)” の例文
このみつつのかたちうたを、のちには、片歌かたうたといつてゐます。これは、うた半分はんぶんといふことでなく、完全かんぜんでないうたといふことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
それをとするかとするか、自分のくちびるをでる、ただ一で、どんな兇刃きょうじんがもののはずみで御岳みたけ神前しんぜんの海としないかぎりもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たッた一をでも宣言おほせられたならば、小生それがし滿足まんぞくいたす。たゞ嗚呼あゝ」とだけさけばっしゃい、たッた一言ひとことラヴとか、ダヴとか宣言おほせられい。
宗助そうすけとかうたとかいふものには、もとからあま興味きようみたないをとこであつたが、どうわけこのんだとき大變たいへん感心かんしんした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
をんなこゑたかうたうてはまたこゑひくくして反覆はんぷくする。うたところ毎日まいにちたゞの一かぎられてた。をんな年増としま一人ひとりうてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
椋島技師は、緊張にこまかくふるえながら、普段から真白い顔色を、一層蒼白あおじろくさせて、大臣の一ごんに聞き入っていた。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
というがあるくらいですから、江戸八百八町に加えてもさしつかえはなかろうと思われるのに、大木戸を一歩外へ出るともう管轄違いです。
とすぐにかみをつけました。これはいくさ場所ばしょがちょうど衣川ころもがわのそばの「ころもたて」というところでしたから、義家よしいえ貞任さだとう
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひつくすべくもあらず、秋草あきぐさ種々くさ/″\かぞふべくもあらじかし。北八きたはち此作このさくごときは、園内ゑんないちらばつたる石碑せきひ短册たんじやく一般いつぱん難澁なんじふ千萬せんばんぞんずるなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
されば一しやうといへども人これを句碑くひに作りて不朽ふきうつたふる事今なほ句碑くひのあらざる国なし。吟海ぎんかい幸祥かうしやう詞林しりん福禎ふくてい文藻ぶんさうに於て此人の右に出る者なし。
という一がある。せんじつめれば男子の力は思慮しりょとどまらでこれを判断し、しかしてこれを実行するにある。女子の力は判断するについてははなはだ弱い。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
まったく夢想むそうもしなかった出来事できごとに、おせんは、そのこしえたまま、ぐには二のげなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
落語家らくごか見識けんしきからすると、『新玉あらたまの』は本統ほんたう發句ほつくだが、『たまの』は無茶むちやだとして、それで聽衆ちやうしうわらはせようとするんだが、おれところこれことなりだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
社會的しやくわいてき觀察くわんさつすれば、よめにもらひのない女文士をんなぶんし救濟家きうさいか(この一失言しつげん取消とりけし。こんなこともあらうかと、はじめに、みな美人びじんだと、御世辭おせじをいつておいたのだが)
たびたびわたしは自分にわからないことばなりなりにぶつかると、ふとやめてかの女の顔を見た。そういうときわたしたちはかなりしばらく考え出すために休む。
如何でも女房に爲ねば成らぬと居丈高ゐだけだが辯舌べんぜつするど演立のべたてたるの當然に忠兵衞は一も出ず首を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この菊塢きくう狂歌きやうかしゆ発句ほつくあり、(手紙と其書そのしよ移転ひつこしまぎれにさがしても知れぬは残念ざんねんにもかくにも一個いつこ豪傑がうけつ山師やましなにやらゑし隅田川すみだがは」と白猿はくゑんが、芭蕉ばせうの句をもじりて笑ひしは
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
鳴雪翁は二号に「粛山公しゅくざんこう」を送らるる由小生は「反古籠」を永く書くべし。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
すぢ日本につぽんうるはしき乙女おとめ舞衣まひぎぬ姿すがたが、月夜げつやにセイヌかは水上みなか彷徨さまよふてるといふ、きはめて優美ゆうびな、またきはめて巧妙こうめう名曲めいきよく一節ひとふし、一は一よりはなやかに、一だんは一だんよりおもしろく
矢庭やには引捕ひつとらへてくわんうつたへると二のもなく伏罪ふくざいしたので、石の在所ありか判明はんめいした。官吏やくにんぐ石を取寄とりよせて一見すると、これ亦たたちま慾心よくしんおこし、これはくわん没收ぼつしうするぞとおごそかにわたした。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
げん唯々諾々いゝだく/\として、黒ん坊の御機嫌を伺って居るばかりであった。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
……で……こうして色々と考えまわした、結局するところ……いずれにしてもこの場合は何気なくアシラッて、どこまでも戦友同志の一兵卒になり切っていた方が、双方のために安全であろう。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「をしげなくこぼしてはいる初湯はつゆかな」と二やりました。
年始まはり (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いままいりますとたれど言葉ことばらぬひとなりき。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうして、神樣かみさま言葉ことばすらも、やはり、うたあらはされることになりました。それは大方おほかたみつつのかたちになつたものらしくかんがへられます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
れがというたとて、自由自儘じいうじまゝるならば、今日けふ巫女あづさるまいにい……」ばあさんはおなじやうな反覆くりかへした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はからざりき、かずに/\とつゞけるのをいて、ひらけば向島むかうじまなり。それより百花園ひやくくわゑんあそぶ。黄昏たそがれたり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
されば一しやうといへども人これを句碑くひに作りて不朽ふきうつたふる事今なほ句碑くひのあらざる国なし。吟海ぎんかい幸祥かうしやう詞林しりん福禎ふくてい文藻ぶんさうに於て此人の右に出る者なし。
いくら、横車よこぐるまそうとする徳川方とくがわがたの者でも、その証拠しょうこ小文治こぶんじにつきつけられては、二のをつぐ者もなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宗助そうすけ好奇心かうきしんから此句このくまへいてゐる論文ろんぶんんでた。しかそれまる無關係むくわんけいやうおもはれた。たゞこの雜誌ざつしいたあとでも、しきりにかれあたまなか徘徊はいくわいした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
や見し成んと一入ひとしほあはれのいやませしと言つる心の御製なり又芭蕉翁ばせをおうにも「ましらさへ捨子すてご如何いかあきくれ」是や人情にんじやうの赴く處なるらんさて又藤川宿にては夜明てのち所の人々ひと/″\此捨子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
和歌わかしもをうたいかけました。すると貞任さだとうげながらいて
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
全體ぜんたいつき何々なに/\といふふうに、かしらいてゐるために、幾分いくぶんうた上調子うはちようしになつてゐるが、眞底しんそこにはやはりよいものがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
まげにはあぶらつて上手じやうずけた金房きんぶさすこしざらりとして動搖ゆらめいた。巫女くちよせ漸次ぜんじうてくうちに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あの攻軍の秘帖ひちょうだ! あの手が秀吉ひでよしだったのか? あの手が? 呂宋兵衛はぼうぜんとして二のがでない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
になるね、とつたふりをしてこゑくれば、なに心得こゝろえたる樣子やうすにて同行どうかう北八きたはち腕組うでぐみをして少時しばらくだまる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
双坡楼そつはろうあふぎをいだしてふ、妓ももちたる扇をいだす。京水画をなし、余即興そくきやうしよす。これを見て岩居がんきよをはじめおの/\かべだいし、さら風雅ふうがきやうをもなしけり。
この面前めんぜん氣力きりよくなくすわつた宗助そうすけの、くちにした言葉ことばはたゞ一きた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こしらへるが肝心かんじんなりそれつき彼川柳點かのせんりうてんに「日々にち/\時計とけいになるや小商人こあきんど」といふのありと申に長八は一かうわからそれなんと云心に候やと云ば是は川柳點と云て物事のあなさがしとも申すべき句なり其心は何商賣なにしやうばいにても買つけの得意場とくいば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うたかみみかけますと
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もし/\、久保田くぼたさん、とんで、こゝで傘雨さんうさんにおにかゝりたい。これではになりますまいか。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
双坡楼そつはろうあふぎをいだしてふ、妓ももちたる扇をいだす。京水画をなし、余即興そくきやうしよす。これを見て岩居がんきよをはじめおの/\かべだいし、さら風雅ふうがきやうをもなしけり。
しもをつけ、共に大笑いするといった風な仲にすぎないのであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あによめは此みじかを、ひらめく懐剣の如くに感じた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たなしてかくるとにもあらず、夕顏ゆふがほのつる西家せいかひさしひ、烏瓜からすうりはなほの/″\と東家とうかかききりきぬ。ひてわれもとむるにはあらず、やぶにはうぐひするゝときぞ。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むかし、しもに(それにつけてもかねしさよ)とぎんずれば、前句まへくはどんなでもぴつたりつく。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また李白りはくしゆくするいはく、揚杯祝願無他語さかづきをあげてしゆくすねがふにたにごなく謹勿頑愚似汝爺矣つゝしんでぐわんぐなるなんぢのちゝににることなかれ家庭かてい先生せんせいもつ如何いかんとなす?
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
含春がんしゆんまた明敏めいびんにして、こゝろり、おほい當代たうだい淑女振しゆくぢよぶり發揮はつきして、いけすかないとてちゝぐ。ちゝや、今古こんこ野暮的やぼてんむすめれたりとてこれおほやけうつたへたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かたはらに、おの/\のがしるしてあつた。……神樂坂かぐらざかうらへ、わたし引越ひつことき、そのまゝのこすのはをしかつたが、かべだからうにもらない。——いゝ鹽梅あんばいに、一人ひとりあひがあとへはひつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その日は帰ってから、えらい元気で、わたしはそれ、涼しさやと言ったの通り、えんから足をぶら下げる。客人は其処そこ井戸端いどばたきます据風呂すえぶろに入って、湯をつかいながら、露出むきだしの裸体談話はだかばなし
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)