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階
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かい
ふりがな文庫
“
階
(
かい
)” の例文
近所
(
きんじょ
)
の
家
(
いえ
)
の二
階
(
かい
)
の
窓
(
まど
)
から、
光子
(
みつこ
)
さんの
声
(
こえ
)
が
聞
(
き
)
こえていた。そのませた、
小娘
(
こむすめ
)
らしい
声
(
こえ
)
は、
春先
(
はるさき
)
の
町
(
まち
)
の
空気
(
くうき
)
に
高
(
たか
)
く
響
(
ひび
)
けて
聞
(
き
)
こえていた。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上杉
(
うへすぎ
)
の
隣家
(
となり
)
は
何宗
(
なにしう
)
かの
御梵刹
(
おんてら
)
さまにて
寺内
(
じない
)
廣々
(
ひろ/\
)
と
桃
(
もゝ
)
櫻
(
さくら
)
いろ/\
植
(
うゑ
)
わたしたれば、
此方
(
こなた
)
の二
階
(
かい
)
より
見
(
み
)
おろすに
雲
(
くも
)
は
棚曳
(
たなび
)
く
天上界
(
てんじやうかい
)
に
似
(
に
)
て
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼
(
かれ
)
は、
東京
(
とうきょう
)
へきてから、ある
素人家
(
しろうとや
)
の二
階
(
かい
)
に
間借
(
まが
)
りをしました。そして、
昼間
(
ひるま
)
は
役所
(
やくしょ
)
へつとめて、
夜
(
よる
)
は、
夜学
(
やがく
)
に
通
(
かよ
)
ったのであります。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「二
階
(
かい
)
に
寝
(
ね
)
ればねずみがさわぐ。
臼
(
うす
)
の
中
(
なか
)
はくもの
巣
(
す
)
だらけ。
釜
(
かま
)
の中は
温
(
あたた
)
かで、
用心
(
ようじん
)
がいちばんいい。そうだ、やっぱり
釜
(
かま
)
の中に
寝
(
ね
)
よう。」
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
金十郎は
階
(
かい
)
ノ間に通って、几帳の奥にいる方に進物の口上を披露するのだが、行く先々で
見物
(
みもの
)
にされるのでやつれてしまった。
奥の海
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
勿論彼は
密送前
(
みつそうまへ
)
から本葬にかゝるまで十
日
(
か
)
の
余
(
よ
)
も、
嫂
(
あによめ
)
の弟に
当
(
あた
)
る人の
家
(
いへ
)
の二
階
(
かい
)
の
離
(
はな
)
れに
閉籠
(
とぢこも
)
つてゐて
叮重
(
ていちやう
)
にされゝばされるほど気が痛んだ。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「いいか、
朝食
(
ちょうしょく
)
を二人まえ
用意
(
ようい
)
して、ここまでもってきなさい。そしてわしが
呼
(
よ
)
ぶまで、二
階
(
かい
)
へかってにくることはならんよ。わかったな」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
傍
(
そば
)
の
窓
(
まど
)
をあけて
上氣
(
じやうき
)
した
顏
(
かほ
)
を
冷
(
ひや
)
しながら
暗
(
くら
)
いそとを
見
(
み
)
てゐると、一
間
(
けん
)
ばかりの
路次
(
ろじ
)
を
隔
(
へだ
)
ててすぐ
隣
(
となり
)
の
家
(
うち
)
の
同
(
おな
)
じ二
階
(
かい
)
の
窓
(
まど
)
から
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そこで、お姫さまは、しかたなしに、カエルを二本の指でつまんで、二
階
(
かい
)
のおへやにつれていって、すみっこにおきました。
カエルの王さま:または鉄のハインリッヒ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
登らんとする
岩
(
いわお
)
の
梯子
(
ていし
)
に、自然の枕木を敷いて、踏み心地よき幾級の
階
(
かい
)
を、
山霊
(
さんれい
)
の
賜
(
たまもの
)
と甲野さんは息を切らして
上
(
のぼ
)
って行く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
入
(
い
)
らつしやいまし。」と
若
(
わか
)
い
女中
(
ぢよちゆう
)
が
上
(
あが
)
り
口
(
ぐち
)
の
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
膝
(
ひざ
)
をつき、
出
(
だ
)
してあるスリツパを
揃
(
そろ
)
へ、「どうぞ、お二
階
(
かい
)
へ。
突当
(
つきあた
)
りが
明
(
あ
)
いてゐます。」
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
予はヹツクチオ邸の
階
(
かい
)
を昇つて、※ンチとミケランゼロ二人の意匠に成つた「五百人の広間」の
色
(
いろ
)
大理石の装飾
其他
(
そのた
)
を
観
(
み
)
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
山
(
やま
)
を
切
(
き
)
り
崩
(
くづ
)
して、それに
引添
(
ひきそ
)
ふやうに
建
(
た
)
てられたこの
家
(
いへ
)
の二
階
(
かい
)
からは、
丁度
(
ちやうど
)
迫
(
せま
)
らぬ
程度
(
ていど
)
にその
斜面
(
しやめん
)
と
空
(
そら
)
の一
部
(
ぶ
)
とが、
仰臥
(
ぎやうぐわ
)
してゐる
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
に
入
(
はい
)
つて
來
(
く
)
る。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
伽藍
(
がらん
)
のうちから次々に席を立って退出してゆく人々は、
階
(
かい
)
を降りて、もういっぺん廻廊にある彼のすがたへ、挨拶してゆくか、黙礼をして散って行った。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
して藤助の處へ
行
(
ゆく
)
と番頭は何をして居ると尋ねらるゝに
小僧
(
こぞう
)
アノ藤助さんの
方
(
はう
)
へ
行
(
ゆく
)
と久兵衞さんは
直
(
すぐ
)
に二
階
(
かい
)
へ
上
(
あが
)
りお
民
(
たみ
)
さんと云ふ
美麗
(
うつくしい
)
姉
(
ねえ
)
さんと何だか
咄
(
はな
)
しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其入口
(
そのいりくち
)
にはぴか/\した
眞鍮
(
しんちゆう
)
の
表札
(
へうさつ
)
に『
山野兎
(
やまのうさぎ
)
』と
其名
(
そのな
)
が
彫
(
ほ
)
りつけてありました、
愛
(
あい
)
ちやんは
聲
(
こゑ
)
もかけずに二
階
(
かい
)
へ
駈
(
か
)
け
上
(
あが
)
りました、
眞實
(
ほんと
)
の
梅子
(
うめこ
)
さんに
逢
(
あ
)
つて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ちっとも
速
(
はや
)
く
返事
(
へんじ
)
が
聞
(
き
)
き
度
(
た
)
くて、
帳場格子
(
ちょうばこうし
)
と二
階
(
かい
)
の
間
(
あいだ
)
を、九十九
度
(
ど
)
も
通
(
かよ
)
った
挙句
(
あげく
)
、とうとう
辛抱
(
しんぼう
)
が
出来
(
でき
)
なくなったばっかりに、ここまで
出向
(
でむ
)
いて
来
(
き
)
た
始末
(
しまつ
)
さ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
軈
(
やが
)
て二
階
(
かい
)
に
寐床
(
ねどこ
)
を
慥
(
こしら
)
へてくれた、
天井
(
てんじやう
)
は
低
(
ひく
)
いが、
梁
(
うつばり
)
は
丸太
(
まるた
)
で
二抱
(
ふたかゝへ
)
もあらう、
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
から
斜
(
なゝめ
)
に
渡
(
わた
)
つて
座敷
(
ざしき
)
の
果
(
はて
)
の
廂
(
ひさし
)
の
処
(
ところ
)
では
天窓
(
あたま
)
に
支
(
つか
)
へさうになつて
居
(
ゐ
)
る、
巌丈
(
がんぢやう
)
な
屋造
(
やづくり
)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
光吉
(
こうきち
)
のかたい決心に動かされて、母はかれをつれて、二
階
(
かい
)
のマーケットの
事務所
(
じむしょ
)
へあがっていった。
美しき元旦
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
二
階
(
かい
)
と謂ツても、
眞
(
ほ
)
ンの六
畳
(
でふ
)
一
(
ひ
)
と
室
(
ま
)
で、一
間
(
けん
)
の
押入
(
おしいれ
)
は付いてゐるが、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
もなければ
椽
(
えん
)
も無い。何のことはない
箱
(
はこ
)
のやうな
室
(
へや
)
で、たゞ南の方だけが中窓になツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
工芸
(
こうげい
)
学校の先生は、まず
昔
(
むかし
)
の古い
記録
(
きろく
)
に
眼
(
め
)
をつけたのでした。そして
図書館
(
としょかん
)
の二
階
(
かい
)
で、毎日黄いろに古びた
写本
(
しゃほん
)
をしらべているうちに、
遂
(
つい
)
にこういういいことを
見附
(
みつ
)
けました。
紫紺染について
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
勘次
(
かんじ
)
はどうも
卯平
(
うへい
)
が
厭
(
いや
)
で
且
(
か
)
つ
怖
(
おそ
)
ろしくつて
仕
(
し
)
やうがないので
少
(
すこ
)
し
身體
(
からだ
)
が
恢復
(
くわいふく
)
しかけると
皆
(
みんな
)
が
田
(
た
)
へ
出
(
で
)
た
後
(
あと
)
でそつと
拔
(
ぬ
)
けて
村
(
むら
)
の
中
(
うち
)
の
姻戚
(
みより
)
の
處
(
ところ
)
へ
行
(
い
)
つて
板藏
(
いたぐら
)
の二
階
(
かい
)
へ
隱
(
かく
)
れて
寢
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
家の
中
(
ちう
)
二
階
(
かい
)
は川に臨んで居た。
其処
(
そこ
)
にこれから
発
(
た
)
たうとする一家族が船の準備の出来る間を集つて待つて居た。七月の暑い
日影
(
ひかげ
)
は岸の竹藪に
偏
(
かたよ
)
つて流るゝ
碧
(
あを
)
い瀬にキラキラと照つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
やがて
二人
(
ふたり
)
は、あるレストランドの二
階
(
かい
)
の一
隅
(
すみ
)
に
腰
(
こし
)
をおろした。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
公園の
石
(
いし
)
の
階
(
かい
)
より長崎の
街
(
まち
)
を見にけりさるすべりのはな
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
絶頂
(
ぜつちやう
)
の
階
(
かい
)
までも、
天
(
てん
)
までも
上
(
のぼ
)
る
往來
(
ゆきき
)
の道となりて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
此時
(
このとき
)
ヂュリエット二
階
(
かい
)
の
窓
(
まど
)
に
現
(
あらは
)
るゝ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
大理石の
階
(
かい
)
を
降
(
くだ
)
り
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
父
(
とう
)
さんの
祖母
(
おばあ
)
さんの
隱居所
(
いんきよじよ
)
になつて
居
(
ゐ
)
た二
階
(
かい
)
と
土藏
(
どざう
)
の
間
(
あひだ
)
を
通
(
とほ
)
りぬけて、
裏
(
うら
)
の
木小屋
(
きごや
)
の
方
(
はう
)
へ
降
(
おり
)
て
行
(
ゆ
)
く
石段
(
いしだん
)
の
横
(
よこ
)
に、その
井戸
(
ゐど
)
がありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、さっそく、二
階
(
かい
)
へ
上
(
あ
)
がっていって、
窓
(
まど
)
ぎわに
立
(
た
)
ちましたけれど、
脊
(
せ
)
が
低
(
ひく
)
くて、
二郎
(
じろう
)
は、
屋根
(
やね
)
の
上
(
うえ
)
をのぞくことができませんでした。
びっこのお馬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
同
(
おな
)
じかくれるにしても、二
階
(
かい
)
の
方
(
ほう
)
が
用心
(
ようじん
)
がいい。」と
思
(
おも
)
って、
馬吉
(
うまきち
)
は二
階
(
かい
)
に
上
(
あ
)
がって、そっとすすだらけな
畳
(
たたみ
)
の上にごろりと
横
(
よこ
)
になりました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
大路
(
おほぢ
)
の
柳
(
あなぎ
)
月
(
つき
)
のかげに
靡
(
なび
)
いて
力
(
ちから
)
なささうの
塗
(
ぬ
)
り
下駄
(
げた
)
のおと、
村田
(
むらた
)
の二
階
(
かい
)
も
原田
(
はらだ
)
の
奧
(
おく
)
も
憂
(
う
)
きはお
互
(
たが
)
ひの
世
(
よ
)
におもふ
事
(
こと
)
多
(
おほ
)
し。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この男、京都にいたことがあるとみえて、
旗亭
(
きてい
)
の二
階
(
かい
)
から首をだして、そのながめを大文字山の火祭に
見立
(
みた
)
てた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行水
(
ぎょうずい
)
でもつかうように、
股
(
もも
)
の
付根
(
つけね
)
まで
洗
(
あら
)
った
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
が、
北向
(
きたむき
)
の
裏
(
うら
)
二
階
(
かい
)
にそぼ
降
(
ふ
)
る
雨
(
あめ
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
きながら、
徳太郎
(
とくたろう
)
と
対座
(
たいざ
)
していたのは、それから
間
(
ま
)
もない
後
(
あと
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
三四郎は寐巻の
上
(
うへ
)
へ羽織を引掛けて、窓を
明
(
あ
)
けた。風は大分
落
(
お
)
ちてゐる。向ふの二
階
(
かい
)
屋
(
や
)
が風の鳴るなかに、真黒に見える。
家
(
いへ
)
が黒い程、
家
(
いへ
)
の
後
(
うしろ
)
の
空
(
そら
)
は
赤
(
あか
)
かつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
、おかみさんが、二
階
(
かい
)
の
小部屋
(
こべや
)
へはいっていると、
女
(
おんな
)
の
子
(
こ
)
もついて
来
(
き
)
て、こう
言
(
い
)
いました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
したの又
渠
(
かれ
)
は
無學文盲
(
むがくもんまう
)
の何も知らぬ山師醫者の
元締
(
もとじめ
)
なりなど
湯屋
(
ゆや
)
の二
階
(
かい
)
髮結床
(
かみゆひどこ
)
などにて長庵の
惡評
(
あくひやう
)
を
聞
(
きく
)
も
夏蠅
(
うるさき
)
ばかりなれば果は
命
(
いのち
)
の入ぬのか又は
死
(
しに
)
たく思ふ人は長庵の
藥
(
くすり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
全く
惡
(
わる
)
くないね。
間数
(
まかず
)
はと?
僕
(
ぼく
)
の
書斎
(
しよさい
)
兼
(
けん
)
用の客
間
(
ま
)
に君の
居間
(
ゐま
)
、
食堂
(
しよくだう
)
に四
疂
(
でふ
)
半ぐらゐの子
供
(
ども
)
部屋
(
べや
)
が一つ、それで
沢
(
たく
)
山だが、もう一つ
余
(
よ
)
分な
部屋
(
へや
)
が二
階
(
かい
)
にでもあれば申分なしだね。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それでおつぎを
連
(
つ
)
れて、
提灯
(
ちやうちん
)
を
點
(
つ
)
けて
竊
(
ひそか
)
に
土藏
(
どざう
)
の二
階
(
かい
)
へ
昇
(
のぼ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かなた、
階
(
かい
)
は
階
(
かい
)
を
重
(
かさ
)
ね
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
それから、
幾
(
いく
)
十
年
(
ねん
)
……たったことでしょう。ある
町
(
まち
)
の二
階
(
かい
)
を
借
(
か
)
りて、
年
(
とし
)
とった
男
(
おとこ
)
が、
鳥
(
とり
)
と
二人
(
ふたり
)
でさびしい
生活
(
せいかつ
)
をしていました。
あほう鳥の鳴く日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんがおよめに
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
の
古
(
ふる
)
い
長持
(
ながもち
)
から、お
前達
(
まへたち
)
の
祖父
(
おぢい
)
さんの
集
(
あつ
)
めた
澤山
(
たくさん
)
な
本箱
(
ほんばこ
)
まで、その
藏
(
くら
)
の二
階
(
かい
)
にしまつて
有
(
あ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
眠
(
ねむ
)
くなった。
今夜
(
こんや
)
はどこに
寝
(
ね
)
ようかな、
臼
(
うす
)
の中にしようか。
釜
(
かま
)
の中にしようか。下に
寝
(
ね
)
ようか。二
階
(
かい
)
に
寝
(
ね
)
ようか。そうだ、
涼
(
すず
)
しいから二
階
(
かい
)
に
寝
(
ね
)
よう。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
と、ひとりの尼、真白い全身に
尺布
(
しゃくふ
)
もまとわず、赤裸の観世音かと見ゆるばかり、
凛
(
りん
)
として
階
(
かい
)
の上に立ち、微妙の霊音ともひびく声を張って大衆の中へ云った。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或
(
あ
)
る
夜
(
よ
)
の
月
(
つき
)
に
下坐敷
(
したざしき
)
へは
何處
(
どこ
)
やらの
工塲
(
こうば
)
の一
連
(
む
)
れ、
丼
(
どんぶり
)
たゝいて
甚
(
じん
)
九かつぽれの
大騷
(
おほさは
)
ぎに
大方
(
おほかた
)
の
女子
(
おなご
)
は
寄集
(
よりあつ
)
まつて、
例
(
れい
)
の二
階
(
かい
)
の
小坐敷
(
こざしき
)
には
結城
(
ゆふき
)
とお
力
(
りき
)
の
二人限
(
ふたりぎ
)
りなり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
奪ひ取たる事
松葉屋
(
まつばや
)
の二
階
(
かい
)
にて平四郎
手負
(
ておひ
)
ながら
白状
(
はくじやう
)
に及び
殊
(
こと
)
に源八は本人なりと申たりサア
未練
(
みれん
)
らしく
隱
(
かく
)
すなと申されしかば兩人共一言の
答
(
こた
)
へもなく居たりしかば大岡
殿
(
どの
)
詞
(
ことば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そう、
思
(
おも
)
った
松江
(
しょうこう
)
は、
次
(
つぎ
)
の
座敷
(
ざしき
)
まで
立
(
た
)
って
行
(
い
)
って、
弟子
(
でし
)
のいる
裏
(
うら
)
二
階
(
かい
)
へ
声
(
こえ
)
をかけた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
朧
氣
(
け
)
な
記憶
(
きおく
)
を
辿
(
たど
)
れば、久保田さんのは
私
(
わたし
)
も二三
度
(
ど
)
一緒に行つた事のある、
淺
(
あさ
)
草の十二
階
(
かい
)
近
所
(
しよ
)
の球
突塲
(
つきば
)
を
背景
(
はいけい
)
にしたもので、そこに久保田さん
獨特
(
どくとく
)
の
義理
(
ぎり
)
人
情
(
ぜう
)
の
世界
(
せかい
)
を扱つてあつたやうに
思
(
おも
)
ふ。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
こうして、お
城
(
しろ
)
の
庭
(
にわ
)
で大がかりな火がたかれました。この火のなかで、お妃さまが
焼
(
や
)
き
殺
(
ころ
)
されることになったのです。王さまは二
階
(
かい
)
の
窓
(
まど
)
ぎわに立って、
涙
(
なみだ
)
ながらにこのありさまをながめていました。
十二人兄弟
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
二人
(
ふたり
)
は、二
階
(
かい
)
のまどから、かきの
木
(
き
)
を
見
(
み
)
ながらいろいろ
考
(
かんが
)
えつづけていました。そして、
早
(
はや
)
く
家
(
いえ
)
へかえって、あそびたいなと
思
(
おも
)
ったのです。
赤土へくる子供たち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“階”の意味
《名詞》
(カイ)多数の層からなる建築物においてそれぞれの層もこと。
(カイ)階段のこと。きざはし、きだはし。
(カイ)官吏の序列。位階。
(出典:Wiktionary)
“階”の解説
階(かい、en: floor、イギリス英語:storey、アメリカ英語:story、英語:level, deck)は、多数の層からなる建築物におけるそれぞれの層である。建築物の層を数える助数詞としても用いられる。
(出典:Wikipedia)
階
常用漢字
小3
部首:⾩
12画
“階”を含む語句
階段
石階
階上
階梯
階級
階建
階下
二階
裏階子
玉階
階子
三階
中二階
表階子
階隠
三階建
四階
知識階級
段階
階下座敷
...