しん)” の例文
新字:
とう時、わたしの一家は長さきんでゐた。その長さきには、下岡蓮杖おうならんで、日本寫しんかい元祖ぐわんそである上野彦馬おうが同じくんでゐた。
海蛇うみへびられたとは、しんめうことだとおもつてりましたが、それがよく隱語いんご使つか伊太利人イタリーじんくせで、その書面しよめんではじめてわかりましたよ。
其樣そんなものに鼻毛はなげよまれてはてあとあしのすな御用心ごようじんさりとてはお笑止しようしやなどヽくまれぐちいひちらせどしんところねたねたしのつも
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つまりその作物さくぶつ背景はいけいになつてゐるものをのみこんで、しんうたなり俳句はいくなりをあぢはるといふことが、どうしても必要ひつようなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「今死ぬ私が、いゝ加減なことを言ふものですか、——何を隱しませう、これはお駒も知らないことですが、私はお駒の爲にはしんの父親——」
言合いひあはせたやうに、一張ひとはり差置さしおいた、しんほそい、とぼしい提灯ちやうちんに、あたまかほをひしと押着おツつけたところは、人間にんげんたゞひげのないだけで、あきむしあまりかはりない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かように目録もくろくやそれ以外いがい書物しよもつ出版しゆつぱんせられて、研究けんきゆう結果けつか發表はつぴようされるようにならなければ、しん博物館はくぶつかん役目やくめたつせられないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
およしん化物ばけものといふものは、何處どこ部分ぶぶんはなしても、一しゆ異樣いやう形相げうさうで、全體ぜんたいとしては渾然こんぜんしゆまとまつたかたちしたものでなければならない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
こゝいてか滿座まんざこと/″\拍手はくしゆ喝釆かつさいしました、それはしん王樣わうさま其日そのひおほせられたうちもつとたくみみなるお言葉ことばでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
〔譯〕毀譽きよ得喪とくさうは、しんに是れ人生の雲霧うんむ、人をして昏迷こんめいせしむ。此の雲霧を一さうせば、則ちてんあをしろし。
小徑の兩側には生垣や竹垣がつゞいてゐて、國道よりも一層さびしく人は一人も通らないが、門柱の電燈や、窓から漏れる人家の灯影ほかげしんの闇にはなつてゐない。
或夜 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
飛行ひかうなさばいざしらず我が庭の飛石に草履ざうりかたが血にて明々あり/\殘るの所謂いはれなしこれしんうたがふべき一ツなり然すれば傳吉に意旨いしふくみし者猿島川へんにて男女のがいされたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぼく此校長このかうちやうもと大島小學校おほしませうがくかうたのは二年半ねんはんで、月日つきひにすればふにらず、十二さいより十五さいまで、ひと年齡ねんれいにすれば腕白盛わんぱくざかりでありましたけれど、ぼくしん教育けういくけたのは此時このとき
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しんに力一ぱいに——それは出來不出來や人氣が生活を脅やかさないグループの中だから、ほんとに熱心にやれるよろこびをもつて、眠つてしまつた藝術慾とおとろへた生活力を盛返すであらう。
むぐらの吐息 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
さうさ、しんとはきるのだといふんだもの
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
が、いつだつたか、或る雜誌ざつしにのつてゐたゴシツプによると、文藝ぶんげい余技よぎの内玉突たまつきと寫しんとではわたし筆頭ひつとうださうだ。
たもとにも、懷中ふところにも、懷紙くわいしなかにもつてて、しんつて、眞顏まがほで、ゑてぐのがあぶらめるやうですごかつたとふ……ともだちはみなつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしは、一たび、二たび、おこたまうしましたが、四邊あたりしんやみで、何處どこともわからず、其儘そのまゝながいおわかれになりました。
南洲も亦曰ふ、天下しんおそる可き者なし、たゞ畏る可き者は東湖一人のみと。二子の言、夢寐むびかんずる者か。
此方こちらしんからつくでもりやうにつては面白おもしろくなくえることもあらう、いさむさんだからとてとほもの道理だうり心得こゝろえた、利發りはつひとではあり隨分ずいぶん學者がくしやでもある
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかるに希臘ぎりしや化物ばけものおほくはかくごと繼合つぎあはものである。ゆゑしん化物ばけものふことは出來できないのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
蹴飛すやら打つうたれつつかあひはては四邊もしんやみ上を下へとかへしけり斯るさわぎを見濟して捕手の役人聲々に上意々々と踏込ふみこむにぞ惡者わるもの共は是を聞コリヤたまらぬと一目驂もくさんやみを幸ひはう々に後を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ごく大昔のことはいはなくつても、近代にも、武家の妻にも町人の妻にも娘にも、ぎやうに徹した尼さんなどにも實に多くある。女として外見からいかついのは、しんのますらをだましひの所有者ではない。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
この闇試合はしんに一しゆんのうちに片附きました。
そりやあしんの生活もしてはみたいさ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あらはせて此室こゝびたしとおほせられたに相違さうゐはなしかくあがりなされよと洗足すゝぎまでんでくるゝはよも串戯じやうだんにはあらざるべしいつはりならずとせばしんもつ奇怪きくわい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日本にほん國民こくみんしん生命せいめいたふときをり、財産ざいさんおもんずべきをつたのは、ツイちかごろのことである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
見顯みあらはすは然のみ大功とは稱するに足ねどしんの天一坊をにせとしてよく天下の爲に是をめつせしは智術ちじゆつ萬人に越え才學さいがく四海に並ぶ者なき忠相ぬしに有らざれば誰人たれびとか能く此機變このきへんを行なひ君を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
〔譯〕徳性を尊ぶ、是を以て問學ぶんがくる、即ち是れ徳性を尊ぶなり。先づ其の大なる者を立つれば、則ち其知やしんなり。能く其の知をめば、則ち其功やじつなり。畢竟ひつきやう一條いちでうの往來のみ。
孫權そんけん或時あるときさう再興さいこうをして屏風びやうぶゑがかしむ、畫伯ぐわはくふでつてあやまつておとしてしろきにてんつ。つてごまかして、はへとなす、孫權そんけんしんなることをうたがうてもつはじいてかへりみてわらふといへり。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ネープルスかうづるときにはめるがごとつきひかり鮮明あざやかこの甲板かんぱんてらしてつたが、いま日數ひかず二週ふためぐりあまりをぎてしんやみ——勿論もちろん先刻せんこくまでは新月しんげつかすかなひかりてん奈邊いづくにかみとめられたのであらうが
しんぜんと、あいしう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
青柳家あをやぎけかどまぬときなり、糸子いとこあいらしき笑顏ゑがほよろこびむかへて、あひらしき言葉ことばかけらるゝときには、みちそむかばそむ嗤笑ものわらひにならばなれ、君故きみゆへつるしんしからず
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
したがつてしん耐震家屋たいしんかおくについて考慮かうりよしたのは、あまりふるいことでない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
えぬなはにつながれてかれてゆくやうなれをば、あなたはしんところなにともおもふてくれねば、勝手かつてにしろといふふうれのこととてはすこしもさつしてくれる樣子やうすえぬ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
紙幣さつ菓子くわしとの二つりにはおこしをおれとしたるものなれば、いま稼業かげうまことはなくとも百にんなか一人ひとりしんからのなみだをこぼして、いておくれ染物そめものやのたつさんがこと
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
學校がくかうにての出來できぶりといひ身分みぶんがらのいやしからぬにつけても弱虫よわむしとはものなく、龍華寺りうげじ藤本ふぢもと生煮なまにえのもちのやうにしんがあつてやつくがるものもりけらし。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それとも親故おやゆゑかとしんつてかれるにおりきかなしくりて、わたしだとて人間にんげんでござんすほどにすこしはこゝろにしみることもありまする、おやはやくになくなつていま眞實ほんあしばかり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひきうけて世話せわをすることしん兄弟けうだい出來できわざなり、これを色眼鏡いろめがねひとにはほろよひひざまくらにみヽあかでもらせるところゆるやら、さりとは學士がくしさま寃罪ゑんざいうつたへどころもなし。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おもふまゝをとほして離縁りゑんとならは太郎たらうには繼母まゝはゝせ、御兩親ごりようしんにはいままでの自慢じまんはなにはかにひくくさせまして、ひとおもはく、おとゝ行末ゆくすゑ、あゝ此身このみ一つのこゝろから出世しゆつせしんめずはならず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふいとつてうちをば御出おであそばさるゝ、行先ゆくさきいづれも御神燈ごじんとうしたをくゞるか、待合まちあひ小座敷こざしき、それをば口惜くちをしがつてわたしうらみぬきましたけれどしんところへば、わたし御機嫌ごきげんりやうがわるくて
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いふてはるけれどおまへ親不孝おやふかう子不孝こふかうすこしは行末ゆくすゑをもおもふて眞人間まにんげんになつてくだされ、御酒ごしゆのんらすは一ときしんから改心かいしんしてくださらねば心元こゝろもとなくおもはれますとて女房にようぼううちなげくに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)