)” の例文
新字:
られる都合つがふならばまたいままでのやうにお世話せわりにまする、るべくは鳥渡ちよつとたちかへりにぐも出京しゆつけうしたきものとかるくいへば
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
で、貴方あなた時代じだいやうとすましてもゐられるでせうが、いや、わたくしふことはいやしいかもれません、笑止をかしければおわらください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しか今更いまさらなんとかとか長文句ながもんく手紙てがみけないものだから、『承諾しようだくい』といた電報でんぱうやう葉書はがきしたんだ、さうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
暴風雨ばうふううとしから、ばつたりなくつた。それが、今年ことし、しかもあの大地震おほぢしんまへ暮方くれがたに、そらなみのやうにれてわたりついた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうしたね勘次かんじうしてれてられてもいゝ心持こゝろもちはすまいね」といつた。藁草履わらざうり穿いた勘次かんじ爪先つまさきなみだがぽつりとちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
りよ小女こをんなんで、汲立くみたてみづはちれていとめいじた。みづた。そうはそれをつて、むねさゝげて、ぢつとりよ見詰みつめた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
泡雪あわゆきのように大地を蹴散らかして勢いよく叫びの聲をお擧げになつて待ち問われるのには、「どういうわけでのぼつてられたか」
かぜでもいてくりえだれるやうなあさとうさんがおうちから馳出かけだしてつてますと『たれないうちにはやくおひろひ。』とくりつて
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
われ/\は子供こども時分じぶんにはをしへられた。最初さいしよ地震ぢしんかんじたなら、もどしのないうち戸外こがい飛出とびだせなどといましめられたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
マーキュ うんうん引掻ひっかかれた/\。はて、これで十ぶんぢゃ。侍童こやっこめは何處どこにをる? 小奴やっこ、はよって下科醫者げくわいしゃんでい。
ヴィルジリオはおのが取られしをしりて我にむかひ、こゝによ、我汝をいだかんといひ、さて己と我とを一のたばとせり 一三三—一三五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そして其の小流が倒木に遮られたり、餘りに狹く曲り過ぎてゐたりする時には山脚に靜かに上つて、し方行末を眺めて見る。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
「ぢやア、これから行つてよう——實は、ゆうべ、鐵道に出てゐる舊友に會つたら、牧草地に適する賣り物があるといふ件もあるから。」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
かへりもおそいが、かへつてから出掛でかけなどといふ億劫おくくふこと滅多めつたになかつた。きやくほとんどない。ようのないとききよを十時前じまへかすことさへあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
立んとて此大雪に出で行きたれどもなん甲斐かひやあらん骨折損ほねをりぞん草臥くたびれ所得まうけ今に空手からてで歸りんアラ笑止せうしの事やとひとごと留守るすしてこそは居たりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其翌五日そのよくいつか奮然ふんぜんとしてたゞ一人ひとりつた。さむいかぜき、そらくもつた、いやであつたが、一人ひとりで一生懸命しやうけんめいつたけれど、なにぬ。
その證據しようこは、これから以後いご、ずっとはるかなのちまで、ほんとうに景色けしきんだうたといふものが、ないのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「當代の御主人なのだ。」嬉しい言葉! その次に何がようとも——どんなことが出て來ようとも——割合わりあひに落着いて聞いてをられさうであつた。
其後そのあとからあいちやんもりてきました。今度こんどうしてやうかとふやうなことはちつともかんがへずに。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たけなかからひろつてこの年月としつき大事だいじそだてたわがを、だれむかへにようともわたすものではない。もしつてかれようものなら、わしこそんでしまひませう
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
すみ黒々くろ/″\かれた『多田院御用ただのゐんごよう』の木札きふだててられると、船頭せんどうはまたふねかへさないわけにかなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さて日本につぽんに、青銅せいどうつたはつて、どういふものがまづつくられたかとまをしますに、はじめはむろん支那しなあたりでつくられた品物しなものがそのまゝつてられたものと
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
『そらい!。』とばかり、ヒタと武村兵曹たけむらへいそう所謂いはゆる出刄庖丁でばほうちやうはいつてすねおのてつすねあはせて、双方さうほう眞赤まつかになつてエンヤ/\と押合おしあつたが勝負しようぶかない
幾回いくくわいものカンフル注射ちうしやほどこされて、みな彼女かのぢよ身内みうちものが、一人ひとりでもてくれることのぞんでゐたが、電報でんぱうつたにもかゝはらず、誰一人たれひとり、たうとうなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
が、くるしみはすこしもない。ただむねつめたくなると、一そうあたりがしんとしてしまつた。ああ、なんしづかさだらう。この山陰やまかげやぶそらには、小鳥ことりさえづりにない。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おまへの緑の髮の毛の波は、貝のが斧のときしらせると、眞紅しんくまる。すぎしかたを憶ひだして。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
やがて壽永じゆえいの秋の哀れ、治承ぢしようの春の樂みに知る由もなく、六歳むとせの後に昔の夢を辿たどりて、直衣なほしの袖を絞りし人々には、今宵こよひの歡曾も中々に忘られぬ思寢おもひねの涙なるべし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
きこそもの上手じやうずとやらで、自分じぶん學課がくゝわうちでは同級生どうきふせいうち自分じぶんおよぶものがない。數學すうがくとなら、はゞかりながらたれでもいなんて、自分じぶんおほい得意とくいがつてたのである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「戸板だ! どつかから戸板を持つてにや。」と、一人が狂氣のやうに叫んだ。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
その趣味しゆみしぶれいげると、三上みかみがその著名ちよめいなる東京市内出沒行脚とうきやうしないしゆつぼつあんぎやをやつて、二十日はつかかへつてないと時雨しぐれさんは、薄暗うすぐら部屋へやなか端座たんざして、たゞ一人ひとり双手もろて香爐かうろさゝげて、かういてゐる。
「そのふゆないうちにありどののお世話せわにならなきやなりますまい」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
わたし日本にほん今日こんにち經濟界けいざいかい金解禁きんかいきん出來できたからとつて、たなごゝろかへごと景氣けいきやうとはかんがへぬ。しかしながらいませつわたしこゝ説明せつめいして半面はんめん事實じじつかたるものとからうとおもふのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
『督促しても、來るのは來るし、ないのは來なごあんすぜ。』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
誰待つと家居るならずおなじくも憂ふる人のよとふのみ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
附きよ、汝の中二人、今何事の起りしや? 450
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
舞ひあめ眞鳥まとりの悲しきこゑ。——
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
今こそは、夏のはてよる
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
彼らいづこよりしやを知らず
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
し道は細川までを限りにて
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
今日けぶはふたゝびぬものを。
ゴンドラの唄 (旧字旧仮名) / 吉井勇(著)
深山みやまつぐみのぬひまを
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
きみなければ
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
えたらつて
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
つまぐと王子みこ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
い山吹來い
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『ぢや、エウゲニイ、フエオドロヰチでも此處こゝんでい、ちよつおれれツてつてるとへ……ちよつとでいからツて!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
勘次かんじはむつゝりとした卯平うへい戸口とぐちのぞいたこともないが、卯平うへいすぐてもなくてもめし出來できときびにくのはおつぎであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大𢌞おほまはりにはるけれど、呉服橋ごふくばししたちかところに、バラツクにんでひとだから、不斷ふだん落着家おちつきやさんだし、悠然いうぜんとして、やがてよう。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへらないか美登利みどりさんのところを、れは今朝けさからさがしてるけれど何處どこゆつたかふでやへもないとふ、廓内なかだらうかなとへば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
安井やすゐ其後そのごまい端書はがきさへこさなかつたのである。宗助そうすけ安井やすゐ郷里きやうり福井ふくゐけて手紙てがみしてた。けれども返事へんじつひなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)