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ふりかへ
返事をきくと、お
糸は
其れですつかり安心したものゝ
如くすた/\
路地の
溝板を
吾妻下駄に踏みならし
振返りもせずに行つてしまつた。
振返り樣三刀四刀に切殺せり其中に下女は
表へ
迯出人殺々々と
呼はりながら
金盥を
叩き立てしかば近隣の人々
馳付る樣子を見て金を
こゝはや藪の中央ならむと
旧来し
方を
振返れば、真昼は藪に寸断されて点々星に
髣髴たり。なほ
何程の奥やあると、及び腰に
前途を
視む。
此時にふと
心付くと、
何者か
私の
後にこそ/\と
尾行して
來る
樣子、オヤ
變だと
振返る、
途端に
其影は
轉ぶが
如く
私の
足許へ
走り
寄つた。
其夜は
征西将軍の宮の大祭で、町は
賑かであつた。街頭をぞろぞろと人が
通つた。花火が勇ましい音を立てゝあがると、人々が
皆な足を留めて
振返つた。
振返れば
胸に
光る
徽章やら、
勳章やらを
下げた
男が、ニヤリと
計り
片眼をパチ/\と、
自分を
見て
笑ふ。
竹村はその
事について、その
当時別に
批評がましい
意見をもたうとは
思はなかつたけれど、ずつと
後になつて
振返つてみると、
彼女は
彼の
作品と
実際の
手紙によつて
『
鼠ちやん!
戻つてお
出でよ、
可厭なら、もう
猫や
犬の
事を
話さないから!』
鼠はこれを
聞いて
振返り、
靜かに
再び
愛ちやんの
所へ
泳いで
來ましたが、
其顏は
眞青でした
それと
見るより
美登利の
顏は
赤う
成りて、
何のやうの
大事にでも
逢ひしやうに、
胸の
動悸の
早くうつを、
人の
見るかと
背後の
見られて、
恐る/\
門の
傍へ
寄れば、
信如もふつと
振返りて
時に後ろの方に當り
生者必滅會者定離嗚呼皆是
前世の
因縁果報南無阿彌陀佛と唱ふる聲に安五郎は
振返り見れば
墨染の衣に
木綿の
頭巾を
其處の
町屋を、
馬の
沓形に
一廻りして、
振返つた
顏を
見ると、
額に
隱れて
目の
窪んだ、
頤のこけたのが、かれこれ四十ぐらゐな
年であつた。
濱島は
船の
舷梯まで
到つた
時、
今一
度此方を
振返つて、
夫人とその
愛兒との
顏を
打眺めたが、
何か
心にかゝる
事のあるが
如く
私に
瞳を
轉じて
次の
間の時計が九時を
打出した時
突然格子戸ががらりと明いた。
其の明け
様でお
豊はすぐに
長吉の帰つて来た事を知り急に話を
途切し
其の
方に
振返りながら
とお
京は
尺を
杖に
振返りて
吉三が
顏を
諦視りぬ。
と
手を
引合つて、もつれるやうにばら/\と
寺の
門へ
駈けながら、
卵塔場を、
灯の
夜の
影に
揃つて、かはいゝ
顏で
振返つて
云つゝ同く
炬たつに
這入しに女房お梅は
振返りオヤ長兵衞樣能こそ御入下されしと少し
赤くなりしが
早々流し元ヘ行甲斐々々しく酒肴の支度を
甲板に
落ちて
微塵に
碎けた
物音のしたので、
私は
急ぎ
振返つて
見ると、
其處では
今しも、二三の
水夫が
滑車をもつて
前檣高く
掲げんとした
一個の
白色燈——それは
船が
航海中
「アラ、
道ちやん」と
呼びかけられ、
驚いて
振返つて
見ると、
小岩の
私娼窟にゐた
頃姉妹のやうに
心安くしてゐた
蝶子といふ
女、もとは
浅草の
街娼をしてゐた
事もあるといふ
女なので、
訳を
話して
「よう。」と
反つて、
茫然として
立つた。が、ちよこ/\と
衣紋繕ひをして、
其の
車を
尾けはじめる。と
婦も
心着いたか
一寸々々此方を
振返る。
風鈴屋でも
通る
事か。——
振返つた
洋館をぐわさ/\とゆするが
如く、
貨物車が、
然も
二臺。
私をかばはうとした
同伴の
方が
水溜に
踏みこんだ。
堪へよ、
暫時、
製作に
骨を
削り、
血を
灌いで、…
其の
苦痛を
償はう、と
城ヶ
沼に
対して、
瞑目し、
振返つて、
天守の
空に
高く
両手を
翳して
誓つた。
(お
前達は
生意気だよ、)と
激しくいひさま、
腋の
下から
覗かうとした
件の
動物の
天窓を
振返りさまにくらはしたで。
何にしても
恐しい
今の
枝には
蛭が
生つて
居るのであらうと
余の
事に
思つて
振返ると、
見返つた
樹の
何の
枝か
知らず
矢張幾ツといふこともない
蛭の
皮ぢや。
忍んで
小説を
讀む
内は、
木にも
萱にも
心を
置いたので、
吃驚して、
振返ると、
又ぱら/\ぱら/\といつた。
無理に
堪へてうしろを
振返つて
見ようといふ
元氣もないが、むず/\するので
考へるやうに、
小首をふつて、
促す
處ある
如く、はれぼつたい
眼で、
巡査を
見上げた。
お
孝が
買物に
出掛ける
道だ。
中里町から
寺町へ
行かうとする
突當の
交番に
人だかりがして
居るので
通過ぎてから
小戻をして、
立停つて、
少し
離れた
處で
振返つて
見た。
元二が、
一膳めし
屋の
前を
離れて、
振返る、と
件の
黒猫が、あとを、のそ/\と
歩行いて
居る。
今度は
目は
眩まない。
背後の
方も
見えるから、
振返つて
背後を
見ると、
娘は
何故か、
途中へ
踞んでて
動かない。
而して
横腹を
抱へながら、もう
止しておくれ/\と
言つて
居る。
と
土間の
端までゐざり
出でて、
膝をついて、
手を
合すのを、
振返つて、
母衣は
下りた。
あの
坂の
上り
口の
所で、
上から
來た
男が、
上つて
行く
中年増の
媚かしいのと
行違つて、
上と
下へ五六
歩離れた
所で、
男が
聲を
掛けると、
其の
媚かしいのは
直ぐに
聞取つて、
嬌娜に
振返つた。
之よりして、
天下御免の
送狼、
艷にして
其の
且美なのも
亦、
車の
上から
幾度も
振返り
振返りする。
其が
故とならず
情を
含んで、
何とも
以て
我慢がならぬ。
此のあたり、
神魂迷蕩不知兩足䟜跚也。
まあ、
彼の
恐しい
所から
何の
位離れたらうと
思つて
怖々と
振返ると、ものの
五尺とは
隔たらぬ
私の
居室の
敷居を
跨いで
明々地に
薄紅のぼやけた
絹に
搦まつて
蒼白い
女の
脚ばかりが
歩行いて
來た。
坂の
見霽で、
駕籠が
返る、と
思ひながら、
傍目も
触らなかつた
梶原さんは、——その
声に
振返ると、
小笠原氏が、
諸肌ぬぎになつて、
肥腹の
毛をそよがせ、
腰に
離さなかつた
古手拭を
頸に
巻いた。
入つて
見よう……
今前途を
聞いたのに、
道草をするは、と
氣がさして、
燒芋屋の
前を
振返ると、
私に
教へた
時、
見返つた、
其のまゝに、
外を
向いて、こくり/\と
然も
暖とさうな
懷手の
居睡りする。
與吉は
半被の
袖を
掻合はせて、
立つて
見て
居たが、
急に
振返つて
「え、
知つてるかい、
若い
衆。」と
振返つて
熟と
視た。
と
雪枝は
老爺に
向いて、
振返つて
左右を
視めた。