元來ぐわんらい)” の例文
新字:元来
わたくし元來ぐわんらい膝栗毛的ひざくりげてき旅行りよかうであるから、なに面倒めんだうはない、手提革包てさげかばん一個ひとつ船室キヤビンなか投込なげこんだまゝ春枝夫人等はるえふじんら船室キヤビンおとづれた。
せい元來ぐわんらい身分みぶん分類ぶんるゐで、たとへばおみむらじ宿禰すくね朝臣あそんなどのるゐであり、うぢ家系かけい分類ぶんるゐで、たとへば藤原ふじはらみなもとたひら菅原すがはらなどのるゐである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
元來ぐわんらいりよ科擧くわきよおうずるために、經書けいしよんで、五ごんつくることをならつたばかりで、佛典ぶつてんんだこともなく、老子らうし研究けんきうしたこともない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
鹹水かんすい貝塚は元來ぐわんらい海邊かいへんに在るべきものなれど年月のつに從ひ土地隆起とちりうきの爲、海水退きて其位置比較的ひかくてき内地に移る事有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
元來ぐわんらい自分じぶんだい無性者ぶしやうものにておもたつ旅行りよかうもなか/\實行じつかうしないのが今度こんどといふ今度こんど友人いうじん家族かぞくせつなる勸告くわんこくでヤツと出掛でかけることになつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
元來ぐわんらい咽喉いんこうがいしてゐたわたくしは、手巾ハンケチかほてるひまさへなく、このけむり滿面まんめんびせられたおかげで、ほとんどいきもつけないほどきこまなければならなかつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しやれ某し是より直樣油屋へ踏込ふみこんで久兵衞とか云ふ奴を引捕ひつとらへて聞糺きゝたゞくれんとおびしめなほして立上りたり後藤は元來ぐわんらい仁心じんしんふか正直しやうじき正路しやうろの人なれば斯の如き事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
南無三寶なむさんばうした。ぶく/\のし/\と海坊主うみばうず。が——あゝ、これ元來ぐわんらい懸念けねんした。みちしようにあたつたり。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元來ぐわんらい今度こんどこともとたゞせばあに責任者せきにんしやであるのに、あのとほ一向いつかう平氣へいきなもので、ひとなにつてもつてれない。だから、たゞたよりにするのは君丈きみだけだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
信如しんによ元來ぐわんらいかゝることひとうへくもきらひにて、にがかほをしてよこたちなれば、こととして我慢がまんのなるべきや、れよりは美登利みどりといふくごとにおそろしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
元來ぐわんらい麻雀マアジヤンとはすゞめで、パイのかちおと竹籔たけやぶさへづすゞめこゑてゐるからたといふ語源ごげんしんじるとすれば、やつぱり紫檀したん卓子テーブルでぢかにあそぶといふのが本格的ほんかくてき
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
何故なぜッて、うです、おじやうさん、これは元來ぐわんらいあか薔薇ばらであつたんですがわたしどもがあやまつてしろいのを一つぜたのです、それで、れが女王樣ぢよわうさまのおにとまらうものなら
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
づばけものとはどういふものであるかといふに、元來ぐわんらい宗教的信念しうけうてきしんねんまた迷信めいしんからつくされたものであつて、理想的りさうてきまた空想的くうさうてき形象けいしやう假想かさう
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
無法むはふ水夫等すゐふら叱付しかりつけてつた人相にんさうわる船長せんちやう帽子ぼうしを、その鳶糸たこいと跳飛はねとばしたので、船長せんちやう元來ぐわんらい非常ひじやう小八釜こやかましいをとこ眞赤まつかになつて此方こなた向直むきなほつたが
其處そこ學校がくかうたて決心けつしんかれこゝろわいたのです、諸君しよくんかれ決心けつしんあま露骨むきだしで、單純たんじゆんなことをわらはれるかもれませんが、しかし元來ぐわんらい教育けういくのない一個いつこ百姓ひやくしやうです
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いや、くよりはるがはやい。さあ、生命いのちられてらう、と元來ぐわんらい、あたまからまこととはおもひませぬなり。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とり其上彦兵衞より請取うけとりし金もあれば不自由なく消光くらすつけ本夫をつと開運かいうんをぞ祈りける偖彦兵衞は江戸の知己ちかづき便たよりて橋本町一丁目の裏店うらだなかり元來ぐわんらいおぼえたる小間物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
アイヌの所謂いわゆるコロボックルはエスキモ其他の北地現住民げんぢうみんに縁故近き者にして、元來ぐわんらいは日本諸地方に廣がり居りしが、のちにはアイヌ或は日本人の爲に北海道の地に追ひ込まれ
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
宗助そうすけまた自分じぶんいまかつみゝにしたことのないはなしだけに、一々いち/\すくなからぬ興味きようみつてそれをいてつた。そのうちに、元來ぐわんらいこのおとうと蒙古もうこなにをしてゐるのだらうといふ好奇心かうきしんた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長吉ちようきち門前もんぜん産聲うぶごゑげしものと大和尚夫婦だいおしようふうふ贔屓ひゐきもあり、おな學校がくかうへかよへば私立しりつ私立しりつとけなされるもこゝろわるきに、元來ぐわんらい愛敬あいけうのなき長吉ちようきちなればこゝろから味方みかたにつくものもなきあはれさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
元來ぐわんらい——歸途きとせんをたよつて東海道とうかいだう大𢌞おほまはりをしようとしたのは、……じつ途中とちう決心けつしん出來できたら、武生たけふりてゆるされないことながら、そこから虎杖いたどりさと
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
抑々そも/\本郷二丁目なる桝屋久藏ますやきうざうと言る者はもと備前岡山在の百姓の子にして吾助とは元來ぐわんらい懇意こんい成しが此久藏十八九歳のころ豐前國小倉なる織殿おりどのへ奉公に行段々精勤せいきんして金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夫人ふじんとも/″\せつすゝめるので、元來ぐわんらい無遠慮勝ぶゑんりよがちわたくしは、らば御意ぎよゐまゝにと、旅亭やどや手荷物てにもつ當家たうけ馬丁べつとうりに使つかはし、此處こゝから三人みたり打揃うちそろつて出發しゆつぱつすることになつた。
けん自分じぶん荒膽あらぎもかれてしまつた。志村しむら畫題ぐわだいはコロンブスの肖像せうざうならんとは! しかもチヨークでいてある。元來ぐわんらい學校がくかうでは鉛筆畫えんぴつぐわばかりで、チヨークぐわをしへない。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もつとも「チヌノウミ」は元來ぐわんらい和泉いづみ南部なんぶのチヌといふところおきせうしたのではあるが‥‥。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
石器時代土偶中には其面貌そのめんばう實に奇異なるものあり。元來ぐわんらい是等土偶は身体全部しんたいぜんぶ悉皆比例正しく出來居できをるものにはあらざれど數個の土偶に於ては兩眼に當る部分ぶぶん殊に不恰好ぶかつかうに大きく作られたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
名案めいあんはないかな——こゝへ、下町したまちねえさんで、つい此間このあひだまで、震災しんさいのためにげてた……元來ぐわんらい靜岡しづをかには親戚しんせきがあつて、あきらかな、いき軍師ぐんしあらはれた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半時間はんじかん以上いじやうたねば人車じんしやないといて茶屋ちやゝあが今度こんどおほぴらで一ぽんめいじて空腹くうふく刺身さしみすこしばかりれてたが、惡酒わるざけなるがゆゑのみならず元來ぐわんらい以上いじやうねつある病人びやうにん甘味うまからうはずがない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
元來ぐわんらいわが日本語にほんごはなは複雜ふくざつなる歴史れきしいうする。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
行李かうりは、元來ぐわんらいそこなしで、いまのどたばたのおとまぎれて、見事みごと天井てんじやうつて、人參にんじんいたもの。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分じぶんおしずしなるものを一つつまんでたがぎてとてもへぬのでおめにしてさら辨當べんたうの一ぐうはしけてたがポロ/\めし病人びやうにん大毒だいどくさとり、これも御免ごめんかうむり、元來ぐわんらい小食せうしよく自分じぶん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一體いつたい若旦那わかだんなは、やしき河下三里かはしもさんりばかりのところに、ながれのぞんだ別業べつげふがあるのを、元來ぐわんらいいろこのめる男子をとこ婦人ふじん張氏ちやうし美而びにしてなりとふので、浮氣うはきをする隱場處かくればしよにして、別業べつげふ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから二人ふたり連立つれだつて學校がくかうつた。此以後このいご自分じぶん志村しむらまつたなかくなり、自分じぶんこゝろから志村しむら天才てんさいふくし、志村しむらもまた元來ぐわんらい温順おとなしい少年せうねんであるから、自分じぶん又無またな朋友ほういうとしてしたしんでれた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
元來ぐわんらいきしやなぎは、家々いへ/\根太ねだよりもたかいのであるから、破風はふうへで、切々きれ/″\に、かはづくのも、欄干らんかんくづれた、いたのはなれ/″\な、くひけた三角形さんかくけいはしうへあししげつて、むしがすだくのも
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
元來ぐわんらい志村しむら自分じぶんよりかとしあにきふも一ねんうへであつたが
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)