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おぼつか
ふりがな文庫
“
覺束
(
おぼつか
)” の例文
新字:
覚束
平次は何やら考込みながら、八五郎を
促
(
うなが
)
しました。ものの判斷は
覺束
(
おぼつか
)
ないが、見ることと聞くことは人後に落ちない筈の八五郎です。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかに、わが世の、あだなるや、
空
(
くう
)
なるや、うつろなるや。げに、人間のあとかたの
覺束
(
おぼつか
)
なくて、數少なき。
徒
(
いたづ
)
らなるは月日なり。
あすは、明日は、
(旧字旧仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
郡奉行へ相談の上
見知人
(
みしりにん
)
の爲江戸表へ
連行
(
つれゆく
)
事と定めけれど
老人
(
らうじん
)
なれば
途中
(
とちう
)
覺束
(
おぼつか
)
なしと甚左衞門をも
見知人
(
みしりにん
)
に出府致す樣申渡し直に
先觸
(
さきぶれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
を
鹿
(
じか
)
なく
此
(
こ
)
の
山里
(
やまざと
)
と
詠
(
えい
)
じけむ
嵯峨
(
さが
)
のあたりの
秋
(
あき
)
の
頃
(
ころ
)
——
峰
(
みね
)
の
嵐
(
あらし
)
か
松風
(
まつかぜ
)
か、
尋
(
たづ
)
ぬる
人
(
ひと
)
の
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
か、
覺束
(
おぼつか
)
なく
思
(
おも
)
ひ、
駒
(
こま
)
を
早
(
はや
)
めて
行
(
ゆ
)
くほどに——
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その菓子を得れば私は恐らく、いくらか元氣を恢復することが出來るだらう、さうでもしなければ、先へ歩くことさへ
覺束
(
おぼつか
)
ない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
この運命の定まるべき日の、
切
(
せち
)
に待たるゝと共に、あるときは其成功の
覺束
(
おぼつか
)
なき心地せられて、熱病む人の如くなることあり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
幾度
(
いくたび
)
幾通
(
いくつう
)
の
御文
(
おんふみ
)
を
拜見
(
はいけん
)
だにせぬ
我
(
わ
)
れいかばかり
憎
(
にく
)
しと
思召
(
おぼしめ
)
すらん、
拜
(
はい
)
さば
此胸
(
このむね
)
寸斷
(
すんだん
)
になりて
常
(
つね
)
の
決心
(
けつしん
)
の
消
(
き
)
えうせん
覺束
(
おぼつか
)
なさ
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わたしは我慢して八つ目までは書いたものゝ、無事に大詰まで書き負せるか何うだか、我ながら
覺束
(
おぼつか
)
ないやうに思はれる。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると
隨分
(
ずゐぶん
)
覺束
(
おぼつか
)
ない
事
(
こと
)
だが、
夫
(
それ
)
でも
一縷
(
いちる
)
の
望
(
のぞみ
)
の
繋
(
つなが
)
る
樣
(
やう
)
にも
感
(
かん
)
じて、
吾等
(
われら
)
は
如何
(
いか
)
にもして
生命
(
いのち
)
のあらん
限
(
かぎ
)
り、
櫻木大佐
(
さくらぎたいさ
)
の
援助
(
たすけ
)
を
待
(
ま
)
つ
積
(
つも
)
りだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
此間
(
このあひだ
)
の
公案
(
こうあん
)
に
對
(
たい
)
して、
自分
(
じぶん
)
丈
(
だけ
)
の
解答
(
かいたふ
)
は
準備
(
じゆんび
)
してゐた。けれども、それは
甚
(
はなは
)
だ
覺束
(
おぼつか
)
ない
薄手
(
うすで
)
のものに
過
(
す
)
ぎなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世に望みなき身ながらも、我れから好める斯かる身の上の君の
思召
(
おぼしめし
)
の如何あらんと、
折々
(
をり/\
)
思ひ出だされては
流石
(
さすが
)
に
心苦
(
こゝろぐる
)
しく、只〻長き
將來
(
ゆくすゑ
)
に
覺束
(
おぼつか
)
なき
機會
(
きくわい
)
を頼みしのみ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
何
(
なん
)
が
故
(
ゆえ
)
に一
人
(
にん
)
の
益
(
えき
)
なきものを
殺
(
ころ
)
して
多人數
(
たにんず
)
を
益
(
えき
)
する
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
ば
惡
(
あ
)
しき
事
(
こと
)
なしといふ
立派
(
りつぱ
)
なる
理論
(
りろん
)
をもちながら
流用
(
りうよう
)
する
事
(
こと
)
覺束
(
おぼつか
)
なき
裝飾品
(
そうしよくひん
)
數個
(
すこ
)
を
奪
(
うば
)
ひしのみにして
立去
(
たちさ
)
るに
至
(
いた
)
りしか
「罪と罰」の殺人罪
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私
(
わたくし
)
の
考
(
かんがへ
)
では
今日
(
こんにち
)
學生
(
がくせい
)
に
物
(
もの
)
を
教
(
をし
)
ゆるにしても、一
度
(
ど
)
教
(
をし
)
へて
忘
(
わす
)
れた
處
(
ところ
)
があれば、
再度
(
さいど
)
教
(
をし
)
へる、
又
(
また
)
忘
(
わす
)
れた
所
(
ところ
)
があれば
又
(
また
)
教
(
をし
)
へるといふやうな
教授法
(
けうじゆはふ
)
では
中々
(
なか/\
)
其
(
そ
)
の
成効
(
せいかう
)
が
覺束
(
おぼつか
)
ないと
思
(
おも
)
ひます。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
「一
時
(
じ
)
十五
分前
(
ふんまへ
)
だ‥‥」と、
私
(
わたし
)
は
覺束
(
おぼつか
)
ない
星明
(
ほしあか
)
りに
腕時計
(
うでどけい
)
をすかして
見
(
み
)
ながら
答
(
こた
)
へた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
戰場の人員、
備立
(
そなへたて
)
のみを軍法として心得ては、大局の利を收めることは
覺束
(
おぼつか
)
ない。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ロレ
手短
(
てみじか
)
に
申
(
まう
)
しませう、
管
(
くだ
)
々しう
申
(
まう
)
さうには
命
(
いのち
)
が
覺束
(
おぼつか
)
なうござりまする。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
俺は何うだ、繪具とテレビン
油
(
ゆ
)
とに氣を腐らして、
年中
(
ねんぢゆう
)
齷齪
(
あくせく
)
してゐる………それも立派な作品でも出來ればだが、ま、
覺束
(
おぼつか
)
ない。そりや
孑孑
(
ぼうふら
)
は
溝
(
どぶ
)
の中でうよ/\してゐるのよ、だが、俺は人間だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
東京
(
とうきやう
)
にも
歌人
(
うたよみ
)
の
大家先生
(
たいかせんせい
)
は
澤山
(
たくさん
)
あれど
我等
(
われら
)
のやうに
先生
(
せんせい
)
の
薫陶
(
くんたう
)
を
受
(
う
)
け
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
の
門
(
もん
)
に
學
(
まな
)
び
候
(
さふらふ
)
ものならで、
能
(
よ
)
く
我等
(
われら
)
の
精神感情
(
せいしんかんじやう
)
を
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
唱歌
(
しやうか
)
に
歌
(
うた
)
ひ
出
(
いだ
)
し
得
(
う
)
るもの
有
(
あ
)
るべきや、
甚
(
はなは
)
だ
覺束
(
おぼつか
)
なく
存候
(
ぞんじさふらふ
)
。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
覺束
(
おぼつか
)
なし、
妾
(
わらは
)
夜叉神
(
やしやじん
)
に
一命
(
いちめい
)
を
奉
(
さゝ
)
げて、
桃太郎
(
も〻たらう
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
窺はば鎌倉の治世
覺束
(
おぼつか
)
なかるべし
抔
(
など
)
語合ふ
思
(
おもへ
)
ば
治承
(
ぢしよう
)
の昔し頼朝には北條時政といふ
大山師
(
おほやまし
)
が付き義經には奧州の
秀衡
(
ひでひら
)
といふ
大旦那
(
だいだんな
)
あり義仲には
中三權頭兼遠
(
ちうさんごんのかみかねとほ
)
といふわづかの
後楯
(
うしろだて
)
のみなりしに心逞ましき者なればこそ京都へ度々忍び
上
(
のぼ
)
つて平家の動靜を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
お源の指す方を見ると、六十近い老婆が
覺束
(
おぼつか
)
ない恰好で客の支度らしく、納戸から膳などを取出してゐるのが、こゝからよく見えます。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雖然
(
けれども
)
、
心覺
(
こゝろおぼ
)
えで
足許
(
あしもと
)
の
覺束
(
おぼつか
)
なさに、
寒
(
さむ
)
ければとて、
三尺
(
さんじやく
)
を
前結
(
まへむす
)
びに
唯
(
たゞ
)
解
(
と
)
くばかりにしたればとて、ばた/\
駈出
(
かけだ
)
すなんど
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らない。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
われは手に
瓔珞
(
くびたま
)
を捧げて、心にこれをマリアに與へんことを願ひぬ。マリアの顏の紅を
潮
(
さ
)
せしは、我心を
忖
(
はか
)
り得たるにやあらん、
覺束
(
おぼつか
)
なし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
願ふ所にて
恨
(
うら
)
みも
晴
(
はれ
)
たれば一ト通りの
歎願
(
たんぐわん
)
にてはとても助命
覺束
(
おぼつか
)
なく思ひ六右衞門の申立たる棄子に事寄吉兵衞が差當りての
作意
(
さくい
)
にて
斯
(
かゝ
)
ることを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なんとかして永久にこの幽靈を追ひ
攘
(
はら
)
つてしまふのでなければ、小幡一家の平和を保つことは
覺束
(
おぼつか
)
ないやうに思はれた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私は、長い間、書面を
調
(
しら
)
べた。筆蹟は、
年老
(
としと
)
つた婦人のものらしく舊式で、どちらかと云へば
覺束
(
おぼつか
)
ない方であつた。この
條件
(
コンデイション
)
はまづ申分がなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今
(
いま
)
はそれさへ
天涯
(
でんがい
)
の
彼方
(
かなた
)
に
落
(
お
)
ちて、
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
黒暗々
(
こくあん/\
)
たる
海
(
うみ
)
の
面
(
おも
)
、たゞ
密雲
(
みつうん
)
の
絶間
(
たへま
)
を
洩
(
も
)
れたる
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
の一二
點
(
てん
)
が
覺束
(
おぼつか
)
なくも
浪
(
なみ
)
に
反射
(
はんしや
)
して
居
(
を
)
るのみである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
末
(
すゑ
)
のほど
覺束
(
おぼつか
)
なければと
言
(
い
)
ひかゝるを
打
(
うち
)
けして、そは
御懸念
(
ごけねん
)
が
深
(
ふか
)
すぎずや、
釣合
(
つりあ
)
ふとつり
合
(
あは
)
ぬは
御心
(
おこゝろ
)
の
上
(
うへ
)
のことなり、一
應
(
おう
)
いと
子
(
こ
)
さまの
御心中
(
ごしんちう
)
お
伺
(
うかゞ
)
ひ
下
(
くだ
)
されたし
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
つれなしと見つる浮世に
長生
(
ながら
)
へて、朝顏の
夕
(
ゆふべ
)
を竣たぬ身に
百年
(
もゝとせ
)
の
末懸
(
すゑか
)
けて、
覺束
(
おぼつか
)
なき
朝夕
(
あさゆふ
)
を過すも胸に包める情の露のあればなり。戀かあらぬか、女子の
命
(
いのち
)
はそも何に喩ふべき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
されどかかる
烏滸
(
をこ
)
のしれもの果して喜んで記實の文を讀むを必とすべきか。これもいと/\
覺束
(
おぼつか
)
なし。一世の傾向を釀さむとするものは積極なる教育の道に由るべきは、固より其所なり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
然
(
しか
)
しそれは
自分
(
じぶん
)
が
昔
(
むか
)
し
父
(
ちゝ
)
から
聞
(
き
)
いた
覺
(
おぼえ
)
のある、
朧氣
(
おぼろげ
)
な
記憶
(
きおく
)
を
好加減
(
いゝかげん
)
に
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
すに
過
(
す
)
ぎなかつた。
實際
(
じつさい
)
の
畫
(
ゑ
)
の
價値
(
かち
)
や、
又
(
また
)
抱一
(
はういつ
)
に
就
(
つい
)
ての
詳
(
くは
)
しい
歴史
(
れきし
)
などに
至
(
いた
)
ると
宗助
(
そうすけ
)
にも
其實
(
そのじつ
)
甚
(
はなは
)
だ
覺束
(
おぼつか
)
なかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、惡人のあせりやうも一段猛烈を極めて、その三日を無事に暮せるかどうか、甚だ
覺束
(
おぼつか
)
ない有樣になつてゐることも事實でした。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼と云ひ此と云ひ、今宵の受用の
覺束
(
おぼつか
)
なかるべき前兆ならぬものなけれど、われは猶せめて第一折を觀んとおもひて、獨り觀棚に坐し居たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
……
見
(
み
)
た
處
(
ところ
)
は
千丈
(
せんぢやう
)
の
峰
(
みね
)
から
崩
(
くづ
)
れかゝる
雪雪頽
(
ゆきなだれ
)
の
下
(
した
)
で
薪
(
たきゞ
)
を
樵
(
こ
)
るより
危
(
あぶなツ
)
かしいのに——
此
(
こ
)
の
度胸
(
どきよう
)
でないと
復興
(
ふくこう
)
は
覺束
(
おぼつか
)
ない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
立伊賀亮事
俄
(
にはか
)
に
癪氣
(
しやくき
)
差起
(
さしおこ
)
り明日の所
全快
(
ぜんくわい
)
覺束
(
おぼつか
)
なく候間
萬端
(
ばんたん
)
宜敷御頼み申也と云
送
(
おく
)
り
部屋
(
へや
)
へ
引籠
(
ひきこも
)
り居たりける
扨
(
さて
)
其夜も
明
(
あけ
)
辰
(
たつ
)
の
上刻
(
じやうこく
)
と成ば天一坊には八山を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ロチスター氏はそのとき歩き𢌞らうとした、だが空しく——何も
彼
(
か
)
もあまりに
覺束
(
おぼつか
)
なかつた。彼は手探りに家の方へ引返すと、再び中に這入つて入口を閉めた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
覺束
(
おぼつか
)
ない
手
(
て
)
つきに
風車
(
かざぐるま
)
を
立
(
た
)
てゝ
見
(
み
)
せたり、
振
(
ふ
)
りつゞみなどを
振
(
ふ
)
つてお
見
(
み
)
せなされ、
一家
(
いつか
)
の
内
(
うち
)
に
我
(
われ
)
を
慰
(
なぐさ
)
めるは
坊主
(
ばうず
)
一人
(
ひとり
)
だぞとあの
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
いお
顏
(
かほ
)
をお
摺
(
す
)
り
寄
(
よ
)
せ
遊
(
あそ
)
ばすと
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今
(
いま
)
は
躊躇
(
ちうちよ
)
しては
居
(
を
)
られぬ
塲合
(
ばあひ
)
、
私
(
わたくし
)
は
突如
(
いきなり
)
眞裸
(
まつぱだか
)
になつて
海中
(
かいちう
)
へ
跳込
(
をどりこ
)
んだ、
隨分
(
ずいぶん
)
覺束
(
おぼつか
)
ない
事
(
こと
)
だが、
泳
(
およ
)
ぎながらに、
端艇
(
たんてい
)
をだん/″\と
島
(
しま
)
の
方
(
ほう
)
へ
押
(
お
)
して
行
(
ゆ
)
かんとの
考
(
かんがへ
)
、
艇中
(
ていちう
)
からは
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
第二節目を歌ふ頃から、乳母の聲よりもつと/\若くて美しい聲が、
覺束
(
おぼつか
)
ない歌詞を
辿
(
たど
)
るやうに、乳母の歌に
跟
(
つ
)
いて行くのです。
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雖然
(
けれども
)
、
曳惱
(
ひきなや
)
んで、ともすれば
向風
(
むかひかぜ
)
に
押戻
(
おしもど
)
されさうに
成
(
な
)
る。
暗闇
(
やみ
)
は
大
(
おほい
)
なる
淵
(
ふち
)
の
如
(
ごと
)
し。……
前途
(
ゆくさき
)
の
覺束
(
おぼつか
)
なさ。
何
(
ど
)
うやら
九時
(
くじ
)
のに
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひさうに
思
(
おも
)
はれぬ。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なれど
此處
(
こゝ
)
を
折
(
を
)
れて
眞直
(
まつすぐ
)
に
行
(
ゆき
)
て
欲
(
ほ
)
しゝと
小路
(
こみち
)
に
入
(
い
)
りぬ、
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
ぞ
此路
(
このみち
)
は
突當
(
つきあた
)
り、
外
(
ほか
)
に
曲
(
まが
)
らん
路
(
みち
)
も
見
(
み
)
えねば、モシお
宅
(
たく
)
はどの
邊
(
へん
)
でと
覺束
(
おぼつか
)
なげに
問
(
とは
)
んとする
時
(
とき
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
伜へ遺書くらゐは書いたかも知れないが、それは氣の廻るお茂與が隱したことだらう。中氣で手が顫へるから、武家の出でも刄物の
自害
(
じがい
)
は
覺束
(
おぼつか
)
ない。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
して
見
(
み
)
るとお
前
(
まへ
)
さん
方
(
がた
)
のおど/\するのは、
心
(
こゝろ
)
に
覺束
(
おぼつか
)
ない
處
(
ところ
)
があるからで、
罪
(
つみ
)
を
造
(
つく
)
つた
者
(
もの
)
と
見
(
み
)
える。
懺悔
(
ざんげ
)
さつしやい、
發心
(
ほつしん
)
して
坊主
(
ばうず
)
にでもならつしやい。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
心
(
こゝろ
)
に
止
(
と
)
まる
物
(
もの
)
もなく、
氣
(
き
)
にかゝる
景色
(
けしき
)
にも
覺
(
おぼ
)
えぬは、
我
(
わ
)
れながら
酷
(
ひど
)
く
逆上
(
のぼせ
)
て
人心
(
ひとごゝろ
)
のないのにと
覺束
(
おぼつか
)
なく、
氣
(
き
)
が
狂
(
くる
)
ひはせぬかと
立
(
たち
)
どまる
途端
(
とたん
)
、お
力
(
りき
)
何處
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
くとて
肩
(
かた
)
を
打
(
う
)
つ
人
(
ひと
)
あり。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
多の市は
覺束
(
おぼつか
)
なくも言ひ切ります。その間にも、修驗者の道尊坊は、護摩の煙を
濛々
(
もう/\
)
となびかせながら、
揉
(
も
)
みに揉んで何やら祈り續けて居るのでした。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、
不斷
(
ふだん
)
だと、
魑魅
(
ちみ
)
を
消
(
け
)
す
光明
(
くわうみやう
)
で、
電燈
(
でんとう
)
を
燦
(
ぱつ
)
と
點
(
つ
)
けて、
畜生
(
ちくしやう
)
を
礫
(
つぶて
)
にして
追拂
(
おひはら
)
ふのだけれど、
此
(
こ
)
の
燈
(
あかり
)
の
覺束
(
おぼつか
)
なさは、
天井
(
てんじやう
)
から
息
(
いき
)
を
掛
(
か
)
けると
吹消
(
ふつけ
)
されさうである。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
本當
(
ほんたう
)
に
好
(
い
)
い
奴
(
やつ
)
なれば、
今度
(
こんど
)
僕
(
ぼく
)
の
沓
(
くつ
)
したを
編
(
あ
)
みてたまはる
時
(
とき
)
彼
(
あ
)
れにも
何
(
なに
)
か
製
(
こし
)
らへて
給
(
たま
)
はれ、
宜
(
よろ
)
しきか
姉樣
(
ねえさま
)
、
屹度
(
きつと
)
ぞかし
姉樣
(
ねえさま
)
、と
熱心
(
ねつしん
)
にたのみて、
覺束
(
おぼつか
)
なき
承諾
(
しようだく
)
の
詞
(
ことば
)
を
其通
(
そのとほ
)
り
敏
(
さとし
)
に
傳
(
つた
)
ふれば
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
伊太松は
懷中
(
ふところ
)
を探つて手紙一枚に、
覺束
(
おぼつか
)
ない假名文字で書いた手紙を取出し、
皺
(
しわ
)
を伸ばして平次に見せるのです。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
追
(
お
)
つては、
置場所
(
おきばしよ
)
を
忘
(
わす
)
れたにしても、
餘
(
あま
)
りな
忘
(
わす
)
れ
方
(
かた
)
だからと、
女
(
をんな
)
たちは
我
(
われ
)
と
我身
(
わがみ
)
をさへ
覺束
(
おぼつか
)
ながつて
氣
(
き
)
を
打
(
う
)
つのである。
且
(
か
)
つあやかしにでも、
憑
(
つ
)
かれたやうな
暗
(
くら
)
い
顏
(
かほ
)
をする。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
下駄
(
げた
)
にて
重
(
おも
)
き
物
(
もの
)
を
持
(
も
)
ちたれば
足
(
あし
)
もと
覺束
(
おぼつか
)
なくて
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
の
氷
(
こほり
)
にすべり、あれと
言
(
い
)
ふ
間
(
ま
)
もなく
横
(
よこ
)
にころべば
井戸
(
いど
)
がはにて
向
(
むか
)
ふ
臑
(
ずね
)
したゝかに
打
(
う
)
ちて、
可愛
(
かわい
)
や
雪
(
ゆき
)
はづかしき
膚
(
はだ
)
に
紫
(
むらさき
)
の
生々
(
なま/\
)
しくなりぬ
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
覺
部首:⾒
20画
束
常用漢字
小4
部首:⽊
7画
“覺束”で始まる語句
覺束無