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着
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つ
ふりがな文庫
“
着
(
つ
)” の例文
南洋
(
なんよう
)
のあまり
世界
(
せかい
)
の
人
(
ひと
)
たちには
知
(
し
)
られていない
島
(
しま
)
に
住
(
す
)
んでいる
二人
(
ふたり
)
の
土人
(
どじん
)
が、
難船
(
なんせん
)
から
救
(
すく
)
われて、ある
港
(
みなと
)
に
着
(
つ
)
いたときでありました。
幸福に暮らした二人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
泥濘
(
ぬかるみ
)
を
捏返
(
こねかへ
)
したのが、
其
(
そ
)
のまゝ
乾
(
から
)
び
着
(
つ
)
いて、
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
と
云
(
い
)
つた
處
(
ところ
)
に、
硫黄
(
ゆわう
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
暑苦
(
あつくる
)
しい
黒
(
くろ
)
い
形
(
かたち
)
で
踞
(
しやが
)
んで
居
(
ゐ
)
るんですが。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この花粉には色があって、それが着物に
着
(
つ
)
くと、なかなかその色が落ちないので困る。ゆえに、人によりユリの花を
嫌
(
きら
)
うことがある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「よろしゅうございます。
南十字
(
サウザンクロス
)
へ
着
(
つ
)
きますのは、
次
(
つぎ
)
の
第
(
だい
)
三時ころになります」
車掌
(
しゃしょう
)
は紙をジョバンニに
渡
(
わた
)
して
向
(
む
)
こうへ行きました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
心配
(
しんぱい
)
さうに
木々
(
きゞ
)
の
間
(
あひだ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
廻
(
まは
)
つてゐましたが、
軈
(
やが
)
て
其頭
(
そのあたま
)
の
眞上
(
まうへ
)
にあつた
小
(
ちひ
)
さな
尖
(
とが
)
つた
木
(
き
)
の
皮
(
かは
)
に、ひよいと
眼
(
め
)
が
着
(
つ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
旅人なら、
夕陽
(
ゆうひ
)
の光がまだ、
雲間
(
くもま
)
にあるいまのうちに早くどこか、
人里
(
ひとざと
)
までたどり
着
(
つ
)
いておしまいなさい——と願わずにいられない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
懸賞百兩と
聞
(
きい
)
て其日から河にどぶん/\
飛
(
とび
)
込む者が日に
幾十人
(
なんじふにん
)
さながらの
水泳場
(
すゐえいぢやう
)
を
現出
(
げんしゆつ
)
したが
何人
(
だれ
)
も百兩にあり
着
(
つ
)
くものは
無
(
なか
)
つた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
『ああまだ
膝小僧
(
ひざこぞう
)
にもとゞいてないよ。さうさな、
休
(
やす
)
みなしの
直行
(
ちよくかう
)
で
夕方
(
ゆふがた
)
までには
着
(
つ
)
けるだらう。これからが
大飛行
(
だいひこう
)
になるんだ。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
一二月
(
いちにがつ
)
の
頃
(
ころ
)
に
枯
(
か
)
れ
木
(
き
)
のような
小枝
(
こえだ
)
に、
黄色
(
きいろ
)
い
花
(
はな
)
を
着
(
つ
)
けたり、また
蝋梅
(
ろうばい
)
のようにもっと
早
(
はや
)
く
雪
(
ゆき
)
の
中
(
なか
)
で
香
(
かを
)
りたかく
咲
(
さ
)
き
誇
(
ほこ
)
るものもあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
芸術上ばかりではない。私は文芸に関係が深いからとかく文芸の方から例を引くが、その他においても決して
追
(
お
)
っ
着
(
つ
)
かないものはない。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
或
(
あ
)
る
騎兵大隊長
(
きへいだいたいちやう
)
の
夫人
(
ふじん
)
に
變者
(
かはりもの
)
があつて、
毎
(
いつ
)
でも
身
(
み
)
に
士官
(
しくわん
)
の
服
(
ふく
)
を
着
(
つ
)
けて、
夜
(
よる
)
になると
一人
(
ひとり
)
で、カフカズの
山中
(
さんちゆう
)
を
案内者
(
あんないしや
)
もなく
騎馬
(
きば
)
で
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
かねての約に従ひ短歌の批評を試みんと思ふに敷多くしていづれより手を
着
(
つ
)
けんかと惑はるるに先づ有名なる落合氏のより始めん。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
明治十二年
(
めいじじゆうにねん
)
に
船
(
ふね
)
で
横濱
(
よこはま
)
に
着
(
つ
)
きまして、その
頃
(
ころ
)
出來
(
でき
)
てゐました
汽車
(
きしや
)
で
東京
(
とうきよう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちゆう
)
、
汽車
(
きしや
)
の
窓
(
まど
)
からそこら
邊
(
へん
)
の
風景
(
ふうけい
)
を
眺
(
なが
)
めてをりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
床屋
(
とこや
)
の
伝吉
(
でんきち
)
が、
笠森
(
かさもり
)
の
境内
(
けいだい
)
へ
着
(
つ
)
いたその
時分
(
じぶん
)
、
春信
(
はるのぶ
)
の
住居
(
すまい
)
で、
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
急病
(
きゅうびょう
)
を
聞
(
き
)
いたおせんは
無我夢中
(
むがむちゅう
)
でおのが
家
(
いえ
)
の
敷居
(
しきい
)
を
跨
(
また
)
いでいた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
本妙寺に
祀
(
まつ
)
られてある、加藤清正公の神苑で、凱旋祝賀会があったときにも、私は白色銅
葉章
(
ようしょう
)
と従軍
徽章
(
きしょう
)
を胸に
着
(
つ
)
けた父と一緒に行った。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
船
(
ふね
)
が
陸
(
おか
)
に
着
(
つ
)
きますと、
宝物
(
たからもの
)
をいっぱい
積
(
つ
)
んだ
車
(
くるま
)
を、
犬
(
いぬ
)
が
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
って
引
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
しました。きじが
綱
(
つな
)
を
引
(
ひ
)
いて、
猿
(
さる
)
があとを
押
(
お
)
しました。
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
燕
(
つばめ
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうに
父
(
とう
)
さんを
見
(
み
)
て
尻尾
(
しつぽ
)
の
羽
(
はね
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふり
)
ながら、
遠
(
とほ
)
い
空
(
そら
)
から
漸
(
やうや
)
くこの
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へ
着
(
つ
)
いたといふ
話
(
はなし
)
でもするらしいのでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
小使が行ってみると、若い先生が指を動かしてしきりに音を立てているかたわらに、
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けたひで子は
笑顔
(
えがお
)
をふくんで立った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そのうち、女の子はある森にたどり
着
(
つ
)
きました。もうくらくなっていましたが、また、もうひとりこどもが出て来て、
肌着
(
はだぎ
)
をねだりました。
星の銀貨
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
からだにぴったりついた、黒いシャツとズボンを
着
(
つ
)
けた黒ふくめんの男が、金庫の前にしゃがんで、なにかしているのです。
ふしぎな人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
戸の
隙間
(
すきま
)
から冷え冷えと
沁
(
し
)
み込むようになって来たので、品子とリリーとは前よりも一層
喰
(
く
)
っ
着
(
つ
)
いて、ひしと抱き合って、ふるえながら寝た。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
正月の
初
(
はじめ
)
に
亜米利加
(
アメリカ
)
に出帆して浦賀に
着
(
つ
)
くまでと云うものは風の便りもない、郵便もなければ船の交通と云うものもない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
みんなは、じぶんの身の安全を
喜
(
よろこ
)
ぶまえに、まず考えたことは、
仲間
(
なかま
)
のものが、ぶじに
着
(
つ
)
いたかどうかということでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
その外、都にて園に植うる
滝菜
(
たきな
)
、
水引草
(
みづひきそう
)
など皆野生す。しょうりょうという
褐色
(
かっしょく
)
の蜻蜓あり、群をなして飛べり。
日
(
ひ
)
暮
(
く
)
るる頃山田の温泉に
着
(
つ
)
きぬ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「いかにもその通り……按摩のくせに、千賀春なんぞに入揚げようというやつですから、のっぺりとして、柄にもねえ渋いものを
着
(
つ
)
けております」
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
列車が
着
(
つ
)
く時間になると、表の通りに出て行ってもうそろそろ来る時分だが、お客でもあったのかと独り言をいい、落ち着かずそわそわしていた。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それでも
予定
(
よてい
)
の
場所
(
ばしょ
)
に
着
(
つ
)
く
頃
(
ころ
)
までには、
少
(
すこ
)
しは
私
(
わたくし
)
の
肚
(
はら
)
が
据
(
すは
)
ってまいりました。『
縦令
(
たとえ
)
何事
(
なにごと
)
ありとも
涙
(
なみだ
)
は
出
(
だ
)
すまい。』——
私
(
わたくし
)
は
固
(
かた
)
くそう
決心
(
けっしん
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あるいは実業家になりたいというは、いかなるところより起こった考えかと
煎
(
せん
)
じつめると、実業家は美服を
着
(
つ
)
け茶屋に行ってドンチャンやるにある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかし
家
(
うち
)
の
連中
(
やつら
)
は女子供ばかりだから
屹度
(
きっと
)
気が
着
(
つ
)
かぬに相違ない。お前に頼むから『木』の字を『本』に直してくれ
□本居士
(新字新仮名)
/
本田親二
(著)
それが
瓢形
(
ひさごがた
)
に
駒岡
(
こまをか
)
と
記入
(
きにふ
)
したる
銀鍍金
(
ぎんめつき
)
の
徽章
(
きしやう
)
を一
樣
(
やう
)
に
着
(
つ
)
け、
同
(
おな
)
じ
表
(
しるし
)
の
小旗
(
こはた
)
を
立
(
た
)
てた
俥
(
くるま
)
に
乘揃
(
のりそろ
)
つて、
瓢簟山
(
ひようたんやま
)
へと
進軍
(
しんぐん
)
?したのは、なか/\のお
祭
(
まつ
)
り
騷
(
さは
)
ぎ※
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「ふん。不実同士
揃
(
そろ
)
ッてやがるよ。平田さん、私がそんなに
怖
(
こわ
)
いの。
執
(
と
)
ッ
着
(
つ
)
きゃしませんからね、安心しておいでなさいよ。小万さん、
注
(
つ
)
いでおくれ」
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
岸
(
きし
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
た
蛙
(
かはづ
)
は
剽輕
(
へうきん
)
に
其
(
その
)
花
(
はな
)
へ
飛
(
と
)
び
付
(
つ
)
いて、それからぐつと
後
(
うしろ
)
の
足
(
あし
)
で
水
(
みづ
)
を
掻
(
か
)
いて
向
(
むかふ
)
の
岸
(
きし
)
へ
着
(
つ
)
いてふわりと
浮
(
う
)
いた
儘
(
まゝ
)
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
つてこちらを
見
(
み
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
市街
(
まち
)
はづれの
停車塲
(
ステーシヨン
)
から
客待
(
きやくまち
)
の
馬車
(
ばしや
)
で、
海岸
(
かいがん
)
附近
(
まぢか
)
の
或
(
ある
)
旅亭
(
はたごや
)
に
着
(
つ
)
き、
部室
(
へや
)
も
定
(
さだ
)
まり
軈
(
やが
)
て
晝餉
(
ひるげ
)
もすむと
最早
(
もはや
)
何
(
なに
)
も
爲
(
す
)
る
事
(
こと
)
がない、
船
(
ふね
)
の
出港
(
しゆつこう
)
までは
未
(
ま
)
だ十
時間
(
じかん
)
以上
(
いじやう
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
鈴生
(
すゞな
)
りに
人
(
ひと
)
を
乘
(
の
)
せた
舟
(
ふね
)
が、
對岸
(
たいがん
)
に
着
(
つ
)
くまで、
口惜
(
くや
)
しさうにして
突
(
つ
)
つ
立
(
た
)
つた
天滿與力
(
てんまよりき
)
の、
大
(
おほ
)
きな
赤
(
あか
)
い
顏
(
かほ
)
が、
西日
(
にしび
)
に
映
(
うつ
)
つて一
層
(
そう
)
赤
(
あか
)
く
彼方
(
かなた
)
の
岸
(
きし
)
に
見
(
み
)
えてゐた。——
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
此
(
この
)
一舞踏
(
ひとをどり
)
が
濟
(
す
)
んだなら、
姫
(
ひめ
)
の
居處
(
ゐどころ
)
に
目
(
め
)
を
着
(
つ
)
け、
此
(
この
)
賤
(
いや
)
しい
手
(
て
)
を、
彼
(
あ
)
の
君
(
きみ
)
の
玉手
(
ぎょくしゅ
)
に
觸
(
ふ
)
れ、せめてもの
男冥利
(
をとこみゃうり
)
にせう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
何處
(
どこ
)
からか
斯
(
か
)
うお
前
(
まへ
)
のやうな
人
(
ひと
)
が
己
(
お
)
れの
眞身
(
しんみ
)
の
姉
(
あね
)
さんだとか
言
(
い
)
つて
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たらどんなに
嬉
(
うれ
)
しいか、
首
(
くび
)
つ
玉
(
たま
)
へ
噛
(
かじ
)
り
着
(
つ
)
いて
己
(
お
)
れはそれぎり
往生
(
わうじやう
)
しても
喜
(
よろこ
)
ぶのだが
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いくら釣っても、
目
(
め
)
ざす
鮒
(
ふな
)
はかゝらず、ゴタルと云う
魦
(
はぜ
)
の様な
小魚
(
こざかな
)
ばかり釣れる。舟を
水草
(
みずくさ
)
の岸に
着
(
つ
)
けさして、イタヤの
薄紅葉
(
うすもみじ
)
の中を
彼方
(
あち
)
此方
(
こち
)
と歩いて見る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ドーレ。と
木綿
(
もめん
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けた
御家来
(
ごけらい
)
が出て
来
(
き
)
ましたが
当今
(
たゞいま
)
とは
違
(
ちが
)
つて
其頃
(
そのころ
)
はまだお
武家
(
ぶけ
)
に
豪
(
えら
)
い
権
(
けん
)
があつて
町人抔
(
ちやうにんなど
)
は
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みおろ
)
したもので「アヽ
何所
(
どこ
)
から
来
(
き
)
たい。 ...
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蹴
(
け
)
着
(
つ
)
けるに伴なって雪は巧く
脱
(
ぬ
)
けて落ちた。左足の方は済んだ。今度は右のをと、左足を少し引いて、又
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
謙作はこせこせとワイシャツを着、ズボンを
着
(
つ
)
け、靴もあるので靴も
穿
(
は
)
き、それから
上衣
(
うわぎ
)
に手を
挿
(
さ
)
しながら見ると、時計も
紙入
(
かみいれ
)
もちゃんと箱の中に入れてあった。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
麒麟という奴は何だって
彼
(
あ
)
んな長い首を
着
(
つ
)
けているんだろう。
彼奴
(
あいつ
)
に洋服を着せたら、随分ハイカラになるだろうなんて思っている中に、忠公が
鸚鵡
(
おうむ
)
に手を突付かれた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
柄
(
え
)
の
着
(
つ
)
け方は石鏃に笴を着くると
異
(
ことな
)
る所無からん。
膨
(
ふくら
)
み有る物は
殊
(
こと
)
に
柄
(
え
)
を固着するに適したり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
さうしたら此陰気な法衣に包まれてゐる代りに、外の美しい騎士のやうに絹と天鵞絨の袍を着て、金の鎖を下げて、剣を佩いて、美しい鳥の羽毛を
着
(
つ
)
けるやうになるだらう。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
やう/\のこと、
國
(
くに
)
の
役人
(
やくにん
)
の
世話
(
せわ
)
で
手輿
(
てごし
)
に
乘
(
の
)
せられて
家
(
いへ
)
に
着
(
つ
)
きました。そこへ
家來
(
けらい
)
どもが
駈
(
か
)
けつけて、お
見舞
(
みま
)
ひを
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げると、
大納言
(
だいなごん
)
は
杏
(
すもゝ
)
のように
赤
(
あか
)
くなつた
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
いて
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
大原満は父母を捜して
此方
(
こなた
)
へ来り「これは
阿父
(
おとっ
)
さんも
阿母
(
おっか
)
さんもお揃いでオヤ
伯父
(
おじ
)
さんも、オヤ
伯母
(
おば
)
さんも」と驚きたる時横合より「満さーん」と懐かしそうに
縋
(
すが
)
り
着
(
つ
)
く娘
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
いっそう
惨酷
(
さんこく
)
なのは、この妙齢の女の
呪
(
のろ
)
われたのが、ただその顔面だけにとどまるということです。
着
(
つ
)
けている衣裳は大名の姫君にも似るべきほどの結構なものでありました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
児を
結
(
ゆ
)
いつけたる
紐
(
ひも
)
は藤の
蔓
(
つる
)
にて、
着
(
き
)
たる衣類は世の常の
縞物
(
しまもの
)
なれど、
裾
(
すそ
)
のあたりぼろぼろに破れたるを、いろいろの木の葉などを添えて
綴
(
つづ
)
りたり。足は地に
着
(
つ
)
くとも覚えず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大君
(
おほきみ
)
の
命
(
みこと
)
かしこみ
出
(
い
)
で
来
(
く
)
れば
我
(
わ
)
ぬ
取
(
と
)
り
着
(
つ
)
きていひし
子
(
こ
)
なはも 〔巻二十・四三五八〕 防人
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
土井は最初そこへ
着
(
つ
)
いた
晩
(
ばん
)
、筆を執るやうな落着きがないのに、ちよつと
失望
(
しつばう
)
したが、
家主
(
やぬし
)
の
住
(
すま
)
つてゐる家の
離
(
はな
)
れを一
室
(
しつ
)
借
(
か
)
りておいたからと、甥が言ふので、彼はそれを信じて
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし、これでやっと東京へ
着
(
つ
)
いたのだ、と思うと、かれはやはりうれしくなりました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“着”を含む語句
着物
執着
附着
取着
落着
瞞着
膠着
追着
撞着
着換
祝着
着替
打着
逢着
着更
肌着
心着
到着
密着
愛着
...