眞赤まつか)” の例文
新字:真赤
たひはくやしくつてのやうに眞赤まつかになりました。けれどまたこわくつて、こほりのやうにこはばつてぶるぶる、ふるえてをりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
やあきたねどぶだ。おそろしい石灰いしばひだ。ひどみちだ。三階さんがいがあるぜ、浴衣ゆかたばかしの土用干どようぼしか、夜具やぐうら眞赤まつかな、なん棧橋さんばし突立つツたつてら。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
山内は顏を眞赤まつかにして會釋して、不即不離つかずはなれずの間隔をとつて、いかにも窮屈らしい足取で、十間許り前方をチョコ/\と歩いた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
嘘やないちうたら、まア聽けよ。……そいから、俺アまアあの時、何んであんなことする元氣が出たか、かんてきの火の眞赤まつかにいこつたやつを
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
と、きふひと院長ゐんちやうだとわかつたので、かれ全身ぜんしんいかりふるはして、寐床ねどこから飛上とびあがり、眞赤まつかになつて、激怒げきどして、病室びやうしつ眞中まんなかはし突立つゝたつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
御歸おかへし下さる樣偏へに御願ひ申ますと眞面目まじめで云ふゆゑ居並ゐならびし役人共一同笑ひに耐兼たへかね眞赤まつかに成て居るにぞ越前守殿もわらはれながら好々よし/\御威光ごゐくわう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本當に一つも蚤にくはれなかつた子供の美しい肌が、幾許いくらとも知らないぶつ/\の爲めに眞赤まつかになつてゐるのであつた。
(旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
かの鵞鳥がてうこゑ婦人ふじんくちあんぐり、眞赤まつかになつて白黒しろくろにしてる、さだめて先刻せんこく失言しつげんをば後悔こうくわいしてるのであらう。
何處どこ姉樣あねさまからお手紙てがみやうぞ、眞赤まつかうそをと我家わがや見返みかへられて、何事なにごと御存ごぞんじなしによいおかほをしてひまくださる勿躰もつたいなさ、あのやうなどく
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
晩餐の爲めにともされた切子きりこ硝子で飾つた燈の光がにぎやかに部屋にひろがり滿ちてゐた。大きく燃える火は、すつかり眞赤まつかになつてゐて、明るかつた。
さうして、透明とうめいこゑが、二人ふたり未來みらいを、うしてあゝ眞赤まつかに、けたかを不思議ふしぎおもつた。いまではあかいろむかしあざやかさをうしなつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
薄あかりのなかに凝視みつむる小さな銀側時計の怪しい數字に苦蓬にがよもぎにほひ沁みわたり、右に持つた薄手うすでの和蘭皿にはまだ眞赤まつかな幼兒の生膽がヒクヒクと息をつく。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「その八俣の大蛇というのはどういう形をしているのですか」とお尋ねになつたところ、「その丹波酸漿たんばほおずきのように眞赤まつかで、身體一つに頭が八つ、尾が八つあります。 ...
こゝは湯気ゆげが一ぱいもつてゐて、にはか這入はひつてると、しかともの見定みさだめることも出來できくらゐである。その灰色はひいろなかおほきいかまどが三つあつて、どれにものこつたまき眞赤まつかえてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
女王樣ぢよわうさま滿面まんめんしゆをそゝいだやうに眞赤まつかになつておいかりになりました、暫時しばしあひだ野獸やじうごとあいちやんを凝視みつめておでになりましたが、やがて、『あたまばすぞ!ね——』とさけばれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
四五日しごにちつと此事このことたちま親父おやぢみゝはひつた。親父おやぢ眞赤まつかになつておこつた、店にあるだけのさくらの木の皮をむかせ(な脱カ)ければ承知しようちしないと力味りきんたが、さて一向いつかう效果きゝめがない。少年こどもは平氣で
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そいつは眞赤まつか殺人者ひとごろしだ。
三人目の患者 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
眞赤まつかなダリヤ
小さな鶯 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
黒雲くろくもいて、んでき、いなづまのやうに、てつもんいし唐戸からとにも、さへぎらせず、眞赤まつかむねほのほつゝんで、よわをんなひました。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、或朝あるあさはや非常ひじやう興奮こうふんした樣子やうすで、眞赤まつかかほをし、かみ茫々ばう/\として宿やどかへつてた。さうしてなに獨語ひとりごとしながら、室内しつないすみからすみへといそいであるく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
無法むはふ水夫等すゐふら叱付しかりつけてつた人相にんさうわる船長せんちやう帽子ぼうしを、その鳶糸たこいと跳飛はねとばしたので、船長せんちやう元來ぐわんらい非常ひじやう小八釜こやかましいをとこ眞赤まつかになつて此方こなた向直むきなほつたが
殺さば殺せ覺悟なりと己れが舊惡きうあくあらはれ口を横道よこみち引摺込ひきずりこんふせがんと猶も奸智かんちめぐらしけるに忠兵衞の妻お富は長庵がいふ事を始終しじうもくして聞居たりしが眞赤まつかに成たる顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は顏が眞赤まつか火照ほてつて來るのを覺えた。痛ましい、心を掻きみだす追憶の數々が結婚の言葉に誘はれて呼び醒まされたからである。彼等は皆私のかうした當惑と感動を見てしまつた。
眞赤まつかに光つて暮れる TONKA JOHN の十三歳。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
莫迦ばか眞赤まつかけすぎた、あたま砂糖さたうをかけてくれ」
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は顏を眞赤まつかにして矢庭に駈出して了つた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「うむ、」とふ。なかからふちへしがみついた、つら眞赤まつかに、小鼻こばなをしかめて、しろ天井てんじやうにらむのを、じつながめて
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『そらい!。』とばかり、ヒタと武村兵曹たけむらへいそう所謂いはゆる出刄庖丁でばほうちやうはいつてすねおのてつすねあはせて、双方さうほう眞赤まつかになつてエンヤ/\と押合おしあつたが勝負しようぶかない
アンドレイ、エヒミチはぜに勘定かんぢやうして、五百ゑん無言むごんともわたしたのである。ミハイル、アウエリヤヌヰチは眞赤まつかになつて、面目無めんぼくないやうな、おこつたやうなふうで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そむける故傳吉は最早もはや耐難こらへがたく之れにある昌次郎殿に相違なしたしかなる證據しようこもある上はあらそはず金子を返し候へ萬一爭ひ給はゞ公邊おかみへ訴へ黒白くろしろを分ねば相成ずと言ければ忽ち昌次郎は眞赤まつかに成て座を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だまれ!』と眞赤まつかになつて女王樣ぢよわうさままをされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
眞赤まつかな眞赤なしゆのやうな MEN が
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふけて、ひとりつきも、たちまくらくなりはしないだらうか、眞赤まつかになりはしないかと、おなじ不安ふあんごした。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まあ……たまらない。貴方あなた此方こちらます……お日樣ひさまいた所爲せゐか、たゞれてけたやうに眞赤まつかつて……」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とゞ山懷やまふところに、おほひかさなる錦葉もみぢかげに、眞赤まつか龍膽りんだうが、ふさ/\と二三りんしもむらさきこらしてく。……
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かはらにしたやうな眞赤まつか砂煙すなけむりに、咽喉のどつまらせてかへりがけ、見付みつけやぐら頂邊てつぺんで、かう、薄赤うすあかい、おぼろ月夜づきよのうちに、人影ひとかげ入亂いりみだれるやうな光景くわうけいたが。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
障子しやうじかして、たゝみおよ半疊はんでふばかりの細長ほそなが七輪しちりんに、いつつづゝした眞白まつしろ串團子くしだんごを、大福帳だいふくちやう權化ごんげした算盤そろばんごとくずらりとならべて、眞赤まつかを、四角しかく團扇うちはで、ばた/\ばた
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いとみだして、はな眞赤まつかる、と淡紅うすべになみなかへ、しろ眞倒まつさかさまつてぬましづんだ。みぎはひろくするらしいしづかなみづいて、血汐ちしほ綿わたがすら/\とみどりいてたゞよながれる……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半町はんちやうばかりまへを、燃通もえとほさまは、眞赤まつか大川おほかはながるゝやうで、しかぎたかぜきたかはつて、一旦いつたん九段上くだんうへけたのが、燃返もえかへつて、しか低地ていちから、高臺たかだいへ、家々いへ/\大巖おほいはげきして
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宛如さながらあき掛稻かけいねに、干菜ほしな大根だいこんけつらね、眞赤まつか蕃椒たうがらしたばまじへた、飄逸へういつにしてさびのある友禪いうぜん一面いちめんずらりと張立はりたてたやうでもあるし、しきりに一小間々々ひとこま/\に、徳利とくりにお猪口ちよく、おさかなあふぎ
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其方そちらの……貴女あなたのおにはに、ちよろ/\ながれます遣水やりみづのふちが、ごろ大分だいぶしげりました、露草つゆくさあをいんだの、たではな眞赤まつかなんだの、うつくしくよくきます……なかいてるらしいんですがね。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けむりなみだ。荒磯あらいそいは炬燵こたつ眞赤まつかだ。が此時このとき燃拔もえぬけてはなかつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞赤まつかひれへ。すごつきで、紫色むらさきいろ透通すきとほらうね。」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こらねて、やつこ眞赤まつかねてる。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、眞赤まつか嘴口くち/″\けた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)