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枯
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か
ふりがな文庫
“
枯
(
か
)” の例文
夕飯
(
ゆうはん
)
のあとは、お
祖父
(
じい
)
さん、お
祖母
(
ばあ
)
さん、
少年
(
しょうねん
)
の三
人
(
にん
)
が、いろりのはたで
枯
(
か
)
れ
枝
(
えだ
)
や
松葉
(
まつば
)
をたき、
毎晩
(
まいばん
)
のように
楽
(
たの
)
しくお
話
(
はなし
)
をしました。
おかまの唄
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さうした
紅
(
あか
)
に
黄
(
き
)
に
色
(
いろ
)
どられた
秋
(
あき
)
の
山
(
やま
)
や
林
(
はやし
)
も、
冬
(
ふゆ
)
が
來
(
く
)
ると、すっかり
葉
(
は
)
がおちつくして、まるで
枯
(
か
)
れ
木
(
き
)
ばかりのような
寂
(
さび
)
しい
姿
(
すがた
)
になり
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
これすなわち僕の若返りの
工夫
(
くふう
)
である。要するに
脳髄
(
のうずい
)
のうちに折々
大掃除
(
おおそうじ
)
を行って、
煤
(
すす
)
、
埃
(
ごみ
)
、
芥
(
あくた
)
、
枯
(
か
)
れ
枝
(
えだ
)
等をみな払うことをしたい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
パッシー通りで夫婦
揃
(
そろ
)
って食料品店で働き抜いた五十五、六の男の自然に
枯
(
か
)
れた声も秋風のなかにふさわしい。男は
小金
(
こがね
)
を
貯
(
た
)
めた。
巴里の秋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
大入
(
おほいり
)
だ
評判
(
ひやうばん
)
だ四
版
(
はん
)
だ五
版
(
ばん
)
だ
傑作
(
けつさく
)
ぢや
大作
(
たいさく
)
ぢや
豊年
(
ほうねん
)
ぢや
万作
(
まんさく
)
ぢやと
口上
(
こうじやう
)
に
咽喉
(
のど
)
を
枯
(
か
)
らし
木戸銭
(
きどせん
)
を
半減
(
はんまけ
)
にして
見
(
み
)
せる
縁日
(
えんにち
)
の
見世物
(
みせもの
)
同様
(
どうやう
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
▼ もっと見る
山姥
(
やまうば
)
がいい
心持
(
こころも
)
ちそうに、ぱちぱちいう
枯
(
か
)
れ
枝
(
えだ
)
の
音
(
おと
)
を
雨
(
あめ
)
の
音
(
おと
)
だと
思
(
おも
)
って
聞
(
き
)
いていますと、その
間
(
ま
)
に
馬吉
(
うまきち
)
は
枯
(
か
)
れ
枝
(
えだ
)
に火をつけました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
僕は彼の言葉の通り、
弘法麦
(
こうぼうむぎ
)
の
枯
(
か
)
れ
枯
(
が
)
れになった砂の中へ片手を差しこんで見た。するとそこには太陽の熱がまだかすかに残っていた。
彼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
火がなくッたって
暖
(
あたた
)
かい、人間の
親方
(
おやかた
)
はあんなに
冷
(
つめ
)
たくッてとげとげしているのに、どうして
枯
(
か
)
れた
麦藁
(
むぎわら
)
がこんなに暖かいものだろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それも八月の
末
(
すえ
)
には、みんなめいめいの
持主
(
もちぬし
)
に
戻
(
もど
)
ってしまうのです。なぜなら、九月には、もう原の草が
枯
(
か
)
れはじめ
水霜
(
みずしも
)
が下りるのです。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
沼にはあしやよしの黄色い
茎
(
くき
)
が
枯
(
か
)
れてかさなりあっているところや、青黒い水が、どんよりと深くよどんでいるような
場所
(
ばしょ
)
がありました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
それどころか、それは私の生命の花であり、私の生命のあるかぎりは、たとえ根はなくとも決して
枯
(
か
)
れることのない花なのです。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
爺
(
じい
)
やの
方
(
ほう
)
では一
層
(
そう
)
枯
(
か
)
れ
切
(
き
)
ったもので、ただもううれしくて
耐
(
たま
)
らぬと
言
(
い
)
った
面持
(
おももち
)
で、
黙
(
だま
)
って
私達
(
わたくしたち
)
の
様子
(
ようす
)
を
打
(
う
)
ち
守
(
まも
)
っているのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そして傾斜地を埋めた青黒い
椴松
(
とどまつ
)
林の、白骨のように雨ざらされた
枯
(
か
)
れ
梢
(
こずえ
)
が、雑木林の黄や
紅
(
あか
)
の
葉間
(
はあい
)
に見え隠れするのだった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
偶
(
たまたま
)
夜
(
よる
)
の
雨
(
あめ
)
が
歇
(
や
)
んでふうわりと
軟
(
やはら
)
かな
空
(
そら
)
が
蒼
(
あを
)
く
割
(
わ
)
れて
稍
(
やゝ
)
昇
(
のぼ
)
つた
其
(
その
)
暖
(
あたゝ
)
かな
日
(
ひ
)
が
斜
(
なゝめ
)
に
射
(
さ
)
し
掛
(
か
)
けると、
枯
(
か
)
れた
桑畑
(
くはばたけ
)
から、
青
(
あを
)
い
麥畑
(
むぎばたけ
)
から
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
傍
(
そば
)
には
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
を
被
(
き
)
せた
讀經臺
(
どきやうだい
)
が
置
(
お
)
かれ、一
方
(
ぱう
)
には
大主教
(
だいしゆけう
)
の
額
(
がく
)
が
懸
(
か
)
けてある、
又
(
また
)
スウャトコルスキイ
修道院
(
しうだうゐん
)
の
額
(
がく
)
と、
枯
(
か
)
れた
花環
(
はなわ
)
とが
懸
(
か
)
けてある。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其
(
その
)
一本は殆んど
枯
(
か
)
れ
掛
(
か
)
かつて、
上
(
うへ
)
の方には
丸裸
(
まるはだか
)
の
骨許
(
ほねばかり
)
残つた所に、
夕方
(
ゆふがた
)
になると烏が沢山集まつて鳴いてゐた。隣には
若
(
わか
)
い
画家
(
ゑかき
)
が
住
(
す
)
んでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
森
(
もり
)
の
下
(
した
)
の
徑
(
こみち
)
を
行
(
ゆ
)
けば、
土
(
つち
)
濡
(
ぬ
)
れ、
落葉
(
おちば
)
濕
(
しめ
)
れり。
白張
(
しらはり
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
に、
薄
(
うす
)
き
日影
(
ひかげ
)
さすも
物淋
(
ものさび
)
し。
苔
(
こけ
)
蒸
(
む
)
し、
樒
(
しきみ
)
枯
(
か
)
れたる
墓
(
はか
)
に、
門
(
もん
)
のみいかめしきもはかなしや。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見れば、ぼっちゃんは
枯
(
か
)
れたアシの山の上にすわって、ガンや野ガモたちに取りかこまれて、うれしそうにキャッキャッと笑いながら
遊
(
あそ
)
んでいます。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
そのつぎには
古樫
(
ふるがし
)
の
岡
(
おか
)
という岡の上に
茂
(
しげ
)
っている、葉の大きなかしの木も、
曙立王
(
けたつのみこ
)
の祈りによって、同じように
枯
(
か
)
れたりまた生きかえったりしました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そして現在では
煤煙
(
ばいえん
)
で痛めつけられた木の葉や草の葉に生色がなく
埃
(
ほこり
)
まびれに
立
(
た
)
ち
枯
(
か
)
れた大木が
殺風景
(
さっぷうけい
)
な感じを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と
言
(
い
)
つて、
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
も
手造
(
てづく
)
りにした
凧
(
たこ
)
を
揚
(
あ
)
げに
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ます。
田圃側
(
たんぼわき
)
の
枯
(
か
)
れた
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
には、
木瓜
(
ぼけ
)
の
木
(
き
)
なぞが
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
まして、
遊
(
あそ
)
び
廻
(
まは
)
るには
樂
(
たのし
)
い
塲所
(
ばしよ
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
渝
(
かは
)
らぬ
契
(
ちぎ
)
りの
誰
(
た
)
れなれや
千年
(
せんねん
)
の
松風
(
しようふう
)
颯々
(
さつ/\
)
として
血汐
(
ちしほ
)
は
殘
(
のこ
)
らぬ
草葉
(
くさば
)
の
緑
(
みどり
)
と
枯
(
か
)
れわたる
霜
(
しも
)
の
色
(
いろ
)
かなしく
照
(
て
)
らし
出
(
い
)
だす
月
(
つき
)
一片
(
いつぺん
)
何
(
なん
)
の
恨
(
うら
)
みや
吊
(
とぶら
)
ふらん
此處
(
こゝ
)
鴛鴦
(
ゑんあう
)
の
塚
(
つか
)
の
上
(
うへ
)
に。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この事を詳しく説明すると限りもないが、多少脱線の嫌いがあるから略するとして、要するに東京は、学者として、又は学生として
摺
(
す
)
れっ
枯
(
か
)
らしに行く処である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
然
(
され
)
ば告げよ、われ神を
指
(
さ
)
して請ふ、汝等をかく
枯
(
か
)
らす物は何ぞや、わが
異
(
あやし
)
む間我に
言
(
い
)
はしむる勿れ、心に
他
(
ほか
)
の思ひ滿つればその人いふ事
宜
(
よろ
)
しきをえず。 五八—六〇
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ある時その燕は
二人
(
ふたり
)
っきりでお話をしようと葦の所に行って
穂
(
ほ
)
の出た茎先にとまりますと、かわいそうに
枯
(
か
)
れかけていた葦はぽっきり折れて穂先が
垂
(
た
)
れてしまいました。
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ところがそれは、おので木を切る音ではなくて、おとうさんが
枯
(
か
)
れ
木
(
き
)
をしばっておいた
枝
(
えだ
)
が、風にゆられて、あっちにぶっつかり、こっちにぶっつかる音だったのです。
ヘンゼルとグレーテル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
蜂矢探偵は、なわの切れはしを持って、塀と
枯
(
か
)
れケヤキとの間や、枯れケヤキと研究室跡の
外壁
(
がいへき
)
のあったところと思われるあたりとの間をはかったり、いろいろやった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とある大字のわきに小さく「
病畜
(
びょうちく
)
入院
(
にゅういん
)
の
求
(
もと
)
めに
応
(
おう
)
じ
候
(
そうろう
)
」と書いてある。板の新しいだけ、なおさら
安
(
やす
)
っぽく、
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち
枯
(
か
)
らした、
糟谷
(
かすや
)
の心のすさみがありありと
読
(
よ
)
まれる。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
瀧口入道、横笛が墓に來て見れば、墓とは名のみ、小高く
盛
(
も
)
りし
土饅頭
(
どまんぢゆう
)
の上に一片の卒塔婆を立てしのみ。里人の手向けしにや、
半
(
なかば
)
枯
(
か
)
れし
野菊
(
のぎく
)
の花の仆れあるも哀れなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ユリの諸種はみな
宿根草
(
しゅっこんそう
)
である。地下に
鱗茎
(
りんけい
)
(俗にいう球根)があって、これが生命の
源
(
みなもと
)
となっている。すなわち
茎葉
(
けいよう
)
は
枯
(
か
)
れても、この部はいつまでも生きていて死なない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
枯
(
か
)
れた
樹木
(
じゆもく
)
、
乾
(
かわ
)
いた
石垣
(
いしがき
)
、
汚
(
よご
)
れた
瓦屋根
(
かはらやね
)
、目に
入
(
い
)
るものは
尽
(
こと/″\
)
く
褪
(
あ
)
せた寒い色をして
居
(
ゐ
)
るので、
芝居
(
しばゐ
)
を出てから一
瞬間
(
しゆんかん
)
とても
消失
(
きえう
)
せない
清心
(
せいしん
)
と
十六夜
(
いざよひ
)
の
華美
(
はで
)
やかな
姿
(
すがた
)
の
記憶
(
きおく
)
が
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
遂
(
つい
)
にチェーホフは芸術・科学・愛・霊感・理想・未来など、およそ人間の抱くかぎりの一切の希望を、
杖
(
つえ
)
の先の一触れで
忽然
(
こつぜん
)
と
枯
(
か
)
れ
凋
(
しぼ
)
ませる
稀代
(
きたい
)
の魔術師に仕立てられてしまう。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
やい、もそっと
枯
(
か
)
れた
薪
(
まき
)
を
取
(
と
)
って
來
(
こ
)
い。ピーターに
聞
(
き
)
け、すると、
在處
(
ありしょ
)
をば
教
(
をし
)
へるわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
庭はそのままで完成され、どう動かしようもないのだ、樹木は
枯
(
か
)
れて行っても、それはそのまま庭の景色には一向
差支
(
さしつか
)
えのないような、他の景色の
賑合
(
にぎわ
)
いが補っていてくれていた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
植木屋が
筍
(
たけのこ
)
を
抜
(
ぬ
)
いたといって怒られ、はては『おババさま』の姑でさえが、
枯
(
か
)
れた朝顔をぬいたというので『おババさま好き人です。しかし朝顔に気の毒しました』と
叱言
(
こごと
)
を言われた。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
粕谷八幡はさして
古
(
ふる
)
くもないので、大木と云う程の大木は無い。御神木と云うのは
梢
(
うら
)
の
枯
(
か
)
れた杉の木で、此は
社
(
やしろ
)
の
背
(
うしろ
)
で高処だけに諸方から
目標
(
めじるし
)
になる。烏がよく其枯れた
木末
(
こずえ
)
にとまる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あぶら
蝋燭
(
ろうそく
)
の燃えさし、欠けたナイフやフォーク、
陰気
(
いんき
)
くさいヴォニファーチイ、
尾羽
(
おは
)
うち
枯
(
か
)
らした小間使たち、当の公爵夫人の立居振舞い——そんな
奇怪
(
きかい
)
千万な暮しぶりなんかには
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
混乱
(
こんらん
)
した世相はここにもあらわれて、
罪
(
つみ
)
もなく若い
生命
(
いのち
)
をうばわれた彼らの
墓前
(
ぼぜん
)
に、花をまつるさえ忘れていることがわかった。花立ての
椿
(
つばき
)
はがらがらに
枯
(
か
)
れて午後の
陽
(
ひ
)
をうけている。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
その子は
鳶色
(
とびいろ
)
の
眼
(
め
)
で、二軒の家のあいだに立っている古いカシワの木をじっと見つめていました。この木は
枯
(
か
)
れた高い幹を持っているのですが、その上の方は
鋸
(
のこぎり
)
でひき切られていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「染井鬼三郎は
痩
(
や
)
せても
枯
(
か
)
れても豪士だ。武藝の心得もあつたことだらうな」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうでなかった日にや、おれもハイネのようにこう
呟
(
つぶ
)
やきながら
嘆
(
なげ
)
いてばかりいなきゃなるまい。——おまえの眼の菫はいつも綺麗に
咲
(
さ
)
くけれど、ああ、おまえの心ばかりは
枯
(
か
)
れ果てた……
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
初霜
(
はつしも
)
を
避
(
さ
)
けて、
昨夜
(
さくや
)
縁
(
えん
)
に
上
(
あ
)
げられた
白菊
(
しらぎく
)
であろう、
下葉
(
したは
)
から
次第
(
しだい
)
に
枯
(
か
)
れてゆく
花
(
はな
)
の
周囲
(
しゅうい
)
を、
静
(
しず
)
かに
舞
(
ま
)
っている一
匹
(
ぴき
)
の
虻
(
あぶ
)
を、
猫
(
ねこ
)
が
頻
(
しき
)
りに
尾
(
お
)
を
振
(
ふ
)
ってじゃれる
影
(
かげ
)
が、
障子
(
しょうじ
)
にくっきり
映
(
うつ
)
っていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
だが、
秋
(
あき
)
が
深
(
ふか
)
くなると、薔薇が
散
(
ち
)
つた。
菊
(
きく
)
が
枯
(
か
)
れた。さうして、
枯葉
(
かれは
)
の
積
(
つも
)
つた間から、
漸
(
やうや
)
く
淋
(
さび
)
しげな
山茶花
(
さざんくわ
)
がのぞき出すと、北に
連
(
つ
)
らなつた一
連
(
れん
)
の
暗
(
くら
)
い
壁
(
かべ
)
が、
俄然
(
がぜん
)
として
勢力
(
せいりよく
)
をもたげ出した。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
そして田畑の
作物
(
さくもつ
)
はもとより草や木までも、
萎
(
しな
)
びて
枯
(
か
)
れかかりました。
ひでり狐
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
一
将
(
しょう
)
功
(
こう
)
成りて
万骨
(
ばんこつ
)
枯
(
か
)
るという古言があります、ひとりの殿様がお城をきずくに、万人の百姓を苦しめました、しかも殿様は英雄とうたわれ百姓は
草莽
(
そうもう
)
の間につかれて死にます、
清盛
(
きよもり
)
、
頼朝
(
よりとも
)
、
太閤
(
たいこう
)
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
故
(
ゆえ
)
に若しお勢さえ、天は荒れても地は老ても、海は
枯
(
か
)
れても石は
爛
(
ただ
)
れても、文三がこの上どんなに零落しても、母親がこの後どんな
言
(
こと
)
を云い出しても、決してその
初
(
はじめ
)
の志を
悛
(
あらた
)
めないと
定
(
きま
)
ッていれば
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
現
(
げん
)
に斯かる法の行はるる所にては火の付きたるホクチ樣のものを
枯
(
か
)
れ
草
(
くさ
)
に
裹
(
つつ
)
み
空中
(
くうちう
)
に於て
激
(
はげ
)
しく
振
(
ふ
)
り
動
(
うご
)
かすなり。コロボツクルも
此仕方
(
このしかた
)
を以て
燃
(
も
)
え草に
火焔
(
くわえん
)
を
移
(
うつ
)
し、此火焔をば再び
薪
(
たきぎ
)
に
轉
(
てん
)
ぜしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
蠅
(
はえ
)
や
小蜂
(
こばち
)
に
吸
(
す
)
い
枯
(
か
)
らされることを防ぐことである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
枯
(
か
)
れ
原
(
ふ
)
の冬草の、山肌色をした小な翼であった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
槇
(
まき
)
の葉
枯
(
か
)
れたる
樹下
(
こした
)
の
隠沼
(
こもりぬ
)
にて
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“枯”を含む語句
皺枯
枯草
枯木
枯葉
末枯
枯野
咳枯
枯山
木枯
冬枯
乾枯
枯死
皺枯声
立枯
藪枯
尾羽打枯
末枯野
枯枝
霜枯
枯渇
...