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拘
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かゝは
ふりがな文庫
“
拘
(
かゝは
)” の例文
此日
(
このひ
)
も
宗助
(
そうすけ
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
もと
思
(
おも
)
つて
電車
(
でんしや
)
へ
乘
(
の
)
つた。
所
(
ところ
)
が
日曜
(
にちえう
)
の
好天氣
(
かうてんき
)
にも
拘
(
かゝは
)
らず、
平常
(
へいじやう
)
よりは
乘客
(
じようきやく
)
が
少
(
すく
)
ないので
例
(
れい
)
になく
乘心地
(
のりごゝち
)
が
好
(
よ
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
事
(
こと
)
の
大小
(
だいせう
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、
總
(
すべ
)
ての
困難
(
こんなん
)
を
解决
(
かいけつ
)
する
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
方法
(
はうはふ
)
を
御存
(
ごぞん
)
じでした。『
彼
(
か
)
れの
頭
(
あたま
)
を
刎
(
は
)
ねよ!』と
四邊
(
あたり
)
も
見
(
み
)
ずに
申
(
まを
)
されました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
毎朝
(
まいあさ
)
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く
方面
(
はうめん
)
が
異
(
ことな
)
つて
居
(
ゐ
)
るにも
拘
(
かゝは
)
らず、
同時
(
どうじ
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
くのを
見
(
み
)
なければ
心
(
こゝろ
)
が
濟
(
す
)
まないのであつた。
毎朝
(
まいあさ
)
さうするので
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
愛嬌
(
あいけう
)
笑ひを忘れないと言つた、この上もない如才なさが、腕にも名聲にも
拘
(
かゝは
)
らず、世間の一部から反感を持たれてゐる原因でもあるでせう。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼
(
かれ
)
は
恁
(
か
)
くも
神經質
(
しんけいしつ
)
で、
其議論
(
そのぎろん
)
は
過激
(
くわげき
)
であつたが、
町
(
まち
)
の
人々
(
ひと/″\
)
は
其
(
そ
)
れにも
拘
(
かゝは
)
らず
彼
(
かれ
)
を
愛
(
あい
)
して、ワアニア、と
愛嬌
(
あいけう
)
を
以
(
もつ
)
て
呼
(
よ
)
んでゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
それにも
拘
(
かゝは
)
らず、
神武天皇
(
じんむてんのう
)
の
時分
(
じぶん
)
に、ちゃんとあゝいふ
調
(
とゝの
)
つた、
景色
(
けしき
)
の
歌
(
うた
)
があるといふことは、どうしても、
不自然
(
ふしぜん
)
なように
考
(
かんが
)
へられます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
マス君は
屡
(
しば/\
)
真直
(
まつすぐ
)
な鋭い剣を送つたが、
偶
(
たま/\
)
其れを避け外したカ君の
右腕
(
うわん
)
から血が流れた。
可
(
か
)
なり深い負傷であるに
拘
(
かゝは
)
らずカ君は戦闘を続けた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
番頭
傳兵衞
(
でんべゑ
)
と
云
(
いへ
)
る者
預
(
あづか
)
り
支配
(
しはい
)
なし居たるが此處に吉之助を
遣
(
つかは
)
して
諸藝
(
しよげい
)
の師を
撰
(
えら
)
み金銀に
拘
(
かゝは
)
らず
習
(
なら
)
はするに日々
生花
(
いけばな
)
茶
(
ちや
)
の
湯
(
ゆ
)
其外
(
そのほか
)
遊藝
(
いうげい
)
彼是
(
なにくれ
)
と是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これが立上ると新入幕の小野川((後の大関豊国))が、十分な差手を差勝つて居るにも
拘
(
かゝは
)
らず、一向勝身に出て行かない。
呑み込み八百長
(新字旧仮名)
/
栗島山之助
(著)
自己
(
じこ
)
の
現在
(
げんざい
)
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る
經濟界
(
けいざいかい
)
は
夙
(
つと
)
に
變化
(
へんくわ
)
して
居
(
ゐ
)
るに
拘
(
かゝは
)
らず
此
(
こ
)
れに
對
(
たい
)
して
充分
(
じうぶん
)
の
理解
(
りかい
)
のないのが
寧
(
むし
)
ろより
重大
(
ぢうだい
)
なる
原因
(
げんいん
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
利章は最早坐視するに忍びないので、一成や内藏允に留められたにも
拘
(
かゝは
)
らず、病氣を申し立てゝ家老の職を辭した。忠之は即座にこれを許した。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
人生のいかに
紛糾
(
ふんきう
)
せるにも
拘
(
かゝは
)
らず、金星は飛んで地球の上に堕ちざるなり、彗星は駆けつて太陽の光りを争はざるなり。
最後の勝利者は誰ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
拒絶して居るに
拘
(
かゝは
)
らず、講堂の内面では
却
(
かへつ
)
て盛に其の卵が
孵化
(
ふくわ
)
されて居るんだから、実に多望なる我々の将来ぢやないか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
夫人
(
ふじん
)
は
屹度
(
きつと
)
無事
(
ぶじ
)
であらうと
言
(
い
)
はれたに
拘
(
かゝは
)
らず、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
も、
私
(
わたくし
)
も、
最早
(
もはや
)
貴女
(
あなた
)
とは、
現世
(
このよ
)
でお
目
(
め
)
に
掛
(
かゝ
)
る
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
まいとばかり
斷念
(
だんねん
)
して
居
(
を
)
りましたに。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
然し、その性質
如何
(
いかん
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、一
體
(
たい
)
人の犯罪
乃至
(
ないし
)
は祕密を探し尋ねて、それを
白日
(
はくじつ
)
にさらし出すと
云
(
い
)
ふ事はあんまり好い氣持のするものぢやありません。
探偵小説の魅力
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
実
(
じつ
)
に
此
(
この
)
音色
(
ねいろ
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
く
等
(
など
)
といふは、
不思議
(
ふしぎ
)
と
申
(
まう
)
すも
余
(
あまり
)
あることでござりまする。
殊
(
こと
)
に親、
良人
(
をつと
)
、
誰
(
たれ
)
に
拘
(
かゝは
)
らず
遺言
(
ゆゐごん
)
抔
(
など
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
いたら
妙
(
めう
)
でござりませう。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
異にせるに
拘
(
かゝは
)
らず、之れに触れざる作家なかるべき
所以
(
ゆゑん
)
は普遍といふ語にも著くまた上文既に論じたる所にも著し
国民性と文学
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
これは
空氣
(
くうき
)
の
上層
(
じようそう
)
には
通常
(
つうじよう
)
西風
(
にしかぜ
)
があるので、
下層
(
かそう
)
の
風向
(
かざむ
)
きの
如何
(
いかん
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、
細
(
こま
)
かな
火山灰
(
かざんばひ
)
は
大抵
(
たいてい
)
大氣中
(
たいきちゆう
)
の
上層
(
じようそう
)
に
入
(
い
)
り、
東方
(
とうほう
)
に
運
(
はこ
)
ばれるに
因
(
よ
)
るからである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
その祖父は
曾
(
かつ
)
て孫を此上なく
寵愛
(
ちようあい
)
して、
凡
(
およ
)
そ祖父の孫に対する愛は、
遺憾
(
ゐかん
)
なく尽して居つたにも
拘
(
かゝは
)
らず、その死の床には
侍
(
はべ
)
つて居るものが一人も無いとは!
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
右
(
みぎ
)
の
次第
(
しだい
)
にて
大陰暦
(
たいゝんれき
)
は
春夏秋冬
(
しゆんかしうとう
)
の
節
(
せつ
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、一年の
日數
(
ひかず
)
を
定
(
さだむ
)
るものなれば
去年
(
きよねん
)
の
何月何日
(
なんぐわつなんにち
)
と、
今年
(
ことし
)
の
其日
(
そのひ
)
とは
唯
(
たゞ
)
唱
(
となへ
)
のみ
同樣
(
どうやう
)
なれども
四季
(
しき
)
の
節
(
せつ
)
は
必
(
かなら
)
ず
相違
(
さうゐ
)
せり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
幾回
(
いくくわい
)
ものカンフル
注射
(
ちうしや
)
が
施
(
ほどこ
)
されて、
皆
(
みな
)
は
彼女
(
かのぢよ
)
の
身内
(
みうち
)
の
者
(
もの
)
が、
一人
(
ひとり
)
でも
來
(
き
)
てくれる
事
(
こと
)
を
待
(
ま
)
ち
望
(
のぞ
)
んでゐたが、
電報
(
でんぱう
)
を
打
(
う
)
つたにも
拘
(
かゝは
)
らず、
誰一人
(
たれひとり
)
、たうとう
來
(
こ
)
なかつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
大阪美術
倶楽部
(
くらぶ
)
で催された故
清元
(
きよもと
)
順三の
追悼会
(
ついたうゑ
)
に、家元
延寿太夫
(
えんじゆだいふ
)
が順三との
幼馴染
(
おさななじみ
)
を
懐
(
おも
)
ひ出して、病後の
窶
(
やつ
)
れにも
拘
(
かゝは
)
らず、
遙々
(
はる/″\
)
下阪
(
げはん
)
して来たのは美しい情誼であつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかしそれにも
拘
(
かゝは
)
らず、彼にはやはり加納の家の成育盛りの娘を持つた家庭に独特な、目に見えない派手な空気を何処かに漂はせてゐる事実を感じないわけにはゆかなかつた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
さつきから空の
大半
(
たいはん
)
は
真青
(
まつさを
)
に晴れて来て、絶えず風の吹き
通
(
かよ
)
ふにも
拘
(
かゝは
)
らず、ぢり/\人の
肌
(
はだ
)
に
焼附
(
やきつ
)
くやうな
湿気
(
しつけ
)
のある秋の日は、目の前なる
大川
(
おほかは
)
の水一面に
眩
(
まぶ
)
しく照り輝くので
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
糶呉服
(
せりごふく
)
を
借
(
か
)
りたのさへ
返
(
かへ
)
さない……にも
拘
(
かゝは
)
らず、
鯱
(
しやち
)
に
對
(
たい
)
して、
錢
(
もん
)
なしでは、
初松魚
(
はつがつを
)
……とまでも
行
(
ゆ
)
かないでも、
夕河岸
(
ゆふがし
)
の
小鰺
(
こあぢ
)
の
顏
(
かほ
)
が
立
(
た
)
たない、とかうさへ
言
(
い
)
へば「あいよ。」と
言
(
い
)
ふ。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは、二十
坪
(
つぼ
)
ばかりの
貝殼
(
かひがら
)
を、
殘
(
のこ
)
らず
綺麗
(
きれい
)
に
取出
(
とりだ
)
して、
他
(
た
)
の
藪
(
やぶ
)
の
方
(
はう
)
に
運
(
はこ
)
び、
其所
(
そこ
)
で
綺麗
(
きれい
)
に、
貝
(
かひ
)
は
貝
(
かひ
)
、
石
(
いし
)
は
石
(
いし
)
、
土
(
つち
)
は
土
(
つち
)
と、
篩
(
ふるひ
)
で
分
(
わ
)
けてあるに
拘
(
かゝは
)
らず、
石器
(
せきき
)
も、
土器
(
どき
)
も、
獸骨
(
じうこつ
)
も、
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
て
居
(
を
)
らね。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
勘兵衞は
訂正
(
ていせい
)
してくれます。さう言へば、美しさも、
身扮
(
みなり
)
の整つて居るにも
拘
(
かゝは
)
らず、眉も齒も、娘姿に間違ひはありません。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
美術館
(
ピナコテカ
)
では
沢山
(
たくさん
)
あるリユニイの絵を面白いと思つた。ラフワエルの「処女のマリア」は
呼物
(
よびもの
)
であるに
拘
(
かゝは
)
らず芝居
掛
(
がゝ
)
つた有難くない絵であつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
今度
(
こんど
)
は『
召上
(
めしあが
)
れ』と
書
(
か
)
いた
貼紙
(
はりがみ
)
がありませんでしたが、それにも
拘
(
かゝは
)
らず
愛
(
あい
)
ちやんは
栓
(
せん
)
を
拔
(
ぬ
)
いて
直
(
たゞ
)
ちに
唇
(
くちびる
)
に
宛
(
あ
)
てがひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
こんな
勝
(
すぐ
)
れた
歌
(
うた
)
が、しかも
非常
(
ひじよう
)
に
貴
(
たふと
)
い
方々
(
かた/″\
)
のお
作
(
さく
)
に
出
(
で
)
て
來
(
き
)
てゐるに
拘
(
かゝは
)
らず、
世間
(
せけん
)
の
流行
(
りゆうこう
)
は、
爲方
(
しかた
)
のないもので、だん/\、
惡
(
わる
)
い
方
(
ほう
)
へ/\と
傾
(
かたむ
)
きました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
が、
彼
(
かれ
)
は
町
(
まち
)
の
者
(
もの
)
を
恁
(
か
)
く
部下
(
ぶか
)
のやうに
遇
(
あつか
)
ふにも
拘
(
かゝは
)
らず、
院長
(
ゐんちやう
)
アンドレイ、エヒミチ
計
(
ばか
)
りは、
教育
(
けういく
)
があり、
且
(
か
)
つ
高尚
(
かうしやう
)
な
心
(
こゝろ
)
を
有
(
も
)
つてゐると、
敬
(
うやま
)
ひ
且
(
か
)
つ
愛
(
あい
)
してゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其勢が余り
烈
(
はげ
)
しかつたので、横山は上田の腕に
微傷
(
かすりきず
)
を負はせたにも
拘
(
かゝは
)
らず、
刃
(
やいば
)
を引いて逃げ出した。上田は追ひ
縋
(
すが
)
つて、横山の後頭を一刀切つて引き返した。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
爲替相場
(
かはせさうば
)
の
騰貴
(
とうき
)
にも
拘
(
かゝは
)
らず
糸價
(
しか
)
却
(
かへつ
)
て
騰貴
(
とうき
)
し
賣行
(
うれゆき
)
又
(
また
)
良好
(
りやうかう
)
なりしに
米國證劵市場
(
べいこくしようけんしぢやう
)
の
不安定
(
ふあんてい
)
の
爲
(
た
)
め
糸價
(
しか
)
下落
(
げらく
)
したるは
我國
(
わがくに
)
生糸貿易
(
きいとぼうえき
)
の
爲
(
た
)
め
非常
(
ひじやう
)
に
遺憾
(
ゐかん
)
とする
處
(
ところ
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
作家自身にして籍を一国に有する限りは其詩材もしくは主題の何たるに
拘
(
かゝは
)
らず、其の作の
気脉
(
きみやく
)
は多少国民性に触れざらんと欲するも
得
(
う
)
べからざるにはあらざるか。
国民性と文学
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
但
(
たゞ
)
し
港
(
みなと
)
の
奧
(
おく
)
ではかような
大事變
(
だいじへん
)
を
起
(
おこ
)
してゐるに
拘
(
かゝは
)
らず
數十町
(
すうじつちよう
)
の
沖合
(
おきあひ
)
では
全
(
まつた
)
くそれに
無關係
(
むかんけい
)
であつて
當時
(
とうじ
)
そこを
航行中
(
こう/\ちゆう
)
であつた
石油發動機船
(
せきゆはつどうきせん
)
が
海岸
(
かいがん
)
に
於
(
お
)
けるかゝる
慘事
(
さんじ
)
を
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
村の人の幾らか好くなつたらうと望を
属
(
しよく
)
して居たのにも
拘
(
かゝは
)
らず、相変らず
無頼
(
ぶらい
)
で、
放蕩
(
はうたう
)
で後悔を為るどころか一層大胆に悪事を行つて、殆ど傍若無人といふ有様であつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
隣
(
となり
)
では
自分
(
じぶん
)
の
腕
(
うで
)
を
斬
(
き
)
られたやうだと
惜
(
を
)
しんだにも
拘
(
かゝは
)
らずお
品
(
しな
)
の
家
(
いへ
)
では
竊
(
ひそか
)
に
悦
(
よろこ
)
んだのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其
(
その
)
下
(
した
)
は
疑
(
うたがひ
)
もなき
大洞窟
(
おほほらあな
)
で、
逆浪
(
ぎやくらう
)
怒濤
(
どたう
)
が
隙間
(
すきま
)
もなく
四邊
(
しへん
)
に
打寄
(
うちよ
)
するに
拘
(
かゝは
)
らず、
洞窟
(
ほらあな
)
の
中
(
なか
)
は
極
(
きわ
)
めて
靜謐
(
せいひつ
)
な
樣子
(
やうす
)
で、
吾等
(
われら
)
の
歩
(
あゆ
)
む
毎
(
たび
)
に、
其
(
その
)
跫音
(
あしおと
)
はボーン、ボーン、と
物凄
(
ものすご
)
く
響
(
ひゞ
)
き
渡
(
わた
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼が表面非常な貧窮と質素とを装ふに
拘
(
かゝは
)
らず、其の実は驚くべき
華奢贅沢
(
きやしやぜいたく
)
をして居るのだ、彼を指して道徳堅固な君子だなど思ふのは、其の裏面を知らない者の買ひかぶりである
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
溢
(
あふ
)
れる水に
濡
(
ぬ
)
れた
御手洗
(
みたらし
)
の石が
飜
(
ひるが
)
へる
奉納
(
ほうなふ
)
の
手拭
(
てぬぐひ
)
のかげにもう
何
(
なん
)
となく
冷
(
つめた
)
いやうに思はれた。
其
(
そ
)
れにも
拘
(
かゝは
)
らず
朝参
(
あさまゐ
)
りの男女は本堂の階段を
上
(
のぼ
)
る前に
何
(
いづ
)
れも手を洗ふ
為
(
た
)
めにと
立止
(
たちど
)
まる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「雨乞ひをしてるのです。」所員の一人が坊主頭を
竦
(
すく
)
めながら言つた。「折角の所長の警報が痕形も無くなつては、私達の信用に
拘
(
かゝは
)
りますから、せめて雨でも降らせたいと思つて。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
紅葉は「伽羅枕」を、露伴は「
辻浄瑠璃
(
つじじやうるり
)
」を、時を同うして作り出たり。此二書に就き世評既に定まれるにも
拘
(
かゝは
)
らず、余は
聊
(
いさゝか
)
余が読来り読去る
間
(
ま
)
に念頭に浮びし感を記する事となしぬ。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
その
刹那
(
せつな
)
から
可成
(
かな
)
りな心身の疲れにも
拘
(
かゝは
)
らず、こまかく
推敲
(
すゐかう
)
しつつ全部を書き直し、更にそれを三度書き直して、最後の
筆
(
ふで
)
を置いたのが忘れもしない十月十七日の夜の十二時近くなのであつた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
皆
(
みん
)
な
他
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
が
全
(
まつた
)
く
默
(
だま
)
つて、
極
(
きは
)
めて
不快
(
ふくわい
)
な
容貌
(
かほつき
)
をしてゐるにも
拘
(
かゝは
)
らず、
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで
一人
(
ひとり
)
で
饒舌
(
しやべ
)
つて
居
(
を
)
られました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
日本
贔屓
(
びいき
)
の男で、十七年
前
(
まへ
)
に一度日本へ来たが、今度も六十歳を越えた老人の身を気遣つて娘が見合せよと云つたに
拘
(
かゝは
)
らず出掛けたと云つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それにも
拘
(
かゝは
)
らず、二人の娘は、默つて顏を見合せてゐるのです。この頃の町人達のやうな、
事勿
(
ことなか
)
れ主義に
徹
(
てつ
)
して、極端に掛り合ひを恐れてゐるのでせう。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし
普通
(
ふつう
)
の
人
(
ひと
)
は、
文學
(
ぶんがく
)
の
上
(
うへ
)
ではやはり
昔
(
むかし
)
のまゝの
型
(
かた
)
どほりに
作
(
つく
)
つてゐるに
拘
(
かゝは
)
らず、
勝
(
すぐ
)
れた
人
(
ひと
)
は、その
時代
(
じだい
)
の
人
(
ひと
)
らしい
眼
(
め
)
で、
物
(
もの
)
を
見
(
み
)
、
感
(
かん
)
じるものであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
立派な手廣な角店で、五彩目を奪ふ
頭飾
(
かみかざり
)
の類が
陳
(
なら
)
べてある。店頭には、雨の盛に降つてゐるにも
拘
(
かゝは
)
らず、
蛇目傘
(
じやのめがさ
)
をさし、
塗足駄
(
ぬりあしだ
)
を
穿
(
は
)
いた客が引きも切らず出入してゐる。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
併
(
しか
)
し
爲替相場
(
かはせさうば
)
の
騰貴
(
とうき
)
した
割合
(
わりあひ
)
には
低落
(
ていらく
)
せざるのみならず七
月
(
ぐわつ
)
以來
(
いらい
)
常
(
つね
)
に
非常
(
ひじやう
)
な
好賣行
(
かううれゆき
)
であつて
爲替相場
(
かはせさうば
)
は
漸次
(
ぜんじ
)
騰貴
(
とうき
)
するに
拘
(
かゝは
)
らず九
月
(
ぐわつ
)
に
入
(
い
)
りては千三百五十
圓
(
ゑん
)
となつたのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
それから
又
(
また
)
根切蟲
(
ねきりむし
)
が
残酷
(
ざんこく
)
に
堅
(
かた
)
い
莖
(
くき
)
を
根
(
ね
)
もとからぷきりと
噛
(
か
)
み
倒
(
たふ
)
して
植
(
うゑ
)
た
數
(
かず
)
の
減
(
へ
)
るにも
拘
(
かゝは
)
らず
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
拘
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拘”を含む語句
拘泥
拘引
不拘
拘々
拘留
拘束
拘攣
拘禁
拘薩羅
拘置所
拘置
拘縛
拘睒弥
拘留所
拘留孫仏
拘留場
拘束力
拘捉
拘引状
拘尸那
...