時間じかん)” の例文
しかるに、不思議ふしぎなことには、むらに二つ時計とけいがありましたが、どうしたことか、二つの時計とけいやく三十ぷんばかり時間じかんちがっていました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なあに、できないことがあるものか。なみの力でできるのに、人間にんげんにできないってことがあるものか。ようするに、時間じかん問題もんだいさ。」
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
森山もりやまは、諭吉ゆきちのねっしんなたのみをきいてはくれましたが、幕府ばくふ仕事しごとがいそがしくて、おしえてくれる時間じかんがなかなかありません。
時間じかんがなかつたんだもの』とつてグリフォンは、『でも、わたし古典學こてんがく先生せんせいところきました。先生せんせい年老としとつたかにでした、まつたく』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ぼく、このあそびをおぼえてから足掛あしかけ五ねんになるが、食事しよくじ時間じかんだけはべつとしてたゝかひつづけたレコオドはやく三十時間じかんといふのが最長さいちやうだ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一杯いつぱい……無事ぶじ直江津なほえつ上陸じやうりくしたが、時間じかんによつて汽車きしや長野ながのまつた。扇屋あふぎやだつたか、藤屋ふぢやだつたか、土地とちほしくらかつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
甘酒あまざけ時間じかんみじかいのとかうぢすくないのとであつつくむのがれいである。それだからたちまちにあまるけれどもまたたちまちに酸味さんみびてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ゆっくりした田舎の時間じかん空間くうかんの中に住みれては、東京好しといえど、久恋きゅうれん住家すみかでは無い。だから皆帰りには欣々として帰って来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
大人おとなたちは、あまり時間じかんがないし、もうみんなじゅうぶんわかれをしんだのだから、鐘供養かねくようはしなくてもいいだろう、といった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
安之助やすのすけいそがしいとかで、一時間じかんらずはなしてかへつてつたが、小六ころく所置しよちついては、兩人りやうにんあひだ具體的ぐたいてきあんべつなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
狹衣子さごろもし手傳てつだひにては、つい、しや時間じかんわすれたことや、佛骨子ぶつこつしあななか午睡ひるねをしたことや、これ奇談きだんおもなるもの。
『きっと返却かえします、きっと。』などとちかいながら、またぼうるなりった。が、大約おおよそ時間じかんってからかえってた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
案内役の夫人についで、やがて融は食堂へおりて行つたが、時間じかんがちよつと早かつたので、ホールで待つことにして、隅の方の椅子にかけた。
折鞄 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わがはいはこれについて一げんべんじてきたい。年紀ねんき時間じかんはか基準きじゆん問題もんだいである。これは國號こくがう姓名せいめいなどの固有名こゆうめい問題もんだいとは全然ぜん/″\意味いみちがふ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
召て其方ひそかに彼が旅宿のへんへ參り密々明日の出立の時間じかんを聞合せ參るべしと申付らる近習はやがて上本陣の邊りへ立越便宜びんぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ていいさゝか空氣くうき缺乏けつぼうかんずることなく、十時間じかんでも二十時間じかんでも、必要ひつようおうじて海底かいてい潜行せんかう繼續けいぞくすること出來できるのである。
けれども、先生せんせいのように親切しんせつをしへてくださるひとはなく、やすみの時間じかんにお友達ともだち面白おもしろあそぶことが出來できないから、ときには退屈たいくつすることもありませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
私たちはその後姿うしろすがたをみおくって、大わらいをしながら、おくらした時間じかんをとりかえすために、汽車を全速力ぜんそくりょくで走らせました。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
自分じぶん觀測所かんそくじよとの間隔かんかく一二里以内いちにりいないであるならば、兩方りようほう時刻じこくならび時間じかんとも大體だいたいおなあたひるべきはずである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
水上すゐじやうバスへ御乗おのりのおきやくさまはおいそくださいませ。水上すゐじやうバスは言問こととひから柳橋やなぎばし両国橋りやうごくばし浜町河岸はまちやうがしを一しうして時間じかんは一時間じかん料金れうきんにん五十ゑん御在ございます。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
あまりの間拔まぬけさに自分で自分にきまりわるく、すぐ引返ひつかへさうかと思つたけれど、どうせもうおくれたのだから、いつそ文法ぶんぽふ時間じかんをすましてからにしようと
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
其處そこ國府津こふづまでの切符きつぷひ、品川しながはまでき、そのプラツトホームで一時間じかん以上いじやうつことゝなつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
カトリーヌおばさんは一時間じかんおくれてやって来た。わたしたちはまだはげしく泣いていた。いちばん気丈きじょうなエチエネットすら今度の大波にはすっかり足をさらわれた。
あのへやの時計とけいときたら、動くのは、ちゃんとまちがいなく動くし、時間じかんだって、元気げんきよく打つんだけど、はりだけがいつも六時を指したきりなのよ。どうしたのかしら?
けれども、もうだいぶ時間じかんっているのにたまごはいっこうからやぶれる気配けはいもありませんし、たずねてくれる仲間なかまもあまりないので、この家鴨あひるは、そろそろ退屈たいくつしかけてました。
いのりに行く時間じかんたのだ——これをしなくちゃ授業じゅぎょうはじめるわけにゆかないのだから。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
エムリーヌ・カペルさんも、算術さんじゅつ時間じかんがよく出来できたので、いいおてんをいただきました。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
といって、むすめのふたおやは「よもや」をたのみにして、半時はんとき、一時間じかんばしていました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それは時間じかんにすればおそらくようやく一ときぐらいみじかい統一とういつであったとおもいますが、こころ引緊ひきしまっているせいか、わたくしとすれば前後ぜんごにないくらいのすぐれてふか統一状態とういつじょうたいはいったのでございました。
ロミオ あゝ/\、味氣無あぢきな時間じかんながい。……いまいそいでんだはわしちゝでござったか?
時計とけいるとや九。ゴールデンゲートから此処迄こゝまでに四時間じかんかゝつた勘定かんぢやうになる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
たせてきてもかりしを供待ともまちちの雜沓ざつたふ遠慮ゑんりよして時間じかんはやめに吩咐いひつけかへせしものなんとしての相違さうゐぞやよもやわすれてぬにはあらじうちにても其通そのとほ何時いつまでむかさずにはかれまじ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先生のきょ、同じく戒心かいしんあるにもかかわらず、数十の生徒せいとともな跣足せんそく率先そっせんして池水いけみずくみては門前に運び出し、泥塗満身でいとまんしん消防しょうぼう尽力じんりょくせらるること一霎いっしょう時間じかんよっかろうじてそのさいまぬかれたり。
周三しうざうは、畫架ぐわかむかツて、どうやらボンヤリ考込かんがへこむでゐた。モデルに使つかツてゐるかれ所謂いわゆる平民へいみんむすめ』は、時間じかんまへかへツてツたといふに、周三はだ畫架の前をうごかずに考へてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
玄竹げんちく病家廻びやうかまはりのせはしい時間じかんいて、れるまで、但馬守たじまのかみ相手あひてをしてゐた。酒肴しゆかうて、さけ不調法ぶてうほふ玄竹げんちくも、無理むりから相手あひてをさせられたさかづきふたつばかりに、ほんのりとかほめてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しかし、私はたゞなにらずに煙草たばこを吹かせてぼんやりとしてゐただけである。このぼんやりとしたゆるんだ心理しんりつゞいてゐる空虚くうきよ時間じかんに、もく々として私達わたしたち運命うんめいうごかせてゐた何物なにものかがあつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
花前の働きぶりはほとんど水車すいしゃ回転かいてんとちがわない。時間じかん順序じゅんじょといい、仕事しごと進行しんこうといい、いかにも機械的きかいてきである。余分よぶんなことはすこしもしないかわりに、なすべきことはちょっとのゆるみもない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
おゝ ものすごい! 一時間じかんせんキロメートルの早さだ‼
時間じかんのすむまでいてゐた
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
そのうちにも、時計とけいはりはこくこくとたっていったのです。いつもかえ時間じかんより一時間じかん、二時間じかん、二時間半じかんはんぎてしまったのです。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
女王樣ぢよわうさま論據ろんきようでした、何事なにごとにせよ、まつた時間じかんえうせずしてうせられなかつたなら、所有あらゆる周圍しうゐたれでもを死刑しけいしよする。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
墓原はかはらたのは十二時過じすぎ、それから、あゝして、あゝして、と此處こゝまであひだのことをこゝろ繰返くりかへして、大分だいぶん時間じかんつたから。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かれながら過去くわこ二三時間じかん經過けいくわかんがへて、そのクライマツクスが突如とつじよとして如何いかにも不意ふいおこつたのを不思議ふしぎかんじた。かつかなしくかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひる午睡ひるねゆるされてあるので時間じかんいて器用きようかれには内職ないしよく小遣取こづかひどりすこしは出來できた。きな煙草たばことコツプざけかつすることはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此邊このへん熱帶國ねつたいこくつねとて、年中ねんちうながいので、食後しよくご時間じかんばかりは大佐たいさをはじめ一同いちどう海邊かいへんでゝ戸外運動こぐわいうんどうふけるのである。
患者かんじゃおおいのに時間じかんすくない、で、いつも簡単かんたん質問しつもんと、塗薬ぬりぐすりか、※麻子油位ひましあぶらぐらいくすりわたしてるのにとどまっている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
千駄木せんだぎおくわたしいへから番町ばんちやうまでゞは、可也かなりとほいのであるが、てからもう彼此かれこれ時間じかんつから、今頃いまごろちゝはゝとにみぎひだりから笑顔ゑがほせられて
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
えきまでいくのに、二時間じかんもあるかねばならなかったし、そのえきから汽車きしゃにのって、日本海にほんかいにでるのに三時間じかん、また、南にむかって、太平洋たいへいようを見ようとすれば
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
おほ人足にんそく使用しようしたのを一人ひとり勞作らうさくなをして、一にち平均へいきん時間じかんると、まさに八十餘日よにちつひやした計算けいさんである。
生徒せいとたちも、それにつりこまれて、いつのまにか、そとのさわぎも、大砲たいほうおとにならず、講義こうぎみみをかたむけていました。そうして、やがて、時間じかんとなりました。