ころ)” の例文
こんどやってきたら、鉄砲てっぽうころしてしまうといっているひともあるくらいです。けれど、しょうちゃんは黒犬くろいぬをかわいがっていました。
僕がかわいがるから (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、都の人びとは、巨男おおおとこがおそろしい魔女まじょ息子むすこだということを知っていましたので、とおまわしに巨男おおおとこころそうと考えました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
なにをとこころすなぞは、あなたがたおもつてゐるやうに、たいしたことではありません。どうせをんなうばふとなれば、かならずをとこころされるのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「知ってらあ! 知り過ぎてらあ! だから敲き壊してやるのさ。その、白狐だかなんだか、ころしてくれっから。糞垂稲荷め!」
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ときかね校庭かうていやしなはれて、嚮導きやうだうつたいぬの、ぢてみづかころしたともひ、しからずとふのが——こゝにあらはれたのでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
でもまあ無事ぶじでよかつた。人間にんげんめ! もうどれほど俺達おれたち仲間なかまころしやがつたか。これを不倶戴天ふぐたいてんてきとゆはねえで、なにふんだ。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
たれたのんでころさせたるやおのれ三次に頼んでころさせたれば己れが手を下して殺せしよりなほもつ不屆ふとゞきなり又最前三次と突合せの節三次を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たつかみなりのようなものとえた。あれをころしでもしたら、このほういのちはあるまい。おまへたちはよくたつらずにた。ういやつどもぢや」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
安心あんしんなさい。きさきはまだ生きています。じつは、わたしはメジカをこっそりころさせて、ここにある証拠しょうこしなをとっておいたのですよ。
そのわりまた、ねずみがわるさをはじめたら、いつでもつけ次第しだいころしてもかまわない。どうだね、それで承知しょうちしてくれるか。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宗助そうすけは五六日前にちまへ伊藤公いとうこう暗殺あんさつ號外がうぐわいたとき、御米およねはたらいてゐる臺所だいどころて、「おい大變たいへんだ、伊藤いとうさんがころされた」とつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「へん。貴様きさまら三びきばかり食いころしてやってもいいが、おれもけがでもするとつまらないや。おれはもっといい食べものがあるんだ」
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
領主 ロミオはチッバルトを、チッバルトはマーキューシオーをころしたとすれば、マーキューシオーのつぐなふべきものれぢゃ?
自分をお叩頭じぎさせたり押籠おしこめたり裸にしたり踏踣したり、また場合に依ツたらころしもすることの出來る力があるかも知れぬが、たゞ一ツ
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そこで執事しつじウィックスティード氏は、鉄棒の化けものの猛反撃もうはんげきをくった。ただ、残酷ざんこくとしか言いようのない、無残むざんころされようであった。
だれ戦争せんそうまうけ、だれなんうらみもない俺達おれたちころひをさせるか、だれして俺達おれたちのためにたたかひ、なに俺達おれたち解放かいほうするかを
見つけ出してその木をいて取り出してかして、その子に仰せられるには、「お前がここにいるとしまいには大勢の神にころされるだろう」
「……それじゃけに……引導をば……わたいてくれたとぞ……貴様を……ころいたとは……このオレサマぞ……アハ……アハ……」
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「さっさと主人に言いつけるがいい。いまこのガンをかみころすところだからな。」と、ズルスケは、ニールスに言いました。
かれは二、三度おしころしたような悲しそうな鼻声を出した。それがわたしといっしょにいてくれるもののように思われた。
知人しりびとひでもすると、あをくなり、あかくなりして、那麼あんな弱者共よわいものどもころすなどと、是程これほどにくむべき罪惡ざいあくいなど、つてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「きやつはいずれころされることになるであろう。磯五自身のためにも、みなのためにも、彼男あれは一日も早く殺したがよい」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あいちやんは脚下あしもと生物いきものころすのをおそれて其甕そのかめはふさうとはせず、其處そことほりがけに蠅帳はへちやうひとつにれをしまひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
呉起ごきここおいて、さんとほつし、つひ其妻そのつまころし、もつせいくみせざるをあきらかにす。つひもつしやうとなす。しやうとしてせいめ、おほいこれやぶる。
わすたまひしおことばなりおもふはねたみにやお主樣しうさまゆゑにはころして忠義ちうぎくすひとさへるをわれ一人ひとりにてきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうすりゃあいつは、ぼくがこんなにみっともないくせして自分達じぶんたちそばるなんて失敬しっけいだってぼくころすにちがいない。だけど、そのほうがいいんだ。
みこと日本国にほんこくにとりてならびなき大恩人だいおんじんであることはいうまでもなけれど、しかしころされた賊徒ぞくとになってれば、みことほど、にもにくいものはない。
呼吸いきつえてんだよ」はゞかるものゝやうにひくこゑころしていつた。勘次かんじいきほひづいた。かれ突然とつぜん與吉よきちおこした。蒲團ふとんまくつて與吉よきちうでいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
が、このお坊さんは十日とたたぬうちに死んでしまった。いや死んだのではなく頭だけのこしてどうや手足はほねばかりになってころされていたのであった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
敵をころしたる時復讐ふくしうの意を以て其肉を食ふとか、親戚しんせきの死したる時敬慕けいぼじやうを表す爲其肉を食ふとか、幾分いくぶんかの制限せいげんは何れの塲合にも存在そんざいするものなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
長吉は観劇に対するこれまでの経験で「夜」と「川端かわばた」という事から、きっところに違いないと幼い好奇心から丈伸せのびをして首をのばすと、はたせるかな
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
やがあめまつたれるとともに、今度こんど赫々かく/\たる太陽たいようは、ごと吾等われらうへてらしてた。印度洋インドやうちう雨後うご光線くわうせんはまた格別かくべつで、わたくしころされるかとおもつた。
「落ちついていちゃいけませんよ、親分。宮永町の石井家の下女、あのお新というちょいとした年増が、くびころされて、藍染川あいぞめがわに叩き込まれて居ましたよ」
だから可愛かはいいが、いけないことがあるとしかりもすれば勘當かんだうもする。ことによつたらころすかもれない。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
雪吹ふゞきの人をころす事大方右にるゐす。暖地だんちの人花のちるくらべ美賞びしやうする雪吹ふゞきと其ことなること、潮干しほひあそびてたのしむ洪濤つなみおぼれくるしむとのごとし。雪国の難義なんぎ暖地だんちの人おもひはかるべし。
老人ろうじんころされたのは、その五よるだつたから、あさよるとのちがいはあつても、おな金魚屋きんぎょやつて老人ろうじんつたというてんが、なんとなく意味いみありかんじられる。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
直ちにくまいたきて相角しつひに之をころすなり、熊人をのがれんとするときも亦然すと云ふ、此回の探検中たんけんちうくまひし事なし、之れ夏間は人家ちかやまに出でてしよく
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
わるもののキツネのズルスケは、下巻げかんのほうのお話にも出てきています。なんとかしてガンのむれをいちらし、ニールスをころしてしまおうと、つけねらっているのです。
そして、ランプさえ手に入ったら、アラジンをころしてしまおう、と思っていたのでありました。
勝伯かつはくが徳川方の大将となり官軍をむかえ戦いたりとせよ、その結果けっかはいかなるべきぞ。人をころざいさんずるがごときは眼前のわざわいぎず。もしそれしんの禍は外国の干渉かんしょうにあり。
それは全く私の心の要求からり起された泉でありました。自らをすゝんで犧牲にすることは、決して自らをころすことではなかつた!と私はこの頃さう思つてやすんじてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
いまにも二人の怪人は車輪の下にむごたらしくころされてしまいそうな様子に見えました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その人は、やはり、どうすることもできず、仕方しかたなしにたおれていきころしていたのだそうである。くまが、あたまのそばへきて、自分をかぎまわしているのが、はっきりとわかる。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
神武天皇じんむてんのうがおかくれになつてのちさきまをしたいすけよりひめが、自分じぶんのおみになつた三人さんにん皇子みこたちを、ころさうとするものゝあることを、むきだしにいふことは出來できないから
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし明日の晩此処ここに見世を出すと打ころして仕舞うぞ。折角中に這入はいったから今夜は宥して遣るからと云て、翌晩いって見たら、正直な奴だ、植木屋の処だけ土場見世どばみせを休んで居た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
なんゆえに一にんえきなきものをころして多人數たにんずえきすることしきことなしといふ立派りつぱなる理論りろんをもちながら流用りうようすること覺束おぼつかなき裝飾品そうしよくひん數個すこうばひしのみにして立去たちさるにいたりしか
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
糟谷かすやころすの一ごんを耳にして思わず手をゆるめる。芳輔よしすけは殺せ殺せとさけんで転倒てんとうしながらも、しんに殺さんと覚悟かくごした母の血相けっそうを見ては、たちまち色をえてげだしてしまった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
すると一ぴきのとんぼが出て来て、たちまちそのあぶをころしてんで行きました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
なぜならば、もういつもの半狂乱のていになった田弓は、そこに仲よく遊んでいる頑是がんぜない二人の幼児おさなごを、ころしかねない血相で抱きしめ、手に、懐剣を抜いているからだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のち商業学校せうげふがくかうてんじて、中途ちうとから全然すつかりふでたうじて、いまでは高田商会たかだせうくわいに出てりますが、硯友社けんいうしやためにはをしい人をころしてしまつたのです、もつとも本人の御為おためには其方そのはう結搆けつかうであつたのでせう
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)