かほ)” の例文
旧字:
よ、愚劣ぐれつな×(2)に対してこぶし子供こどもらを、かほをそむけてのゝしをんなたちを、無言むごんのまゝ反抗はんこう視線しせんれつきつけるをとこたちを!
またうしてられる……じつ一刻いつこくはやく、娑婆しやば連出つれだすために、おまへかほたらばとき! だんりるなぞは間弛まだるツこい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大久保おほくぼ出発しゆつぱつしてからもなく、彼女かのぢよがまたやつてた。そのかほつてあかるくなつてゐた。はなしまへよりははき/\してゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
汽車は右の肩からちゝしたこしの上迄美事みごとに引き千切ちぎつて、斜掛はすかけの胴を置き去りにして行つたのである。かほ無創むきずである。若い女だ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あかしかけをきた人形にんぎやうは、しろ手拭てぬぐひのしたにくろひとみをみひらいて、とほくきたたびをおもひやるやうにかほをふりあげました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
かしら長くにたれたるがなかばはしろし、たけ常並つねなみの人よりたかく、かほは猿に似て赤からず、まなこ大にして光りあり。
道子みちこ自分じぶん身近みぢか突然とつぜんしろヅボンにワイシヤツををとこ割込わりこんでたのに、一寸ちよつと片寄かたよせる途端とたんなんとつかずそのかほると、もう二三ねんまへことであるが
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
勝田君かつだくんく。『彼奴きやつだ/\』と、みなくす/\わらふ。自分じぶんのことをわらつたのかと、なきだに無愛想ぶあいさうかほをしたモンゴリアがう事務長じむちやうは、ます/\むづかしいかほをする。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
おもひてなるべきこひかあらぬかしてつまはじきされなんはづかしさにはふたゝあはかほもあらじいもとおぼせばこそへだてもなくあいたまふなれつひのよるべとさだめんにいかなるひと
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朝日新聞社員あさひしんぶんしやゐん横川勇次氏よこかはゆうじしを送らんと、あさ未明まだきおきいでて、かほあらも心せはしく車をいそがせて向島むかふじまへとむかふ、つねにはあらぬ市中しちうにぎはひ、三々五々いさましげにかたふて
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
家から五丁程西に当つて、品川堀と云ふ小さな流水ながれがある。玉川上水の分流わかれで、品川方面の灌漑専用くわんがいせんようの水だが、附近あたりの村人は朝々あさ/\かほも洗へば、襁褓おしめの洗濯もする、肥桶も洗ふ。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
かせぐものあればあそぶ者ありめる者あればふ者あるが即ち実相じつさうなればおの一人ひとり勝手かつて出放題ではうだいをこねつけてかほをするは云はふやうなき歿分暁漢わからずや言語同断ごんごどうだんといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
一むらのすすきのかげから、嘉十かじふはちよつとかほをだして、びつくりしてまたひつめました。六ぴきばかりの鹿しかが、さつきの芝原しばはらを、ぐるぐるぐるぐるになつてまはつてゐるのでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
貪狼巨門たんらうきよもん等北斗の七星を祭りて願ふ永久安護、順に柱の仮轄かりくさびを三ツづゝ打つて脇司わきつかさに打ち緊めさする十兵衞は、幾干いくその苦心も此所まで運べば垢穢きたなきかほにも光の出るほど喜悦よろこびに気の勇み立ち
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あたしの申上まをしあげること合点がてんなさりたくば、まづ、ひとつかういふこと御承知ごしようちねがひたい。しろ頭巾づきんあたまつゝんで、かた木札きふだをかた、かた、いはせるやつめで御座ござるぞ。かほいまどんなだからぬ。
そして一體にふくよかにやはらかに來てゐる、しかも形にしまツたところがあツたから、たれが見ても艶麗えんれいうつくしいからだであツた。着物きものてゐる姿すがたかツたが、はだかになると一だんひかりした。それからかほだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ニャンちやん そんなかほをするとこつちが恥かしくなつてしまふよ
かくてただこゑもなし。あをひか硝子戸がらすど真白ましろなるかほふりむけて
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのたびはねちぢめて残念ざんねんさうにかほをしかめるのだつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
門番コンシエルジユのおかみかほぼく微笑ほヽえんだ
蒼ざめて、俯きかほに案じてゐたが
烈々れつ/\える暖炉だんろのほてりで、あかかほの、小刀ナイフつたまゝ頤杖あごづゑをついて、仰向あふむいて、ひよいと此方こちらいたちゝかほ真蒼まつさをつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴方あなたから借りてかうと思ふんです」と云つて、改めて誠吾のかほを見た。あには矢っ張り普通の顔をしてゐた。さうして、平気に
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しよめしなぞべると、かれはいつでもこゝろ空虚くうきようつたへるやうな調子てうしでありながら、さうつてさびしいかほ興奮こうふんいろうかべてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かしら長くにたれたるがなかばはしろし、たけ常並つねなみの人よりたかく、かほは猿に似て赤からず、まなこ大にして光りあり。
をとこ道子みちこくちからまかせになにふのかといふやうなかほをして、ウム/\と頷付うなづきながら、おもさうな折革包をりかばんみぎひだりちかへつゝ、かれてはしをわたつた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
とお母様かあさまはれて、わたしかほをしみ/″\なさけぶかいひとみでみられた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
大人おとなびたるかほしろしろ白粉おしろいおそろしさよ。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あれッ いたいッ 僕のかほをひつかいた
ありし雛遊ひなあそびのこゝろあらたまらずあらたまりし姿すがたかたちにとめんとせねばとまりもせでりやうさん千代ちいちやんと他愛たあいもなき談笑だんせふては喧嘩けんくわ糸口いとぐち最早もう来玉きたまふななにしにんお前様まへさまこそのいひじらけに見合みあはさぬかほはつ二日目ふつかめ昨日きのふわたしるかりし此後このご
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ引摺ひきずつて、あしながらなさけなさうなかほをする、蟋蟀きり/″\す𢪸がれたあしくちくはへてくのをるやう、もあてられたものではない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一寸ちよつとらんなさい」と美禰子がちいさな声で云ふ。三四郎は及び腰になつて、画帖の上へかほを出した。美禰子のあたまで香水のにほひがする。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
火影ほかげ片頬かたほゝけたつまかほは、見恍みとれるばかりに綺麗きれいである。ほゝもポーツと桜色さくらいろにぼかされて、かみいたつてつやゝかである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
まどそとたちたるをみれば猿のやうにてかほ赤からず、かしらの毛長くたれて人よりは大なるがさしのぞきけり。
はじめから気質きしつはない家族かぞくとの折合をりあひふにしたがつて円滑ゑんくわつにはかなくなり、なにかにつけておたがひかほあからめ言葉ことばあらくするやうなこと毎日まいにちのやうになつてたので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
と、おもひもかけぬこえにおどろいて、わたしははっとかほをあげたのです。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
しよく小主水こもんど」とて、うれかほさみしい
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ドカリ——洗面所せんめんじよかたなる、どあつた、茶色ちやいろかほが、ひよいと立留たちどまつてぐいと見込みこむと、ちや外套ぐわいたうう、かたはすつたとおもふと
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども又淋しいかほをして、めて小供でも生きてゐて呉れたらさぞかつたらうと、つく/″\考へた事もありましたと自白した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あね小柄こがらの、うつくしいあいらしいからだかほ持主もちぬしであつた。みやびやかな落着おちついた態度たいど言語げんごが、地方ちはう物持ものもち深窓しんそうひととなつた処女しよぢよらしいかんじを、竹村たけむらあたへた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
まどそとたちたるをみれば猿のやうにてかほ赤からず、かしらの毛長くたれて人よりは大なるがさしのぞきけり。
しばらくかほにも似たりかざり海老えび
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
人のかほ。はた、きりぎりす。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ついぞかほみたこともない。
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
「いけません。おはらひでなきやアあとへおかへンなさい。」とおつしやつた。先生せんせいめうかほをしてぼんやりつてたがすこしむきになつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あとは散漫に美禰子の事があたまうかんでる。美禰子のかほや、襟や、帯や、着物きものやらを、想像に任せて、けたりつたりしてゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
は山水に目をうばはれたるに「火をかしなされ」とて烟管きせるさしよせたるかほを見れば、蓬髪みだれがみ素面すがほにて天質うまれつき艶色えんしよく花ともいふべく玉にもすべし。百結つぎ/\鶉衣つゞれ趙璧てうへきつゝむ。
こと其目そのめほしのやうで、えずわたしかほては、こゝろとろかさうとしてゐるやうなこびつくる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
はづかしさのかほをおほへど
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
したしげにせて、かほ差覗さしのぞいて、いそ/\していふと、白痴ばかはふら/\と両手りやうてをついて、ぜんまいがれたやうにがつくり一れい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)