をさ)” の例文
蒙るいはれなしと一向に受をさめねば忠八は止事を得ず其意に隨ひ彼の印籠を請取うけとつかたちを改め是に就て尋ね申度事たきことあり右夫婦の者は此家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翌日よくじつ別當べつたう好意かういで、玄竹げんちく藥箱くすりばこあふひもんいた兩掛りやうがけにをさめ、『多田院御用ただのゐんごよう』のふだを、兩掛りやうがけけのまへはうふたててもらつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これをさまると、一時ひとしきりたゝきつけて、屋根やねかきみだすやうな風雨あめかぜつた。驟雨しううだから、東京中とうきやうぢうにはらぬところもあつたらしい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひと生血いきちをしぼりたるむくひか、五十にもらで急病きうびやう腦充血のうじうけつ、一あさ此世このよぜいをさめて、よしや葬儀さうぎ造花つくりばな派手はで美事みごとおくりはするとも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
林崎の両文庫にをさめて、学者としてのこゝろざしをも遂げたのだが、連年の飢饉、賤民の困窮を、目をふさいで見ずにはをられなかつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
のびやかで、ひっぱりげるような調子ちようしが、あるてんまでつて、ぴったりとちつきよくをさまつてゐるではありませんか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
室中しつちゆう以上いじやうは、なに見解けんげていしないわけかないので、やむをさまらないところを、わざとをさまつたやう取繕とりつくろつた、其場そのばかぎりの挨拶あいさつであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんどは石をにしきつゝんでくらをさ容易よういにはそとに出さず、時々出してたのしむ時は先づかうたいしつきよめるほどにして居た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それから短刀の鞘に壁土の荒木田あらきだの泥が附いて居たり、鞘の中に一度血刀ををさめた跡があつたり——傷口が二つあつたり、不思議な事ばかりだつたよ
へい/\有難ありがたぞんじます……(泣きながら伜に向つて)まア八百膳やほぜん御料理おれうりなぞをいたゞきますといふのは、これはおまへなんぞはのう、はじめのをさめだ
私は、窓臺の上へのぼつて、兩足を寄せて、マホメット教徒のやうにあぐらをかいた。さうして、赤い綿毛の窓掛カアテンを殆んど引いて、二重の隱れ場所にをさまつた。
ぶん入院料にふゐんれう前金まへきんをさめろですつて、今日けふ明日あすにもれない重態ぢうたい病人びやうにんだのに——ほんとに、キリストさま病院びやうゐんだなんて、何處どこまち病院びやうゐんちがところがあるんだ。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
根葉ねはからちけば、昨年こぞ今年ことしなてや、首里しゆりをさめならぬ、那覇なはをさめならぬ、御百姓おひやくしやうのまじりかつじにおよで、御願おねげてる御願おねげたかべてるたかべ、肝揃きもそろてゝ、肝揃きもそろげは
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
かようなつかは、こればかりでなく、そのおひ/\とおなじようなきんかんむりをさめられたのがたくさんあらはれました。あの鳳凰臺ほうおうだいみなみほうちひさいつかからも金冠きんかんたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
をもつて歐洲をうしうぼう強國きやうこく結托けつたくして、年々ねん/\五千萬弗まんどるちか賄賂わいろをさめてために、かへつて隱然いんぜんたる保護ほごけ、をりふしそのふね貿易港ぼうえきかう停泊ていはくする塲合ばあひには立派りつぱ國籍こくせきいうするふねとして
一時は學校のかへりに球突塲たまつきばつて來ないと虫がをさまらないやうなねつふりだつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一二二物のはじめにいなみなんは一二三さがあしければとて、とりてをさむ。今夜こよひはここにあかさせ給へとて、一二四あながちにとどむれど、まだ一二五ゆるしなき旅寝は、親の一二六つみし給はん。
鉄蔵 ぢや、をさめに食つてやらあ。
幻覚げんかくをさまると、朱紅しゆべにのやうに
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
のかはり、昨日きのふ下百姓したびやくしやうからをさめました、玄麥くろむぎ五斗ごとござんしたね、驢馬ろば病氣びやうきをしてます、代驢磨麺贖罪ろにかはつてめんをましつみをあがなはしめん」とふ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見廻みまはつひはなしに身がいり大分だいぶんふけたり嘸々さぞ/\草臥くたびれしならん今夜は寛々ゆる/\と休むがよしと漸々盃盞さかづきをさめ女どもに云付て寢床ねどこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さうして下男げなんには、菱形ひしがたの四かくへ『』の合印あひじるしのいた法被はつぴせてくれた。兩掛りやうがけの一ぱうには藥箱くすりばこをさめ、の一ぱうには土産物みやげものはひつてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
切つたつて、をさまるものは納まり、納まらないものは納まりません。それより何も彼も打明けて、此處まで追ひ込んだ奧方の御難儀を救ふ氣になりませんか
へえ有難ありがたぞんじます、只今たゞいまつゑを持つてまゐりませう。近「もうつゑらねえから薬師やくしさまへをさめてきな。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そしておはかなかにほんとうの刀子とうすをさめたばかりでなく、いしでつくつた刀子とうすで、ちょっとるとなんのかたちだかわからぬかたちをしたものをも、たくさんうづめたのでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しのばゞ何處いづくことなくをさまるべきなり何氣なにげなきじようさまが八重やへ八重やへやと相談相手はなしあひてあそばすを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
宗助そうすけ御米およね批評ひひやうに、同意どうい不同意ふどういへうしなかつた。んだ手紙てがみをさめて、げるやうにそこへはふして、四五日目にちめになる、ざら/\したあごを、氣味きみわるさうにまはした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから事務所じむしよつていままでゐたんですが、施療せれう村役場むらやくば證明書しようめいしよのない患者くわんじやには絶對ぜつたいにできない規定きていだといふんです。だから十ぶん入院料にふゐんれう前金ぜんきん即時そくじをさめろといふんです。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
進歌しんか律呂りつりよをさ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
土地とちんで、もうまち成立せいりつわすれ、開墾かいこん当時たうじ測量器具そくりやうきぐなどのをさめた、由緒ゆいしよある稲荷いなりやしろさへらぬひとおほからうか、とおもふにつけても。——
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お宮へ行けば、鏑矢の一本や二本は何處にでも奉納してあるよ。深川の三十三間堂へ行つて見ねえ、半堂や四半堂に使ふ、子供づかひの鏑矢までをさめてあるぜ。毒を
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
浮川竹うきかはたけとやらへおしづめ下されいさゝかにてもお金にかへらるゝ物ならば此身は何樣いかやう艱難かんなんを致し候も更々さら/\いとひ申さねば何卒此身を遊女いうぢよに御賣成うりなされ其お金にて御年貢ねんぐをさめ方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本心ほんしんにはるまじきふみ趣向しゆかう案外あんぐわいのことにて拍子へうしよくき、文庫ぶんこをさたまひしとはがもの、と一たびいさみけるが、それよりのち幾度いくど幾通いくつうかきおくりしふみに一たび返事へんじもなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
またそれらのかゞみをおはかれるときには、はじめはふくろのようなものにをさめてれたに相違そういなく、いま發見はつけんされるかゞみはしくさつたぬののはしがいてゐるのをても、それをることが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
度々たび/\みません。——御免ごめんなさいましよ。」と、やつと佛壇ぶつだんをさめたばかりの位牌ゐはいを、内中うちぢうで、こればかりは金色こんじきに、キラリと風呂敷ふろしきつゝとき
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それで、萬事無事にをさまりませう。それでは、くれ/″\もお願申上げます」
ひとにもせずおとさぬやう御覽ごらんれろと吾助ごすけひしは、よりもきに相違さうゐはなし、是非ぜひ人形にんぎやうたまはれとて手渡てわたしするに、何心なにごヽろなくらきていちぎやうよむとせしが、物言ものいはずたヽみて手文庫てぶんこをさめれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たび道連みちづれが、立場たてばでも、また並木なみきでも、ことば掛合かけあうちには、きつことがなければをさまらなかつたほどであつたのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「それくらゐのことを言つたんぢや、腹の蟲がをさまりませんよ」
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
しかりつけられて我知われしらずあとじさりする意氣地いくぢなさまだしもこほる夜嵐よあらし辻待つじまち提燈ちやうちんえかへるまであんじらるゝは二親ふたおやのことなりれぬ貧苦ひんくめらるゝと懷舊くわいきうじやうのやるかたなさとが老體らうたいどくになりてやなみだがちにおなじやうなわづらかたそれも御尤ごもつともなりわれさへ無念むねんはらわたをさまらぬものを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いや/\、それはそれ、これはこれ、たゞ些少ほんこゝろざしですから。……さあ/\わかしうかるをさめて。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「俺の字ぢやをさまらない事があるんだ」
小刀こがたなふくろをさめて、頤杖あごづゑしてつて老爺ぢいは、雪枝ゆきえ作品さくひんえて煙管きせるくはえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「で、そのをさまりはどうなつたんだ」
こひねがはくは駕籠かご二挺にちやうならべて、かむろに掻餅かきもちかせながら、鈴鹿越すゞかごえをしたのであると、をさまりかへつたおらんだ西鶴さいかくむかうに𢌞まはして、京阪成金かみがたなりきん壓倒あつたふするにらうとおもふ。……
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それがどうをさまつた」
機会をりもなくつて、それからひさしぶりのたびに、はじめてバスケツトにをさめたのである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もとのはこをさめましたことをはゞかりながらまをでます。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふたゝ時計とけいをさめて
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)