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みかへ
鍋町は
裏の
方で
御座いますかと
見返れば
否鍋町ではなし、
本銀町なりといふ、
然らばとばかり
馳せ
出す
又一町、
曲りませうかと
問へば
長吉は
云はれるまゝに
見返ると、
島田に
結つた芸者と、
其れに
連立つて
行くのは
黒絽の
紋付をきた
立派な
紳士であつた。
二足つかみの
供振を、
見返るお
夏は
手を
上げて、
憚樣やとばかりに、
夕暮近き
野路の
雨、
思ふ
男と
相合傘の
人目稀なる
横※、
濡れぬ
前こそ
今はしも
見返り/\
稍影さへも
見ざれば
後ろ
髮をや引れけん一
足行ば二足も
戻る心地の氣を
勵まし三河の岩井を
後になし江戸を
見返ると、
黒に
黄色の
縞のある
大柄の
蜂で、一
度高く
飛び
上つたのがまた
竹の
根元に
降りて
來た。と、
地面から一
尺ほどの
高さの
竹の
皮の
間に
蜘蛛の
死骸が
挾んである。
船は
秒一秒に
沈んで
行く、
甲板の
叫喚はます/\
激しくなつた。
終に「
端艇下せい。」の
號令は
響いて、
第一の
端艇は
波上に
降下つた。
此時私は
春枝夫人を
見返つたのである。
兄の
睨むのも
見返らずに、貢さんは蝋燭と庖丁とを持つて
内陣へ
跳ぶ様に
上つて行つた。
此方の人が向うへ……(
前後を
見返り)え
成程近江屋さん
貴方が向うに立つてゐますな、
成程能く
似てゐますこと。近「
似てゐる
筈よ、
鏡へ
映るんだから、並んで見えるだらう。梅「
私は
何方で。 ...
丸山の
廓の
見返り柳。
傾けて
見返るともなく
見返る
途端目に
映るは
何物蓬頭亂面の
青年車夫なりお
高夜風の
身にしみてかぶる/\と
震へて
立止りつゝ
此雪にては
ばお
濯なさるがよいと言れて
喜び
會釋して
破し垣根の
切戸を
明け廣くも非ぬ庭へ進むに老人
背後を
見返りておみつ水を
何にしても
恐しい
今の
枝には
蛭が
生つて
居るのであらうと
余の
事に
思つて
振返ると、
見返つた
樹の
何の
枝か
知らず
矢張幾ツといふこともない
蛭の
皮ぢや。
女に
扮した役者は
花道の
尽きるあたりまで出て
後を
見返りながら
台詞を述べた。
其の
後に
唄がつづく。
シロクシナス
番兵を
見返りまして、
王の詩を手に取り上げ、シ
兵曹言はなく、
涙を
垂れて
大佐の
顏を
見返した。
青木さんは不
意に
奧さんの
方を
見返つた。
立て或松原に差掛りしが此方の
松蔭より黒き
頭巾にて
面を隱せし一人の
侍士四邊を見廻し立出て忠八暫しと云
聲に驚き
見返れば彼の侍士が黒き頭巾を
脱を
「
長さん、君は芸者が好きなのか、
贅沢だ。」と新俳優の
吉さんは意外らしく
長吉の顔を
見返したが
「べらぼうめ、
飛越したぐらゐの、ちよろ
川だ、また
飛返るに
仔細はあるめえ。」と、いきつて
見返すと、こはいかに、
忽ち
渺々たる
大河と
成つて、
幾千里なるや
果を
見ず。
何處の
姉樣からお
手紙が
來やうぞ、
眞赤な
嘘をと
我家の
見返られて、
何事も
御存じなしによいお
顏をして
暇を
下さる
勿躰なさ、あのやうな
毒の
無い
臺所を
出れば
引窓から、
縁に
立てば
沓脱へ、
見返れば
障子へ、
壁へ、
屏風へかけて
映ります。
垣根の
近邊たちはなれて、
見返りもせず二三
歩すゝめば
遣水の
流がれおと
清し、
心こゝに
定まつて
思へば
昨日の
我れ、
彷彿として
何故ゑに
物おもひつる
身ぞ
カン/\と
鉦を
叩きながら、
提灯の
燈を
含みましたやうに、
鼠の
腰衣をふは/\と
薄明るく
膨らまして、
行掛けに、
鼻の
下を
伸ばして、
足を
爪立つて、
伸上つて、
見返つて
友仙の
帶に
緋ぢりめんの
帶あげも
人手を
借りずに
手ばしこく
締めたる
姿、
不圖見たる
目には
此樣の
病人とも
思ひ
寄るまじき
美くしさ、
兩親は
見返りて
今更に
涙ぐみぬ
それは
可笑いくらゐでした。が、
狂人は、と
見ると、もとの
所へ、
其のまゝ
踞み
込んで、
遁げたのが
曲り
角で二三
人見返つて
見えなくなる
時分には、
又……カチリ、ばら/\。
一同これはと
恐れ
謹みけるに、
良ありて
幸豐公、
御顏を
斜に
見返り
給ひ、「
杢、
杢」と
召し
給へば、
遙か
末座の
方にて、
阿と
應へつ、
白面の
若武士、
少しく
列よりずり
出でたり。
廻れば
大門の
見返り
柳いと
長けれど、お
齒ぐろ
溝に
燈火うつる三
階の
騷ぎも
手に
取る
如く、
明けくれなしの
車の
行來にはかり
知られぬ
全盛をうらなひて、
大音寺前と
名は
佛くさけれど
はじめて
鸚鵡に
見返して、
此の
言葉よ、
此の
言葉よ!
日本、と
眞前に
云ひましたとさ。
嗚呼がましけれど
雪三が
生涯の
企望はお
前さま
御一
身の
御幸福ばかりと、
言ひさして
詞を
切りつ
糸子が
面じつと
眺めぬ、
糸子何心なく
見返して、
我は
花々しき
身にならんの
願ひもなく
此まゝに
見返りもし
給はずは
今さら
面ても
向けがたし
悲しき
事よと
娘氣に
頼みを
遠く
後を
見返れば、
風に
乗つた
友船は、千
筋の
砂煙をかぶつて、
乱れて
背状に
吹きしなつて、
恰も
赤髪藍面の
夜叉の、一
個水牛に
化して、
苜蓿の
上を
転げ
来たる
如く、もの
凄じく
望まれた。
と
裳をすらりと
駒下駄を
踏代へて
向直ると、
半ば
向うむきに、すつとした
襟足で、
毛筋の
通つた
水髮の
鬢の
艶。と
拔けさうな
細い
黄金脚の、
淺黄の
翡翠に
照映えて
尚ほ
白い……
横顏で
見返つた。
此下駄で
田町まで
行く
事かと
今さら
難義は
思へども
詮方なくて
立上る
信如、
小包みを
横に二タ
足ばかり
此門をはなれるにも、
友仙の
紅葉目に
殘りて、
捨てゝ
過ぐるにしのび
難く
心殘りして
見返れば
入つて
見よう……
今前途を
聞いたのに、
道草をするは、と
氣がさして、
燒芋屋の
前を
振返ると、
私に
教へた
時、
見返つた、
其のまゝに、
外を
向いて、こくり/\と
然も
暖とさうな
懷手の
居睡りする。
と
婦も
見返つたまゝ、
坂を
上へ、
白い
足袋の
尖が、
褄を
洩れつつ
と
思はず
振向いて
池の
方、うしろの
水を
見返つた。