ひさ)” の例文
たけが、同情どうじょうをしたように、このアルミニウムの湯沸ゆわかしは、まちからわれて、このうちにきてから、すでにひさしいあいだはたらいてきました。
人間と湯沸かし (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひさしぶりで、うしてかせたまゝ、りの小間使こまづかひさへとほざけて、ハタとひらきとざしたおとが、こだまするまでひゞいたのであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ピエエル・オオビュルナンはややひさしく物を案じている。もうよほど前からこの男は自己の思索にある節制を加えることを工夫している。
田舎 (新字新仮名) / マルセル・プレヴォー(著)
其辭そのじ(七六)徑省けいせいすれば、すなは(七七)不知ふちとしてこれくつし、(七八)汎濫博文はんらんはくぶんなれば、すなはこれおほしとして(七九)ひさしとす。
パリス いづれも名譽めいよ家柄いへがらであらせらるゝに、ひさしう確執なかたがひをなされたはおどくでござった。ときに、吾等われら申入まうしいれたこと御返答ごへんたふは?
ある時のごとき、彼は「天井の中心飾り」と称する線のこんぐらかりを見事にいてみせた。小さい連中は、感嘆これをひさしゅうした。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
かれ自分じぶんが一しよときたがひへだてが有相ありさうて、自分じぶんはなれるとにはかむつまじさう笑語さゝやくものゝやうかれひさしいまえからおもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夜汽車よぎしや新橋しんばしいたときは、ひさりに叔父をぢ夫婦ふうふかほたが、夫婦ふうふとも所爲せゐれやかないろには宗助そうすけうつらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
みらるゝにひさしく浪々なし殊に此程は牢舍らうしやせし事ゆゑはなはやつれ居ると雖も自然と人品じんぴんよく天晴の武士さぶらひなりしかば大岡殿しづかに言葉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八幡下の田圃を突切つっきって、雑木林の西側をこみちに入った。立どまってややひさしく耳をました。人らしいものゝもない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひさりであなたにお目にかゝつてそのおしやくいたゞくのはお祖師様そしさまあはせでございませう、イエたんとはいたゞきません。
明治政府めいぢせいふになツてからも、ひさしくお役人やくにん大頭おほあたまに加へられてゐて、頭は古いが馬鹿でなかツたので、一度は歐羅巴えうろツぱ駐剳ちうさつ公使こうしになツたこともある。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
こわがるこたァねえから、あとずさりをしねえで、落着おちついていてくんねえ。おいらァなにも、ひさりにったいもうとを、っておうたァいやァしねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そののちに、琵琶湖びわこの上で乗り落ちたまま行方ゆくえをうしなったクロをさがす方針ほうしんもかんがえ、また、一とうの人々にも、ひさしぶりでいたいと願った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「皆んな出かけましたよ。留守番は私と釜吉と、下女のおひさだけで、——その代り三人は家からちょっとも出ません」
かんがえてれば、私達わたくしたち対面たいめん随分ずいぶんひさしぶりの対面たいめんでございました。現世げんせわかれたり、かれこれ二百ねんちかくにもなっているのでございますから……。
こんどのいくさまえときおとらず随分ずいぶんくるしい戦争せんそうでしたけれど、三ねんめにはすっかり片付かたづいてしまって、義家よしいえはまたひさりでみやこかえることになりました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひさぶりでおにかゝつてなにまをしたいこと澤山たんとあるやうなれどくちませぬはさつしてくだされ、ではわたし御別おわかれにいたします、隨分ずいぶんからだをいとふてわづらはぬやう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひさしぶりでかしらはうつくしいこころになりました。これはちょうど、あかまみれのきたな着物きものを、きゅうににきせかえられたように、奇妙きみょうなぐあいでありました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
この古今集こきんしゆうると、不思議ふしぎなことには、古今集こきんしゆう出來でき當時とうじきてゐたひとうたは、たいていよくなくて、んでひさしくなつて、さへつたはらないひとうた
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
すると一日あるひ一人ひとり老叟らうそう何所どこからともなくたづねて來て祕藏ひざうの石を見せてれろといふ、イヤその石は最早もう他人たにんられてしまつてひさしい以前から無いと謝絶ことわつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
京の夕ぐれ、相つれてゆたかに歩くことも夢ではございません。たとえ女房のつとめ忙しくとも宿下りの日のひさかたのもの語りも、眼に見えるようでございます。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ひさりのせふが帰郷をきゝて、親戚ども打寄うちよりしが、母上よりはかへつせふの顔色の常ならぬに驚きて、何様なにさま尋常じんじやうにてはあらぬらし、医師を迎へよと口々にすゝめ呉れぬ。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
西園寺陶庵侯の雨声会がひさぶりに近日開かれるといふ事だ。招かれる文士のなかには例年通り今から、即吟の下拵したごしらへに取蒐とりかゝつてゐるむきもあるらしいと聞いてゐる。
「もう餘程よほどひさしいことでございます。あれは豐干ぶかんさんが松林まつばやしなかからひろつてかへられた捨子すてごでございます。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
味鴨あぢの住む須佐すさの入江のこものあな息衝いきづかし見ずひさにして」(巻十四・三五四七)の用例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
トルストイ、ツルゲネーフとう吾人ごじんひさしくこれけども、ドストイヱフスキーの著書ちよしよいたりては吾文界わがぶんかいこれ紹介せうかいするのこう不知庵フチアンおほしとはざるからず。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
泣出なきだしもしまいとつたから、ひさしぶりで、こちらも人間にんげんこゑきたくなつて、口元くちもとはなしてやると、あとをきさうにもしないのだ。よそてゐるやうだ。
列び茶屋の或る家に奉公しているおひさという女がやはりお里の近所に住んでいるので、毎晩誘いあわせて一緒に帰ることにしていたが、きょうはその女が店を休んだので
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
亞尼アンニー鳥渡ちよつと使つかひにましたとき波止塲はとばのほとりではからずも、たえひさしきその出會であつたのです。
実際じっさいひさしいあいだの心労しんろう老年ろうねんに、この最後さいご困苦こんくくわわって、かれはもう自分をささえる力をうしなっていた。自分でもどれほどひどくなっているか、かれは知っていたろうか。
相議するやひさし、余奮つて曰く、水をふて此嶮所けんしよを溯る何かあらん、未だ生命を抛つの危険きけんあるをずと、しふあへて余をさんするものなし、余此に於てやむを得ずかたく後説を
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「ああ、」とおとうさんがった。「おれはうれしくって、仕方しかたがない。まるでこう、がぱーッとしてでもるような気持きもちだ。まるでひさしくわない友達ともだちにでもまえのようだ。」
さうしてれからうちあたゝか閑靜かんせい書齋しよさいかへつて……名醫めいゝかゝつて頭痛づつう療治れうぢでもらつたら、ひさしいあひだわたくしはもうこの人間にんげんらしい生活せいくわつないが、それにしても此處こゝじつ不好いやところだ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
平家の落武者がこの里に隠れ住む事としひさしく、全く他郷との行通こうつうを絶って、桃源武陵の生活をしていたのだけれど、たまたま三面川にわんを流したのから、下流の里人に発見されたという
壁の眼の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
ひさしぶりにガンの姿を見たニールスは、うれしくてうれしくてたまりません。ふとむこうを見ますと、草のかげに白いものが見えます。ニールスはむねをおどらせながら、かけよりました。
前の日自分が腰掛けた岩としばらく隠れたおおきな岩とをややひさしく見ていたが、そのあげくに突然と声張り上げて、ちとおかしな調子で、「我は官軍、我が敵は」とさけび出して山手へと進んだ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
はなはだしいかな、おとろえたるや。ひさしくゆめにだも周公しゅうこうず」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
この憤慨たるや、決して私憤を意味しない。正しく一片の私情をも挟まざる公憤であると、僕は信じ、つ、人、何が故に黙視するかを疑うものに対してのみ発するので、って来る所またひさ
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
しかし、この神武天皇じんむてんのう御陵ごりようひさしくれはてゝをつて、じつはそのかたちもよくわかりませんし、場所ばしよについてもいろ/\のせつがありますが、とにかくあまりおほきくないまるつかであつたとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ひさの剣突か涙声か、何れ碌なことには出逢わないのだし……はて?
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
またさきほどおはなししたように、や、苔類こけるいみづおほふくみ、したがつて、地中ちちゆうにも多量たりよう水分すいぶんをしみこませますから、たとひ旱天かんてんひさしくつゞいても森林しんりんはそのたもつてゐる水分すいぶん徐々じよ/\なが
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
主人答て曰く、團十郎は新富劇しんとみざに出場せるが、該劇かのざ近日このごろ炎帝特に威を恣にするを以て、昨日俄に場を閉じ、圓朝は避暑をかねて、目今静岡地方に遊べりと。居士之を聞て憮然たるものやゝひさしゅうす。
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
ドイツ兵のいる陸地へ、こっちからいって上陸したということになれば、そのニュースは、ビッグ・ニュースとして全世界を震駭しんがいし、ふるわざることひさしきイギリス軍も勇気百倍、狂喜乱舞きょうきらんぶいたしますよ
長州征伐は幕府創立そうりつ以来の大騒動だいそうどうにして、前後数年のひさしきにわたり目的もくてきを達するを得ず、徳川三百年の積威せきいはこれがために失墜しっついし、大名中にもこれより幕命ばくめいを聞かざるものあるに至りし始末しまつなれば
駕籠かごつてかうかとおもつたけれど、それも大層たいそうだし、長閑のどか春日和はるびよりを、麥畑むぎばたけうへ雲雀ひばりうたきつゝ、ひさりで旅人たびびとらしい脚絆きやはんあしはこぶのも面白おもしろからう、んの六ぐらゐの田舍路ゐなかみち
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
肉厚く重き護謨の葉かがやきひさしおのづからふかき音たてにける
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕日てる雲見つつあれば海見ざるひさになりぬと此の十年ととせを思ふ
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
「ねえ、木嶋きイさん。あそんでよ。ひさしぶりぢやないの。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ひさりに石油を一升買った。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)