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柔
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やはら
ふりがな文庫
“
柔
(
やはら
)” の例文
「さうでもあるまいよ。親方は身のこなしが型にはまつて居るから、町道場へ通つて
柔
(
やはら
)
の一手くらゐは稽古したことがあるんだらう」
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
咽喉
(
のど
)
から流れるままに口の中で
低唱
(
ていしやう
)
したのであるが、
其
(
そ
)
れによつて
長吉
(
ちやうきち
)
は
已
(
や
)
みがたい心の苦痛が
幾分
(
いくぶん
)
か
柔
(
やはら
)
げられるやうな
心持
(
こゝろもち
)
がした。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
花畑
(
はなばたけ
)
へでも
抱
(
だ
)
いて
出
(
で
)
ると、
綺麗
(
きれい
)
な
蝶々
(
てふ/\
)
は、
帯
(
おび
)
に
来
(
き
)
て、
留
(
とま
)
つたんです、
最
(
も
)
う
一
(
ひと
)
つ
不思議
(
ふしぎ
)
なのは、
立像
(
りつざう
)
に
刻
(
きざ
)
んだのが、
膝
(
ひざ
)
柔
(
やはら
)
かにすつと
坐
(
すは
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
細君
(
さいくん
)
は
宗助
(
そうすけ
)
を
見
(
み
)
るや
否
(
いな
)
や、
例
(
れい
)
の
柔
(
やはら
)
かい
舌
(
した
)
で
慇懃
(
いんぎん
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
を
述
(
の
)
べた
後
(
のち
)
、
此方
(
こつち
)
から
聞
(
き
)
かうと
思
(
おも
)
つて
來
(
き
)
た
安井
(
やすゐ
)
の
消息
(
せうそく
)
を、
却
(
かへ
)
つて
向
(
むか
)
ふから
尋
(
たづ
)
ねた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋の季節に来たせいもあらうが、まことに秋の国とも云ふべき、調子の弱い、色の
柔
(
やはら
)
かい、人間の欲望を
滅入
(
めい
)
らせる様な国である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
『時にね。』とお柳は顔を
柔
(
やはら
)
げて、『昨晩の話だね、お父様のお帰りで
其儘
(
そのまんま
)
になつたつけが、お前よく静に言つてお呉れよ。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
しかしてこの物いよ/\美しくわが目に見ゆるに從ひ、いよ/\
麗
(
うるは
)
しき
柔
(
やはら
)
かき聲にて(但し
近代
(
ちかきよ
)
の言葉を用ゐで) 三一—三三
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
或夏の近づいた月夜、
武
(
たけ
)
さんは荷物を
背負
(
せお
)
つたまま、ぶらぶら
行商
(
ぎやうしやう
)
から帰つて来た。すると家の近くへ来た時、何か
柔
(
やはら
)
かいものを踏みつぶした。
素描三題
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
柔
(
やはら
)
かい黒の鉛筆をとつて、先を太くして、そして仕事にかゝつた。やがて、私は、紙の上に廣い大きな額と角ばつた顏の下半分の輪廓を描いた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ところがたゞの
銅
(
どう
)
では
柔
(
やはら
)
かすぎ、
鑄造
(
ちゆうぞう
)
もむつかしいので、
銅
(
どう
)
に
錫
(
すゞ
)
をまぜて
青銅
(
せいどう
)
といふ
金屬
(
きんぞく
)
を
作
(
つく
)
り、これを
器物
(
きぶつ
)
の
材料
(
ざいりよう
)
としてゐた
時代
(
じだい
)
がありました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
それは
太陽
(
たいやう
)
の
強烈
(
きやうれつ
)
な
光線
(
くわうせん
)
が
私
(
わたし
)
の
瞳
(
ひとみ
)
を
射
(
い
)
つたからではなかつた。
反對
(
はんたい
)
に、
光
(
ひかり
)
は
柔
(
やはら
)
かに
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
に
滲
(
し
)
み
入
(
い
)
つたのである……。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
柔
(
やはら
)
げ相摸殿よく
承
(
うけたま
)
はられよ徳川は
予
(
よ
)
が
本性
(
ほんせい
)
ゆゑ名乘申す
又
(
また
)
葵
(
あふひ
)
も予が
定紋
(
ぢやうもん
)
なる故用ゆる
迄
(
まで
)
なり何の
不審
(
ふしん
)
か有べきとの
詞
(
ことば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
柔
(
やはら
)
かき
人
(
ひと
)
ほど
氣
(
き
)
はつよく
學士
(
がくし
)
人々
(
ひと/″\
)
の
涙
(
なみだ
)
の
雨
(
あめ
)
に
路
(
みち
)
どめもされず、
今宵
(
こよひ
)
は
切
(
せ
)
めてと
取
(
と
)
らへる
袂
(
たもと
)
を
優
(
やさ
)
しく
振切
(
ふりき
)
つて
我家
(
わがや
)
へ
歸
(
かへ
)
れば、お
民
(
たみ
)
手
(
て
)
の
物
(
もの
)
を
取
(
と
)
られしほど
力
(
ちから
)
を
落
(
おと
)
して
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
柔
(
やはら
)
かに
言
(
い
)
ふ
意
(
つもり
)
で
有
(
あ
)
つたが、
意
(
い
)
に
反
(
はん
)
して
荒々
(
あら/\
)
しく
拳
(
こぶし
)
をも
固
(
かた
)
めて
頭上
(
かしらのうへ
)
に
振翳
(
ふりかざ
)
した。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして一體にふくよかに
柔
(
やはら
)
かに
出
(
で
)
來てゐる、
而
(
しか
)
も形に
緊
(
しま
)
ツたところがあツたから、
誰
(
たれ
)
が見ても
艶麗
(
えんれい
)
な
美
(
うつく
)
しい
體
(
からだ
)
であツた。
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
てゐる
姿
(
すがた
)
も
好
(
よ
)
かツたが、
裸
(
はだか
)
になると一
段
(
だん
)
と
光
(
ひかり
)
を
増
(
ま
)
した。それから
顔
(
かほ
)
だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
こはをかし
柔
(
やはら
)
かなこの
腋
(
わき
)
の下
擽
(
くす
)
ぐればふふと笑ふ正覚坊
真珠抄
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
柔
(
やはら
)
かに
眼
(
め
)
を
開
(
あ
)
けて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
其
(
それ
)
がさ、一
件
(
けん
)
ぢやから
耐
(
たま
)
らぬて、
乗
(
の
)
ると
恁
(
か
)
うぐら/\して
柔
(
やはら
)
かにずる/\と
這
(
は
)
ひさうぢやから、わつといふと
引跨
(
ひんまた
)
いで
腰
(
こし
)
をどさり。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
柔
(
やはら
)
かい暖かい掌が、八五郎の唇を押へるのです。先刻と違つて、家の中に何かあつたのか、ひどく神經質になつて居る樣子です。
銭形平次捕物控:294 井戸端の逢引
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかしクリストの無抵抗主義は何か更に
柔
(
やはら
)
かである。静かに眠つてゐる雪のやうに冷かではあつても柔かである。……
続西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは本當に親切で、本當に
柔
(
やはら
)
かで——と云ふことを私は知つてゐる。ほら、また、その考へがやつて來た! それは決して惡魔ではない、私は斷言する。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
勿論僕も
其
(
その
)
一人だ。
南京路
(
ナンキンロ
)
、
四馬路
(
スマロ
)
などの繁華
雑沓
(
ざつたふ
)
は銀座日本橋の
大通
(
おほどほり
)
を眺めて居た
心持
(
こゝろもち
)
と
大分
(
だいぶん
)
に違ふ。コンクリイトで堅めた
大通
(
おほどほり
)
を
柔
(
やはら
)
かに走る馬車の乗心地が第一に
好
(
い
)
い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
清
(
きよ
)
にいひ
付
(
つ
)
けて
膳立
(
ぜんだて
)
をさせて、それを
小六
(
ころく
)
に
薦
(
すゝ
)
めさした
儘
(
まゝ
)
、
自分
(
じぶん
)
は
矢張
(
やは
)
り
床
(
とこ
)
を
離
(
はな
)
れずにゐた。さうして、
平生
(
へいぜい
)
夫
(
をつと
)
のする
柔
(
やはら
)
かい
括枕
(
くゝりまくら
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
て
貰
(
もら
)
つて、
堅
(
かた
)
いのと
取
(
と
)
り
替
(
か
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの
甘
(
あま
)
くして
柔
(
やはら
)
かく、
忽
(
たちま
)
ちにして
冷淡
(
れいたん
)
な
無頓着
(
むとんちやく
)
な運命の手に
弄
(
もてあそ
)
ばれたい、と
云
(
い
)
ふ
止
(
や
)
み
難
(
がた
)
い空想に
駆
(
か
)
られた。空想の
翼
(
つばさ
)
のひろがるだけ、春の青空が以前よりも青く広く目に
映
(
えい
)
じる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
寸
(
すん
)
ほどにのびた
院内
(
ゐんない
)
の
若草
(
わかぐさ
)
が、
下駄
(
げた
)
の
齒
(
は
)
に
柔
(
やはら
)
かく
觸
(
ふ
)
れて、
土
(
つち
)
の
濕
(
しめ
)
りがしつとりと
潤
(
うるほ
)
ひを
持
(
も
)
つてゐる。
微
(
かす
)
かな
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
きつけられて、
雨
(
あめ
)
の
糸
(
いと
)
はさわ/\と
傘
(
かさ
)
を
打
(
う
)
ち、
柄
(
え
)
を
握
(
にぎ
)
つた
手
(
て
)
を
霑
(
うるほ
)
す。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
美
(
うつ
)
くしい
眦
(
まなじり
)
に
良人
(
をつと
)
が
立
(
た
)
つ
腹
(
はら
)
をも
柔
(
やはら
)
げれば、
可愛
(
かあい
)
らしい
口元
(
くちもと
)
からお
客樣
(
きやくさま
)
への
世辭
(
せじ
)
も
出
(
で
)
る、
年
(
とし
)
もねつから
行
(
ゆ
)
きなさらぬにお
怜悧
(
りこう
)
なお
内儀
(
かみ
)
さまと
見
(
み
)
るほどの
人
(
ひと
)
褒
(
ほ
)
め
物
(
もの
)
の、
此人
(
このひと
)
此身
(
このみ
)
が
裏道
(
うらみち
)
の
働
(
はたら
)
き
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
柔
(
やはら
)
かなる幼年の
體
(
からだ
)
の
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「小唄を
稽古
(
けいこ
)
して居ります。そりや良いお聲で、若い方にしては珍らしく
錆
(
さび
)
のある、——斯うふんはりとした
柔
(
やはら
)
か味のある——」
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの
大川
(
おほかは
)
は、いく
野
(
の
)
の
銀山
(
ぎんざん
)
を
源
(
みなもと
)
に、
八千八谷
(
はつせんやたに
)
を
練
(
ね
)
りに
練
(
ね
)
つて
流
(
なが
)
れるので、
水
(
みづ
)
は
類
(
たぐひ
)
なく
柔
(
やはら
)
かに
滑
(
なめらか
)
だ、と
又
(
また
)
按摩
(
あんま
)
どのが
今度
(
こんど
)
は
聲
(
こゑ
)
を
沈
(
しづ
)
めて
話
(
はな
)
した。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのとき、遠く、しかもはつきりした荒々しい響きがその美しい流の音や囁きを壞してしまつた——パカ/\と音高く響く金の音が、
柔
(
やはら
)
かな
漣
(
さゞなみ
)
の立つ音を消してしまつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
後
(
あと
)
に殘つたのは、唯、
或
(
ある
)
仕事
(
しごと
)
をして、それが
圓滿
(
ゑんまん
)
に成就した時の、安らかな
得意
(
とくい
)
と滿足とがあるばかりである。そこで、下人は、
老婆
(
らうば
)
を見下しながら、少し聲を
柔
(
やはら
)
げてかう云つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
口の大きいのと出張つた頬骨のために、一層
猛々
(
たけ/″\
)
しく意地悪さうに見えるが、然しその子供らしい小さなしよんぼりした眼と、愛嬌のある口元とが、どうやら程よく其表情を
柔
(
やはら
)
げてゐる。
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
負
(
ま
)
けない
氣
(
き
)
といふはいゝ
事
(
こと
)
で、あれで
無
(
な
)
くてはむづかしい
事
(
こと
)
を
遣
(
や
)
りのける
譯
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬ、ぐにや/\
柔
(
やはら
)
かい
根性
(
こんじやう
)
ばかりでは
何時
(
いつ
)
も
人
(
ひと
)
が
海鼠
(
なまこ
)
のやうだと
斯
(
か
)
う
仰
(
おつ
)
しやるお
方
(
かた
)
もありまするけれど
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
凝乎
(
じいつ
)
と、
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
の
中
(
なか
)
に
横
(
よこた
)
へられた
私
(
わたし
)
の
體
(
からだ
)
の
中
(
なか
)
で、
柔
(
やはら
)
かな
暖
(
あたゝ
)
かさに
包
(
つゝ
)
まれながら、
何
(
なん
)
といふもの
寂
(
さび
)
しい
聲
(
こゑ
)
をたてゝ
私
(
わたし
)
のこゝろの
唄
(
うた
)
ふ
事
(
こと
)
だらう!
一寸
(
ちよつと
)
でも
身動
(
みうご
)
きをしたらその
聲
(
こゑ
)
はすぐに
消
(
き
)
えよう
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
蓮根
(
はす
)
、
蓮根
(
はす
)
とは
言
(
い
)
はず、
蓮根
(
れんこん
)
とばかり
稱
(
とな
)
ふ、
味
(
あぢ
)
よし、
柔
(
やはら
)
かにして
東京
(
とうきやう
)
の
所謂
(
いはゆる
)
餅蓮根
(
もちばす
)
なり。
郊外
(
かうぐわい
)
は
南北
(
なんぼく
)
凡
(
およ
)
そ
皆
(
みな
)
蓮池
(
はすいけ
)
にて、
花
(
はな
)
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
、
紅々
(
こう/\
)
白々
(
はく/\
)
。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次の調子の穩やかなのと、その顏には
柔
(
やはら
)
かな思ひやりの色があつたためか、お袖の口は思ひの外簡單に開けて行きさうです。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日光
(
につくわう
)
は
柔
(
やはら
)
かに
導
(
みちび
)
かれ、
流
(
なが
)
れた。その
光
(
ひかり
)
が
漸
(
やうや
)
く
蒲團
(
ふとん
)
の
端
(
はし
)
だけに
觸
(
ふ
)
れるのを
見
(
み
)
ると、
私
(
わたし
)
は
跼
(
かゞ
)
んでその
寢床
(
ねどこ
)
を
日光
(
につくわう
)
の
眞中
(
まなか
)
に
置
(
お
)
くやうに
引
(
ひ
)
いた。それだけの
運動
(
うんどう
)
で、
私
(
わたし
)
の
息
(
いき
)
ははづみ、
頬
(
ほゝ
)
に
血
(
ち
)
がのぼつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
衣類
(
きもの
)
より
足袋
(
たび
)
は
目
(
め
)
に
着
(
つ
)
く。
江戸
(
えど
)
では
女
(
をんな
)
が
素足
(
すあし
)
であつた。
其
(
そ
)
のしなやかさと、
柔
(
やはら
)
かさと、
形
(
かたち
)
の
好
(
よ
)
さを、
春信
(
はるのぶ
)
、
哥麿
(
うたまろ
)
、
誰々
(
たれ/\
)
の
繪
(
ゑ
)
にも
見
(
み
)
るが
可
(
い
)
い。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次の表情はまだほぐれませんが、調子がいくらか
柔
(
やはら
)
かになると、權八は安心した樣子で、そそくさと
草鞋
(
わらぢ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎます。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
思
(
おも
)
ふと、トン/\トンと
輕
(
かる
)
い
柔
(
やはら
)
かな
音
(
おと
)
に
連
(
つ
)
れて、
褄
(
つま
)
が
搖
(
ゆ
)
れ/\、
揃
(
そろ
)
つた
裳
(
もすそ
)
が、
柳
(
やなぎ
)
の
二枝
(
ふたえだ
)
靡
(
なび
)
くやう……すら/\と
段
(
だん
)
を
下
(
お
)
りた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
母が盜つた小判の筒は、縁の下の
柔
(
やはら
)
かい土に半分埋めてあつたのを、お濱は翌る朝になると見て取つてしまひました。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
珊瑚
(
さんご
)
の
枝
(
えだ
)
を
折
(
を
)
つてゐた、
炉
(
ろ
)
の
焚火
(
たきび
)
から、
急
(
いそ
)
いで
立
(
た
)
つて
出迎
(
でむか
)
へた、もの
柔
(
やはら
)
かな
中形
(
ちゆうがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
の、
髪
(
かみ
)
の
濃
(
こ
)
いのを
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
は、
慌
(
あわ
)
てたやうに
声
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
紅皿の一つは使ひかけですが、筆の
穗
(
ほ
)
が太く
柔
(
やはら
)
かくて、とても、美しい
假名文字
(
かなもじ
)
などを書ける品ではありません。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……つい
此
(
こ
)
の
間
(
あひだ
)
、
弴
(
とん
)
さんに
逢
(
あ
)
つて、
其
(
そ
)
の
話
(
はなし
)
が
出
(
で
)
ると、
十圓
(
じふゑん
)
と
怯
(
おど
)
かすより
九九九
(
くうくうくう
)
と
言
(
い
)
ふ
方
(
はう
)
が、
音〆
(
ねじめ
)
……は
粹
(
いき
)
過
(
す
)
ぎる……
耳觸
(
みゝざは
)
りが
柔
(
やはら
)
かで
安易
(
あんい
)
で
可
(
よ
)
い。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次はツイ
破顏
(
はがん
)
一笑します。まだ三十を越したばかり、につこりすると飛んだ愛嬌のある平次の顏が、
脅
(
おび
)
え切つた相手の男の心持を
柔
(
やはら
)
げたやうでもあります。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
犇
(
ひし
)
と
合
(
あ
)
はせた、
兩袖
(
りやうそで
)
堅
(
かた
)
く
緊
(
しま
)
つたが、
溢
(
こぼ
)
るゝ
蹴出
(
けだ
)
し
柔
(
やはら
)
かに、
褄
(
つま
)
が
一靡
(
ひとなび
)
き
落着
(
おちつ
)
いて、
胸
(
むね
)
を
反
(
そ
)
らして、
顏
(
かほ
)
を
引
(
ひ
)
き
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それから一刻近くも經つて熱で蝋燭が
柔
(
やはら
)
かくなると、私が
觸
(
さは
)
つただけで倒れて提灯を燒いた
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
行
(
ゆ
)
くと、
又
(
また
)
一
(
ひと
)
つ
飛
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
飛
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
るのが
向
(
むか
)
うへ
行
(
ゆ
)
くと、すぐ
來
(
き
)
て、
又
(
また
)
欄干
(
らんかん
)
の
前
(
まへ
)
を
飛
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
る。……
飛
(
と
)
ぶと
云
(
い
)
ふより、スツ/\と
輕
(
かる
)
く
柔
(
やはら
)
かに
浮
(
う
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は
柔
(
やはら
)
かに言つて、薄明りの中に、竹の市の樣子を見直して居ります。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
落葉
(
おちば
)
掃
(
は
)
く
樣子
(
やうす
)
をして、
箒
(
はうき
)
を
持
(
も
)
つて
技折戸
(
しをりど
)
から。
一寸
(
ちよつと
)
言添
(
いひそ
)
へる
事
(
こと
)
がある、
此
(
こ
)
の
節
(
せつ
)
、
千助
(
せんすけ
)
は
柔
(
やはら
)
かな
下帶
(
したおび
)
などを
心掛
(
こゝろが
)
け、
淺葱
(
あさぎ
)
の
襦袢
(
じゆばん
)
をたしなんで
薄化粧
(
うすげしやう
)
などをする。
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
柔
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柔”を含む語句
柔和
柔軟
温柔
柔弱
物柔
柔順
柔術
柔媚
柔々
柔肌
柔道
優柔
柔婉
手柔
柔嫩
柔輭
柔毛
柔手
御柔軟
柔情
...