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念佛寮
日は
漸く
庭の
霜を
溶して
射し
掛けた。
彼は
不快な
朝を
目に
蹙めた
復たぽつさりと
念佛寮へ
窶れた
身を
運んだ。
彼は
田圃の
側へおりて
小徑を
行つた。
現今ではそれが
無く
成つたといふのは、一
度此の
地を
襲うた
暴風の
爲に、
厚い
草葺の
念佛寮はごつしやりと
潰された。
卯平は
念佛寮から
歸つて
來た
時どかりと
火鉢の
前に
坐つた。
彼は
勢ひづけられて
居た。
勘次は
例の
如く
遠ざかつた。