トップ
>
照
>
てら
ふりがな文庫
“
照
(
てら
)” の例文
螢
(
ほたる
)
の
衝
(
つ
)
と
其
(
そ
)
の
裳
(
もすそ
)
に
忍
(
しの
)
び
褄
(
つま
)
に
入
(
い
)
りて、
上
(
うへ
)
の
薄衣
(
うすぎぬ
)
と、
長襦袢
(
ながじゆばん
)
の
間
(
あひだ
)
を
照
(
てら
)
して、
模樣
(
もやう
)
の
花
(
はな
)
に、
葉
(
は
)
に、
莖
(
くき
)
に、
裏
(
うら
)
透
(
す
)
きてすら/\と
移
(
うつ
)
るにこそあれ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
是
(
これ
)
等が黄色な
灯
(
ひ
)
で
照
(
てら
)
されて居るのを私は云ひ知れない不安と恐怖の目で見て居るのであつた。
終
(
しま
)
ひには両手で顔を覆ふてしまつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
で、更に念の為に蝋燭を揚げて、高い岩の上を
其処
(
そこ
)
ここと
照
(
てら
)
して
視
(
み
)
ると、遠い岩蔭に何か知らず、星のように閃く
金色
(
こんじき
)
の光を
視
(
み
)
た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
照
(
てら
)
し
行列
(
ぎやうれつ
)
正
(
たゞ
)
しく出仕有に程なく夜も
明渡
(
あけわた
)
り役人方
揃
(
そろ
)
はれしかば
稍
(
やゝ
)
有
(
あつ
)
て嘉川主税之助一件の者共
呼込
(
よびこみ
)
になり武家の分は玄關にて大小を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
幹子
(
みきこ
)
の
目蓋
(
まぶた
)
は、もう開けられないほど重くなって来ました。けれどお月様は、やっぱり窓からお母様や幹子の寝床を
照
(
てら
)
しました。
夜
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
更
(
さら
)
に
氣
(
き
)
を
取直
(
とりなを
)
して、
暗黒々
(
あんこく/\
)
の
岩窟内
(
がんくつない
)
を
照
(
てら
)
し
見
(
み
)
ると、
奧壁
(
おくかべ
)
近
(
ちか
)
くに
當
(
あた
)
つて
有
(
あ
)
る、
有
(
あ
)
る、
人
(
ひと
)
の
骨
(
ほね
)
らしい
物
(
もの
)
が
泥土
(
でいど
)
に
埋
(
う
)
まりながら
横
(
よこた
)
はつて
見
(
み
)
える。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
広い風呂場を
照
(
てら
)
すものは、ただ一つの小さき
釣
(
つ
)
り
洋灯
(
ランプ
)
のみであるから、この隔りでは澄切った空気を
控
(
ひか
)
えてさえ、
確
(
しか
)
と
物色
(
ぶっしょく
)
はむずかしい。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夏の日に
照
(
てら
)
されて、墓地の土は白く乾いて、どんな
微
(
かす
)
かな風にもすぐ
埃
(
ちり
)
が立ちさうである。
私
(
わたし
)
の記憶も
矢張
(
やはり
)
この白い土のやうに乾いて
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
過
(
すぎ
)
し
年
(
とし
)
北国より人ありて
拳
(
こぶし
)
の大さの
夜光
(
やくわう
)
の玉あり、よく一
室
(
しつ
)
を
照
(
てら
)
す、よき
価
(
あたひ
)
あらば
売
(
うら
)
んといひしかば、
即座
(
そくざ
)
に其人に
托
(
たく
)
して
曰
(
いはく
)
、其玉
求
(
もとめ
)
たし
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかし今の方法によって、それが
芯
(
しん
)
になって霧粒が出来ると、その霧粒は、強い光で
照
(
てら
)
してやれば、光って肉眼にも見える。
「茶碗の湯」のことなど
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「幸に
濃妝
(
のうせう
)
をもつて妾が
雙頬
(
さうけふ
)
の
啼痕
(
ていこん
)
を
掩
(
おほ
)
ふを得るも
菱華
(
りやうくわ
)
は独り妾が
妝前
(
せうぜん
)
の
愁眉
(
しうび
)
を
照
(
てら
)
さざる殆ど稀なり」という文体である。
婦人と文学
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
巻中の画、老人が
稿本
(
かうほん
)
の
艸画
(
さうぐわ
)
を
真
(
しん
)
にし、
或
(
あるひ
)
は京水が越地に
写
(
うつし
)
し
真景
(
しんけい
)
、或
里人
(
さとびと
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
きゝ
)
て
図
(
づ
)
に作りたるもあり、其地に
照
(
てら
)
して
誤
(
あやまり
)
を
責
(
せむ
)
ることなかれ。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
前には田なども作ってあり、対岸の尾沼谷には
橡
(
とち
)
の大木が多い。山頂は雲に掩われているが、日に
照
(
てら
)
された谷の緑は燃えるように鮮かであった。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その時、玉簾の
後
(
うしろ
)
に今まで身を潜めていた
訶和郎
(
かわろ
)
は、
八尋殿
(
やつひろでん
)
の廻廊から洩れくる松明の光に
照
(
てら
)
されて、突然に浮き出た不弥の女の顔を目にとめた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
お母さんが道々よく教えてくれた、黒い大きなシルクハットの帽子の看板が、青い電燈に
照
(
てら
)
されてかかっていました。
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
あらゆる
癒着
(
ゆちゃく
)
の幻影がじつは錯覚にすぎないこと、それだけが確実なことであるのを、私は「死」の光に
照
(
てら
)
しだされながら、全身の肌で感じていた。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
あわただしい
轍
(
わだち
)
の音を聞き伝え、果たして八方から
炬火
(
たいまつ
)
が飛んできた。客舎をつつんでいた枯れ柴や焔硝はいちどに爆発し、炎々、道を赤く
照
(
てら
)
した。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法律
(
ほうりつ
)
に
照
(
てら
)
しても
明白
(
あきらか
)
だ、
何人
(
なにびと
)
と
雖
(
いえども
)
、
裁判
(
さいばん
)
もなくして
無暗
(
むやみ
)
に
人
(
ひと
)
の
自由
(
じゆう
)
を
奪
(
うば
)
うことが
出来
(
でき
)
るものか!
不埒
(
ふらち
)
だ!
圧制
(
あっせい
)
だ!
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
河面
(
かはづら
)
は
対岸
(
たいがん
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かゞや
)
く
朝日
(
あさひ
)
ビールの
広告
(
くわうこく
)
の
灯
(
ひ
)
と、
東武電車
(
とうぶでんしや
)
の
鉄橋
(
てつけう
)
の
上
(
うへ
)
を
絶
(
た
)
えず
徃復
(
わうふく
)
する
電車
(
でんしや
)
の
燈影
(
ほかげ
)
に
照
(
てら
)
され、
貸
(
かし
)
ボートを
漕
(
こ
)
ぐ
若
(
わか
)
い
男女
(
だんぢよ
)
の
姿
(
すがた
)
のみならず
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
けれども、自分のその当時の欲求に
照
(
てら
)
して、彼は一部分の対象でしかないのが、彼に対して
憐
(
あわ
)
れに気の毒であった。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
巌丈
(
がんじょう
)
な後ろ姿を
照
(
てら
)
して、赤々と照る秋の陽、箱根全山の緑は老いて、何んとなく裏淋しい昼下りの風物でした。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『
實
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
だ——あの
船脚
(
ふなあし
)
の
速
(
はや
)
い
事
(
こと
)
は——』と
右手
(
ゆんで
)
の
時辰器
(
じしんき
)
を
船燈
(
せんとう
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
して
打眺
(
うちなが
)
めつゝ、
眤
(
じつ
)
と
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
るのは
本船
(
ほんせん
)
の
一等運轉手
(
チーフメート
)
である。つゞいて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼
(
かれ
)
が
大豆
(
だいづ
)
を
引
(
ひ
)
いて
庭
(
には
)
に
運
(
はこ
)
んだ
頃
(
ころ
)
はまだ
暑
(
あつ
)
い
日
(
ひ
)
が
落付
(
おちつ
)
いて
毬
(
いが
)
の
割
(
わ
)
れ
始
(
はじ
)
めた
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
の
梢
(
こずゑ
)
から
庭
(
には
)
をぢり/\と
照
(
てら
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
懐中電灯で
照
(
てら
)
してみると、中に階段が現われた。ボートルレがその階段を降りながら数えると、四十五段あった。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
月光
(
げつこう
)
の
照
(
てら
)
す
下
(
もと
)
に
聞
(
きこ
)
えて
來
(
く
)
るその
波
(
なみ
)
の
響
(
ひゞ
)
きも、
思
(
おも
)
へば
夜
(
よ
)
の
更
(
ふ
)
けた
感
(
かん
)
じのすることだ。かうした
晩
(
ばん
)
に、この
海
(
うみ
)
に
舟旅
(
ふなたび
)
をして、
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
目
(
め
)
の
覺
(
さ
)
めてゐる
人
(
ひと
)
もあらう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
孝孺の
此
(
この
)
言
(
げん
)
に
照
(
てら
)
せば、
鄭暁
(
ていぎょう
)
の伝うるところ、実に
虚
(
むな
)
しからざる也。
四箴
(
ししん
)
の序の
中
(
うち
)
の語に曰く、天に
合
(
がっ
)
して人に合せず、道に同じゅうして時に同じゅうせずと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かくて彼の煩悶いよいよ加わる時、遂に父はキリストにおいてその姿を現わしその光彼を
環
(
めぐり
)
照
(
てら
)
し、その光の中にすべての懐疑や懊悩がおのずと姿を収めるのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
官舎の畳の上に住み、食卓の前に坐って「白米」を食べるのである。夜のランプは兄の家の
炬火
(
たいまつ
)
に較べると、なんと明るく溢れるように、胸のなかを
照
(
てら
)
すことであろう。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
追
(
お
)
ひかけては
大溝
(
おほどぶ
)
の
中
(
なか
)
へ
蹴落
(
けおと
)
して
一人
(
ひとり
)
から/\と
高笑
(
たかわら
)
ひ、
聞
(
き
)
く
者
(
もの
)
なくて
天上
(
てんじやう
)
のお
月
(
つき
)
さま
宛
(
さ
)
も
皓々
(
こう/\
)
と
照
(
てら
)
し
給
(
たま
)
ふを
寒
(
さぶ
)
いといふ
事
(
こと
)
知
(
し
)
らぬ
身
(
み
)
なれば
唯
(
たゞ
)
こゝちよく
爽
(
さはや
)
かにて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
宵寝
(
よいね
)
の習慣を持っている川辺家の人々は、皆寝しずまって、月のみが、樹木の多い庭園を昼のように
照
(
てら
)
していた。小石川の植物園と同じ丘陵の上にある庭は大樹が多かった。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
時
(
とき
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
初
(
はじめ
)
で、
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
降
(
ふ
)
つてゐる。
椒江
(
せうこう
)
の
支流
(
しりう
)
で、
始豐溪
(
しほうけい
)
と
云
(
い
)
ふ
川
(
かは
)
の
左岸
(
さがん
)
を
迂囘
(
うくわい
)
しつつ
北
(
きた
)
へ
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
初
(
はじ
)
め
陰
(
くも
)
つてゐた
空
(
そら
)
がやうやう
晴
(
は
)
れて、
蒼白
(
あをじろ
)
い
日
(
ひ
)
が
岸
(
きし
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
を
照
(
てら
)
してゐる。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ロレ ほい、
其許
(
そのもと
)
か! さらば
問
(
と
)
はうが、あしこのあの
炬火
(
たいまつ
)
は、ありゃ
何
(
なん
)
でおじゃる、
蛆蟲
(
うじむし
)
や
目
(
め
)
も
無
(
な
)
い
髑髏
(
どくろ
)
を
空
(
むな
)
しう
照
(
てら
)
すあの
光
(
ひかり
)
は? かう
見
(
み
)
たところ、カペル
家
(
け
)
の
廟舍
(
たまや
)
の
前
(
まへ
)
ぢゃが。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
廊下も真暗です。少佐は
爪先探
(
つまさきさぐ
)
りに進んで行きました。すると、不意に横から少佐目がけて、パッと懐中電灯が
照
(
てら
)
されました。そうして同時に、固いものが少佐の
脇腹
(
わきばら
)
に当りました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「参考の為めに話して聞かせようか。入学試験に出るかも知れないよ。
車胤
(
しゃいん
)
、貧にして常に油を得ず。
夏月
(
かげつ
)
、
練嚢
(
れんのう
)
に数十の
螢火
(
けいか
)
を盛り、書を
照
(
てら
)
して読む。夜を以て日に継ぐ。
何
(
ど
)
うだね?」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
世界
(
せかい
)
の
各國
(
かつこく
)
にある
大博物館
(
だいはくぶつかん
)
では、
皆
(
みな
)
、さうした
立派
(
りつぱ
)
な
目録
(
もくろく
)
が
出版
(
しゆつぱん
)
されてをりますから、
博物館
(
はくぶつかん
)
に
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
は、それらの
目録
(
もくろく
)
を
安
(
やす
)
く
買
(
か
)
ふことが
出來
(
でき
)
、その
目録
(
もくろく
)
と
竝
(
なら
)
べてある
品物
(
しなもの
)
とを
照
(
てら
)
し
合
(
あは
)
せて
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
右
(
みぎ
)
の
如
(
ごと
)
く
大陽暦
(
たいやうれき
)
は
日輪
(
にちりん
)
と
地球
(
ちきう
)
とを
照
(
てら
)
し
合
(
あは
)
せて
其互
(
そのたがひ
)
に
釣合
(
つりあ
)
ふ
處
(
ところ
)
を
以
(
もつ
)
て一年の
日數
(
ひかず
)
を
定
(
さだめ
)
たるものゆへ、
春夏秋冬
(
しゆんかしうとう
)
、
寒暖
(
かんだん
)
の
差
(
さ
)
、
毎年
(
まいとし
)
異
(
こと
)
なることなく
何月何日
(
なんぐわつなんにち
)
といへば
丁度
(
ちやうど
)
去年
(
きよねん
)
の
其日
(
そのひ
)
と
同
(
おな
)
じ
時候
(
じこう
)
にて
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
……
彼
(
か
)
の
幽暗
(
ほのくら
)
き
路次
(
ろじ
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
の
色
(
いろ
)
は、
今
(
いま
)
も
其処
(
そこ
)
を
通
(
とほ
)
る
毎
(
ごと
)
に、
我等
(
われら
)
が
最初
(
さいしよ
)
の
握手
(
あくしゆ
)
の、
如何
(
いか
)
に
幸福
(
かうふく
)
なりしかを
語
(
かた
)
り
申候
(
まをしそろ
)
。
貴女
(
きぢよ
)
は
忘
(
わす
)
れ
給
(
たま
)
はざるべし、
其時
(
そのとき
)
の
我等
(
われら
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
照
(
てら
)
せる
唯
(
たゞ
)
一つの
軒燈
(
けんとう
)
の
光
(
ひかり
)
を……
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかれどもこれ
一家言
(
いっかげん
)
のみ。俳句を以て最上の文学と為す者は同じく一家言なりといへども、俳句もまた文学の一部を占めて
敢
(
あえ
)
て他の文学に劣るなし。これ概括的標準に
照
(
てら
)
して
自
(
おのずか
)
ら然るを覚ゆ。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
何も
失錯
(
しくじり
)
の
廉
(
かど
)
がないものを、何も覚えがないのだから、あとで金の
盗人
(
ぬすみて
)
が知れるに違いない、
天
(
てん
)
誠
(
まこと
)
を
照
(
てら
)
すというから、其の時殿様が御一言でも、あゝ孝助は
可愛相
(
かわいそう
)
な事をしたと云って下されば
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
少し
隔
(
へだた
)
った所に、誰かの大きなお
邸
(
やしき
)
があって、
万里
(
ばんり
)
の
長城
(
ちょうじょう
)
みたいにいかめしい
土塀
(
どべい
)
や、
母屋
(
おもや
)
の
大鳥
(
おおとり
)
の羽根を
拡
(
ひろ
)
げた様に見える立派な屋根や、その横手にある白い大きな土蔵なんかが、日に
照
(
てら
)
されて
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ランプの光りは真中に
円
(
まる
)
いテーブルを置いた室の中を
照
(
てら
)
した。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
小鳥の巣、日の
照
(
てら
)
すのみ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
曠野
(
あらの
)
の汽車の窓を
照
(
てら
)
せり
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
峰
(
みね
)
を
照
(
てら
)
せる光なりけり
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
月の光に
照
(
てら
)
されて
北村透谷詩集
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
雪下
(
ゆきふる
)
事
盛
(
さかん
)
なる
時
(
とき
)
は、
積
(
つも
)
る雪家を
埋
(
うづめ
)
て雪と
屋上
(
やね
)
と
均
(
ひとし
)
く
平
(
たひら
)
になり、
明
(
あかり
)
のとるべき処なく、
昼
(
ひる
)
も
暗夜
(
あんや
)
のごとく
燈火
(
ともしび
)
を
照
(
てら
)
して家の内は
夜昼
(
よるひる
)
をわかたず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
鶏鳴
(
けいめい
)
暁を報ずる時、夜のさまが
東雲
(
しののめ
)
にうつり行く
状
(
さま
)
は、いつもこれに変らぬのであるけれども、月さえやや
照
(
てら
)
し
初
(
そ
)
めたほどの宵の内に何事ぞ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寝台
(
ねだい
)
、
卓
(
タアブル
)
、椅子の上へ掛けて
沢山
(
たくさん
)
の古い舞台
着
(
ぎ
)
が並べられ、其れを明るい夕日が
照
(
てら
)
す。マドレエヌは
一一
(
いちいち
)
嬉
(
うれ
)
しさうに眺めて追懐に耽つてゐる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
犯すに至れること恐るべき次第なり
然
(
され
)
ども
天
(
てん
)
誠
(
まこと
)
を
照
(
てら
)
し給ふにより大岡越前守殿の如き
賢
(
けん
)
奉行の
明斷
(
めいだん
)
に依て
遁
(
のが
)
れ難き死刑一等を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大鬼
(
だいき
)
は
衣冠
(
いかん
)
にして騎馬、
小鬼
(
しょうき
)
数十
何
(
いず
)
れも
剣戟
(
けんげき
)
を
携
(
たずさ
)
へて従ふ。
屋
(
おく
)
に進んで大鬼
先
(
ま
)
づ
瞋
(
いか
)
つて呼ぶ、小鬼それに応じて口より火を噴き、
光熖
(
こうえん
)
屋
(
おく
)
を
照
(
てら
)
すと。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
照
常用漢字
小4
部首:⽕
13画
“照”を含む語句
夕照
対照
火照
遍照
天照大神
照々
相照
日照
照覧
照射
照返
反照
水照
高照
天照皇大神
照会
東照宮
對照
肝胆相照
照降町
...