-
トップ
>
-
蒲燒
家は
小路へ
引込んで、
通りの
角に「
蒲燒」と
書いた
行燈ばかりあり。
氣の
疾い
奴がむやみと
飛込むと
仕立屋なりしぞ
不思議なる。
片肌ぬぎに
團扇づかひしながら
大盃に
泡盛をなみ/\と
注がせて、さかなは
好物の
蒲燒を
表町のむさし
屋へあらい
處をとの
誂へ、
承りてゆく
使ひ
番は
信如の
役なるに、
其嫌やなること
骨にしみて
夜店に、
大道にて、
鰌を
割き、
串にさし、
付燒にして
賣るを
關東燒とて
行はる。
蒲燒の
意味なるべし。