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厚
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あつ
ふりがな文庫
“
厚
(
あつ
)” の例文
家の中はまっ
暗
(
くら
)
で、しんとして
返事
(
へんじ
)
をするものもなく、そこらには
厚
(
あつ
)
い
敷物
(
しきもの
)
や
着物
(
きもの
)
などが、くしゃくしゃ
散
(
ち
)
らばっているようでした。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
許され代々村長役たるべき旨
仰付
(
おほせつけ
)
られしかば
歡
(
よろこ
)
び物に
譬
(
たとへ
)
ん方なく三浦屋の主人并びに井戸源次郎を始め其事に
立障
(
たちさは
)
りし人々に
厚
(
あつ
)
く禮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
子供
(
こども
)
は、たくさんの
土産物
(
みやげもの
)
と、お
金
(
かね
)
とを
持
(
も
)
って、はるばると
故郷
(
こきょう
)
に
帰
(
かえ
)
ってきたのであります。そして、
村
(
むら
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
厚
(
あつ
)
くお
礼
(
れい
)
を
申
(
もう
)
しました。
牛女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これと
申
(
もう
)
すも
偏
(
ひとえ
)
に
御指導役
(
ごしどうやく
)
のお
爺
(
じい
)
さまのお
骨折
(
ほねおり
)
、
私
(
わたくし
)
からも
厚
(
あつ
)
くお
礼
(
れい
)
を
申上
(
もうしあ
)
げます。この
後
(
のち
)
とも
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しうお
依
(
たの
)
み
申
(
もう
)
しまする……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「あの
仰
(
あお
)
むけている
首筋
(
くびすじ
)
を
射
(
い
)
てやろうか。だいぶ
厚
(
あつ
)
い
鎧
(
よろい
)
を
着
(
き
)
ているが、あの上から
胸板
(
むないた
)
を
射
(
い
)
とおすぐらいさしてむずかしくもなさそうだ。」
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
平岡の
家
(
うち
)
の
前
(
まへ
)
へ
来
(
き
)
た時は、
曇
(
くも
)
つた
頭
(
あたま
)
を
厚
(
あつ
)
く掩ふ
髪
(
かみ
)
の
根元
(
ねもと
)
が
息切
(
いき
)
れてゐた。代助は
家
(
いへ
)
に入る
前
(
まへ
)
に
先
(
ま
)
づ帽子を
脱
(
ぬ
)
いだ。格子には
締
(
しま
)
りがしてあつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
またこの
本
(
ほん
)
を
書
(
か
)
くにあたつて、
松本龍太郎
(
まつもとりゆうたろう
)
さんにいろ/\
御厄介
(
ごやつかい
)
になつたことを、こゝで
厚
(
あつ
)
くお
禮
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しあげて
置
(
お
)
きます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
山
(
やま
)
には
大
(
おほ
)
きな
檜木
(
ひのき
)
の
林
(
はやし
)
もありますから、その
厚
(
あつ
)
い
檜木
(
ひのき
)
の
皮
(
かは
)
を
板
(
いた
)
のかはりにして、
小屋
(
こや
)
の
屋根
(
やね
)
なぞを
葺
(
ふ
)
くこともありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
申上
(
もうしあ
)
げたいのは
山々
(
やまやま
)
でござんすが、ちと
厚
(
あつ
)
かましい
筋
(
すじ
)
だもんでげすから、ついその、あっしの
口
(
くち
)
からも、
申上
(
もうしあ
)
げにくかったような
訳
(
わけ
)
でげして」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そして、
柔和
(
にゅうわ
)
で子供ずきな宮内の
手当
(
てあて
)
が
厚
(
あつ
)
かったために、こうしてふたりとも、もとのからだに近いまでに、健康をとりもどしてきたのだろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ふん、
厚
(
あつ
)
かましいお前さんの云ひさうなことだ。さうだらうと思つてゐた。お前さんが
閾
(
しきゐ
)
を
跨
(
また
)
いだときに、それは、もう
跫音
(
あしおと
)
で分つたからね。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しからば何ゆえにこの例を掲げたかというに、
日
(
ひ
)
ごろの行状を
謹
(
つつし
)
み、日常の信用を
厚
(
あつ
)
うするだけの慎みをなさねばならぬことを勧めたいからである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
現今
(
いま
)
ではそれが
無
(
な
)
く
成
(
な
)
つたといふのは、一
度
(
ど
)
此
(
こ
)
の
地
(
ち
)
を
襲
(
おそ
)
うた
暴風
(
ばうふう
)
の
爲
(
ため
)
に、
厚
(
あつ
)
い
草葺
(
くさぶき
)
の
念佛寮
(
ねんぶつれう
)
はごつしやりと
潰
(
つぶ
)
された。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
楚
(
そ
)
の
威王
(
ゐわう
)
、
莊周
(
さうしう
)
の
賢
(
けん
)
なるを
聞
(
き
)
き、
使
(
つかひ
)
をして
(三一)
幣
(
へい
)
を
厚
(
あつ
)
うして
之
(
これ
)
を
迎
(
むか
)
へしめ、
(三二)
許
(
ゆる
)
すに
相
(
しやう
)
と
爲
(
な
)
すを
以
(
もつ
)
てす。
莊周
(
さうしう
)
笑
(
わら
)
つて
楚
(
そ
)
の
使者
(
ししや
)
に
謂
(
い
)
つて
曰
(
いは
)
く
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
地の見える様な頭にも、昔は、左から分けた
厚
(
あつ
)
い黒々とした髪があったし、顔も油が多く、柔い白さを持って居た。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
夢
(
ゆめ
)
から
覺
(
さ
)
めた
思
(
おも
)
ひで、
厚
(
あつ
)
ぼつたかつた
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でた、
其
(
そ
)
の
掌
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
に
支
(
つ
)
いて、
氣
(
き
)
も
判然
(
はつきり
)
と
向直
(
むきなほ
)
つた
時
(
とき
)
、
彼
(
かれ
)
は
今
(
いま
)
までの
想像
(
さうざう
)
の
餘
(
あま
)
りな
癡
(
たは
)
けさに
又
(
また
)
獨
(
ひと
)
りで
笑
(
わら
)
つた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平顔の目の小さいくちびるの
厚
(
あつ
)
い、見たとおりの
好人物
(
こうじんぶつ
)
、人と話をするにかならず、にこにこと
笑
(
わら
)
っている人だ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
此
(
この
)
地
(
ち
)
の
冬季
(
とうき
)
の
寒威
(
かんゐ
)
は
實
(
じつ
)
に
烈
(
はげ
)
しく、
河水
(
かすゐ
)
の
如
(
ごと
)
きは
其
(
その
)
表面
(
へうめん
)
氷結
(
へうけつ
)
して
厚
(
あつ
)
さ
尺餘
(
しやくよ
)
に
到
(
いた
)
り、
人馬
(
じんば
)
共
(
とも
)
に
其
(
その
)
上
(
うへ
)
を
自由
(
じいう
)
に
歩
(
あゆ
)
み
得
(
う
)
。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
此
屋上
(
やね
)
の雪は冬のうちしば/\掘のくる度々に、
木鋤
(
こすき
)
にてはからず
屋上
(
やね
)
を
損
(
そん
)
ずる㕝あり。我国の
屋上
(
やね
)
おほかたは
板葺
(
いたぶき
)
なり、屋根板は他国に
比
(
くらぶ
)
れば
厚
(
あつ
)
く
広
(
ひろ
)
し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
また
岩
(
いは
)
の
隙
(
す
)
き
間
(
ま
)
には、
青紫
(
あをむらさき
)
のちしまぎきょう、いはぎきょう、
花
(
はな
)
は
白梅
(
はくばい
)
に
似
(
に
)
て、
葉
(
は
)
は
豆
(
まめ
)
のように
厚
(
あつ
)
ぼつたいいはうめ、
鋸齒
(
のこぎりば
)
のある
腎臟形
(
じんぞうがた
)
の
葉
(
は
)
を
根元
(
ねもと
)
に
出
(
だ
)
して
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
一々
(
いち/\
)
名状
(
めいじやう
)
すべからず。大は口徑一尺餘。小は口徑一寸許り。
高
(
たか
)
さ
厚
(
あつ
)
さ亦區々なり。圖版中右の上に畫く所は
形状
(
けいじやう
)
を
主
(
しゆ
)
とす、大小の比例は必しも眞の如くならず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
端折
(
はしょり
)
を高く取って重ね
厚
(
あつ
)
の新刀を引き抜き、力に任せてプスーリ
一刀
(
いっとう
)
あびせ掛けましたから、惣次郎もひらりと身を転じて、脇差の柄に手を掛け抜こうとすると
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
で、
濱島
(
はまじま
)
は
此時
(
このとき
)
最早
(
もはや
)
此
(
この
)
船
(
ふね
)
を
去
(
さ
)
らんとて
私
(
わたくし
)
の
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
りて
袂別
(
わかれ
)
の
言葉
(
ことば
)
厚
(
あつ
)
く、
夫人
(
ふじん
)
にも
二言
(
ふたこと
)
三言
(
みこと
)
云
(
い
)
つた
後
(
のち
)
、その
愛兒
(
あいじ
)
をば
右手
(
めて
)
に
抱
(
いだ
)
き
寄
(
よ
)
せて、
其
(
その
)
房々
(
ふさ/″\
)
とした
頭髮
(
かみのけ
)
を
撫
(
な
)
でながら
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
鉄の
格子
(
こうし
)
はがんじょうで、目が細かかった。かべは三
尺
(
じゃく
)
(約一メートル)も
厚
(
あつ
)
みがあった。下のゆかは大きな石がしきつめてあった。ドアは厚い鉄板をかぶせてあった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
たいそう
厚
(
あつ
)
くて、美しいじゅうたんです。けれども、ニールスは、おしいことにひどく使い古してあるな、と思いました。じっさい、もうぼろぼろになっているのです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
その途端に侍の手が刀の
柄前
(
つかまえ
)
にかかったと思うと、
重
(
かさ
)
ね
厚
(
あつ
)
の大刀が
大袈裟
(
おおげさ
)
に左近を斬り倒した。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
疾
(
と
)
うから返したい/\と思ては居たがドウも
爾
(
そ
)
う行かずに、ヤッと今年は少し融通が付いたから、この二朱のお金を大阪屋に
持
(
もっ
)
て
行
(
いっ
)
て
厚
(
あつ
)
う礼を述べて返して来いと申して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
貴重品
(
きちようひん
)
を
一時
(
いちじ
)
井戸
(
ゐど
)
に
沈
(
しづ
)
めることあり。
地中
(
ちちゆう
)
に
埋
(
うづ
)
める
場合
(
ばあひ
)
は
砂
(
すな
)
の
厚
(
あつ
)
さ
五分
(
ごぶ
)
程
(
ほど
)
にても
有效
(
ゆうこう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
宗忠の持ってきた怪しげな縞毛布が、二人に一枚かけられてある。私は、彼らが手にとって見て、ゾッキ毛糸だと驚いた
厚
(
あつ
)
羅紗
(
らしゃ
)
の外套を着たまま、有合せの蒲団を恐る恐るかけた。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
一
枚
(
まい
)
一
枚
(
まい
)
名工
(
めいこう
)
がのみで
彫
(
ほ
)
ってつけたような、
厚
(
あつ
)
い
固
(
かた
)
い
感
(
かん
)
じで、
黒
(
くろ
)
と
見
(
み
)
えるほどの
濃緑色
(
のうりょくしょく
)
は、エナメルをぬったようにつややかで、
陽
(
ひ
)
のあたる
方
(
ほう
)
の
葉
(
は
)
は
眼
(
め
)
に
痛
(
いた
)
いくらい
光
(
ひかり
)
を
反射
(
はんしゃ
)
するのだ。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
羽二重
(
はぶたへ
)
の
小袖羽織
(
こそでばおり
)
に
茶宇
(
ちやう
)
の
袴
(
はかま
)
、それはまだ
驚
(
おどろ
)
くに
足
(
た
)
りないとして、
細身
(
ほそみ
)
の
大小
(
だいせう
)
は、
拵
(
こしら
)
へだけに四
百兩
(
ひやくりやう
)
からもかけたのを
帶
(
さ
)
してゐた。
鐺
(
こじり
)
に
嵌
(
は
)
めた
分
(
ぶ
)
の
厚
(
あつ
)
い
黄金
(
きん
)
が
燦然
(
さんぜん
)
として、
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
に
輝
(
かゞや
)
いた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
着
(
つ
)
けてもいいんだけれど、よく、ほら、街なんかに足なえの乞食がいるだろう、あの人達がね、膝の頭に袋を
嵌
(
は
)
めているのを思い出して厭なんだ。ぼろ布の
厚
(
あつ
)
ぽったい奴をくっ附けているのを
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
白粉
(
おしろい
)
厚
(
あつ
)
き
皺
(
しは
)
づらに
力
(
ちから
)
なく
啜
(
すす
)
り泣きつつ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
切
(
きつ
)
て
放
(
はな
)
して
急催促
(
きふさいそく
)
に
言譯
(
いひわけ
)
すべき
程
(
ほど
)
もなく
忽
(
たちま
)
ち
表向
(
おもてむ
)
きの
訴訟沙汰
(
そしようざた
)
とは
成
(
な
)
れりける
素
(
もと
)
松澤
(
まつざは
)
は
數代
(
すだい
)
の
家柄
(
いへがら
)
世
(
よ
)
の
信用
(
しんよう
)
も
厚
(
あつ
)
ければ
僅々
(
きん/\
)
千
(
せん
)
や
二千
(
にせん
)
の
金
(
かね
)
何方
(
いづかた
)
にても
調達
(
てうたつ
)
は
出來得
(
できう
)
べしと
世人
(
せじん
)
の
思
(
おも
)
ふは
反對
(
うらうへ
)
にて
玉子
(
たまご
)
の
四角
(
しかく
)
まだ
萬國博覽曾
(
ばんこくはくらんくわい
)
にも
陳列
(
ちんれつ
)
の
沙汰
(
さた
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
こんなに
厚
(
あつ
)
い葉
ゆづり葉
(新字旧仮名)
/
河井酔茗
(著)
盡
(
つく
)
すべしと
厚
(
あつ
)
く
諭
(
さと
)
されし上早速其所の地主嘉兵衞と其
家主
(
いへぬし
)
を呼寄られ城富を
引渡
(
ひきわた
)
しとなり
隨分
(
ずゐぶん
)
心付けつかはすべき由申付けられけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今
(
いま
)
のは
勝負
(
しょうぶ
)
なしにすんだので、
又
(
また
)
、四五
人
(
にん
)
のお
役人
(
やくにん
)
が、大きなお
三方
(
さんぽう
)
に
何
(
なに
)
か
載
(
の
)
せて、その上に
厚
(
あつ
)
い
布
(
ぬの
)
をかけて
運
(
はこ
)
んで
来
(
き
)
ました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
王
(
おう
)
さまは、その
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かれると、
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
われ、
厚
(
あつ
)
くおじいさんをいたわられて、
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せて
故郷
(
こきょう
)
へ
帰
(
かえ
)
してやられました。
珍しい酒もり
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「是は
何
(
なん
)
でせう」と云つて、
仰向
(
あほむ
)
いた。
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
には大きな
椎
(
しい
)
の木が、日の
目
(
め
)
の
洩
(
も
)
らない程
厚
(
あつ
)
い葉を
茂
(
しげ
)
らして、丸い
形
(
かたち
)
に、
水際
(
みづぎは
)
迄張り出してゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これらの
貝塚
(
かひづか
)
の
廣
(
ひろ
)
さは、
大
(
おほ
)
きなのになると
一町歩以上
(
いつちようぶいじよう
)
のものもあつて、
貝殼
(
かひがら
)
のつもつた
厚
(
あつ
)
さは
數尺以上
(
すうしやくいじよう
)
に
達
(
たつ
)
してをります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
それからもう
一
(
ひと
)
つ
道中
(
どうちゅう
)
姿
(
すがた
)
に
無
(
な
)
くてはならないのが
被衣
(
かつぎ
)
……
私
(
わたくし
)
は
生前
(
せいぜん
)
の
好
(
この
)
みで、
白
(
しろ
)
の
被衣
(
かつぎ
)
をつけることにしました。
履物
(
はきもの
)
は
厚
(
あつ
)
い
草履
(
ぞうり
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
幾抱
(
いくかか
)
えあるかわからないような
老木
(
ろうぼく
)
だ。まるで、
青羅紗
(
あおラシャ
)
の
服
(
ふく
)
でもきているように、一面に
厚
(
あつ
)
ぼったい
苔
(
こけ
)
がついていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此
屋上
(
やね
)
の雪は冬のうちしば/\掘のくる度々に、
木鋤
(
こすき
)
にてはからず
屋上
(
やね
)
を
損
(
そん
)
ずる㕝あり。我国の
屋上
(
やね
)
おほかたは
板葺
(
いたぶき
)
なり、屋根板は他国に
比
(
くらぶ
)
れば
厚
(
あつ
)
く
広
(
ひろ
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
こっちやこっちの方はガラスが
厚
(
あつ
)
いので、光る
粒
(
つぶ
)
すなわち星がたくさん見えその遠いのはぼうっと白く見えるという、これがつまり今日の
銀河
(
ぎんが
)
の
説
(
せつ
)
なのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
髯
(
ひげ
)
の
旦那
(
だんな
)
は、
眉
(
まゆ
)
の
薄
(
うす
)
い、
頬
(
ほゝ
)
の
脹
(
ふく
)
れた、
唇
(
くちびる
)
の
厚
(
あつ
)
い、
目色
(
めつき
)
の
嚴
(
いかつ
)
い
猛者構
(
もさがまへ
)
。
出尻
(
でつちり
)
で、ぶく/\
肥
(
ふと
)
つた四十ばかり。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
五寸
角
(
かく
)
の土台数十丁一寸
厚
(
あつ
)
みの
松板
(
まついた
)
数十枚は時を移さず、牛舎に運ばれた。もちろん大工を呼ぶ暇は無い。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
私がこのやうに見知らぬ人に、どうして斯う
厚
(
あつ
)
かましく話しかけるやうになれたか、自分にもよく分らなかつた。——この行動は私の性質と習慣に反してゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
いろ/\の
厚
(
あつ
)
き
待遇
(
もてなし
)
を
受
(
う
)
けた
後
(
のち
)
、
夜
(
よる
)
の八
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
になると、
當家
(
たうけ
)
の
番頭
(
ばんとう
)
手代
(
てだい
)
をはじめ
下婢
(
かひ
)
下僕
(
げぼく
)
に
至
(
いた
)
るまで、
一同
(
いちどう
)
が
集
(
あつま
)
つて
送別
(
そうべつ
)
の
催
(
もようし
)
をする
相
(
さう
)
で、
私
(
わたくし
)
も
招
(
まね
)
かれて
其
(
その
)
席
(
せき
)
へ
連
(
つら
)
なつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
髮
(
かみ
)
には
白
(
しろ
)
い
手拭
(
てぬぐひ
)
を
被
(
かぶ
)
つて
笠
(
かさ
)
の
竹骨
(
たけぼね
)
が
其
(
そ
)
の
髮
(
かみ
)
を
抑
(
おさ
)
へる
時
(
とき
)
に
其處
(
そこ
)
には
小
(
ちひ
)
さな
比較的
(
ひかくてき
)
厚
(
あつ
)
い
蒲團
(
ふとん
)
が
置
(
お
)
かれてある。さういふ
間隔
(
かんかく
)
を
保
(
たも
)
つて
菅笠
(
すげがさ
)
は
前屈
(
まへかゞ
)
みに
高
(
たか
)
く
据
(
す
)
ゑられるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
剣術遣は重ね
厚
(
あつ
)
の新刀を引抜いて三人が大生郷の鳥居前の所へびらつくのを
提
(
さ
)
げて出ましたから、大概な者は驚いて逃げるくらいでありますが、逃げなどは致しません
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
厚
常用漢字
小5
部首:⼚
9画
“厚”を含む語句
厚顔
濃厚
厚意
厚情
温厚
厚朴
厚重
重厚
厚化粧
厚氷
深厚
厚紙
厚誼
厚子
肉厚
厚切
厚塗
御厚情
厚皮
御厚誼
...