議
(
ふしぎ
)
なる。
神楽坂七不思議
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
つゞいて
飛込
(
とびこ
)
まんとする
獅子
(
しゝ
)
を
目掛
(
めが
)
けて、
私
(
わたくし
)
は
一發
(
いつぱつ
)
ドガン、
水兵
(
すいへい
)
は
手鎗
(
てやり
)
て
突飛
(
つきと
)
ばす、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
素早
(
すばや
)
く
身
(
み
)
を
跳
(
をど
)
らして、
入口
(
いりくち
)
の
扉
(
とびら
)
をピシヤン。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
と
云
(
い
)
つてゐる
内
(
うち
)
に、
慣
(
な
)
れないから足を
踏外
(
ふみはづ
)
して三
途川
(
づのかは
)
へ
逆
(
さか
)
トンボを打つてドブーリ
飛込
(
とびこ
)
むと、岩
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
飛込
(
とびこ
)
んだ松根余吾之介、一刀の背を返して、あッという間に二三人叩き伏せました。
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
喧嘩
(
けんくわ
)
では
無
(
な
)
い、とて
流石
(
さすが
)
に
言
(
い
)
ひかねて
口
(
くち
)
を
噤
(
つぐ
)
めば、でもお
前
(
まへ
)
が
大層
(
たいさう
)
らしく
飛込
(
とびこ
)
んだから
己
(
お
)
れは一
途
(
づ
)
に
喧嘩
(
けんくわ
)
かと
思
(
おも
)
つた、だけれど
正
(
しよう
)
さん
今夜
(
こんや
)
はじまらなければ
最
(
も
)
う
是
(
こ
)
れから
喧嘩
(
けんくわ
)
の
起
(
おこ
)
りッこは
無
(
な
)
いね
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
海から
颯
(
さっ
)
と吹く風に、本のペエジを乱しながら、例のちよこ/\、をばさん、
辻
(
つう
)
ちやんと呼びざまに、からりと
開
(
あ
)
けて
飛込
(
とびこ
)
んだ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とぴよこ/\
出掛
(
でか
)
けましたが、
愚
(
おろ
)
かしい
故
(
ゆゑ
)
萬屋
(
よろづや
)
五
左衛門
(
ざゑもん
)
の
表口
(
おもてぐち
)
から
這入
(
はい
)
ればよいのに、
裏口
(
うらぐち
)
から
飛込
(
とびこ
)
んで、二
重
(
ぢう
)
の
建仁寺垣
(
けんねんじがき
)
を
這入
(
はい
)
り、
外庭
(
そとには
)
を
通
(
とほ
)
りまして、
漸々
(
やう/\
)
庭伝
(
にはづた
)
ひに
参
(
まゐ
)
りますと
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その日の夜汽車で、同じ宿屋に
飛込
(
とびこ
)
んだ矢留瀬苗子は、女中の姿が見えなくなると
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どうかして、座敷へ
飛込
(
とびこ
)
んで戸惑いするのを
掴
(
つかま
)
えると、
掌
(
てのひら
)
で暴れるから、このくらい、しみじみと雀の顔を見た事はない。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
突然
(
いきなり
)
人の
処
(
とこ
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで硝子戸へ
衝突
(
ぶツ
)
かり、障子を
打毀
(
うちこわ
)
すなどという乱暴なのもありますが、この三八は誠に人の
善
(
よ
)
い親切な男で、
真実
(
まめ
)
に世話をするので人に可愛がられますけれども
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
斬られたのは、佐の市ではなくて、刃の下へ
飛込
(
とびこ
)
んで来た妾のお元
禁断の死針
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
裸
(
はだか
)
で
飛込
(
とびこ
)
んだ、
侍方
(
さむらひがた
)
、
船
(
ふね
)
に
寄
(
よ
)
りは
寄
(
よ
)
つたれども、
燃
(
も
)
え
立
(
た
)
つ
炎
(
ほのほ
)
で
手
(
て
)
が
出
(
だ
)
せぬ。
漸
(
やつ
)
との
思
(
おも
)
ひで
船
(
ふね
)
を
引
(
ひつ
)
くら
返
(
かへ
)
した
時分
(
じぶん
)
には、
緋鯉
(
ひごひ
)
のやうに
沈
(
しづ
)
んだげな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
是
(
これ
)
は
日本
(
にほん
)
の事で、
或旅僧
(
あるたびそう
)
が
峠
(
たうげ
)
を
越
(
こ
)
えて
来
(
き
)
ますと、
寒風
(
かんぷう
)
が
烈
(
はげ
)
しくフーフーツ
吹捲
(
ふくまく
)
りますので
堪
(
たま
)
り
兼
(
か
)
ねて
杉酒屋
(
すぎさかや
)
といつて、
軒
(
のき
)
の
下
(
した
)
に杉を丸く作つて、出してありまする
居酒屋
(
ゐざかや
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで、僧
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
パッと
飛込
(
とびこ
)
んだ美奈子は、
暫
(
しば
)
らく得意の綺麗なブレストを見せておりましたが、やがて沖から小山のように押し寄せて来た巨大な浪が、数十尺の真黒な
屏風
(
びょうぶ
)
を押し倒したように、あっという間もなく
奇談クラブ〔戦後版〕:11 運命の釦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
三度
密
(
そっ
)
と
潮
(
しお
)
をはねたが、またちょこちょこと取って返して、
頭
(
かしら
)
を
刎退
(
はねの
)
け、
衣類
(
きもの
)
を脱いで、丸裸になって一文字に
飛込
(
とびこ
)
んだ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯
(
たゞ
)
姿
(
すがた
)
だけ
見
(
み
)
せれば
可
(
い
)
い。
温泉宿
(
ゆのやど
)
の
二階
(
にかい
)
は
高
(
たか
)
し。あの
欄干
(
らんかん
)
から
飛込
(
とびこ
)
ませろ、……
女房
(
にようばう
)
は
帰
(
かへ
)
らぬぞ、
女房
(
にようばう
)
は
帰
(
かへ
)
らぬぞ、と
羽
(
はね
)
で
天井
(
てんじやう
)
をばさばさ
遣
(
や
)
らせろ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
われさ
行水
(
ぎょうずい
)
するだら
蛙
(
かえる
)
飛込
(
とびこ
)
む
古池
(
ふるいけ
)
というへ行けさ。化粧部屋
覗
(
のぞ
)
きおって
白粉
(
おしろい
)
つけてどうしるだい。
白鷺
(
しらさぎ
)
にでも
押惚
(
おっぽ
)
れたかと、ぐいとなやして動かさねえ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やれ、
後
(
おく
)
れた。
水
(
みづ
)
は
浅
(
あさ
)
いで、
飛込
(
とびこ
)
めば
助
(
たす
)
かつたに。——
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
さうやうもない、
旦那
(
だんな
)
がお
連
(
つれ
)
の
方
(
かた
)
でがすかの。」
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
誰
(
だれ
)
だと
思
(
おも
)
ふ、
嚊
(
かゝあ
)
が
長
(
なが
)
の
煩
(
わづらひ
)
でなけりや、
小兒
(
がき
)
なんぞ
連
(
つ
)
れちや
來
(
こ
)
ねえ。
恁
(
か
)
う、
奴
(
やつこ
)
、
思切
(
おもひき
)
つて
飛込
(
とびこ
)
め。
生命
(
いのち
)
がけで
突入
(
つツぺえ
)
れ!
汝
(
てめえ
)
にや
熱
(
あつ
)
いたつて、
父
(
ちやん
)
にはぬるいや。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
怒鳴
(
どな
)
つた。
裡
(
うち
)
に
敵
(
てき
)
ありと
見
(
み
)
て、
直
(
す
)
ぐに
猪
(
いのしゝ
)
の
如
(
ごと
)
く
飛込
(
とびこ
)
まないのが、しかし
色男
(
いろをとこ
)
の
身上
(
しんしやう
)
であると
思
(
おも
)
へ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
池で、船の中へ鯉が
飛込
(
とびこ
)
むと、弟子たちが手を
拍
(
う
)
つ、
立騒
(
たちさわ
)
ぐ声が響いて、最初は女中が
小船
(
こぶね
)
で来た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
堤尻
(
どてじり
)
を
駈上
(
かけあが
)
つて、
掛茶屋
(
かけぢゃや
)
を、やゝ念入りな、
間近
(
まぢか
)
な
一
(
いち
)
ぜんめし屋へ
飛込
(
とびこ
)
んだ時は、此の十七日の月の
気勢
(
けはい
)
も
留
(
と
)
めぬ、さながらの
闇夜
(
あんや
)
と成つて、
篠
(
しの
)
つく雨に風が
荒
(
すさ
)
んだ。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
か
)
やうな
大魚
(
たいぎょ
)
、
然
(
しかし
)
も
出世魚
(
しゅっせうお
)
と申す
鯉魚
(
りぎょ
)
の、お船へ
飛込
(
とびこ
)
みましたと言ふは、
類希
(
たぐいまれ
)
な不思議な
祥瑞
(
しょうずい
)
。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
下
(
した
)
にありける
露地
(
ろぢ
)
の
家
(
いへ
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで……
打倒
(
うちたふ
)
れけるかはりに、
二階
(
にかい
)
へ
駈上
(
かけあが
)
つたものである。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
身のおき
処
(
どころ
)
がなく成つて、紫玉の
裾
(
すそ
)
が法壇に崩れた時、「
状
(
ざま
)
を見ろ。」「や、身を投げろ。」「
飛込
(
とびこ
)
め。」——わツと群集の騒いだ時、……
堪
(
たま
)
らぬ、と
飛上
(
とびあが
)
つて、紫玉を
圧
(
おさ
)
へて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の事を
謂
(
い
)
ふ
毎
(
ごと
)
に、姉は
面
(
おもて
)
を
蔽
(
おお
)
ふ
習慣
(
ならい
)
、大方
其
(
そ
)
の
者
(
もの
)
等
(
ら
)
の
身体
(
からだ
)
から姉の顔を
掠
(
かす
)
めて、
暖簾
(
のれん
)
を
潜
(
くぐ
)
つて、
部屋
(
ここ
)
まで
飛込
(
とびこ
)
んで来たのであらう、……其よ、
謂
(
い
)
ひやうのない
厭
(
いや
)
な
臭気
(
におい
)
がするから。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一度
(
いちど
)
は、
餘
(
あま
)
りの
苦
(
くる
)
しさに、
三國沿岸
(
みくにえんがん
)
で……
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて……いや、
此
(
これ
)
だと
女性
(
ぢよせい
)
に
近
(
ちか
)
い、いきなり
飛込
(
とびこ
)
んで
死
(
し
)
なうと
思
(
おも
)
つた、と
言
(
い
)
ふほどであるから、
一夏
(
ひとなつ
)
は
一人旅
(
ひとりたび
)
で、
山神
(
さんじん
)
を
驚
(
おどろ
)
かし、
蛇
(
へび
)
を
蹈
(
ふ
)
んで
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
なに
)
より、
嫌
(
いや
)
な、
可恐
(
おそろし
)
い
雷
(
かみなり
)
が
鳴
(
な
)
つたのです。たゞさへ
破
(
わ
)
れようとする
心臟
(
しんぞう
)
に、
動悸
(
どうき
)
は、
破障子
(
やれしやうじ
)
の
煽
(
あふ
)
るやうで、
震
(
ふる
)
へる
手
(
て
)
に
飮
(
の
)
む
水
(
みづ
)
の、
水
(
みづ
)
より
前
(
さき
)
に
無數
(
むすう
)
の
蚊
(
か
)
が、
目
(
め
)
、
口
(
くち
)
、
鼻
(
はな
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んだのであります。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
は
耐
(
たま
)
らず
真逆
(
まツさかさま
)
に
瀧
(
たき
)
の
中
(
なか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで、
女瀧
(
めたき
)
を
確
(
しか
)
と
抱
(
だ
)
いたとまで
思
(
おも
)
つた。
気
(
き
)
がつくと
男瀧
(
をたき
)
の
方
(
はう
)
はどう/\と
地響
(
ぢひゞき
)
打
(
う
)
たせて、
山彦
(
やまびこ
)
を
呼
(
よ
)
んで
轟
(
とゞろ
)
いて
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
る、あゝ
其
(
そ
)
の
力
(
ちから
)
を
以
(
もつ
)
て
何故
(
なぜ
)
救
(
すく
)
はぬ、
儘
(
まゝ
)
よ!
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
いで
飛込
(
とびこ
)
まうとしたけれども、あかるかつたから
驚
(
おど
)
いて
退
(
さが
)
つた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
(やあ
父
(
おとっ
)
さん——
彼処
(
あすこ
)
に
母
(
おっか
)
さんと、よその姉さんが。……)——
後々
(
のちのち
)
私は、何故、あの時、その船へ
飛込
(
とびこ
)
まなかったろうと思う事が
度々
(
たびたび
)
あります。世を
儚
(
はかな
)
む時、病に
困
(
くるし
)
んだ時、恋に離れた時です。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“飛込”で始まる語句
飛込筏
飛込々々