仕事しごと)” の例文
たけは、さもとがめられたようにかおあかくして、なんと返事へんじをしていいかわからず、ただ、したきながら仕事しごとをするばかりでした。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
らねえでどうするもんか。しげさん、おめえのあかしの仕事しごとは、ぜにのたまるかせぎじゃなくッて、色気いろけのたまるたのしみじゃねえか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
森山もりやまは、諭吉ゆきちのねっしんなたのみをきいてはくれましたが、幕府ばくふ仕事しごとがいそがしくて、おしえてくれる時間じかんがなかなかありません。
それから數日間すうじつかん主人しゆじんうち姿すがたせなかつた。内儀かみさんは傭人やとひにん惡戯いたづらいてむしあはれになつてまたこちらから仕事しごと吩咐いひつけてやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
サン やい、グレゴリー、誓言せいごんぢゃ、こちとらは石炭コールなんぞはかつぐまいぞよ、かりにも。(不面目な賤しい仕事しごとなんぞはすまいぞよ)
ママはほかにいい仕事しごとっていて、たくさんおあしがもらえるので、いつまでもやめたくないのだということを、シューラは思い出した。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
ぢいやは御飯ごはんときでも、なんでも、草鞋わらぢばきの土足どそくのまゝで片隅かたすみあしれましたが、夕方ゆふがた仕事しごところから草鞋わらぢをぬぎました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
學校がくかう中途ちゆうとめたなり、ほんほとんどまないのだから、學問がくもん人並ひとなみ出來できないが、役所やくしよでやる仕事しごと差支さしつかへるほど頭腦づなうではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『あのひとにはあのひととしての仕事しごとがあり、めいめいることがちがいます。良人おっとぶのは海辺うみべ修行場しゅぎょうばうつってからのことじゃ……。』
でも、このごろはだいぶ仕事しごとのこつがわかってきました。要吉は、せっせと手を動かしながら、いろんなことを考えるようになりました。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
人びとがおのおのもくして仕事しごとをしてるのを見ると、自分はのけものにされてるのじゃないかという考えをきんずることができない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「おまえは、じぶんの仕事しごとのことばかりかんがえていて、わるこころになっただな。ひとぬのをちのぞんでいるのはわるいことだぞや。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あかりあかるき無料むりょう官宅かんたくに、奴婢ぬひをさえ使つかってんで、そのうえ仕事しごと自分じぶんおもうまま、してもしないでもんでいると位置いち
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おまえは、下におろされると、すぐに、なんでもないような仕事しごとを言いつけられるが、それをやるときには、気をつけるんだぜ。
もらひ請其儘我が家へもどり翌日返書は小夜衣へとゞけしが此機について何か一仕事しごとありさうな物と心の内に又もや奸智をめぐらして急度きつと一ツの謀略はかりごと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし、彼女かのじょのものの考え方には、どことなく面白おもしろいところがあったので、うちなかのつまらない仕事しごともそのために活気かっきづき、うるおいがしょうじた。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
が、たれては不可いけない、きつては不可いけない、いづれ、やがて仕事しごと出来できると、おうら一所いつしよに、諸共もろともにおかゝつてあらためて御挨拶ごあいさつをする。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
乃公おれなんかはちかうち大仕事おほしごとがあるのだ、その仕事しごとためいまこのみなとて、明後晩めうごばんにはまた此處こゝ出發しゆつぱつするのだが、その一件いつけんさへ首尾しゆびよくけば
洋傘直しは剃刀をていねいに調しらべそれから茶いろの粗布あらぬのの上にできあがった仕事しごとをみんなせほっと息して立ちあがります。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
朝飯前あさめしまへ仕事しごとにして天下てんかをどろかす事虎列刺コレラよりもはなはだしく天下てんか評判ひやうばんさる〻事蜘蛛くもをとこよりもさかんなるは唯其れ文学者あるのみ、文学者あるのみ。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
あのねへさんはおにではないか、とゝさんを怠惰者なまけものにしたおにではないか、おまへ衣類べゞのなくなつたも、おまへうちのなくなつたもみなあのおにめがした仕事しごと
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからまたパリのあるカツフエにやはり紅毛人こうもうじん畫家ぐわか一人ひとり、一わんの「しるこ」をすゝりながら、——こんな想像さうぞうをすることは閑人かんじん仕事しごと相違さうゐない。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たとひわたし明日あしたぬとしても!一しやうをかけて目指めざしてわたし仕事しごとすこしもまだがつけられなかつたとて、たとひ手紙てがみきかけてあつたとて
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
このごろでは保名やすなはすっかりもとのさむらい身分みぶんわすれて、あさはやくから日のれるまで、いえのうしろのちいさなはたけてはお百姓ひゃくしょう仕事しごとをしていました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おそろしさでからだが、がたがたふるえてきた。大あわてで仕事しごとをすませ、道具どうぐを片づけると、あたふたと部屋へやをでていった。
東京とうきやう仕事しごと如何どうです。新聞しんぶん毎々まい/\難有ありがたう、續々ぞく/\面白おもしろ議論ぎろんますなア』と先生せんせいぼくかほるやくちひらきました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
し、ひと各々おの/\その仕事しごと專念せんねんなるときは』と公爵夫人こうしやくふじん咳嗄しわがれた銅鑼聲どらごゑつて、『世界せかいつねよりもすみやかに回轉くわいてんします』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「ふふふ、あやしいもんだわ。始終しじふそんな道具立だうぐだてばかりなすたつて、お仕事しごとはうはちつともはこばないぢやないの」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そして固くご身分をかくして、志自牟しじむという者のうちへ下男におやとわれになり、いやしいうし飼、うま飼の仕事しごとをして、お命をつないでいらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
寢食しんしよくことまをすにおよばず、器物きぶつ取扱とりあつかひことみづこと掃除さうぢこと其外そのほかさい仕事しごとくわんしてみん銘々めい/\獨立心どくりつしんつておこなへば自然しぜん責任せきにんおもんずるやうになる。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
男が誰と会つて、何を話合つて、どんなことを計劃して居るのであるか、聞くともなしに聞いて居た其場の模様から、彼は段段男の仕事しごとに興味をもつやうになつた。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
うたうと、その一人ひとりも、とうとう仕事しごとめました。そしてこのおとこは、最後おしまいだけしかかなかった。
問、足下そくかは尚ほ何時迄いつまで著述ちよじゆつ従事じうじせれんとする乎(基督信徒きりすとしんとに他人の仕事しごとにする者おほし)。
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
この輩のごときは、かかる多事紛雑たじふんざつの際に何か仕事しごとしてあたかも一杯の酒をればみずからこれを愉快ゆかいとするものにして、ただ当人銘々めいめい好事心こうずしんより出でたるに過ぎず。
親分氏おやぶんしは、すこぶかろる『なにねえよ』とつて、せツせと仕事しごと從事じうじしてる。
たゞ狡猾ずるさるだけは、こうして毎日まいにちなん仕事しごともなく、ごろごろとなまけてゐても、それでおなかかさないでゆかれるので、暢氣のんきかほをして、人間にんげんの子どもらの玩弄品おもちやになつて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
これまでのかれ仕事しごとは、いろいろな方面ほうめんにわたっています。だい一に、五つの小説しょうせつがあり、そのなかで『ジャン・クリストフ』は、いちばんながいもので、そしていちばん有名ゆうめいです。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「おいのりはわたしの仕事しごとだ。その人形のためにしてあげましょう」と僧正そうじょうこたえました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
みなさん今日こんにちは 僕は地球の小学生で名前は星テン太郎 毎日学校へ行くのが仕事しごとです
入念にふねん仕事しごとほどこすので、とく地震ぢしん考慮かうりよして特殊とくしゆ工夫くふうくはへたのではない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
おとうさんはらへ仕事しごとにでかけ、おじいさんは湖の岸へ、「のっこみぶな」というのをつりにでかけたあとで、おっかさんはひとりでよそいきの着物きものにきかえ、ふろしきづつみ一つをもって
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そういうふうなことにすれば、うまく仕事しごとがふり分けられるというものだ
男の仕事しごと鳥獸魚ちようじゆうぎよ捕獲ほくわく住居じうきよ建築けんちく石器せきき製造せいざう、舟の製造、發火等をしゆとし、をんなの仕事は植物性しよくもつせい食物原料及び貝類の採集、み物、織りもの、紐類、土噐の製造、調理てうり、小兒保育等ほいくとうを主とせしなり
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ばん彼女かのぢよ」を不幸ふかうにしたことは、かれ性格せいかく普通社会人ふつうしやくわいじんとして適当てきたう平衡へいかうたもつてゐないことであつた。無論むろんこんな仕事しごとはいつてくるひとのなかには、性格せいかく平衡へいかう調和てうわれないひとたまにはあつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そこで彼は、勝見の家に對しても、また父子爵に對してもむほん人となツた。父子爵といふ人は、維新ゐしんのどさくさまぎれに、何か仕事しごとをして、實際の力以上に所謂いはゆる國家に功勞こうらうある一にんとなつた人である。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
今日きょうは、かぜがおもしろくないと、つい、自分じぶんのことのようにかんがえるのです。仕事しごとをするようになって、もうなんねんかわへいきません。
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鍛冶かぢとき仕事しごとつかへてたが、それでもういふ職業しよくげふくべからざる道具だうぐといふと何處どこでもさういふれいすみやかこしらへてくれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
肉体にくたいててこちらの世界せかい引越ひきこしたものになりますと、ほとんどすべての仕事しごとはこの仕掛しかけのみによりておこなわれるのでございます。
じぶんがこえをかけると、わらいながらはなしあっていたひとたちも、きゅうに仕事しごとのことをおもしたようにこうをむいてしまうのでありました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それでも塩水せんをかけたので恰度ちょうどあったから本田の一町一たん分には充分じゅうぶんだろう。とにかくぼくは今日半日で大丈夫だいじょうぶ五十円の仕事しごとはしたわけだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)