うかゞ)” の例文
良兼は何様どうかして勝を得ようとしても、尋常じんじやうの勝負では勝を取ることが難かつた。そこで便宜べんぎうかゞひ巧計を以て事をさうと考へた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
いえうぢやないのです。』ミハイル、アウエリヤヌヰチはさら云直いひなほす。『の、きみ財産ざいさん總計そうけい何位どのくらゐふのをうかゞうのさ。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さて其翌日そのよくじつさく御獻立ごこんだて出來上できあがさふらふはやめさせたまふべきか」と御膳部方ごぜんぶかたよりうかゞへば、しばしとありて、何某なにがし御前ごぜんさせられ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまあらためてうかゞひにやうとしてましたといふ、れはなんことだ、貴君あなたのおをさとげられて、馬鹿ばか/\おりきおこるぞと大景氣おほけいき
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
新「少々うかゞいとう存じます、あすこの御堂おどううしろに新らしい牡丹の花の灯籠を手向たむけてあるのは、あれは何方どちらのお墓でありますか」
一寸ちよつとうかゞひますが、アノ、アノ、田村たむらをんなのおはか御在ございますが、アノ、それはこちらのおてら御在ございませうか。」と道子みちことゞこほちにきいてた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
上へうかゞふには餘人にてはよろしからず兼々御懇命ごこんめいかうむる石川近江守然るべしとて近江守をまねかれ委細ゐさい申しふく御機嫌ごきげん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人ふたりはそれでだまつた。たゞじつそと樣子やうすうかゞつてゐた。けれども世間せけんしんしづかであつた。いつまでみゝそばだてゝゐても、ふたゝものちて氣色けしきはなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れから屹度きつとやらないなら今日けふところだけは大目おほめいたゞいて警察けいさつれてかれないやうにうかゞつててあげるがね、どうしたもんだね」と勘次かんじへいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「なるほど。それではひてはまをしますまい。あなたはどちらのおかたか、それをうかゞつてきたいのですが。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
御機嫌ごきげん如何いかゞらせられますか、陛下へいかよ!』公爵夫人こうしやくふじんひく脾弱ひよわこゑでおうかゞ申上まをしあげました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それから四年※よねんすぎてのいまはからずも貴方あなた再會さいくわいして、いろ/\のおはなしうかゞつてると、まるでゆめのやうで、霖雨ながあめのち天日てんじつはいするよりもうれしく、たゞ/\てん感謝かんしやするのほかはありません。
あなたのお話をうかゞつても、私に話しかけたり、私の心にうごくものは何にもないんですもの。燃える光も——活々いき/\した生命も——忠告の叫びも、鼓舞こぶの聲も——何一つ私には感じられないんです。
たくへくれば、おいもうとさんは大抵たいてい場合ばあひ玄関外げんくわんそとたしておくやうです。家内かないもいくらかおはなしうかゞつてるさうですが、うつかりしたことへば、たゝりがおそろしいんでせう、あまくちかれないさうで。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのこたうけたまはらずば歸邸きていいたしがたひらにおうかゞひありたしと押返おしかへせば、それほどおほせらるゝをつゝむも甲斐かひなし、まことのこと申あげ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「嬢様から一こん申し上げますが何もございません、ほんの田舎料理でございますが御緩ごゆるりと召上り相変らず貴方あなたの御冗談をうかゞいたいとおっしゃいます」
じつわたくし貴方あなたとの談話だんわおいて、此上このうへ滿足まんぞくましたのです。で、わたくし貴方あなたのおはなし不殘のこらずうかゞひましたから、此度こんど何卒どうぞわたくしはなしをもおください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もしいつはりとおもはれなば、れい宿直とのゐにとていへでて、こゝろみにかへりて、ひそかにうかゞうてらるべし、とふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うかゞひたれば甚だ御赤面ごせきめんの體にてしらぬ/\との上意じやういなれば推返して伺ひけるに成程なるほど少し心當りはあり書付を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いや、僕の知つたをんなに、左様さう云ふのが一人ひとりあつて、じつは甚だ気の毒だから、ついほかをんな心持こゝろもちいて見たくなつて、うかゞつたんで、決してひやかしたつもりぢやないんです
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ついでだからうかゞひたいが、台州たいしうにはひにつてめになるやうな、えらいひとはをられませんかな。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「どなたが第一にいらつしやるかうかゞひたいと申してをりますが。」
人傳ひとづてきましておいかりにふれるとはるも御樣子ごやうすうかゞひたさににくいところつくろつてやうやうのおもひでまゐりましたお父樣とつさまにもお執成とりなしをとしほ/\としていひづるを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いま貴方あなた御父様おとうさま御話おはなしうかゞつて見ると、うなるのは始めからわかつてるぢやありませんか。貴方あなただつて、其位な事はうから気がいていらつしやる筈だと思ひますわ
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一寸ちょっとうかゞわなけりゃならんのだが、少し仔細しさい有って信州へ行って居りましたが、長野県ではおおきに何ももぐれはまに相成って、致し方なく、東京までは帰って来たが
(いえ、おうかゞまをしますまでもございませんが、みち矢張やツぱりこれを素直まツすぐまゐるのでございませうな。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なし餘り久々御疎遠ごそゑんなれば御機嫌ごきげんうかゞひ度又此方の御樣子ごやうす如何と存じ母を同道していで馬喰町武藏屋清兵衞方に罷在まかりあり候と申けるに利兵衞の心はとくよりかは持參金ぢさんきんのあるむこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まちことからしてうかゞひませう。れから一ぱんのことを。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すゑのほど覺束おぼつかなければとひかゝるをうちけして、そは御懸念ごけねんふかすぎずや、釣合つりあふとつりあはぬは御心おこゝろうへのことなり、一おういとさまの御心中ごしんちううかゞくだされたし
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……「それで、矢來やらいから此處こゝまで。」「えゝ。」といきいて、「夢中むちうでした……なにしろ、正體しやうたいを、あなたにうかゞはうとおもつたものですから。」いまむかし山城介やましろのすけ三善春家みよしはるいへ
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
エー若春わかはるの事で、かへつて可笑をかしみの落話おとしばなしはういと心得こゝろえまして一せきうかゞひますが、わたくしは誠に開化かいくわの事にうとく、旧弊きゆうへいの事ばかりつてりますと、学校がつかう教員けうゐんさんがおでで
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
三四郎は其当時を思ひして、今度もまたうかゞひを立てられる事かと思つた。然し手紙には御稲荷様の事はいてない。たゞ三輪田の御光さんも待つてゐるとわり註見た様なものがいてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小兒ちごうつくしきさまるべきを、格子かうしそとよりうかゞふに燈火ともしびぼんやりとして障子しようじうるるかげもし、お美尾みを美尾みをよびながらるに、こたへはとなりかたきこえて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
姉弟してひょっとお父様とっさまがお帰りの有った時は、うかゞわずに元服しては済まないと云うので二十二で、大島田に結って居ると申す真実正しい者で、互いに姉弟が力に思合おもいあいまして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
令史れいしおほいあやしみ、すなはことばごとく、宿直とのゐひそかかへりて、他所たしよにかくれてつまうかゞふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
代助の来意をいて、ではわたし一寸ちよつとおくつて御父おとうさんの御都合をうかゞつてませうと云つて立つた。梅子の態度は、ちゝの怒りから代助をかばう様にも見えた。又彼を疎外する様にもれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
犧牲ぎせいにしてもおまへさまのおこゝろうかゞさききてかへねんはなし父御てゝごさまの今日けふおほ人非人にんぴにん運平うんぺいむすめ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よくいらっしゃって、うかゞいますればお内儀かみさんは不慮の事がございましたと、定めて御愁傷な事で、私も旦那にちょいとお目に懸りたいと思っておりましたは、内の人の傷もようやく治り
なにりませんが、たまらないほど可厭いやなお心持こゝろもちらしくうかゞはれますね……では、大抵たいていわかりました……手前てまへにおたのみとふのは、あの……ちん、ちんのきこえないやうに、むしつかまへて打棄うつちやるか
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うがす。ぢや後程のちほどうかゞひませう。いま小僧こぞう一寸ちよつとりませんからな」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今夜こんやうであらうかんかなと機嫌きげんたまふに、貴郎あなた何故なぜそんなやさしらしいことおつしやります、わたしけつしてそのやうなことうかゞひたいとおもひませぬ、ふさときふさがせていてくだされ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すで獻立こんだてしてちたればたゞちに膳部ぜんぶ御前ごぜんさゝげつ。「いま一膳いちぜんはいかゞつかまつらむ」とうかゞへば、幼君えうくん「さればなりそのぜんかごなかつかはせ」との御意ぎよい役人やくにんいぶかしきことかなと御顏おんかほみまもりて猶豫ためらへり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人あるじ宿内しゅくないに少し寄合がござりまして只今帰りましたので碌々お礼も申し上げませんで、えー少々旦那様にうかゞいますが、此所こゝに入らっしゃるお方はお相宿のお方ですが、お荷物が紛失ふんじつ致しまして
それから二日ふつかばかりして、坂井さかゐ名刺めいしへた立派りつぱ菓子折くわしをりつて、下女げぢよれいたが、先達せんだつては色々いろ/\御世話おせわになりまして、難有ありがたぞんじます、いづ主人しゆじん自身じしんうかゞはず御座ございますがといて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いづれもこゝろこゝろならねば、長途ちやうとらうやすむるひまなく、いそ樣子やうすうかゞたてまつるに何事なにごともおほせだされず、ゆる/\休息きうそくいたせとあるに、皆々みな/\不審ふしんへざりけり。中二日なかふつかきて一同いちどう召出めしいださる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水の流れと人の行末ゆくすえとは申しますが、あれ程な御大家ごたいけ其様そんなにお成りなさろうとは思わなかった、お父様とっさまは七年あと国を出て、へいどうも、何しろおっかさんにお目にかゝり、くわしいお話もうかゞいますが
わたしよりねがふことゝいふことばきもをはらずそれならばおはなしありおくださりますかとあやしの根問ねどひおたかさまおまへさまのおむねひとうかゞへばわけのすむことほかでもなしまことねえさまにおなりくださらぬかと決然きつぱりいはれて御串戯ごじやうだんわたしこそまこといもと思召おぼしめしてとふを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
又作は近辺あたりを見返ると、往来はぱったり止まって居りますから、何かの事を知った此の車夫しゃふけて置いては後日ごにちさまたげと、車夫のすきまうかゞい、腰のあたりをポオーンと突く、突かれて嘉十はもんどり切り
「ですが、可厭いやむしいてる、と唯今たゞいまうかゞひましたから。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うかゞい、お脈を拝見したいというわけで