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もちだ
ふりがな文庫
“
持出
(
もちだ
)” の例文
この
氷滑
(
こほりすべ
)
りが
雪
(
ゆき
)
の
日
(
ひ
)
の
樂
(
たのし
)
みの一つで、
父
(
とう
)
さんも
爺
(
ぢい
)
やに
造
(
つく
)
つて
貰
(
もら
)
つた
鳶口
(
とびぐち
)
を
持出
(
もちだ
)
しては
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
と一
緒
(
しよ
)
に
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
る
中
(
なか
)
で
遊
(
あそ
)
びました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、
門外不出
(
もんがいふしゅつ
)
、
取扱
(
とりあつか
)
いには、十
分
(
ぶん
)
注意
(
ちゅうい
)
していましてね。
私
(
わたし
)
にしても、そうみだりに
持出
(
もちだ
)
すことはできない
仕組
(
しくみ
)
になつているんですから
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
敵もさる者、島影を小楯にとって、
忽
(
たちま
)
ち四五台の機関銃を
持出
(
もちだ
)
し、豆を
炒
(
い
)
るような音を立てながら必死になって応戦し始めた。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
更に
雪明
(
ゆきあか
)
りで
透
(
すか
)
して
視
(
み
)
ると、土間の隅には二三枚の
荒莚
(
あらむしろ
)
が積み重ねてあったので、お葉は
之
(
これ
)
を
持出
(
もちだ
)
して
先
(
ま
)
ず
框
(
かまち
)
の上に敷いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その蟹を中において大いにおどり、それからまたその蟹を
持出
(
もちだ
)
して海上はるかの沖の、大きな岩の上におくと、かならず雨が降ったといってもいる。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
大層評判が
宜
(
よろ
)
しゅうございますから……
何
(
なん
)
ですよ、この頃に
絵具
(
えのぐ
)
を
持出
(
もちだ
)
して、草の上で風流の店びらきをしようと思います、大した写生じゃありませんか。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
銀之助の不平は
最早
(
もう
)
二月
(
ふたつき
)
前からのことである。そして
平時
(
いつ
)
も
此
(
この
)
不平を
明白
(
あからさま
)
に口へ出して言ふ時は『下宿屋だつて』を
持出
(
もちだ
)
す。決して腹の底の
或物
(
あるもの
)
は出さない。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それはキリスト
教
(
けう
)
の
教會
(
けうくわい
)
の
附屬
(
ふぞく
)
病院
(
びやうゐん
)
なので、その
事
(
こと
)
に
就
(
つ
)
いては、
大分
(
だいぶ
)
異議
(
いぎ
)
を
持出
(
もちだ
)
した
者
(
もの
)
もあつたが、この
場合
(
ばあひ
)
一
刻
(
こく
)
も、
病人
(
びやうにん
)
を
見過
(
みすご
)
して
置
(
お
)
く
事
(
こと
)
はできなかつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
丈「
此処
(
こゝ
)
は滅多に奉公人も来ないから、少しぐらい大きな声を出しても
聞
(
きこ
)
えることじゃアねえ、話は
種々
(
いろ/\
)
あるが、七年前旅荷にして
持出
(
もちだ
)
した死骸は何うした」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
未
(
ま
)
だ
此他
(
このた
)
に、四十一
年
(
ねん
)
の十
月
(
ぐわつ
)
、七八九三ヶ
日
(
にち
)
、お
穴樣
(
あなさま
)
探檢
(
たんけん
)
に
駒岡
(
こまをか
)
にと
通
(
かよ
)
つた、
其時
(
そのとき
)
に、
道路
(
だうろ
)
に
貝殼
(
かひがら
)
を
敷
(
し
)
くのを
見
(
み
)
て、
何處
(
どこ
)
の
貝塚
(
かひづか
)
から
持出
(
もちだ
)
したのかと
疑
(
うたが
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
十人が二十人になり、三十人になり、最後には、飛道具や、さす又や、本職の捕物道具まで
持出
(
もちだ
)
して、一人の余吾之介を、
手負猪
(
ておいじし
)
でも扱うように取詰めたのです。
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すると
一人
(
ひとり
)
の
思付
(
おもいつき
)
に、この酒を
彼
(
あ
)
の高い
物干
(
ものほし
)
の上で飲みたいと云うに、全会一致で、サア屋根づたいに
持出
(
もちだ
)
そうとした処が、物干の上に
下婢
(
げじょ
)
が三、四人涼んで居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
やがてドーブレクは椅子にかけたが、兇悪、冷酷な相貌して
口唇
(
くちびる
)
には深刻な皮肉が浮かんで来た。彼は何事か条件を
持出
(
もちだ
)
しているらしく、卓子を叩き叩き頻りに怒鳴り立っている。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
梅
(
うめ
)
が
咲
(
さ
)
いて、
紫色
(
むらさきいろ
)
の
雑木林
(
ざふきばやし
)
の
梢
(
こずゑ
)
が、
湿味
(
うるみ
)
を
持
(
も
)
つた
蒼
(
あを
)
い
空
(
そら
)
にスク/\
透
(
す
)
けて
見
(
み
)
え、
柳
(
やなぎ
)
がまだ
荒
(
あら
)
い
初東風
(
はつこち
)
に
悩
(
なや
)
まされて
居
(
ゐ
)
る
時分
(
じぶん
)
は、
濫
(
むやみ
)
と三
脚
(
きやく
)
を
持出
(
もちだ
)
して、
郊外
(
かうぐわい
)
の
景色
(
けしき
)
を
猟
(
あさ
)
つて
歩
(
ある
)
くのであるが
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
お房は、チヤブ臺を
持出
(
もちだ
)
したり、まめ/\しく
立働
(
たちはたら
)
いて、お
膳
(
ぜん
)
の
支度
(
したく
)
をしてゐる。周三は
物珍
(
ものめづ
)
らしげに
那
(
あ
)
れを見たり是れを見たりして、きよろついてゐると、軈てお膳に向ふ
段取
(
だんどり
)
となる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
この時、
誰
(
たれ
)
かがこの下人に、さつき
門
(
もん
)
の下でこの男が考へてゐた、
饑死
(
うゑじに
)
をするか盗人になるかと云ふ問題を、改めて
持出
(
もちだ
)
したら、恐らく下人は、何の
未練
(
みれん
)
もなく、饑死を選んだ事であらう。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
例
(
いつも
)
の
如
(
ごと
)
く
臺所
(
だいどころ
)
から
炭
(
すみ
)
を
持出
(
もちだ
)
して、お
前
(
まへ
)
は
喰
(
く
)
ひなさらないかと
聞
(
き
)
けば、いゝえ、とお
京
(
きやう
)
頭
(
つむり
)
をふるに、では
己
(
お
)
ればかり
御馳走
(
ごちそう
)
さまにならうかな、
本當
(
ほんたう
)
に
自家
(
うち
)
の
吝嗇奴
(
けちんばう
)
めやかましい
小言
(
こごと
)
ばかり
言
(
い
)
やがつて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
下女が三人前の膳を
持出
(
もちだ
)
し、二人分をやや
上座
(
かみくら
)
へ
据
(
す
)
え、残りの膳をその男の前へ
直
(
なお
)
した、男も不思議に思い、一人の客に三人前の膳を出すのは
如何
(
どう
)
いう訳だと聞くと、下女は
訝
(
いぶかし
)
げに三人のお客様ゆえ
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
彼は
洋燈
(
らんぷ
)
を
持出
(
もちだ
)
して庭を
照
(
てら
)
すと、足跡は
確
(
たしか
)
に残っているが、人の形は見えぬ。
猶
(
なお
)
も
燈火
(
あかり
)
を
彼地此地
(
あちこち
)
へ向けている
中
(
うち
)
に、雪は渦巻いて
降込
(
ふりこ
)
んで来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
直
(
すぐ
)
に伴藏は羊羹箱の古いのに
彼
(
か
)
の像を入れ、畑へ
持出
(
もちだ
)
し
土中
(
どちゅう
)
へ深く埋めて、其の上へ
目標
(
めじるし
)
の竹を
立置
(
たてお
)
き
立帰
(
たちかえ
)
り、さアこれから百両の金の来るのを待つばかり
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのうち、
隙
(
すき
)
を
見
(
み
)
て、
縁臺
(
えんだい
)
に、
薄
(
うす
)
べりなどを
持出
(
もちだ
)
した。
何
(
なに
)
が
何
(
ど
)
うあらうとも、
今夜
(
こんや
)
は
戸外
(
おもて
)
にあかす
覺悟
(
かくご
)
して、まだ
湯
(
ゆ
)
にも
水
(
みづ
)
にもありつけないが、
吻
(
ほつ
)
と
息
(
いき
)
をついた
處
(
ところ
)
へ——
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
うすうす事情を知っている美奈子夫人がそっと自分の荷物の中に取込んで
持出
(
もちだ
)
してしまいました。
奇談クラブ〔戦後版〕:11 運命の釦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
既發見
(
きはつけん
)
の
遺物
(
いぶつ
)
だけ
外
(
そと
)
に
持出
(
もちだ
)
し、
跡
(
あと
)
は
明日
(
あす
)
まで
封鎖
(
ふうさ
)
するが
好
(
よ
)
からうと、一
决
(
けつ
)
し、
各新聞記者
(
かくしんぶんきしや
)
及
(
およ
)
び
少數
(
せうすう
)
の
人
(
ひと
)
に
窟内
(
くつない
)
を一
見
(
けん
)
さした
後
(
のち
)
、
余等
(
よら
)
五
人
(
にん
)
は
穴
(
あな
)
から
出
(
で
)
る
事
(
こと
)
にした。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
次第々々に攘夷論が
盛
(
さかん
)
になって、外交は次第々々に不始末だらけ、今度の使節が
露西亜
(
ロシア
)
に
行
(
いっ
)
た時に
此方
(
こっち
)
から
樺太
(
カラフト
)
の
境論
(
さかいろん
)
を
持出
(
もちだ
)
して、その談判の席には私も出て居たので
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
而
(
しか
)
もこれは
婦
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
から
種々
(
しゆ/″\
)
の
問題
(
もんだい
)
を
持出
(
もちだ
)
して
居
(
ゐ
)
るやうだそして
多少
(
いくら
)
か
煩
(
うるさ
)
いといふ
氣味
(
きみ
)
で
男
(
をとこ
)
はそれに
説明
(
せつめい
)
を
與
(
あた
)
へて
居
(
ゐ
)
たが
隨分
(
ずゐぶん
)
丁寧
(
ていねい
)
な
者
(
もの
)
で
決
(
けつ
)
して『ハア』『そう』の
比
(
ひ
)
ではない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
二
月
(
ぐわつ
)
初午
(
はつうま
)
の
日
(
ひ
)
には、お
家
(
うち
)
の
爺
(
ぢい
)
やが
大
(
おほ
)
きな
太鼓
(
たいこ
)
を
持出
(
もちだ
)
して、その
社
(
やしろ
)
の
側
(
わき
)
の
櫻
(
さくら
)
の
枝
(
えだ
)
の
木
(
き
)
に
掛
(
か
)
けますと、そこへ
近所
(
きんじよ
)
の
子供
(
こども
)
が
集
(
あつ
)
まりました。
父
(
とう
)
さんもその
太鼓
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
くのを
樂
(
たのし
)
みにしたものです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
こくりと一つ頷くと、足早に土蔵の中へ入って行ったが、間もなく一挺の猟銃と
弾丸筐
(
ケース
)
を
持出
(
もちだ
)
して来た。——その猟銃は父の愛用品で、
英吉利
(
イギリス
)
から
態々
(
わざわざ
)
取寄せた
二聯
(
にれん
)
銃身の精巧な物だった。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お
着
(
き
)
かへなさいましと
言
(
い
)
ふ、
帶
(
おび
)
まきつけて
風
(
かぜ
)
の
透
(
す
)
く
處
(
ところ
)
へゆけば、
妻
(
つま
)
は
野代
(
のしろ
)
の
膳
(
ぜん
)
のはげかゝりて
足
(
あし
)
はよろめく
古物
(
ふるもの
)
に、お
前
(
まへ
)
の
好
(
す
)
きな
冷奴
(
ひやゝつこ
)
にしましたとて
小丼
(
こどんぶり
)
に
豆腐
(
とうふ
)
を
浮
(
う
)
かせて
青紫蘇
(
あをぢそ
)
の
香
(
か
)
たかく
持出
(
もちだ
)
せば
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
けれども、窟の底には母に教えられた大切の宝が有る。
之
(
これ
)
を
持出
(
もちだ
)
して
他
(
ひと
)
に売れば、自分は
大金満家
(
おおがねもち
)
になれるのである。乞食を
為
(
し
)
ないでも済むのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二
回目
(
くわいめ
)
には
矢張
(
やはり
)
其人數
(
そのにんず
)
で、
此方
(
こちら
)
は
鏟
(
シヨブル
)
や、
鍬
(
くわ
)
で
遣
(
や
)
つて
見
(
み
)
たが、
如何
(
どう
)
も
巧
(
うま
)
く
行
(
ゆ
)
かぬものだから、三
回目
(
くわいめ
)
には
汐干
(
しほひ
)
の
時
(
とき
)
に
用
(
もち
)
ゐた
熊手
(
くまで
)
(
小萬鍬
(
せうまんくわ
)
)が四五
本
(
ほん
)
有
(
あ
)
つたのを
持出
(
もちだ
)
した
處
(
ところ
)
が
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
志津子夫人は展望台の出張りに三脚を
持出
(
もちだ
)
して、海の絵を描く、その傍で千束守が、海気を肺臓一パイに吸って、南の国の歌を歌う、——それを御主人の喜田川三郎氏が
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
二間梯子
(
にけんばしご
)
を
持出
(
もちだ
)
し、萩原の裏窓の
蔀
(
したみ
)
へ立て懸け、慄える足を
踏締
(
ふみし
)
めながらよう/\登り、手を差伸ばし、お札を剥そうとしても慄えるものだから思う
様
(
よう
)
に剥れませんから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たゞし
人目
(
ひとめ
)
がある。
大道
(
だいだう
)
へ
持出
(
もちだ
)
して、
一杯
(
いつぱい
)
でもあるまいから、
土間
(
どま
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
框
(
かまち
)
に
堆
(
うづたか
)
く
崩
(
くづ
)
れつんだ
壁土
(
かべつち
)
の
中
(
なか
)
に、あれを
見
(
み
)
よ、
蕈
(
きのこ
)
の
生
(
は
)
えたやうな
瓶
(
びん
)
から、
逃腰
(
にげごし
)
で、
茶碗
(
ちやわん
)
で
呷
(
あふ
)
つた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私も
甚
(
はなは
)
だ
能
(
よ
)
く
知
(
しっ
)
て居るので、尋ねて参れば
何時
(
いつ
)
も学問の話ばかりで、その時に主人は生理書の飜訳
最中
(
さいちゅう
)
、その原書を
持出
(
もちだ
)
して云うには、この文の一節が
如何
(
どう
)
しても
分
(
わか
)
らないと云う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私
(
わたし
)
たちは、
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を、
階段
(
かいだん
)
に
預
(
あづ
)
けて、——
如何
(
いか
)
に
梅雨時
(
つゆどぎ
)
とはいへ……
本來
(
ほんらい
)
は
小舟
(
こぶね
)
でぬれても、
雨
(
あめ
)
のなゝめな
繪
(
ゑ
)
に
成
(
な
)
るべき
土地柄
(
とちがら
)
に
對
(
たい
)
して、かう
番
(
ばん
)
ごと、
繻子張
(
しゆすばり
)
を
持出
(
もちだ
)
したのでは
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さて皆様、か様な席上に
持出
(
もちだ
)
すのは、甚だ無躾で相済みませんが、明日は森川夫人になられる鈴子さんに、国府未亡人の最後の思い出として、金弥老人の吹込み遺した、レコードを
奇談クラブ〔戦後版〕:08 音盤の詭計
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
宅
(
たく
)
に
酒井伝吉
(
さかゐでんきち
)
といふ車を
曳
(
ひ
)
く
男
(
をとこ
)
がある、
此男
(
このをとこ
)
は力が九
人力
(
にんりき
)
ある、なぜ九
人力
(
にんりき
)
あるかといふと、
大根河岸
(
だいこんがし
)
の
親類
(
しんるゐ
)
の
三周
(
さんしう
)
へ火事の
手伝
(
てつだ
)
ひにやつたところが、一人で
畳
(
たゝみ
)
を一度に九枚
持出
(
もちだ
)
したから
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此
(
こ
)
の
帷幄
(
ゐあく
)
に
參
(
さん
)
して、
蝶貝蒔繪
(
てふがひまきゑ
)
の
中指
(
なかざし
)
、
艷々
(
つや/\
)
しい
圓髷
(
まるまげ
)
をさし
寄
(
よ
)
せて
囁
(
さゝや
)
いた
計
(
はかりごと
)
によれば——
此
(
こ
)
のほかに
尚
(
な
)
ほ、
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
は、
箸
(
はし
)
のさきで、ちびりと
醤油
(
しやうゆ
)
(
鰹節
(
かつをぶし
)
を
添
(
そ
)
へてもいゝ、
料亭
(
れうてい
)
持出
(
もちだ
)
し)
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お駒は到頭三之丞を説き伏せて
了
(
しま
)
いました。二人は二羽の蝶のように、父親の寝部屋に忍び込むと、そっと枕元に這い寄って、
手筐
(
てばこ
)
の中の鍵と、柱に掛けてある手鍵を
持出
(
もちだ
)
しました。
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
はゝあ、
此
(
こ
)
の
怪談
(
くわいだん
)
を
遣
(
や
)
りたさに、
前刻
(
さつき
)
狸
(
たぬき
)
を
持出
(
もちだ
)
したな。——いや、
敢
(
あへ
)
て
然
(
さ
)
うではない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
出来ない相談を
持出
(
もちだ
)
して、御老中若年寄始め、御三家諸大名を驚かして居る
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
権現様
(
ごんげんさま
)
戦場お
持出
(
もちだ
)
しの
矢疵
(
やきず
)
弾丸痕
(
たまあと
)
の残つた
鎧櫃
(
よろいびつ
)
に納めて、
槍
(
やり
)
を立てて使者を送らう。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「りんよ、りんよ、
權平
(
ごんぺい
)
、
權平
(
ごんぺい
)
よ、りんよ、
權平
(
ごんぺい
)
。
刀
(
かたな
)
を
寄越
(
よこ
)
せ、
刀
(
かたな
)
を
寄越
(
よこ
)
せ、
刀
(
かたな
)
を。」と
喚
(
よび
)
かけたが、
權平
(
ごんぺい
)
も、りんも、
寂然
(
ひつそり
)
して
音
(
おと
)
も
立
(
た
)
てない。
誰
(
たれ
)
が
敢
(
あへ
)
て
此處
(
こゝ
)
へ
切
(
きれ
)
ものを
持出
(
もちだ
)
すものか。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
勿體
(
もつたい
)
ないが、
俗
(
ぞく
)
に
言
(
い
)
ふ
上潮
(
あげしほ
)
から
引上
(
ひきあ
)
げたやうな
十錢紙幣
(
じつせんしへい
)
が
蟇口
(
がまぐち
)
に
濕々
(
じめ/\
)
して、
金
(
かね
)
の
威光
(
ゐくわう
)
より、
黴
(
かび
)
の
臭
(
にほひ
)
を
放
(
なは
)
つた
折
(
をり
)
から、
當番
(
たうばん
)
の
幹事
(
かんじ
)
は
決
(
けつ
)
して
剩錢
(
つりせん
)
を
持出
(
もちだ
)
さず、
會員
(
くわいゐん
)
は
各自
(
かくじ
)
九九九
(
くうくうくう
)
の
粒
(
つぶ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
小稿
(
せうかう
)
……まだ
持出
(
もちだ
)
しの
荷
(
に
)
も
解
(
と
)
かず、
框
(
かまち
)
をすぐの
小間
(
こま
)
で……こゝを
草
(
さう
)
する
時
(
とき
)
……
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
箱根土産
(
はこねみやげ
)
の、
更紗
(
さらさ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
信玄袋
(
しんげんぶくろ
)
を
座蒲團
(
ざぶとん
)
の
傍
(
そば
)
へ
持出
(
もちだ
)
して、トンと
置
(
お
)
いて
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もの
干棹
(
ほしざを
)
の
長
(
なが
)
い
奴
(
やつ
)
を
持出
(
もちだ
)
して、
掻𢌞
(
かきまは
)
して、
引拂
(
ひつぱた
)
かうと
思
(
おも
)
つても、
二本
(
にほん
)
繼
(
つ
)
いでも
屆
(
とゞ
)
くもんぢやねえぢやあねえか。
樹
(
き
)
が
高
(
たか
)
くつてよ。なあ
婆
(
ばあ
)
さん、
椋鳥
(
むくどり
)
の
畜生
(
ちくしやう
)
、ひどい
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
はしやがるぢやあねえか。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
混亂
(
こんらん
)
のあとには、
持出
(
もちだ
)
した
家財
(
かざい
)
金目
(
かなめ
)
のものが
少
(
すくな
)
からず
紛失
(
ふんしつ
)
した。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“持”で始まる語句
持
持前
持余
持主
持上
持合
持来
持囃
持病
持參