其間そのあひだ)” の例文
ハヾトフは其間そのあひだ何故なにゆゑもくしたまゝ、さツさと六號室がうしつ這入はひつてつたが、ニキタはれいとほ雜具がらくたつかうへから起上おきあがつて、彼等かれられいをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
尤も其間そのあひだに梅子は電話ぐちへ二返呼ばれた。然し、あによめの様子に別段変つたところもないので、代助は此方こつちから進んで何にも聞かなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しか比較的ひかくてき※去くわこの三ねんわたくしためにはしのやすかつたよ、イヤ、其間そのあひだには隨分ずゐぶん諸君しよくんには想像さうざう出來できないほど面白おもしろこと澤山たくさんあつた。
其間そのあひだかほあはせることがあつても、くちでは其事そのことんにもはない。そしてうちかへつてから葉書はがきす。チヨイト面白おもしろいものだよ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
わたしつてるうちは、時間じかんだけも御新造ごしんぞらないものでせう。らないものなら、其間そのあひだうされたつて差支さしつかへないぢやありませんか。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『それはおまへおなじことだ』と帽子屋ばうしやひました、これで談話はなしはぱつたりんで、連中れんぢゆう霎時しばしだまつてすわつてました、其間そのあひだあいちやんは嘴太鴉はしぶとがらす
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
足下あしもとには層をなして市街の屋根が斜めに重なり、対岸には珠江しゆかう河口かこういだいた半島が弓形きゆうけいに展開し、其間そのあひだひさごいた様な形で香港ホンコン湾があゐを湛へて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
云出しければお光は大いに驚怖おどろきて是は/\忠兵衞樣をつと道十郎不慮ふりよのことにて死去しきよ致してより八ヶ年の其間そのあひだせがれの脊だけのびるのをたゞたのしみに此世を送り人に後指うしろゆび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
筆者は自分と倅英太郎以下の血族との赦免しやめんを願ひたい。もつとも自分は与党よたうられる時には、矢張やはり召し捕つてもらひたい。或は其間そのあひだに自殺するかも知れない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
停車場ステーシヨンから町の入口まで半里ぐらゐある。堤防になつてゐる二けんはゞみちには、はぜの大きな並木が涼しいかげをつくつてて、車夫の饅頭笠まんぢうがさ其間そのあひだを縫つて走つて行く。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
すなはち一日のおくれとなるゆへ、四年目には一日して其間そのあひだ地球ちきうはしらしめ、丁度ちやうどもとところ行付ゆきつくつなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
たゞ左右さいう斷崕だんがい其間そのあひだ迂回うねながるゝ溪水たにがはばかりである。辿たどつておくおくへとのぼるにれて、此處彼處こゝかしこ舊遊きういうよどみ小蔭こかげにはボズさんの菅笠すげがさえるやうである。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其間そのあひだ余程よほど文章を修行しゆぎやうしたものらしい、増上寺ぞうじやうじ行誡上人ぎやうかいしやうにん石川鴻斎翁いしかはこうさいおうの所へ行つたのはすべ此間このあひだの事で、してもつぱ独修どくしうをした者と見える、なんでも西郷隆盛論さいごうたかもりろんであつたか
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其間そのあひだ天滿橋てんまばしを南へあがる、御城の近くの下宿に居たが、因業貪欲吝嗇の標本のやうな宿の主人あるじや、その姉に當る婆さんが、彼のおひとよしにつけ込んで、事毎に非道を働くのに憤慨し
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
きてゐるやうなら……ときときところところはかはかとし埋葬所はふむりどころなんねん其間そのあひだ先祖せんぞほね填充つまってあり、まだ此間このあひだめたばかりののチッバルトもまぶれの墓衣はかぎのまゝで
其代そのかはりに奧壁おくかべから一しやくずんへたてて、一れついしならべてあり、それから三じやくへだてて、まただいれついしならべてある。其間そのあひだに、人骨じんこつ腐蝕ふしよくしたのが二三たいどろごどくなつてよこたはつてる。鐵鏃てつぞくがある。
教育のありさうなものは極めて少ない。美禰子は其間そのあひだに立つて、振り返つた。くびばして、野々宮のゐる方を見た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから五ねん星霜せいさう※去すぎさつたが、かれ消息せうそくすこしもきこえません、其間そのあひだわたくし一日いちにちでもかれ健康けんこうと、かれ大事業だいじげふ成功せいこうとをいのらぬときはないのです。
夫人は自分達を船乗場ふなのりばまで馬車で送らせると云つてその用意を命ぜられるのであつた。其間そのあひだに椅子へお坐りなさいなどと自分の為に色色いろいろと心を遣はれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
其間そのあひだよこになるとも、ねむるとも、そらながめるとも、へやすみからすみあるくとも、うして毎日まいにちおくつてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぼく溪流けいりう沿ふてこのさびしい往來わうらいあてもなくるいた。ながれくだつてくも二三ちやうのぼれば一ちやう其中そのなかにペンキで塗つたはしがある、其間そのあひだを、如何どん心地こゝちぼくはぶらついたらう。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
げ其上喜八が命乞いのちごひ首尾しゆびすまし申べし其間そのあひだ必ず/\御兩人とも短見はやまり給ふなと異見いけんをなし妻にも能々よく/\云付いひつけおき長屋の者を頼みて平兵衞は早々さう/\調度したくをなし下總しもふさの古河へぞおもむきける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其家そのいへまへなる一ぽんしたには洋卓テーブルが一きやくいてあつて、三月兎ぐわつうさぎ帽子屋ばうしやとが其處そこちやんでると、一ぴき福鼠ふくねずみ其間そのあひだすわつてましたが、やがねむつてしまつたので
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
なによりもつとがたいのは晩飯ばんめし支度したくむと、たちまあかり行燈あんどうへて、薄暗うすぐらところでおやすみなさいと命令めいれいされるが、わたしけるまでることが出来できないから、其間そのあひだ心持こゝろもちといつたらない
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……あゝ、こりゃあんまり厚顏あつかましかった。おれうてゐるのではい。大空中おほぞらぢゅういっうつくしい二箇ふたつほしが、なにようがあって餘所よそくとて、其間そのあひだかはってひかってくれとひめたのんだのぢゃな。
しばらくは、何処どこあるいてゐるか夢中であつた。其間そのあひだ代助のあたまには今見た光景ばかりが煎りく様に踊つてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
數年すうねんらいなみまくらわた水夫すゐふども未曾有みそういうかう航海かうかいだとかたつたほどで、したがつ其間そのあひだには格別かくべつしるほどこともない。
機関車に近いので此処ここは一層揺れがはげしいやうである。スウプとシチウとに一寸ちよつと口を附けただけで私は逃げるやうにして帰つて来た。其間そのあひだ寝台ねだいがもう出来て居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
なくば此處こゝ自害じがいすると半狂亂はんきゃうらん面持おもゝち是非ぜひなく、自得じとくはふにより、眠劑ねむりぐすりさづけましたところ、あんごとくに效力きゝめありて、せるにひとしきその容態ようだい手前てまへ其間そのあひだ書状しょじゃうして、藥力やくりきつくるは今宵こよひ
この質問しつもんには、ドードてう大思想家だいしさうかでないためこたへることが出來できず、一ぽんゆび其額そのひたひおさえ、ながあひだつてました(よくにある沙翁シエークスピアのやうな姿勢しせいをして)其間そのあひだのものもみなだまつてつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ステーシヨンまでの二百ヴエルスタのみちを二晝夜ちうやぎたが、其間そのあひだうま繼場々々つぎば/\で、ミハイル、アウエリヤヌヰチは、やれ、ちやこつぷあらひやうが奈何どうだとか、うまけるのに手間てまれるとかとりきんで
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其間そのあひだうをみんないう々とおよいでてあるいてますわ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あざむおほすべけれどもこゝに一ツの難儀なんぎといふは師匠ししやうの口から彼者は幼年えうねんの内斯樣々々かやう/\にて某し養育やういくせし者なりと云るゝ時は折角せつかくたくみも急ちやぶるゝに相違なし七歳より十二歳まで六ヶ年が其間そのあひだ養育の恩は須彌しゆみよりも高く滄海さうかいよりも深しと雖ども我大望わがたいまうには替難かへがたし此上は是非に及ばず不便ふびんながらも師匠の感應院を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人ふたりは半町程無言むげんまゝつてた。其間そのあひだ三四郎は始終美禰子の事を考へてゐる。此女は我儘にそだつたにちがひない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やうや下女げぢよ退がりきりに退がると、今度こんどだれだか唐紙からかみ一寸いつすんほど細目ほそめけて、くろひか眼丈めだけ其間そのあひだからした。宗助そうすけ面白おもしろくなつて、だまつて手招てまねぎをしてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たま一言二言ひとことふたことそれとなく問を掛けて見ても、三千代は寧ろ応じなかつた。たゞ代助の顔をれば、見てゐる其間そのあひだ丈のうれしさにおぼつくすのが自然の傾向であるかの如くに思はれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それから當分たうぶんあひだは、御免ごめんくださいましだの、何方どちらかららつしやいましたのとさかん挨拶あいさつ言葉ことば交換かうくわんされてゐた。其間そのあひだにはちりん/\と電話でんわ假聲こわいろまじつた。すべてが宗助そうすけには陽氣やうきめづらしくきこえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助そうすけ其間そのあひだに、なんとかして、もつと鷹揚おうやうきて分別ふんべつをしなければならないと決心けつしんだけをした。三朦朧もうろうとしてきこえたやうきこえないやうなうちにぎた。四時よじ、五、六まるらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
野々宮さんは其間そのあひだぽかんとして同じ画を眺めてゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)