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好
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この
ふりがな文庫
“
好
(
この
)” の例文
好
(
この
)
むが故に山口惣右衞門始め三人の頼みに因て藤五郎兄弟並びに伴建部の夫婦ども
上下
(
じやうげ
)
六人を我が家に
連歸
(
つれかへ
)
り何くれとなく厚く
周旋
(
せわ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
李克
(
りこく
)
曰
(
いは
)
く、『
起
(
き
)
は
貪
(
たん
)
にして
色
(
いろ
)
を
好
(
この
)
む。
然
(
しか
)
れども
兵
(
へい
)
を
用
(
もち
)
ふるは、
司馬穰苴
(
しばじやうしよ
)
も
過
(
す
)
ぐる
能
(
あた
)
はざる
也
(
なり
)
』と。
是
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て
魏
(
ぎ
)
の
文矦
(
ぶんこう
)
以
(
もつ
)
て
將
(
しやう
)
と
爲
(
な
)
す。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
樹木
(
じゆもく
)
には、それ/″\
日陰地
(
ひかげち
)
にもよく
育
(
そだ
)
つ
木
(
き
)
や、また
日陰
(
ひかげ
)
と
日陽
(
ひなた
)
の
中間
(
ちゆうかん
)
のところを
好
(
この
)
む
等
(
など
)
、
種類
(
しゆるい
)
によつて、
土地
(
とち
)
に
適
(
てき
)
、
不適
(
ふてき
)
があります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
それをミリガン
夫人
(
ふじん
)
やアーサに知られることを
好
(
この
)
まなかった。それを知られたら、あの人たちはわたしをきらうようになるだろう。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
生徒のある者は無智であると同時に
無作法
(
ぶさはふ
)
で粗暴で手におへぬが、他の子達は素直で勉強する心があり、
好
(
この
)
ましい性質を表はしてゐる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
なんでも、しんとした、
澄
(
す
)
みわたった
夜
(
よる
)
が、
星
(
ほし
)
たちには、いちばん
好
(
す
)
きなのです。
星
(
ほし
)
たちは、
騒
(
さわ
)
がしいことは
好
(
この
)
みませんでした。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
淋
(
さび
)
しきまゝに
琴
(
こと
)
取出
(
とりいだ
)
し
獨
(
ひと
)
り
好
(
この
)
みの
曲
(
きよく
)
を
奏
(
かな
)
でるに、
我
(
わ
)
れと
我
(
わ
)
が
調
(
てう
)
哀
(
あは
)
れに
成
(
な
)
りて、いかにするとも
彈
(
ひ
)
くに
得
(
え
)
堪
(
た
)
えず、
涙
(
なみだ
)
ふりこぼして
押
(
おし
)
やりぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その
上
(
うへ
)
個人
(
こじん
)
には
特殊
(
とくしゆ
)
の
性癖
(
せいへき
)
があつて、
所謂
(
いはゆる
)
好
(
す
)
き
嫌
(
きら
)
ひがあり、
甲
(
かふ
)
の
好
(
この
)
む
處
(
ところ
)
は
乙
(
おつ
)
が
嫌
(
きら
)
ふ
處
(
ところ
)
であり、
所謂
(
いはゆる
)
蓼
(
たで
)
喰
(
く
)
ふ
蟲
(
むし
)
も
好
(
す
)
き
好
(
ず
)
きである。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
是
(
これ
)
にて
罪
(
つみ
)
は
成立
(
せいりつ
)
し、
第
(
だい
)
八
囘
(
くわい
)
以後
(
いご
)
はその
罪
(
つみ
)
によりていかなる「
罰
(
ばつ
)
」
精神的
(
せいしんてき
)
の
罰
(
ばつ
)
心中
(
しんちう
)
の
鬼
(
おに
)
を
穿
(
うが
)
ち
出
(
い
)
でゝ
益
(
ます/\
)
精
(
せい
)
に
益
(
ます/\
)
妙
(
めう
)
なり。
余
(
よ
)
は
多言
(
たげん
)
するを
好
(
この
)
まず。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
とにかく大変人は模倣を喜ぶものだということ、それは自分の意志からです、圧迫ではないのです。
好
(
この
)
んで遣る、好んで模倣をするのです。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の
好
(
この
)
み、自分の思想、などと云うものはまだそうよく知り合わない千世子に明す事は一寸もないと云って好い位だった。
千世子(二)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
羊よりは、わかい
牝牛
(
めうし
)
を
好
(
この
)
むというのは初耳で、
私
(
わたし
)
は話をそこへ向けると、
若者
(
わかもの
)
は、先年、ロボが牝牛をとり殺したという実見談をはじめた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
人
(
ひと
)
と
交際
(
かうさい
)
する
事
(
こと
)
は
彼
(
かれ
)
は
至
(
いた
)
つて
好
(
この
)
んでゐたが、
其神經質
(
そのしんけいしつ
)
な、
刺激
(
しげき
)
され
易
(
やす
)
い
性質
(
せいしつ
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に、
自
(
みづか
)
ら
務
(
つと
)
めて
誰
(
たれ
)
とも
交際
(
かうさい
)
せず、
隨
(
したがつ
)
て
亦
(
また
)
親友
(
しんいう
)
をも
持
(
も
)
たぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
或る人民の
好
(
この
)
んで
食
(
くら
)
ふ物を他の人民は
捨
(
す
)
てて
顧
(
かへり
)
みず、或る人民の食ふ可からずとする
物
(
もの
)
を他の人民は
喜
(
よろこ
)
んで
賞玩
(
せうくわん
)
するの類其
例
(
れい
)
决
(
けつ
)
して少からす。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
「ああ! どうぞ
勘弁
(
かんべん
)
して
下
(
くだ
)
さい!」と
男
(
おとこ
)
が
答
(
こた
)
えた。「
好
(
す
)
き
好
(
この
)
んで
致
(
いた
)
した
訳
(
わけ
)
ではございません。
全
(
まった
)
くせっぱつまって
余儀
(
よぎ
)
なく
致
(
いた
)
しましたのです。 ...
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
これから
土産
(
みやげ
)
に
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
く、
西片町
(
にしかたまち
)
の
友染
(
いうぜん
)
たちには、どちらが
可
(
い
)
いか
分
(
わか
)
らぬが、しかず、
己
(
おの
)
が
好
(
この
)
む
處
(
ところ
)
を
以
(
も
)
つてせんには、と
其處
(
そこ
)
で
饀
(
あん
)
のを
誂
(
あつら
)
へた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど
好
(
この
)
もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それからもう
一
(
ひと
)
つ
道中
(
どうちゅう
)
姿
(
すがた
)
に
無
(
な
)
くてはならないのが
被衣
(
かつぎ
)
……
私
(
わたくし
)
は
生前
(
せいぜん
)
の
好
(
この
)
みで、
白
(
しろ
)
の
被衣
(
かつぎ
)
をつけることにしました。
履物
(
はきもの
)
は
厚
(
あつ
)
い
草履
(
ぞうり
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
決
(
けつ
)
して
快
(
こゝろ
)
よく
解決
(
かいけつ
)
される
筈
(
はず
)
でないことを
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る
人々
(
ひとびと
)
は
幾
(
いく
)
ら
愚
(
おろか
)
でも
自
(
みづか
)
ら
好
(
この
)
んで
其
(
そ
)
の
難局
(
なんきよく
)
に
當
(
あた
)
らうとはしないのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
城内
(
じょうない
)
の者ならば、なにも、
好
(
この
)
んであんなところにひそんでいる
必要
(
ひつよう
)
はあるまい。第一、なんだかその
影
(
かげ
)
も
大人
(
おとな
)
なみの人間にしてはすこし小さい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『やア、
僕
(
ぼく
)
は
今
(
いま
)
、フアーマーをして
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
だ。まア
上
(
あが
)
り
給
(
たま
)
へ。
直
(
ぢ
)
き
足
(
あし
)
を
洗
(
あら
)
ふ。
離座敷
(
はなれざしき
)
は
見晴
(
みはら
)
しが
好
(
い
)
いから』と
客
(
きやく
)
を
好
(
この
)
む。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
わが
日頃
(
ひごろ
)
の
誓
(
ちかひ
)
に
反
(
そむ
)
くものなれば
仰
(
おほ
)
せなれども
御免下
(
ごめんくだ
)
されたし、
好
(
この
)
みてするものはなき
賤
(
いや
)
しき
業
(
わざ
)
の、わが身も
共々
(
とも/″\
)
に
牛馬
(
ぎうば
)
に
比
(
ひ
)
せらるゝを
耻
(
はぢ
)
ともせず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「じゃまあ! 近藤氏の世話にでもなるか。学校なんかどうだっていいのだが、好き
好
(
この
)
んでよすにも当らないからな」
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
といっているとき、
大音響
(
だいおんきょう
)
と
大閃光
(
だいせんこう
)
とに着飾って
好
(
この
)
ましからぬ客がわれわれの頭の上からとび込んできたのであった。
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頃
(
ころ
)
は夏なりしゆゑ
客舎
(
やどりしいへ
)
の
庭
(
には
)
の
木
(
こ
)
かげに
筵
(
むしろ
)
をしきて
納涼
(
すゞみ
)
居しに、
主人
(
あるじ
)
は酒を
好
(
この
)
む人にて
酒肴
(
しゆかう
)
をこゝに開き、
余
(
よ
)
は酒をば
嗜
(
すか
)
ざるゆゑ茶を
喫
(
のみ
)
て居たりしに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
藥種屋 (藥瓶を渡しながら)これをばお
好
(
この
)
みの
飮料
(
いんれう
)
に
入
(
い
)
れて
飮
(
の
)
ませられい。たとひ二十
人力
(
にんりき
)
おじゃらしませうとも、
立地
(
たちどころ
)
に
片附
(
かたづ
)
かッしゃりませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
鼻を
撲
(
う
)
つ
好
(
この
)
もしい香りに、編笠をかかげて見返えりますと、僕の肩にかたげられたは、今
剪
(
き
)
り
前
(
た
)
ての
園咲
(
そのざき
)
の白つつじが、白く涼しく匂っているのです。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ちょうど
袖子
(
そでこ
)
があの
人形
(
にんぎょう
)
のためにいくつかの
小
(
ちい
)
さな
着物
(
きもの
)
を
造
(
つく
)
って
着
(
き
)
せたように、
父
(
とう
)
さんはまた
袖子
(
そでこ
)
のために
自分
(
じぶん
)
の
好
(
この
)
みによったものを
選
(
えら
)
んで
着
(
き
)
せていた。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
斯
(
か
)
うも
云
(
い
)
へるさ』と
云
(
い
)
つて三
月兎
(
ぐわつうさぎ
)
が
附加
(
つけくわ
)
へました、『「
私
(
わたし
)
が
買
(
か
)
ふところの
物
(
もの
)
を
好
(
この
)
む」と
云
(
い
)
つても、「
私
(
わたし
)
が
好
(
この
)
むところの
物
(
もの
)
を
買
(
か
)
ふ」と
云
(
い
)
つても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
だ!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
昔時
(
むかし
)
シヽリーといふ島のダイオインシアスといふ
国王
(
こくわう
)
がございました。
此
(
こ
)
の王が
好
(
この
)
んで詩を作りますが、
俗
(
ぞく
)
にいふ
下手
(
へた
)
の
横好
(
よこず
)
きで、一
向
(
かう
)
上手
(
じやうず
)
でございません。
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
らば
金解禁
(
きんかいきん
)
が
決行
(
けつかう
)
せられた一
月
(
ぐわつ
)
十一
日
(
にち
)
以後
(
いご
)
に
經濟界
(
けいざいかい
)
はどうなるであらうか。
爲替相場
(
かはせさうば
)
の
動搖
(
どうえう
)
の
爲
(
ため
)
に
物價
(
ぶつか
)
が
動搖
(
どうえう
)
することは、
商賣社會
(
しやうばいしやくわい
)
の
最
(
もつと
)
も
好
(
この
)
まざることである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
とまれ、十
年前
(
ねんまへ
)
の
秋
(
あき
)
の一
夜
(
や
)
、
乳色
(
ちゝいろ
)
の
夜靄
(
よもや
)
立
(
た
)
ち
罩
(
こ
)
めた
上海
(
シヤンハイ
)
のあの
茶館
(
ツアコハン
)
の
窓際
(
まどぎは
)
で
聞
(
き
)
いた
麻雀牌
(
マアジヤンパイ
)
の
好
(
この
)
ましい
音
(
おと
)
は
今
(
いま
)
も
僕
(
ぼく
)
の
胸底
(
きようてい
)
に
懷
(
なつか
)
しい
支那風
(
しなふう
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
させずにはおかない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら、一
向
(
こう
)
見当
(
けんとう
)
が
付
(
つ
)
かなくなった
藤吉
(
とうきち
)
は、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
取
(
と
)
って
返
(
かえ
)
すと、
箪笥
(
たんす
)
をがたぴしいわせながら、
春信
(
はるのぶ
)
が
好
(
この
)
みの
鶯茶
(
うぐいすちゃ
)
の
羽織
(
はおり
)
を、
捧
(
ささ
)
げるようにして
戻
(
もど
)
って
来
(
き
)
た。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
誰が、好き
好
(
この
)
んでやってるわけじゃあるまいし、出来るものなら、さっさと足を洗いたいじゃないか
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
照
(
て
)
りわたった
夏
(
なつ
)
の日、風の夜、
流
(
なが
)
れる光、星のきらめき、
雨風
(
あめかぜ
)
、
小鳥
(
ことり
)
の歌、虫の
羽音
(
はおと
)
、
樹々
(
きぎ
)
のそよぎ、
好
(
この
)
ましい
声
(
こえ
)
やいとわしい声、ふだん
聞
(
き
)
きなれている、
炉
(
ろ
)
の
音
(
おと
)
、戸の音
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私
(
わたくし
)
はこの
小娘
(
こむすめ
)
の
下品
(
げひん
)
な
顏
(
かほ
)
だちを
好
(
この
)
まなかつた。それから
彼女
(
かのぢよ
)
の
服裝
(
ふくさう
)
が
不潔
(
ふけつ
)
なのもやはり
不快
(
ふくわい
)
だつた。
最後
(
さいご
)
にその二
等
(
とう
)
と三
等
(
とう
)
との
區別
(
くべつ
)
さへも
辨
(
わきま
)
へない
愚鈍
(
ぐどん
)
な
心
(
こころ
)
が
腹立
(
はらだ
)
たしかつた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
国々の珍しい切手ばかしを
選
(
え
)
り
好
(
この
)
みをするのだが、池田氏のはそんな事には頓着なく、どんな有り触れた物でも構はない、手当り次第に集めるので、かうして掻き集めたのが
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それは下町の町人の娘で、
文政
(
ぶんせい
)
四年生れの今年十三になるのであるが、
何
(
ど
)
ういふわけか
此世
(
このよ
)
に生れ落ちるとから
彼女
(
かれ
)
は明るい光を嫌つて、いつでも暗いところにゐるのを
好
(
この
)
んだ。
梟娘の話
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
祇園精舍の鐘われがねならば、聞くものこれを
厭
(
いと
)
はしとし、われ
鐘
(
がね
)
ならずば
好
(
この
)
ましとせむ。沙羅雙樹の花
萎
(
しほ
)
ればなならば、見る人これより去り、しほれ花ならずばこれに就かむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
あの
好
(
す
)
き
好
(
この
)
んでなった狗の形に、再び戻して遣ってくれぬか。そうしたら己は、沙の上を腹這って、己の前に来た時、この廃れものを、この脚で踏み附けて遣ることが出来よう。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
理論だけの無政府主義的な思想(あるひは、
好
(
この
)
み)もかなり持つてゐたやうである。
「鱧の皮 他五篇」解説
(旧字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
ことに友達は目立ない澁いつくりを好んだ。流行や周圍に負ける人ではなかつた。吟味のゆき屆くたちだつた。西洋のお婆さんになつたとしても、
好
(
この
)
みのよいことに
異
(
ちが
)
ひはない筈だ——
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「何もわたし、女だてらに好き
好
(
この
)
んで、探偵なぞになったわけではありませんのよ。別段この仕事に、意義を感じてるわけでもありませんし……ただ……父が亡くなったもんですから」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
先生、諭吉に
序文
(
じょぶん
)
を
命
(
めい
)
ず。諭吉は
年来
(
ねんらい
)
他人の書に
序
(
じょ
)
するを
好
(
この
)
まずして一切その
需
(
もとめ
)
を
謝絶
(
しゃぜつ
)
するの例なれども、諭吉の先生における一
身上
(
しんじょう
)
の
関係
(
かんけい
)
浅
(
あさ
)
からずして
旧恩
(
きゅうおん
)
の忘るべからざるものあり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
それと同じように、天下を取るというような連中も、人殺しをするような連中も、自分で
好
(
す
)
いて
好
(
この
)
んでやるわけではない、どうでもそう行かなければならないように糸であやつられている。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ある商人の書画を
好
(
この
)
みて
玩
(
もてあそ
)
ぶものありしが、その購入する所を聞くに、
金岡
(
かなおか
)
が観音の像一
幀
(
てい
)
代価千両なり。
徽宗
(
きそう
)
の桃に鳩の絵
僅
(
わず
)
かに長さ五、六寸に広さ六、七寸なる小幅が同じく千両なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
民情に通じ、
下賤
(
げせん
)
を
究
(
きわ
)
めることをもって奉行職の一必要事と
観
(
かん
)
じている越前守は、お役の暇を見てよくこうして江戸の巷を
漫然
(
まんぜん
)
と散策することを心がけてもいたし、また
好
(
この
)
んでもいたのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
巌谷
(
いはや
)
の
紹介
(
せうかい
)
で入社したのが
江見水蔭
(
えみすゐいん
)
です、
此
(
この
)
人は
杉浦氏
(
すぎうらし
)
の
称好塾
(
せうこうじゆく
)
に
於
(
お
)
ける
巌谷
(
いはや
)
の
莫逆
(
ばくぎやく
)
で、
其
(
そ
)
の
素志
(
そし
)
と
云
(
い
)
ふのが、
万巻
(
ばんくわん
)
の書を読まずんば、
須
(
すべから
)
く
千里
(
せんり
)
の道を
行
(
ゆ
)
くべしと、
常
(
つね
)
に
好
(
この
)
んで
山川
(
さんせん
)
を
跋渉
(
ばつせふ
)
し
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
檐頭
(
えんとう
)
に立寄りて、何にてもよし食ふべきものありやと問ふに、
素麺
(
そうめん
)
の外には何物もあらずと答ふ。止むなくこれを冷させて食ふ。常は左程
好
(
この
)
まざるものなれど、その
旨
(
うま
)
きこと
譬
(
たと
)
ふるにもの無し。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
それで、野村は悪友達から二川の事をいわれるのを
余
(
あま
)
り
好
(
この
)
まなかった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
好
常用漢字
小4
部首:⼥
6画
“好”を含む語句
恰好
不好
嗜好
好事
好事家
相好
好男子
好漢
好奇
格好
好意
好者
好色
好々
大好
好悪
好奇心
好人物
好物
好機
...