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眞
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しん
ふりがな文庫
“
眞
(
しん
)” の例文
新字:
真
當
(
とう
)
時、
私
(
わたし
)
の一家は長
崎
(
さき
)
に
住
(
す
)
んでゐた。その長
崎
(
さき
)
には、下岡蓮杖
翁
(
おう
)
と
並
(
なら
)
んで、日本寫
眞
(
しん
)
界
(
かい
)
の
元祖
(
ぐわんそ
)
である上野彦馬
翁
(
おう
)
が同じく
住
(
す
)
んでゐた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
海蛇
(
うみへび
)
に
捕
(
と
)
られたとは、
眞
(
しん
)
に
妙
(
めう
)
な
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
りましたが、それがよく
隱語
(
いんご
)
を
使
(
つか
)
ふ
伊太利人
(
イタリーじん
)
の
僻
(
くせ
)
で、
其
(
その
)
書面
(
しよめん
)
ではじめて
分
(
わか
)
りましたよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其樣
(
そん
)
なものに
鼻毛
(
はなげ
)
よまれて
果
(
はて
)
は
跡
(
あと
)
あしの
砂
(
すな
)
の
御用心
(
ごようじん
)
さりとてはお
笑止
(
しようし
)
やなどヽ
憎
(
に
)
くまれ
口
(
ぐち
)
いひちらせど
眞
(
しん
)
の
處
(
ところ
)
は
妬
(
ねた
)
し
妬
(
ねた
)
しの
積
(
つも
)
り
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
つまりその
作物
(
さくぶつ
)
の
背景
(
はいけい
)
になつてゐるものをのみこんで、
眞
(
しん
)
に
歌
(
うた
)
なり
俳句
(
はいく
)
なりを
味
(
あぢは
)
ひ
知
(
し
)
るといふことが、どうしても
必要
(
ひつよう
)
なのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「今死ぬ私が、いゝ加減なことを言ふものですか、——何を隱しませう、これはお駒も知らないことですが、私はお駒の爲には
眞
(
しん
)
の父親——」
銭形平次捕物控:054 麝香の匂ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
言合
(
いひあ
)
はせたやうに、
一張
(
ひとはり
)
差置
(
さしお
)
いた、
眞
(
しん
)
の
細
(
ほそ
)
い、
乏
(
とぼ
)
しい
提灯
(
ちやうちん
)
に、
頭
(
あたま
)
と
顏
(
かほ
)
をひしと
押着
(
おツつ
)
けた
處
(
ところ
)
は、
人間
(
にんげん
)
唯
(
たゞ
)
髯
(
ひげ
)
のないだけで、
秋
(
あき
)
の
蟲
(
むし
)
と
餘
(
あま
)
りかはりない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かように
目録
(
もくろく
)
やそれ
以外
(
いがい
)
の
書物
(
しよもつ
)
が
出版
(
しゆつぱん
)
せられて、
研究
(
けんきゆう
)
の
結果
(
けつか
)
が
發表
(
はつぴよう
)
されるようにならなければ、
眞
(
しん
)
の
博物館
(
はくぶつかん
)
の
役目
(
やくめ
)
は
達
(
たつ
)
せられないのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
凡
(
およ
)
そ
眞
(
しん
)
の
化物
(
ばけもの
)
といふものは、
何處
(
どこ
)
の
部分
(
ぶぶん
)
を
切
(
き
)
り
離
(
はな
)
しても、一
種
(
しゆ
)
異樣
(
いやう
)
な
形相
(
げうさう
)
で、
全體
(
ぜんたい
)
としては
渾然
(
こんぜん
)
一
種
(
しゆ
)
の
纏
(
まと
)
まつた
形
(
かたち
)
を
成
(
な
)
したものでなければならない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
爰
(
こゝ
)
に
於
(
お
)
いてか
滿座
(
まんざ
)
悉
(
こと/″\
)
く
拍手
(
はくしゆ
)
喝釆
(
かつさい
)
しました、それは
眞
(
しん
)
に
王樣
(
わうさま
)
が
其日
(
そのひ
)
に
仰
(
おほ
)
せられた
中
(
うち
)
の
最
(
もつと
)
も
巧
(
たくみ
)
みなるお
言葉
(
ことば
)
でした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
〔譯〕
毀譽
(
きよ
)
得喪
(
とくさう
)
は、
眞
(
しん
)
に是れ人生の
雲霧
(
うんむ
)
、人をして
昏迷
(
こんめい
)
せしむ。此の雲霧を一
掃
(
さう
)
せば、則ち
天
(
てん
)
青
(
あを
)
く
日
(
ひ
)
白
(
しろ
)
し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
小徑の兩側には生垣や竹垣がつゞいてゐて、國道よりも一層さびしく人は一人も通らないが、門柱の電燈や、窓から漏れる人家の
灯影
(
ほかげ
)
で
眞
(
しん
)
の闇にはなつてゐない。
或夜
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
飛行
(
ひかう
)
なさばいざしらず我が庭の飛石に
草履
(
ざうり
)
の
形
(
かた
)
が血にて
明々
(
あり/\
)
殘るの
所謂
(
いはれ
)
なし
是
(
これ
)
眞
(
しん
)
に
疑
(
うたが
)
ふべき一ツなり然すれば傳吉に
意旨
(
いし
)
を
含
(
ふくみ
)
し者猿島川
邊
(
へん
)
にて男女の
害
(
がい
)
されたるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
僕
(
ぼく
)
が
此校長
(
このかうちやう
)
の
下
(
もと
)
に
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
に
居
(
ゐ
)
たのは二
年半
(
ねんはん
)
で、
月日
(
つきひ
)
にすれば
言
(
い
)
ふに
足
(
た
)
らず、十二
歳
(
さい
)
より十五
歳
(
さい
)
まで、
人
(
ひと
)
の
年齡
(
ねんれい
)
にすれば
腕白盛
(
わんぱくざかり
)
でありましたけれど、
僕
(
ぼく
)
が
眞
(
しん
)
の
教育
(
けういく
)
を
受
(
う
)
けたのは
此時
(
このとき
)
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
眞
(
しん
)
に力一ぱいに——それは出來不出來や人氣が生活を脅やかさないグループの中だから、ほんとに熱心にやれるよろこびをもつて、眠つてしまつた藝術慾とおとろへた生活力を盛返すであらう。
むぐらの吐息
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さうさ、
眞
(
しん
)
とは
生
(
い
)
きるのだといふんだもの
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
が、いつだつたか、或る
雜誌
(
ざつし
)
にのつてゐたゴシツプによると、
文藝
(
ぶんげい
)
の
士
(
し
)
の
余技
(
よぎ
)
の内
玉突
(
たまつき
)
と寫
眞
(
しん
)
とでは
私
(
わたし
)
が
筆頭
(
ひつとう
)
ださうだ。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
袂
(
たもと
)
にも、
懷中
(
ふところ
)
にも、
懷紙
(
くわいし
)
の
中
(
なか
)
にも
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
眞
(
しん
)
に
成
(
な
)
つて、
眞顏
(
まがほ
)
で、
目
(
め
)
を
据
(
す
)
ゑて
嗅
(
か
)
ぐのが
油
(
あぶら
)
を
舐
(
な
)
めるやうで
凄
(
すご
)
かつたと
言
(
い
)
ふ……
友
(
とも
)
だちは
皆
(
みな
)
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたくし
)
は、一たび、二たび、お
答
(
こた
)
へ
申
(
まう
)
しましたが、
四邊
(
あたり
)
は
眞
(
しん
)
の
闇
(
やみ
)
で、
何處
(
どこ
)
とも
分
(
わか
)
らず、
其儘
(
そのまゝ
)
永
(
なが
)
いお
別
(
わか
)
れになりました。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
南洲も亦曰ふ、天下
眞
(
しん
)
に
畏
(
おそ
)
る可き者なし、
唯
(
たゞ
)
畏る可き者は東湖一人のみと。二子の言、
夢寐
(
むび
)
相
感
(
かん
)
ずる者か。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
此方
(
こちら
)
は
眞
(
しん
)
から
盡
(
つく
)
す
氣
(
き
)
でも
取
(
と
)
りやうに
寄
(
よ
)
つては
面白
(
おもしろ
)
くなく
見
(
み
)
える
事
(
こと
)
もあらう、
勇
(
いさむ
)
さんだからとて
彼
(
あ
)
の
通
(
とほ
)
り
物
(
もの
)
の
道理
(
だうり
)
を
心得
(
こゝろえ
)
た、
利發
(
りはつ
)
の
人
(
ひと
)
ではあり
隨分
(
ずいぶん
)
學者
(
がくしや
)
でもある
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然
(
しか
)
るに
希臘
(
ぎりしや
)
の
化物
(
ばけもの
)
の
多
(
おほ
)
くは
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
繼合
(
つぎあは
)
せ
物
(
もの
)
である。
故
(
ゆゑ
)
に
眞
(
しん
)
の
化物
(
ばけもの
)
と
言
(
い
)
ふことは
出來
(
でき
)
ないのである。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
蹴飛すやら打つ
擲
(
うた
)
れつ
掴
(
つか
)
み
合
(
あひ
)
果
(
はて
)
は四邊も
眞
(
しん
)
の
闇
(
やみ
)
上を下へと
返
(
かへ
)
しけり斯る
騷
(
さわぎ
)
を見濟して捕手の役人聲々に上意々々と
踏込
(
ふみこむ
)
にぞ
惡者
(
わるもの
)
共は是を聞コリヤ
堪
(
たま
)
らぬと一
目驂
(
もくさん
)
闇
(
やみ
)
を幸ひ
這
(
はう
)
々に後を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ごく大昔のことはいはなくつても、近代にも、武家の妻にも町人の妻にも娘にも、
業
(
ぎやう
)
に徹した尼さんなどにも實に多くある。女として外見からいかついのは、
眞
(
しん
)
のますらを
魂
(
だましひ
)
の所有者ではない。
凡愚姐御考
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この闇試合は
眞
(
しん
)
に一
瞬
(
しゆん
)
のうちに片附きました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そりやあ
眞
(
しん
)
の生活もしてはみたいさ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
洗
(
あら
)
はせて
此室
(
こゝ
)
へ
呼
(
よ
)
びたしと
仰
(
おほ
)
せられたに
相違
(
さうゐ
)
はなし
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
お
上
(
あが
)
りなされよと
洗足
(
すゝぎ
)
の
湯
(
ゆ
)
まで
汲
(
く
)
んでくるゝはよも
串戯
(
じやうだん
)
にはあらざるべし
僞
(
いつは
)
りならずとせば
眞
(
しん
)
以
(
もつ
)
て
奇怪
(
きくわい
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
日本
(
にほん
)
で
國民
(
こくみん
)
が
眞
(
しん
)
に
生命
(
せいめい
)
の
貴
(
たふと
)
きを
知
(
し
)
り、
財産
(
ざいさん
)
の
重
(
おも
)
んずべきを
知
(
し
)
つたのは、ツイ
近
(
ちか
)
ごろのことである。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
見顯
(
みあらは
)
すは然のみ大功とは稱するに足ねど
眞
(
しん
)
の天一坊を
僞
(
にせ
)
として
能
(
よく
)
天下の爲に是を
滅
(
めつ
)
せしは
智術
(
ちじゆつ
)
萬人に越え
才學
(
さいがく
)
四海に並ぶ者なき忠相ぬしに有らざれば
誰人
(
たれびと
)
か能く
此機變
(
このきへん
)
を行なひ君を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
〔譯〕徳性を尊ぶ、是を以て
問學
(
ぶんがく
)
に
道
(
よ
)
る、即ち是れ徳性を尊ぶなり。先づ其の大なる者を立つれば、則ち其知や
眞
(
しん
)
なり。能く其の知を
迪
(
ふ
)
めば、則ち其功や
實
(
じつ
)
なり。
畢竟
(
ひつきやう
)
一條
(
いちでう
)
路
(
ろ
)
の往來のみ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
呉
(
ご
)
の
孫權
(
そんけん
)
、
或時
(
あるとき
)
、
曹
(
さう
)
再興
(
さいこう
)
をして
屏風
(
びやうぶ
)
に
畫
(
ゑが
)
かしむ、
畫伯
(
ぐわはく
)
筆
(
ふで
)
を
取
(
と
)
つて
誤
(
あやま
)
つて
落
(
おと
)
して
素
(
しろ
)
きに
點
(
てん
)
打
(
う
)
つ。
因
(
よ
)
つてごまかして、
蠅
(
はへ
)
となす、
孫權
(
そんけん
)
其
(
そ
)
の
眞
(
しん
)
なることを
疑
(
うたが
)
うて
手
(
て
)
を
以
(
もつ
)
て
彈
(
はじ
)
いて
姫
(
き
)
を
顧
(
かへり
)
みて
笑
(
わら
)
ふといへり。
聞きたるまゝ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ネープルス
港
(
かう
)
を
出
(
い
)
づる
時
(
とき
)
には
笑
(
え
)
めるが
如
(
ごと
)
き
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は
鮮明
(
あざやか
)
に
此
(
この
)
甲板
(
かんぱん
)
を
照
(
てら
)
して
居
(
を
)
つたが、
今
(
いま
)
は
日數
(
ひかず
)
も
二週
(
ふためぐり
)
あまりを
※
(
す
)
ぎて
眞
(
しん
)
の
闇
(
やみ
)
——
勿論
(
もちろん
)
先刻
(
せんこく
)
までは
新月
(
しんげつ
)
の
微
(
かす
)
かな
光
(
ひかり
)
は
天
(
てん
)
の
奈邊
(
いづく
)
にか
認
(
みと
)
められたのであらうが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
眞
(
しん
)
と
善
(
ぜん
)
と、
愛
(
あい
)
と
美
(
び
)
と
醜
(
しう
)
と
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
青柳家
(
あをやぎけ
)
の
門
(
かど
)
踏
(
ふ
)
まぬ
時
(
とき
)
なり、
糸子
(
いとこ
)
が
愛
(
あい
)
らしき
笑顏
(
ゑがほ
)
に
喜
(
よろ
)
こび
迎
(
むか
)
へて、
愛
(
あひ
)
らしき
言葉
(
ことば
)
かけらるゝ
時
(
とき
)
には、
道
(
みち
)
に
背
(
そむ
)
かば
背
(
そむ
)
け
世
(
よ
)
の
嗤笑
(
ものわらひ
)
にならばなれ、
君故
(
きみゆへ
)
捨
(
す
)
つる
名
(
な
)
眞
(
しん
)
ぞ
惜
(
を
)
しからず
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
從
(
したが
)
つて
眞
(
しん
)
に
耐震家屋
(
たいしんかおく
)
について
考慮
(
かうりよ
)
し
出
(
だ
)
したのは、あまり
古
(
ふる
)
いことでない。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えぬ
繩
(
なは
)
につながれて
引
(
ひ
)
かれてゆくやうな
我
(
わ
)
れをば、あなたは
眞
(
しん
)
の
處
(
ところ
)
何
(
なに
)
とも
思
(
おも
)
ふてくれねば、
勝手
(
かつて
)
にしろといふ
風
(
ふう
)
で
我
(
わ
)
れの
事
(
こと
)
とては
少
(
すこ
)
しも
察
(
さつ
)
してくれる
樣子
(
やうす
)
が
見
(
み
)
えぬ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
紙幣
(
さつ
)
と
菓子
(
くわし
)
との二つ
取
(
ど
)
りにはおこしをお
呉
(
く
)
れと
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
したる
物
(
もの
)
なれば、
今
(
いま
)
の
稼業
(
かげう
)
に
誠
(
まこと
)
はなくとも百
人
(
にん
)
の
中
(
なか
)
の
一人
(
ひとり
)
に
眞
(
しん
)
からの
涙
(
なみだ
)
をこぼして、
聞
(
き
)
いておくれ
染物
(
そめもの
)
やの
辰
(
たつ
)
さんが
事
(
こと
)
を
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
學校
(
がくかう
)
にての
出來
(
でき
)
ぶりといひ
身分
(
みぶん
)
がらの
卑
(
いや
)
しからぬにつけても
然
(
さ
)
る
弱虫
(
よわむし
)
とは
知
(
し
)
る
物
(
もの
)
なく、
龍華寺
(
りうげじ
)
の
藤本
(
ふぢもと
)
は
生煮
(
なまに
)
えの
餠
(
もち
)
のやうに
眞
(
しん
)
があつて
氣
(
き
)
に
成
(
な
)
る
奴
(
やつ
)
と
憎
(
に
)
くがるものも
有
(
あ
)
りけらし。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それとも
親故
(
おやゆゑ
)
かと
眞
(
しん
)
に
成
(
な
)
つて
聞
(
き
)
かれるにお
力
(
りき
)
かなしく
成
(
な
)
りて、
私
(
わたし
)
だとて
人間
(
にんげん
)
でござんすほどに
少
(
すこ
)
しは
心
(
こゝろ
)
にしみる
事
(
こと
)
もありまする、
親
(
おや
)
は
早
(
はや
)
くになくなつて
今
(
いま
)
は
眞實
(
ほん
)
の
手
(
て
)
と
足
(
あし
)
ばかり
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
身
(
み
)
に
引
(
ひき
)
うけて
世話
(
せわ
)
をすること
眞
(
しん
)
の
兄弟
(
けうだい
)
も
出來
(
でき
)
ぬ
業
(
わざ
)
なり、これを
色眼鏡
(
いろめがね
)
の
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
にはほろ
醉
(
よひ
)
の
膝
(
ひざ
)
まくらに
耳
(
みヽ
)
の
垢
(
あか
)
でも
取
(
と
)
らせる
處
(
ところ
)
が
見
(
み
)
ゆるやら、さりとは
學士
(
がくし
)
さま
寃罪
(
ゑんざい
)
の
訴
(
うつた
)
へどころもなし。
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
思
(
おも
)
ふまゝを
通
(
とほ
)
して
離縁
(
りゑん
)
とならは
太郎
(
たらう
)
には
繼母
(
まゝはゝ
)
の
憂
(
う
)
き
目
(
め
)
を
見
(
み
)
せ、
御兩親
(
ごりようしん
)
には
今
(
いま
)
までの
自慢
(
じまん
)
の
鼻
(
はな
)
にはかに
低
(
ひく
)
くさせまして、
人
(
ひと
)
の
思
(
おも
)
はく、
弟
(
おとゝ
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
、あゝ
此身
(
このみ
)
一つの
心
(
こゝろ
)
から
出世
(
しゆつせ
)
の
眞
(
しん
)
も
止
(
と
)
めずはならず
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ふいと
立
(
た
)
つて
家
(
うち
)
をば
御出
(
おで
)
あそばさるゝ、
行先
(
ゆくさき
)
は
何
(
いづ
)
れも
御神燈
(
ごじんとう
)
の
下
(
した
)
をくゞるか、
待合
(
まちあひ
)
の
小座敷
(
こざしき
)
、それをば
口惜
(
くちを
)
しがつて
私
(
わたし
)
は
恨
(
うら
)
みぬきましたけれど
眞
(
しん
)
の
處
(
ところ
)
を
言
(
い
)
へば、
私
(
わたし
)
の
御機嫌
(
ごきげん
)
の
取
(
と
)
りやうが
惡
(
わる
)
くて
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いふては
惡
(
わ
)
るけれどお
前
(
まへ
)
は
親不孝
(
おやふかう
)
子不孝
(
こふかう
)
、
少
(
すこ
)
しは
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
をも
思
(
おも
)
ふて
眞人間
(
まにんげん
)
になつて
下
(
くだ
)
され、
御酒
(
ごしゆ
)
を
呑
(
のん
)
で
氣
(
き
)
を
晴
(
は
)
らすは一
時
(
とき
)
、
眞
(
しん
)
から
改心
(
かいしん
)
して
下
(
くだ
)
さらねば
心元
(
こゝろもと
)
なく
思
(
おも
)
はれますとて
女房
(
にようぼう
)
打
(
うち
)
なげくに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
眞
部首:⽬
10画
“眞”を含む語句
眞實
眞向
眞正面
眞個
眞中
眞直
眞心
眞青
眞箇
眞白
眞逆
眞盛
眞最中
眞面目
眞黒
眞赤
眞紅
眞珠
眞蒼
眞先
...