)” の例文
ちょうどこのとき、うまくるまかせ、いしんでさかのぼりかけているおとこました。どこからきたものか、ひとうまつかれていました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
日の暮れ/″\に手車てぐるまの諸君も着いた。道具どうぐの大部分は土間に、残りは外にんで、荷車荷馬車の諸君は茶一杯飲んで帰って行った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
相当そうとう修行しゅぎょうんだら、一しょむとか、まないとかもうすことは、さして苦労くろうにならないようになってしまうのではないでしょうか。
りますとも、だい一、品川しながはちかくでは有名ゆうめい權現臺ごんげんだいといふところります。其所そこなんぞは大變たいへんです、んな破片はへんやまやうんでります
おじいさんがわざと、「あそこに。」といって、こうにんであるしばをゆびさしますと、山姥やまうばはいきなりそのしばにきつきました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたしはパリからヴァルセまで、それからヴァルセからユッセルまで、一スー一スーとこれだけの金をみたてたことを説明せつめいした。
と、自在鉤じざいかぎかっている下には、つい昨夜さくや焚火たきびをしたばかりのように新しいはいもり、木のえだえさしがらばっていた。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そこで土間どまつかへて、「ういふ御修行ごしゆぎやうんで、あのやうに生死しやうじ場合ばあひ平氣へいきでおいでなされた」と、恐入おそれいつてたづねました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
佐平はこう言って滅多めったに下げたことの無い頭を下げて頼んだ。自分の見透している藤沢の秘密な計畫を、みんな話してやるもりだった。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
このときし地下室をのぞいていた者があったとしたら、すみんだ空樽あきだるの山がすこし変にじれているのに気がついたであろう。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
代助と軌道レールあひだには、つちいしんだものが、たかい土手の様にはさまつてゐた。代助ははじめて間違まちがつた所につてゐる事を悟つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじ自分じぶん壁際かべぎはにはたきゞが一ぱいまれてある。そのうへ開墾かいこん仕事しごとたづさはつてなんといつてもたきゞ段々だんだんえてくばかりである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いままをした古墳こふんみな圓塚まるづかでありまして、そのなかうるしつたかんうづめ、そのうへおほきな石塊いしころつゝんだものであります。これをいしづかといひます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのぜにを一手に引受ひきうけ海外の市場に輸出しおおいもうけんとして香港ホンコンに送りしに、陸揚りくあげの際にぜにみたる端船たんせん覆没ふくぼつしてかえって大にそんしたることあり。
ハワイ土人どじんはこれをパホエホエしきんゐでゐる。こーくすじよう鎔岩ようがん中央火口丘ちゆうおうかこうきゆうから噴出ふんしゆつせられて、それ自身じしん形體けいたいげてくことがおほい。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
きのうのおまつりに、氏子うじこがあげた物であろう。三方さんぽうの上に、うずたかく、大げさにいえば、富士ふじの山ほどんであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頃しも冬の最中だから眼にはいる青い物の影もなく、見渡すかぎりの土のうねり……ところどころのわらに水底のような冷えた陽がうっすらと照った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
車は謙作をんで走りだした。街路とおりから街路とおりを休みなしに往ったが、旅館やどやがないのかちっとも止まらなかった。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
向うにも一つたきがあるらしい。うすぐろい岩の。みんなそこまで行こうと云うのか。草原があって春木もんである。ずいぶんのぼったぞ。ここは小さなだんだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さて稽古けいこんで、おのれの工夫くふう真剣しんけんになる時分じぶんから、ふとについたのは、良人おっと居間いま大事だいじにたたんでいてある、もみじをらした一ぽん女帯おんなおびだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
(四二)あるひいはく、(四三)天道てんだうしんく、つね善人ぜんにんくみすと。伯夷はくい叔齊しゆくせいごときは、善人ぜんにんものか。じんおこなひいさぎようし、かくごとくにして餓死がしせり。
A ラヴレターならむかしから、うまんだら七駄半だはんなんて先例せんれいがあるんだけれど、母親はゝおや毎日まいにちかさずはまつた感心かんしんだね。けだ葉書利用法はがきりようはふ最上乘さいじやうじようなるものかね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
仕方しかたがない……しく此餅これみんなさらんでの……さアうか不味つまらない物だが子供衆こどもしうげてください。
もう下の方を見まわしても、かさなった山やとおい野が少し見えるきりで、初めのようなうつくしい景色けしきにはいりませんでした。薄黒うすぐろくもがすぐ前をんで行きました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
『あァ!それで甚公じんこう煙突えんとつりてたんだわ?』とあいちやんは獨語ひとりごとつて、『オヤ、みんなが甚公じんこううへなにんでるわ!わたしなが甚公じんこうところにはまい。 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
依右衛門、金さえめば、どんな無理でも通ると思って居るから豪儀ごうぎでしょう、目黒の尼——通善の親許から嫁入先へ、存分な付け届けをしたから、プツリとも文句を
おちたるもおちたるもした敷石しきいし模樣もやうがへのところありて、ほりおこしてみたてたる切角きりかど頭腦づのうしたゝかちつけたれば甲斐かひなし、あはれ四十二の前厄まへやく人々ひと/″\のちおそろしがりぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自然——けれど、どうしてわたしの泥をこねかえし、わたしの肥料ごえをひっくりかえすんだ……。
それは田舎いなかなつのいいお天気てんきことでした。もう黄金色こがねいろになった小麦こむぎや、まだあお燕麦からすむぎや、牧場ぼくじょうげられた乾草堆ほしくさづみなど、みんなきれいなながめにえるでした。
貧福をいはず、ひたすら善をまん人は、その身に来らずとも、子孫はかならず幸福さいはひべし。一〇三宗廟そうべうこれをけて子孫これをたもつとは、此のことわりの細妙くはしきなり。
ヘンゼルとグレーテルとで、そだをはこんで来て、そこに山とみあげました。そだの山に火がついて、ぱあっと高く、ほのおがもえあがると、おかみさんがいいました。
そこへくとぢいやのつたがありました。松葉まつばんだのもありました。ぢいやはその背負しよつたり、松葉まつば背負しよつたりして、おうち木小屋きごやはうかへつてるのでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
先づ底面を作り其上に紐形にしたる土を乘せ、周圍しうゐふて之を段々に螺旋状にみ上げ、内外兩面をなめらかにりて全形を仕上げ、後種々の裝飾をほどこしてけたるならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
右一行中小西技師は躰量たいりやう二十三貫の大躯たいくなれ共つねに県下巡回じゆんくわいめ山野の跋渉ばつせうれ、余のごときはと山間のさんにしてくわふるに博物採集はくぶつさいしうめ深山幽谷を跋渉はつせうするの経験けいけん
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
一階に足をふみ入れると同時に、ゆかの上に高くんであった穀物こくもつのにおいが、プーンとにおってきました。けれども、いまはまだこの戦利品せんりひんたのしんでいるときではありません。
あきのさびしさかなしさのわからぬものは、文學者ぶんがくしやでないとぢてゐたのです。それはかういふうたがいくつもかさなつた結果けつかあきかなしいものだといふ約束やくそく出來できてしまつたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
噸數とんすう一千とんくらゐ二本にほん烟筒えんとつ二本にほんマストその下甲板げかんぱんには大砲たいほう小銃等せうじうとうめるにやあらん。いぶかしきまで船脚ふなあしふかしづんでえたそのふねが、いま闇黒あんこくなる波浪なみうへ朦朧ぼんやりみとめられたのである。
郵便局の前には為替かわせを受け取りに来た若い女が立っているし、呉服屋の店には番頭と小僧とがかたまって話をしているし、足袋たび屋の店には青縞と雲斎織うんさいおりとがみ重ねられたなかで
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
私は憂鬱になつてしまつて、自分が拔いたままかさねた本のぐんながめてゐた。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
農業には藁類の堆肥たいひがひつようであって、三種の麦稈などは、った年のものをごえにするよりも、さんざんに雨に打たせ煙にいぶして、もろくくだけやすくなったもののほうがよかった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
〔評〕兵數はいづれかおほき、器械きかいは孰れかせいなる、糧食りやうしよくは孰れかめる、この數者を以て之をくらべば、薩長さつちやうの兵は固より幕府に及ばざるなり。然り而して伏見ふしみの一戰、東兵披靡ひびするものは何ぞや。
壁際かべぎわや、暖炉だんろ周辺まわりには病院びょういんのさまざまの雑具がらくた古寐台ふるねだいよごれた病院服びょういんふく、ぼろぼろの股引下ズボンしたあおしま洗浚あらいざらしのシャツ、やぶれた古靴ふるぐつったようなものが、ごたくさと、やまのようにかさねられて
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
どろのやうにぱらはせた兵士へいしらを御用船ごようせんみ込んでおくさうと
右の足を左の足にのせにけりまだもむべしこの夜半の雪は
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いや ロケットに食糧しよくれうみこまなければ!
金貨きんかが山とまれていました。
かかるゆふべのかさねに
名護がよひたきゞむ舟
舟夫 (新字旧仮名) / 渡久山水鳴(著)
そして、ゆきもってみちのついていないときには、郵便ゆうびんやまがれまいとおもって、むらのおけまでていってつこともありました。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これからわしもうすところをきいて、十ぶん修行しゅぎょうまねばならぬ。わし産土うぶすなかみからつかわされたそち指導者しどうしゃである、ともうしきかされた。