かろ)” の例文
新字:
(四三)しんへいは、もと(四四)悍勇かんゆうにしてせいかろんじ、せいがうしてけふす。たたかもの(四五)其勢そのいきほひつてこれ利導りだうす。
春枝夫人はるえふじんいた心配しんぱいして『あまりに御身おんみかろんじたまふな。』と明眸めいぼうつゆびての諫言いさめごとわたくしじつ殘念ざんねんであつたが其儘そのまゝおもとゞまつた。
くるしみかろんずるとか、なんにでも滿足まんぞくしてゐるとか、甚麼事どんなことにもおどろかんとふやうになるのには、あれです、那云あゝい状態ざまになつてしまはんければ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
相違つかまつり候ては御役儀もかろ相成あひなり候故私しの内意仕つり候に付私再吟味御免をかうむり其後病氣と披露ひろう仕つり引籠ひきこもちう家來けらい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私はもう往來をかろやかな昂奮にはずんで、一種ほこりかな氣持さへ感じながら、美的裝束をして街を濶歩した詩人のことなど思ひ浮べては歩いてゐた。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
女房の縁につながりて、姉と立つれば附け上り、やゝもすれば我をかろしむる面憎つらにくさ。仕儀によつては姉とは云はさぬ。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
みちすがらも、神祕しんぴ幽玄いうげんはなは、尾花をばなはやしなかやまけた巖角いはかどに、かろあゐつたり、おもあをつたり、わざ淺黄あさぎだつたり、いろうごきつつある風情ふぜい
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だい一は、國民こくみん眞劍しんけん生命せいめい財産ざいさん尊重そんてうするにいたることである。生命せいめい毫毛こうもうよりもかろんじ、財産ざいさん塵芥ぢんかいよりもけがらはしとする時代じだいにおいては、地震ぢしんなどは問題もんだいでない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
その始めて現はるゝや、萬客屏息へいそくしてこれを仰ぎたり。その態度、そのおごそかなること王者の如くにして、しかもかろらかに優しき態度には、人も我もたゞちに心を奪はれぬ。
親分氏おやぶんしは、すこぶかろる『なにねえよ』とつて、せツせと仕事しごと從事じうじしてる。
打水うちみづのあとかろ庭下駄にはげたにふんで、もすそとる片手かたてはすかしぼね塗柄ぬりえ團扇うちわはらひつ、ながれにのぞんでたつたる姿すがたに、そらつきはぢらひてか不圖ふとかゝるくもすゑあたりにわかくらくなるをりしも
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
られたかろちひさな落葉おちばは、自分じぶんめてれるかげもとめて轉々ころ/\はしつてはしたわらあひだでももみむしろでも何處どこでもたくした。周圍あたりすべてがたゞさわがしく混雜こんざつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
織屋おりや何處どこつてもういふひなびた言葉ことば使つかつてとほしてゐるらしかつた。毎日まいにち馴染なじみのいへをぐる/\まはつてあるいてゐるうちには、脊中せなか段々だん/\かろくなつて、仕舞しまひこん風呂敷ふろしき眞田紐さなだひもだけのこる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そりや機嫌のい時のことさ。」とかろ眞面目まじめにいふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
褒めてイヨすみれは置かれませんと挨拶するは此事より起りたることばならんと悟りぬ兎角とかくいふうちいりまじへたる山の盡るほとりに一面の名鏡現れたり此ぞ諏訪の湖なると露伴子の指すににはかに足もかろく氣も勇み始めて心づきて四方を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
巡禮姿、しほたれて、衣手ころもてかろし。
きその日は (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
机のにほひをいで、かろく打つ時
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
あまりにかろ姿すがたかな
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
軟風なよかぜかろき舞ぎぬ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
士卒しそついまかず、百せいしんぜず。ひとにしてけんかろし。ねがはくはきみ寵臣ちようしんくにたつとところもつぐんかんせしめば、すなはならん
かろ服裝ふくさうせる船丁等ボーイらちうになつてけめぐり、たくましき骨格こつかくせる夥多あまた船員等せんゐんら自己おの持塲もちば/\にれつつくりて、後部こうぶ舷梯げんていすで引揚ひきあげられたり。
と、これつたことばです、智者ちしや哲人てつじんしくは思想家しさうかたるものゝ、他人たにんことなところてんは、すなはこゝるのでせう、苦痛くつうかろんずるとことに。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かろく致すは格別かくべつ二人迄の人殺しあればとても助命の儀は相成難あひなりがたいづれ共に是より出席致し今一應吟味の上罪を一段輕く申付る樣取り計はんと申に可睡齋もやむ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私にまた先程のかろやかな昂奮が歸つて來た。私は手當り次第に積みあげ、また慌しくくづし、また慌しく築きあげた。あたらしく引き拔いてつけくはへたり、取り去つたりした。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
と、撫子なでしこ一束ひとたばいたが、かごつて、はたとどぶなかてると、かろ翡翠かはせみかげひるがへつてちた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
少女の眼は入りんだ私の胸をかろくさせた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さききてもるかきかれませねばなににてもよしくるまたのみなされてよとにはか足元あしもとおもげになりぬあの此樣こんくるまにおしなさるとかあの此樣こんくるまにと二度にど三度さんどたかかろ點頭うなづきてことばなしれも雪中せつちゆう隨行ずゐかう難儀なんぎをりとてもとむるまゝに言附いひつくるくだんくるまさりとては不似合ふにあひなりにしき上着うはぎにつゞれのはかまつぎあはしたやうなとこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きみつて呉起ごきして(一〇二)ともかへり、すなは(一〇三)公主こうしゆをしていかつてきみかろんぜしめよ。呉起ごき公主こうしゆの・きみいやしむをば、すなはかならせん
一層いつそうあぢかろとり丸燒まるやきなどはなか/\の御馳走ごちさうで、いまわたくしには、世界せかい第一だいいちのホテルで、世界せかい第一だいいち珍味ちんみきようせられたよりも百倍ひやくばいうれしくかんじた。
かろんずる氣色けしきありて甚だ心底しんていおうぜぬ者なりと申されける是は只今にも登城に及びもし直願ぢきねがひ取次等とりつぎらを申出るとも取次させまじとわざかくは其意をさとらせし言葉なるべし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼等かれらかろんずる人間にんげんたいして、きのこのためにいたものである。臆病おくびやうくせわたしはすきだ。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
花片はなびらいたはるよ、てふつばさづるかと、はら/\ときぬ手巾ハンケチかろはらつて、の一りん薔薇ばらくと、おもいやうにしなつて、せなぢさまに、うへへ、——さかうへへ、とほりのはし
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(六三)おもきことかれごとく、かろきことかくごときをもつてなる
されば水筋みづすぢゆるむあたり、水仙すゐせんさむく、はなあたゝかかをりしか。かりあとの粟畑あはばたけ山鳥やまどり姿すがたあらはに、引棄ひきすてしまめからさら/\とるをれば、一抹いちまつ紅塵こうぢん手鞠てまりて、かろちまたうへべり。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひなはさてみやこはもとより、きぬかろこひおもく、つまあさく、そでかゞやかぜかをつて、みどりなか涼傘ひがさかげみづにうつくしき翡翠ひすゐいろかな。浮草うきくさはなくも行方ゆくへやまなりや、うみなりや、くもるかとすればまたまばゆ太陽たいやう
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
便びんなし、しんひやしたおいしやくなやみかろからず。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)