とり)” の例文
ほかとりたちは、からすの勇気ゆうき感心かんしんしました。いままで、ばかにされたからすが、いちばんりこうなとりといわれるようになりました。
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いやいや、」ととりった。「ただじゃア、二は、うたいません。それとも、その石臼いしうすくださるなら、もう一うたいましょう。」
この壁柱かべはしら星座せいざそびえ、白雲はくうんまたがり、藍水らんすゐひたつて、つゆしづくちりばめ、下草したくさむぐらおのづから、はなきんとりむし浮彫うきぼりしたるせんく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぶときはそのはねじつうつくしいいろひらめきます。このとりはね綺麗きれいですが、ごゑうつくしく、「ぶっ、ぽう、そう」ときつゞけます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ローズ・ブノワさんは動物どうぶつきで、動物どうぶつの方でもローズ・ブノワさんがきです。だからこそとりけもののいうことがわかるのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
そのばん伯父をぢさんも友伯父ともをぢさんもばれてきましたが、『押飯おうはん』とつてとりにくのおつゆあぢをつけた御飯ごはん御馳走ごちさうがありましたつけ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
だんだん山道やまみちのぼって、もりけ、たにえて、とうとうおくおく山奥やまおくまで行きました。山の上はしんとして、とりのさわぐおともしません。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
百姓家ひゃくしょうや裏庭にわで、家鴨あひるなかうまれようとも、それが白鳥はくちょうたまごからかえ以上いじょうとりうまれつきにはなんのかかわりもないのでした。
それから乾菓子ひぐわしべました。おほきなとり其味そのあぢわからないとつてこぼす、ちひさなとりせて背中せなかたゝいてもらう、それは/\大騷おほさわぎでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのがたそらした、ひるのとりでもゆかないたかいところをするどいしものかけらがかぜながされてサラサラサラサラみなみのほうへとんでゆきました。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
其他そのたあらたに温泉おんせん冷泉れいせんはじめることもあり、また炭酸瓦斯たんさんがす其他そのた瓦斯がす土地とちからして、とり地獄じごくむし地獄じごくつくることもある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
じいさんはこのとりこえがよほどおきとえて、『こればかりは現界げんかいではきかれぬこえじゃ。』と御自慢ごじまんをしてられました。
ラランの悪知慧わるぢえ有名いうめいなもので、ほかのとりがうまくんでるのをると、近寄ちかよつては自分じぶんとがつた嘴先くちさきでチクリとして墜落ついらくさせてしまふのだ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
しかるにてんのぼったひめは、大空中おほぞらぢゅうのこくまもなうらさうによって、とりどもがひるかとおもうて、さぞ啼立なきたつることであらう。
ひとつには当時の上流と目される大名の奥方や、姫君などは、かごとり同様に檻禁かんきんしてしまったので、勢い下々しもじもの女の気焔きえんが高くなったわけである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
笑ひ娯み、笑ひ怠るものは、泣き号び泣きくるしむ者となるべきが自然の道理である。とりを焚かれたるが如くなつて、大なる凶を得べきである。
震は亨る (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
もう姫君ひめぎみんだのだ、んでしまへば、もうこのはなも、とりも、うたも、ふたヽびきくこともみることもできないのだ。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
一層いつそうあぢかろとり丸燒まるやきなどはなか/\の御馳走ごちさうで、いまわたくしには、世界せかい第一だいいちのホテルで、世界せかい第一だいいち珍味ちんみきようせられたよりも百倍ひやくばいうれしくかんじた。
鉄砲はとりけだものが何も知らないでいるところを、ズドンと一発で引導いんどうを渡します。理窟も何もない。純然たる暴力です。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
門野かどのさん。僕は一寸ちよつと職業をさがしてる」と云ふや否や、とり打帽をかぶつて、かささずに日盛ひざかりのおもてへ飛び出した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
主人とお嬢さんとの膝に掛けるきれが、こうとりの形に畳んである、その嘴のところに、薄赤の莟を一つづつ挾んだ。
薔薇 (新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
宝暦ほうれき二年、二十一歳で長崎に勉強をしに行った時、長々寄泊きはくして親よりましな親身な世話を受けた本籠町もとかごまち海産問屋、長崎屋藤十郎ながさきやとうじゅうろうの妹娘のとりというのが
吉野川よしのがはそばにある象山きさやまやまのま、すなはちそらせつしてゐるところのこずゑ見上みあげると、そこには、ひどくたくさんあつまつていてゐるとりこゑ、それがきこえる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
有名な「とり」は今や海外でも、もてはやされている品。三椏みつまたを主な材料とします。きめ細かく滑かなため、印刷の用紙として上々のものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
里言さとことばにこれを雁の総立そうだちといふ。雁のそなへある事軍陣ぐんぢんごとし、とりになき事也、他国の雁もしかならん。田舎人ゐなかうどにはめづらしからねど都会とくわいの人の話柄はなしぐさにいへり。
埃及えじぷとにはあたまとりだのけものだの色々いろ/\化物ばけものがあるがみな此内このうちである。この(一)にぞくするものはがいして神祕的しんぴてきたうとい。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
それでだいぶよくわかつてましたが、つまりはかまへとか、はかまはりの要所々々ようしよ/\おもはれるところに、人間にんげんうまとりなどのぞうならべたものに相違そういありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
厚いとり子紙こがみに、墨色も濃く、難破船を救助したことは奇特の至りだという言葉ことばが書いてありました。
少年と海 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
すてんか明日あすこそはとうかゞこゝろおこたりなけれど人目ひとめ關守せきもりなんとしてひまあるべき此處こゝ七年しちねんはまだ籠中ろうちゆうとり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
... ぐる所以ゆゑんかくごと而已のみ』と。孔子こうしつて弟子ていしつていはく、『とりわれぶをり、うをわれおよぐをり、けものわれはしるをる。 ...
天地間てんちかんぼくにんとりかず。ぼくしばらく絶頂ぜつちやういしつてた。このときこひもなければ失戀しつれんもない、たゞ悽愴せいさうかんえず、我生わがせい孤獨こどくかざるをなかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
このやしき主人あるじ安城郷太郎あんじょうごうたろうは、又なきものに寵愛して、本妻の亡き後は、一にもおとり、二にもお鳥、お鳥でなければ、夜も日も明けぬ有様だったのも無理のないことです。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
翌日は吉野路よしのじを通って、五条橋本ごじょうはしもとなど云う処をてそのかごとりと云う山の辻堂つじどうで一泊し、十日になって紀州路きしゅうじから泉州せんしゅう牛滝うしたきと云う処へ越え、それから葛城山かつらぎざんへ往った。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
とりのライスカレー 秋付録 米料理百種「西洋料理の部」の「第十九 鶏肉けいにくのライスカレー」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
介抱かいはうせよと言置て尻引からげ馳行はせゆきけりなきだに白晝ひるさへ人通りなき相良の裏道うらみち殊に夜中なれば人里遠く麥搗歌むぎつきうたとり宵鳴よひなき遙かに聞え前は名におふ大井川海道かいだう一の早瀬にて蛇籠じやかご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とり明日香あすかさときてなばきみあたりえずかもあらむ 〔巻一・七八〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
金泥きんでいそらにながしていろどつた眞夏まなつのその壯麗そうれいなる夕照ゆうせふたいしてこころゆくまで、銀鈴ぎんれいこゑりしぼつてうたひつづけた獨唱ソロ名手めいしゅそらとりはねをとどめてそのみゝかたむけた、ああ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
東皐子とうくわうしはそれをいて、手紙てがみで『おもなほしていかとり枯木かれきに二とまる』とつて寄越よこす。幻翁げんおうもすゝめる。のゝしりながらもじつきたいので、また出掛でかける。相變あひかはらずなにい。
冷い石畳の台座の上に、わずかに風雨をしのぐとった有様でそっけなく安置されてある。本尊の薬師如来は、飛鳥あすか時代のとり仏師ぶっし作と伝えらるる木造のみ仏であるが、その両眼が真白い。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
うるせえなあ。かごとりじゃアあるめえし、こんなに大きくなったおひい様を
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
樫いとどにほふ眞闇となりにけり夜ふけくるひたつとりけもののこゑ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
あらまあ とりのやうに建物たてもの屋根やねの上にとまつてゐるわ
こふとりは首をまはして鳴く。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
貴方あなたとりだとおもひました。
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
かひがひし、あなにほとり
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あなつかしきとり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
暗い森からとりが啼く
秋の小曲 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
とりのうち……
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
こふとり
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
可愛かあいとり
おさんだいしよさま (新字旧仮名) / 野口雨情(著)