にち)” の例文
はじめの二、三にちは、そのおんなたいして、べつにしたしくしたものもなかったが、また、悪口わるくちをいうようなものもありませんでした。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
大正たいしやうねんの一ぐわつ十五にちまでに全國ぜんこく郵便局いうびんきよく取扱とりあつかつた年賀葉書ねんがはがき總數そうすうは三千四百五十六まん七千八百九十九まいといふ統計とうけいしめされてる。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
そこで信田しのだもりへ大ぜい家来けらいれて狐狩きつねがりにたのでした。けれども運悪うんわるく、一にちもりの中をまわっても一ぴき獲物えものもありません。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
昨日きのふあさ千葉ちばわたしびまして、奧樣おくさまこの四五にちすぐれやう見上みあげられる、うぞあそばしてかと如何いかにも心配しんぱいらしくまをしますので
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今日けふ江戸表御老中えどおもてごらうぢうから、御奉書おほうしよ到着たうちやくいたした。一にち支度したく三日みつか道中だうちうで、出府しゆつぷいたせとの御沙汰ごさたぢや。』と、おごそかにつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
にちて、アンドレイ、エヒミチは埋葬まいそうされた。その祈祷式きとうしきあずかったのは、ただミハイル、アウエリヤヌイチと、ダリュシカとで。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それは見る見る売り切れとなって、全国の少年はこの日記を読まないことを恥とした。日記はふつどくえいにち、の各国語にやくされた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
四十一ねんぐわつ二十一にち午前ごぜんごろ水谷氏みづたにしとは、大森おほもり兒島邸こじまてい訪問ほうもんした。しかるにおうは、熱海あたみはうつてられて、不在ふざん
七月九日、きょうは浅草観音の四万六千にちである。苦しい時の神頼みと云ったような心持もまじって、半七は朝から参詣の支度をした。
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
このどもたちには、戦争せんそうというかなしいめにあわせたくない。日本にっぽんが、一にちもはやく、平和へいわなあかるい文明国ぶんめいこくになってくれるとよい。
しかるに昨年さくねん十一ぐわつ二十一にちに、今年こんねんぐわつ十一にちおい金解禁きんかいきん決行けつかうすることに決定けつてい發表はつぺうたことは我國經濟わがくにけいざいため非常ひじやう仕合しあはせである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
急信きふしんは××ねん××ぐわつ××にち午後ごごとゞいたので、民子たみこあをくなつてつと、不斷着ふだんぎ繻子しゆすおび引緊ひきしめて、つか/\と玄關げんくわんへ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
数寄屋河岸すきやがし真顔まがほが、「イヤこれ大方おほかた二十一にちであらう、「むかし」とハ、廿一にちと書くから、まア廿一にちつて見なさい。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あのがんこもん親父おやじねば、息子むすこ井戸いどらせてくれるそうだがのオ。だが、ありゃ、もう二、三にちぬからええて。」
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたし——わたしちひさなむすめよ』とつてあいちやんは、一にちうち何遍なんべん變化へんくわしたことをおもして、顧慮うしろめたいやうながしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「ほんとにおめえには、気の毒だよ。遊びてえ盛りを、こうやっておいらといっしょに、がな一にち辻に立って、稼業しょうべえするんだからなあ」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ぐわつ十一にちまちまつつたる紀元節きげんせつ當日たうじつとはなつた。前夜ぜんやは、夜半やはんまで大騷おほさわぎをやつたが、なか/\今日けふ朝寢あさねどころではない。
さうするとむきつたあとまめ陸穗をかぼかつしたくちつめたいみづやういきほひづいて、四五にちうちあをもつはたけつち寸隙すんげきもなくおほはれる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
皇孫命様こうそんのみことさま竜神様りゅうじんさままた産土神様うぶすなかみさま礼拝らいはいし、今日きょうにち任務つとめ無事ぶじつとめさせてくださいますようにと祈願きがんめることにしました。
私達わたしたちはその日一にち歩きまはつた。夕方ゆふがたには、自分達じぶんたちの歩いてゐる所は一たいどこなのだらうと思ふほどもう三半器官はんきくわんつかれてゐた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
本堂ほんだうはうではきやうこゑかねおともしてゐる。道子みちこ今年ことしもいつかぼんの十三にちになつたのだとはじめてがついたときである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
さる十三にちぼくひとつくゑ倚掛よりかゝつてぼんやりかんがへてた。十いへものてしまひ、そとあめがしと/\つてる。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
けれど、二三にちもたつともうそろそろむづむづしてくるのだから、この熱病ねつびやう生易なまやさしいことではなかなか全快ぜんくわいしさうにもない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
病症びやうしやう脊髓腦膜炎せきずゐなうまくえんとかいふ劇症げきしやうで、二三にち風邪かぜ氣味きみてゐたが、便所べんじよつたかへりに、あらはうとして、柄杓ひしやくつたまゝ卒倒そつたうしたなり
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
にち、ペエエル・ラセエズの大墓地へはひつてつたら、文豪ミユツセの墓に一株の柳が青んで文豪の彫像をおほうたその枝にメルルがいて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
地震ぢしんがあってからちゃう最早もう十一年目ねんめ……わすれもしませぬ……一ねん三百六十にちうちで、はい、其日そのひ乳離ちばなれをなされました。
「日本語なんか僕知らないや、百がサルでにちがスベで、こうがリだろ。英語では百日ってハンドレッド・デイっていうよ」
人造人間 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
なにしろ、いくにちとなく、いく晩となく、すぎて行きましたからね。けれども、たれひとりやっては来ませんでした。
うま荷物にもつをつけてときはなか/\ほねれますが、一にち仕事しごとをすまして山道やまみちかへつてるのはたのしみなものですよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そん五もとく七もありゃァしません。当時とうじ名代なだい孝行娘こうこうむすめ、たとい若旦那わかだんなが、百にちかよいなすっても、こればっかりは失礼しつれいながら、およばぬこい滝登たきのぼりで。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
と心に誓い、朝廷の方へは病気という事にして兵を留め、にち々付近の山谷の間を探し歩いた。そして月を越えたところで、妻の履いていたくつを一つ拾った。
美女を盗む鬼神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「あんれま、もつてえねえことしましたね。それじや、あの金魚きんぎょわたしつてつてから、まる一にちとたたねえうちに、んでしまつたことになりますね」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
みだりに外語ぐわいご濫用らんようして得意とくいとするのふうが、一にちは一にちよりはなはだしきにいたつては、その結果けつくわ如何いかゞであらう。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
にち/\とたつにつれて、實際冷吉には、すべてあの事がもう昔讀んだ話の中の事のやうになつて了つた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
がい剃頭店ていとうてん主人、何小二かしょうじなる者は、日清戦争に出征して、屡々しばしば勲功をあらわしたる勇士なれど、凱旋がいせん後とかく素行おさまらず、酒と女とに身を持崩もちくずしていたが、去る——にち
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
のんべえ ものんべえ もおそろしいのんべえ がありました。そのいへでは、それがために一ねんの三百六十五にちを、三百にちぐらゐはかなら喧嘩けんくわつぶすことになつてゐました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
彼女かのぢよたのしんであとのこつた。さうして新生涯しんしやうがいゆめみながらかれからのたよりをくらした。一にち、一にちつてく。けれどもそののちかれからはなん端書はがきぽん音信おとづれもなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
朝から飲まず食わずでも、またこれからいくにち、一てきの水を口にしないまでも、そんなことは念頭ねんとうにない。まさに真剣以上の真剣だ。それに早くまいったほうが惨敗者ざんぱいしゃだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこは大きい町だから、ひじょうに悪い天気で五、六にち逗留とうりゅうしても、少しは興行こうぎょうつづけて回る見こみがあった。「早くとこにおはいり」とそのばん宿屋やどやに着くと親方は言った。
まずこれが彼の性格の一面で、また最もいやな点である。私がこれを観察したのも、畢竟ひっきょうは現在のごとく、彼とわたしとがにちにち極めて密接の間柄にあったからにほかならない。
暮からさんにちへかけたほどの混雑はないが、それでも、この川奈かわなの国際観光ホテルには、ここを冬の社交場にする贅沢ぜいたくなひとたちが二十人ほど、ゴルフをしたり、ダンスをしたり
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
大会へ招待されたのは、当の仏国ふつこくのほかに、えいどく西スペインにちの六ヵ国でした。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
懐手ふところでをして肩を揺すッて、昨日きのうあたりの島田まげをがくりがくりとうなずかせ、今月このにち更衣うつりかえをしたばかりの裲襠しかけすそに廊下をぬぐわせ、大跨おおまたにしかも急いで上草履を引きッている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
すると ぶんめい六ねん(一四七八ねん)二がつ二十二にちの ことでした。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
二三にちなんこともなかつた。たゞわたしあたま重苦おもくるしいばかりであつた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
すべ肌着はだぎ日々ひゞあらひ、夜着よぎは六七にちごとすべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
つくして待遇もてなしけるにぞ吉之助はかゝる遊びの初めてなれ魂魄たましひ天外てんぐわいとびたゞうつゝの如くにうかれ是よりして雨の夜雪の日のいとひなくかよひしかば初瀬留もにくからず思ひ吉之助ならではと今はたがひふか云交いひかはし一にちあはねば千秋の思ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
恥らひを知らぬにち々の燥宴のさなかに
わすれるな、二ぐわつ二十六にち!)
発熱がいくにちもつづいた夜
貧しき信徒 (新字新仮名) / 八木重吉(著)