)” の例文
夕飯ゆうはんのあとは、お祖父じいさん、お祖母ばあさん、少年しょうねんの三にんが、いろりのはたでえだ松葉まつばをたき、毎晩まいばんのようにたのしくおはなしをしました。
おかまの唄 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さうしたあかいろどられたあきやまはやしも、ふゆると、すっかりがおちつくして、まるでばかりのようなさびしい姿すがたになり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
これすなわち僕の若返りの工夫くふうである。要するに脳髄のうずいのうちに折々大掃除おおそうじを行って、すすごみあくたえだ等をみな払うことをしたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
パッシー通りで夫婦そろって食料品店で働き抜いた五十五、六の男の自然にれた声も秋風のなかにふさわしい。男は小金こがねめた。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大入おほいり評判ひやうばんだ四はんだ五ばん傑作けつさくぢや大作たいさくぢや豊年ほうねんぢや万作まんさくぢやと口上こうじやう咽喉のどらし木戸銭きどせん半減はんまけにしてせる縁日えんにち見世物みせもの同様どうやう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
山姥やまうばがいい心持こころもちそうに、ぱちぱちいうえだおとあめおとだとおもっていていますと、その馬吉うまきちえだに火をつけました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
僕は彼の言葉の通り、弘法麦こうぼうむぎれになった砂の中へ片手を差しこんで見た。するとそこには太陽の熱がまだかすかに残っていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
火がなくッたってあたたかい、人間の親方おやかたはあんなにつめたくッてとげとげしているのに、どうしてれた麦藁むぎわらがこんなに暖かいものだろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも八月のすえには、みんなめいめいの持主もちぬしもどってしまうのです。なぜなら、九月には、もう原の草がれはじめ水霜みずしもが下りるのです。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
沼にはあしやよしの黄色いくきれてかさなりあっているところや、青黒い水が、どんよりと深くよどんでいるような場所ばしょがありました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
それどころか、それは私の生命の花であり、私の生命のあるかぎりは、たとえ根はなくとも決してれることのない花なのです。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
じいやのほうでは一そうったもので、ただもううれしくてたまらぬとった面持おももちで、だまって私達わたくしたち様子ようすまもっているのでした。
そして傾斜地を埋めた青黒い椴松とどまつ林の、白骨のように雨ざらされたこずえが、雑木林の黄やあか葉間はあいに見え隠れするのだった。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
たまたまよるあめんでふうわりとやはらかなそらあをれてやゝのぼつたそのあたゝかななゝめけると、れた桑畑くはばたけから、あを麥畑むぎばたけから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そばにはしろきれせた讀經臺どきやうだいかれ、一ぱうには大主教だいしゆけうがくけてある、またスウャトコルスキイ修道院しうだうゐんがくと、れた花環はなわとがけてある。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その一本は殆んどかつて、うへの方には丸裸まるはだか骨許ほねばかり残つた所に、夕方ゆふがたになると烏が沢山集まつて鳴いてゐた。隣にはわか画家ゑかきんでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もりしたこみちけば、つちれ、落葉おちばしめれり。白張しらはり提灯ちやうちんに、うす日影ひかげさすも物淋ものさびし。こけし、しきみれたるはかに、もんのみいかめしきもはかなしや。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見れば、ぼっちゃんはれたアシの山の上にすわって、ガンや野ガモたちに取りかこまれて、うれしそうにキャッキャッと笑いながらあそんでいます。
そのつぎには古樫ふるがしおかという岡の上にしげっている、葉の大きなかしの木も、曙立王けたつのみこの祈りによって、同じようにれたりまた生きかえったりしました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そして現在では煤煙ばいえんで痛めつけられた木の葉や草の葉に生色がなくほこりまびれにれた大木が殺風景さっぷうけいな感じを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
つて、近所きんじよ子供こども手造てづくりにしたたこげにます。田圃側たんぼわきれたくさなかには、木瓜ぼけなぞがかほしてまして、あそまはるにはたのし塲所ばしよでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かはらぬちぎりのれなれや千年せんねん松風しようふう颯々さつ/\として血汐ちしほのこらぬ草葉くさばみどりれわたるしもいろかなしくらしだすつき一片いつぺんなんうらみやとぶらふらん此處こゝ鴛鴦ゑんあうつかうへに。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この事を詳しく説明すると限りもないが、多少脱線の嫌いがあるから略するとして、要するに東京は、学者として、又は学生としてれっらしに行く処である。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
されば告げよ、われ神をして請ふ、汝等をかくらす物は何ぞや、わがあやしむ間我にはしむる勿れ、心にほかの思ひ滿つればその人いふ事よろしきをえず。 五八—六〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ある時その燕は二人ふたりっきりでお話をしようと葦の所に行っての出た茎先にとまりますと、かわいそうにれかけていた葦はぽっきり折れて穂先がれてしまいました。
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ところがそれは、おので木を切る音ではなくて、おとうさんがをしばっておいたえだが、風にゆられて、あっちにぶっつかり、こっちにぶっつかる音だったのです。
蜂矢探偵は、なわの切れはしを持って、塀とれケヤキとの間や、枯れケヤキと研究室跡の外壁がいへきのあったところと思われるあたりとの間をはかったり、いろいろやった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とある大字のわきに小さく「病畜びょうちく入院にゅういんもとめにおうそうろう」と書いてある。板の新しいだけ、なおさらやすっぽく、尾羽おはらした、糟谷かすやの心のすさみがありありとまれる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
瀧口入道、横笛が墓に來て見れば、墓とは名のみ、小高くりし土饅頭どまんぢゆうの上に一片の卒塔婆を立てしのみ。里人の手向けしにや、なかばれし野菊のぎくの花の仆れあるも哀れなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ユリの諸種はみな宿根草しゅっこんそうである。地下に鱗茎りんけい(俗にいう球根)があって、これが生命のみなもととなっている。すなわち茎葉けいようれても、この部はいつまでも生きていて死なない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
れた樹木じゆもくかわいた石垣いしがきよごれた瓦屋根かはらやね、目にるものはこと/″\せた寒い色をしてるので、芝居しばゐを出てから一瞬間しゆんかんとても消失きえうせない清心せいしん十六夜いざよひ華美はでやかな姿すがた記憶きおく
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ついにチェーホフは芸術・科学・愛・霊感・理想・未来など、およそ人間の抱くかぎりの一切の希望を、つえの先の一触れで忽然こつぜんしぼませる稀代きたいの魔術師に仕立てられてしまう。
やい、もそっとれたまきってい。ピーターにけ、すると、在處ありしょをばをしへるわい。
庭はそのままで完成され、どう動かしようもないのだ、樹木はれて行っても、それはそのまま庭の景色には一向差支さしつかえのないような、他の景色の賑合にぎわいが補っていてくれていた。
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
植木屋がたけのこいたといって怒られ、はては『おババさま』の姑でさえが、れた朝顔をぬいたというので『おババさま好き人です。しかし朝顔に気の毒しました』と叱言こごとを言われた。
粕谷八幡はさしてふるくもないので、大木と云う程の大木は無い。御神木と云うのはうられた杉の木で、此はやしろうしろで高処だけに諸方から目標めじるしになる。烏がよく其枯れた木末こずえにとまる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あぶら蝋燭ろうそくの燃えさし、欠けたナイフやフォーク、陰気いんきくさいヴォニファーチイ、尾羽おはうちらした小間使たち、当の公爵夫人の立居振舞い——そんな奇怪きかい千万な暮しぶりなんかには
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
混乱こんらんした世相はここにもあらわれて、つみもなく若い生命いのちをうばわれた彼らの墓前ぼぜんに、花をまつるさえ忘れていることがわかった。花立ての椿つばきはがらがらにれて午後のをうけている。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その子は鳶色とびいろで、二軒の家のあいだに立っている古いカシワの木をじっと見つめていました。この木はれた高い幹を持っているのですが、その上の方はのこぎりでひき切られていました。
「染井鬼三郎はせてもれても豪士だ。武藝の心得もあつたことだらうな」
そうでなかった日にや、おれもハイネのようにこうつぶやきながらなげいてばかりいなきゃなるまい。——おまえの眼の菫はいつも綺麗にくけれど、ああ、おまえの心ばかりはれ果てた……
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
初霜はつしもけて、昨夜さくやえんげられた白菊しらぎくであろう、下葉したはから次第しだいれてゆくはな周囲しゅういを、しずかにっている一ぴきあぶを、ねこしきりにってじゃれるかげが、障子しょうじにくっきりうつっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
だが、あきふかくなると、薔薇がつた。きくれた。さうして、枯葉かれはつもつた間から、やうやさびしげな山茶花さざんくわがのぞき出すと、北にらなつた一れんくらかべが、俄然がぜんとして勢力せいりよくをもたげ出した。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
そして田畑の作物さくもつはもとより草や木までも、しなびてれかかりました。
ひでり狐 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
しょうこう成りて万骨ばんこつるという古言があります、ひとりの殿様がお城をきずくに、万人の百姓を苦しめました、しかも殿様は英雄とうたわれ百姓は草莽そうもうの間につかれて死にます、清盛きよもり頼朝よりとも太閤たいこう
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ゆえに若しお勢さえ、天は荒れても地は老ても、海はれても石はただれても、文三がこの上どんなに零落しても、母親がこの後どんなことを云い出しても、決してそのはじめの志をあらためないときまッていれば
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
げんに斯かる法の行はるる所にては火の付きたるホクチ樣のものをくさつつ空中くうちうに於てはげしくうごかすなり。コロボツクルも此仕方このしかたを以てえ草に火焔くわえんうつし、此火焔をば再びたきぎてんぜしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
はえ小蜂こばちらされることを防ぐことである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
の冬草の、山肌色をした小な翼であった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
まきの葉れたる樹下こした隠沼こもりぬにて
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)