言葉ことば)” の例文
そして、おくにのため、なかのためにはたらく、りっぱな人間にんげんとなってください。これが、わたしからみなさんにもうしあげる最後さいご言葉ことばです。
中学へ上がった日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
進撃的アグレシイヴで、意志いしつよさうなところがあり乍ら、どつか臆病おくびやうなところがあるではないかといつたやうな言葉ことばを聞かされた事があります。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
だからとなごとのうちにも、かみのお言葉ことばがあり、ものがたりのうちにも、かみのお言葉ことばはさまれてゐるもの、とかんがしたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
まえとは長年ながねんいっしょにくらしてたが、おまえはただの一言ひとこともわたしの言葉ことばそむかなかった。わたしたちはしあわせであったとおもう。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれどふ言ふのが温泉場をんせんばひと海水浴場かいすゐよくぢやうひと乃至ないし名所見物めいしよけんぶつにでも出掛でかけひと洒落しやれ口調くてうであるキザな言葉ことばたるをうしなはない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
女中ねえや、お手柔てやはらかにたのむぜ。」と先生せんせい言葉ことばしたに、ゑみわれたやうなかほをして、「れた證據しようこだわよ。」やや、とみなかほる。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
にいさんはいつもむつかしいことをいうので、たいていぼくにはよくわからないのだが、この言葉ことば半分はんぶんぐらいはわかるようながした。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
言葉ことばやさしく愛兒あいじ房々ふさ/″\せる頭髮かみのけたまのやうなるほゝをすりせて、餘念よねんもなく物語ものがたる、これが夫人ふじんめには、唯一ゆいいつなぐさみであらう。
どるめんといふも、いしつくゑといふ意味いみ言葉ことばであります。このてーぶるのした人間にんげんはうむつたので、これはうたがひもなくはかであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
敦子あつこさまが、こちらで最初さいしょかれた境涯きょうがい随分ずいぶんみじめなもののようでございました。これが敦子あつこさま御自身ごじしん言葉ことばでございます。——
ぼくはそのかおながめた時、おもわず「ずいぶんやせましたね」といった。この言葉ことばはもちろん滝田くん不快ふかいあたえたのにちがいなかった。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたしことへば御自分ごじぶんものにして言葉ことばてさせてくださる御思召おぼしめし有難ありがたうれしいおそろしい、あまりの勿躰もつたいなさになみだがこぼれる
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それはわしほうからいふ言葉ことばでさあ。こうして此處こゝうまれて此處こゝでまた俺等わしらです。一つたび土産みやげはなしでもきかせてくれませんか」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ヂュリ 誓言せいごんにはおよびませぬ。また誓言せいごんなさるなら、わたしが神樣かみさまともおもふおまへをおけなされ、すればお言葉ことばしんじませう。
坂井さかゐさんやうに、御金おかねがあつてあそんでゐるのが一番いちばんいわね」とつた御米およね言葉ことばいて、小六ころくまた自分じぶん部屋へやかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
べて神聖しんせいものはてよろこびる。われらがしゆきみはこのあかいばらうへに、このわがくちに、わがまづしい言葉ことばにも宿やどつていらせられる。
こつなどのは、質屋しちやのことを御存ごぞんじかな。』と、玄竹げんちく機智きちは、てき武器ぶきてきすやうに、こつな言葉ことばとらへて、こつなかほいろあかくさせた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
博士はくしは物わかりのいい人だったし、頭の慟きのするどい人だったので、姿すがたの見えないほうたいのばけものの言葉ことば真実しんじつのあることを見ぬき
たゞこゝにことわりをようすることは噴火ふんかといふ言葉ことば使つかかたである。文字もんじからいへばくとなるけれども、これはえるすのではない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
もしもし、つばめさん、おまへさんは一ねんに一づゝ、このむらるではありませんか。とほくにはうつてて、日本にほん言葉ことばわすれたのですか。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「そんな、わしの言葉ことばをうたぐったりするものには、この国もまかせてはおかれない。あなたはもう、さっさと死んでおしまいなさるがよい」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
願ひ候といふに常樂院は兩人の言葉ことばを聞て打笑乍うちゑみながら申けるは成程仔細しさいしらねばおどろくも無理ならずされども御表札ごへうさつ御紋付ごもんつきの幕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじかれ輕微けいび瘡痍きず假令たとひ表面へうめんだけでもいからおもつておもてさうしてかれ同情どうじやう言葉ことばをしまないものをもとめたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
先刻さつきうつくしいひとわきせきつたが、言葉ことばつうじないことがわかつたところで、いま日本語にほんごのよくはなせるお転婆てんばさんらしいおんな入替いれかわつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その画室がしつなかほどに、煙草盆たばこぼんをはさんで、春信はるのぶとおせんとが対座たいざしていた。おせんのうぶこころは、春信はるのぶ言葉ことばにためらいをせているのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
『どうだ、なんとも言葉ことばないだらう』とつて王樣わうさまは、微笑ほゝゑみながら法廷はふてい見廻みまはされました。法廷はふていしんとしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たいコスモポリタンといふ言葉ことば正確せいかく意義いぎはどういふのだらう。わたしには疑問ぎもんおこつた。そこで『井上ゐのうへ英和辭典えいわじてん』をいてると、うある。
四七 この地方にて子供をおどす言葉ことばに、六角牛の猿の経立が来るぞということ常の事なり。この山には猿多し。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と、言いさして、音松がふッと顔を上げて越前守を見ると、はげしい言葉ことばとは正反対に、忠相はニコニコしている。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そして、さっきどろぼうのかしらが言った、ふしぎな言葉ことばをおぼえていたものですから、岩の上へのぼって
彼女かのぢよはレースいと編物あみものなかいろめたをつと寫眞しやしんながめた。あたかもそのくちびるが、感謝かんしやいたはりの言葉ことばによつてひらかれるのをまもるやうに、彼女かのぢよこゝろをごつてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
厚いとり子紙こがみに、墨色も濃く、難破船を救助したことは奇特の至りだという言葉ことばが書いてありました。
少年と海 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
おきなはそのとほりをひめつたへて、ぜひともみかどのお言葉ことばしたがひ、自分じぶんたのみをかなへさせてくれといひますと
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
こうのとりはながあかあしあるきまわりながら、母親ははおやからおそわったみょう言葉ことばでおしゃべりをしていました。
はじめから気質きしつはない家族かぞくとの折合をりあひふにしたがつて円滑ゑんくわつにはかなくなり、なにかにつけておたがひかほあからめ言葉ことばあらくするやうなこと毎日まいにちのやうになつてたので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
これで妻子が生命の大部分といった言葉ことばの意味だけはわかるであろうが、かくのごとき境遇から起こってくるときどきのできごととその事実は、君のような大船に安乗して
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
おもひいつてこういはれた言葉ことばに、かつておもひもしらぬ感激かんげきをおぼえて、私はしみ/″\とよそのおばさんをみました。くろくそめてまゆあほひとで、そのにはなみだがあつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
クリストフは面目めんぼくうしなって、答える言葉ことばもなかった。ゴットフリートはあわれむようにいった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ローズ・ブノワさんには、自分じぶんの家の大きないぬのトムとちいさなカナリヤのキュイップの言葉ことばがちゃんとわかるのです。実際じっさい、それはローズ・ブノワさんのおもっている通りです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
ドイツでもかつてラテンけい言葉ことば節制せつせいしてなるべく、自國語じこくご使用しようすることを奬勵せうれいした。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
(五十六頁)人間にんげんじつにくだらぬもの。と、この病者びやうしや言葉ことばうちおほいなる哲理てつりあり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
顏差しのぞきて猫撫聲ねこなでごゑ、『や、や』とびるが如くゑみを含みて袖を引けば、今までいらへえもせずうつむき居たりし横笛は、引かれし袖を切るが如く打ち拂ひ、忽ち柳眉りうび逆立さかだて、言葉ことばするど
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
チンセイはもともとお人よしであるらしく、丁坊の言葉ことばにだんだん動かされてきた。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
甚兵衛は家にかえって、その話をさるにいってきかせ、うらなしゃ言葉ことばを二人で考えてみました。地獄じごくるがわけはないというのが、どうもわかりませんでした。二人は一晩ひとばん中考えました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
京都のひとは、「はれがましい」という言葉ことばを使う、すなわち東京のいわゆる、「きまりが悪い」の意で、目立つ所に立ち、多数の環視かんしのもとに出ることをはれがましいといって引込ひっこむが
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
林太郎はある荒物屋あらものや店先みせさきへ立ち、学校でならったていねいな言葉ことばで聞きました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
これはなつあひだはさかんに生育せいいくする、言葉ことばをかへてへばみき内部ないぶ細胞さいぼうがどん/\生長せいちようするのにたいしてふゆあひだはその生長せいちようがとまるため、内部ないぶ細胞さいぼうも、そのまゝ、びないでゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
へい/\有難ありがたぞんじます、うも折角せつかくのお厚情なさけでございますから、御遠慮ごゑんりよ申上まうしあげませぬでお言葉ことばしたがつて、御免ごめんかうむります。主「どうもお人品ひとがらなことだ、ちがふのうー……さア/\此方こつちへおはいり。 ...
貴き言葉ことばも疑はるるなれ——(伊留満喜三郎俄に油売の服装を脱ぎて緑の地に金糸の縁飾をとりたる邪宗門僧侶の職服にかはる。右手に高く金色の十字架像をかざす。)今までは包みこそ
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
すはこゝろあたりときゝて主人あるじつま大によろこび、子どもらもとも/″\に言葉ことばをそろへてまづ礼をのべ、その仔細しさいをたづねければ、老夫らうふいふやう、それがし今朝けさ西山にしやまたふげなかばにさしかゝらんとせし時