ほね)” の例文
近頃ちかごろ唐鍬たうぐは使つけほねおれつからつて仕事しごとしまつちや一がふぐれえけてつちやあんだつちけが、それ今日けふはやくからてたんだつちきや
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
三兩出て博奕友達ばくちともだちよしみだと言てひらに頼む故おれ詮方無せんかたなやいて仕舞てほねは利根川へ流したに相違は無いぜこれサ段右衞門今此彌十に顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このおじいさんが、これほど、ほねをおってげたうおを、だれが、べるのだろうか? そうおもったことに、無理むりはなかったのです。
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
颶風はやてぎる警告けいこくのために、一人いちにんけまはつた警官けいくわんも、外套ぐわいたうなしにほねまでぐしよれにとほつて——夜警やけい小屋こやで、あまりのこと
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうとうおかまが上までけました。その時分じぶんには、山姥やまうばもとうにからだじゅうになって、やがてほねばかりになってしまいました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さてさういふさる人間にんげんとの中間ちゆうかんのものゝほね今日こんにちまでにいかほど發見はつけんされたかといふに、殘念ざんねんながら中々なか/\おもふようにてまゐりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つづいて同じようにおどりかかっていったホールも、ものの見事みごとげとばされ、こしほねをしたたかうって起きあがれなくなった。
えゝ、すつかり片付かたづけちまいました。其代り、うもほねが折れましたぜ。なにしろ、我々の引越ひつこしちがつて、大きな物が色々いろ/\あるんだから。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
足とこしほねを二つ三つたたくと、孫悟空そんごくう急用きゅうようにでかけたように、燕作のからだは鳥居のまえから見ているうちに小さくなっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さら取直とりなをして、暗黒々あんこく/\岩窟内がんくつないてらると、奧壁おくかべちかくにあたつてる、る、ひとほねらしいもの泥土でいどまりながらよこたはつてえる。
わたしたちはとぼとぼほねって歩いた。目を開けてはいられなかった。じくじくぬれた着物がこおりついたまま歩いて行った。
と、最後の突撃とつげき。さアッと太刀たちを横にうちふると、その太刀さきは、敵の左頬ひだりほおから右眼うがんにかけ、ほねをくだいて切りわったので
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
そのくるま手長蜘蛛てながぐもすね天蓋てんがい蝗蟲いなごはねむながい姫蜘蛛ひめぐもいと頸輪くびわみづのやうなつき光線ひかりむち蟋蟀こほろぎほねその革紐かはひもまめ薄膜うすかは
かみいととはお祖母ばあさんがくださる、ほねたけうら竹籔たけやぶからぢいやがつてれる、なにもかもおうちにあるものひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ほねから肉を噛み取らうとしさうな發作ほつさを起したときには、それを取り抑へたり、すぐ傍にゐて手を藉させるだらうからね——
わたしは、わかい牝牛めうし腎臓脂肪じんぞうしぼうへチーズを交ぜ、それを陶器皿とうきざらに入れてとろ火でた。金物かなものにおいをけるために、中のほねを小刀がわりに使った。
ふつとこんな事が胸に浮んだ。今日に限つて特別に阿母さんの身体からだが鉄色の銚子縮てうしちヾみ単衣ひとへの下に、ほつそりと、白いほね計りに見えた様な気がする。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
けれど、ちっぽけなニールスにとっては、ガチョウでさえも大きくおもくてずいぶんほねがおれたのです。それでも、どうにか、うまくいきました。
とりんでってしまうと、杜松ねずまたもととおりになりましたが、手巾はんけちほねと一しょに何処どこへかえてしまいました。
現世的げんせてき執着しゅうじゃくなかで、わたくしにとりて、なによりもるのにほねれましたのは、まえもうすとおり矢張やはり、けた両親りょうしんたいする恩愛おんあいでございました。
寺も移らねばなるまい。墓地も移らずばなるまい。然しながら死にたるほねは、死にたるやすんずべきではあるまい乎。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
が、このお坊さんは十日とたたぬうちに死んでしまった。いや死んだのではなく頭だけのこしてどうや手足はほねばかりになってころされていたのであった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
こうに魚のほねの形をしたはいいろのおかしなきのこが、とぼけたように光りながら、えだがついたり手が出たりだんだん地面じめんからのびあがってきます。
ありときのこ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところもの其人そのひとほねみなすでちたり、ひと其言そのげんのみ君子くんしは、其時そのときればすなは(二)し、其時そのときざればすなは(三)蓬累ほうるゐしてる。
ほねれるからとてだけうんのあるならばへられぬことはづをんななどゝものうも愚痴ぐちで、おふくろなどがつまらぬことすからこま
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
微睡まどろみの睫毛はみてゐる。……囲炉裏に白くなつたおきを。(それが、宛らわたしの白骨、焼かれた残んのほねに似る)
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
おもふに此山なかばより上は岩をほねとしてにくつちうす地脉ちみやく気をつうじて破隙われめをなすにや、天地妙々の奇工きこう思量はかりしるべからず。
わたしどもははしら障子しやうじほねくろずんだ隔座敷ざしきへとほされた。とこには棕梠しゆろをかいたぢくかヽつてゐたのをおぼえてゐる。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
パンの破片かけら紙屑かみくづうしほねなど、さうしてさむさふるへながら、猶太語エヴレイごで、早言はやことうたふやうにしやべす、大方おほかた開店かいてんでも氣取きどりなにかを吹聽ふいちやうしてゐるのでらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あのおとこはまことによい男だが、惜しいことには、宗教家であるため、弱くて不可いかぬ。あれにいっそうほねっぽいところがあれば、実に見上げた人間だのに」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
まる咽喉のどほねでもつかへてゐるやうだ』とつてグリフォンは、其背中そのせなかゆすつたりいたりしはじめました。つひ海龜うみがめこゑなほりましたが、なみだほゝつたはつて——
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其處そこほねひとく』といふ文句もんくそれ自身じしんがふら/\と新宿しんじゆく停車場ていしやぢやういたのは六月二十日の午前ごぜん何時であつたかわすれた。かく一汽車ひときしやおくれたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あかと、ほねしろの配色の翅をつけた一匹の蝶は、落寞とした空間に、見るもあやうげにかかっている。
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
鷲郎に助けられて、黄金丸は漸く棲居へ帰りしかど、これより身体みうち痛みて堪えがたく。加之しかのみならず右の前足ほねくじけて、物の用にも立ち兼ぬれば、口惜くやしきこと限りなく。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
森の中で美しい果物を見つけたり、川の中できれいな魚を見つけたりすると、長いくちばしが先にそれをつっついて、短いくちばしには、かわほねしかくれなかった。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
死に近づいた頃、弟子共に歌をよませ、自分も歌をよんだが、其歌は随分増賀上人らしい歌である。「みづはさす八十路やそじあまりのおいの浪くらげのほねにあふぞうれしき」
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それはつくるのに大へんほねが折れたし、得意とくいなものであった。自分がどんなに芸術家げいじゅつかであるか見せてやりたかった。ゴットフリートはしずかにみみかたむけた。それからいった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
しかし、しばらく見まわっているうちに、ほねを小山のようにつみかさねてあるところへ来ました。そこには、物を焼く時に使うかなぐしが、いっぱいちらばっていました。
話の種に三つ四つの例を挙げると、関西方面で広くいうのはほね正月かしら正月、これは二十日になるともう正月のさかなも尽きて、残った骨を食べる日という意味だそうである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
高朗の気ほねとほり清幽の情肉に浸むあしたの趣こそ比ぶるに物なけれ、今しもあふいで彼の天成の大画たいぐわ双眸さふぼうを放ち、して此の自然の妙詩に隻耳せきじを傾け、をくぐり芝生を辿たど
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
疾病の種類しゆるゐにして存在の証跡を今日に留むるは黴毒と虫齒なり是等の事は遺跡より出つるほねとに由りて知るを得る事なれど、風俗考には縁故遠き事故細説さいせつは爲さざるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そういって、右手のほねばったにぎりこぶしを出して見せました。見ると、なるほど、親指と人さし指のさかいのところに、一センチぐらいはなれて、小さいいぼがふたつありました。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
取捨とりすて御随意ごずいいそろほねれる事には随分ずいぶん骨を折りそろ男とわれながらあとにて感服仕候かんぷくつかまつりそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
ほねをひろひつかきて九五塔婆たふばいとなみ、僧を迎へて菩提ぼだいのことねんごろにとぶらひける。
五十幾つの胸にも火事が始まる。四間に五間の教場は宛然さながら熱火の洪水だ。自分のほねあらはに痩せた拳がはた卓子テーブルを打つ。と、躍り上るものがある、手を振るものがある。萬歳と叫ぶものがある。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
奔馬ほんばというものは、前から捉えるにやすくして、後ろから追うにはこの通りほねだが、そうかといって馬というやつは、蝶々トンボのたぐいと違って、どう間違っても空中へ向けて逸走することはない。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
生温なまぬるきかぜのごとほねもなきうごく——そのそら鏽銀しやうぎんかねはかかれり。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
けだし、日本につぽん臣民しんみん如何いかなる塲合ばあひおいても、そのおもふよりも、くにおもことだいなれば、すくふに良策りようさくなくば、ふ、大義たいぎため吾等われら見捨みすたまへ、吾等われら運命うんめいやすんじて、ほねこの山中さんちううづめん。
あのびやう人たちは 地きうの病人なんでほねれますね
はして、苦桃太郎にがもゝたらう七卷なゝまき卷裹まきくるめ、ほね
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)