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斜
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なゝめ
ふりがな文庫
“
斜
(
なゝめ
)” の例文
と
眞紅
(
しんく
)
へ、ほんのりと
霞
(
かすみ
)
をかけて、
新
(
あたら
)
しい
火
(
ひ
)
の
𤏋
(
ぱつ
)
と
移
(
うつ
)
る、
棟瓦
(
むねがはら
)
が
夕舂日
(
ゆふづくひ
)
を
噛
(
か
)
んだ
状
(
さま
)
なる
瓦斯暖爐
(
がすだんろ
)
の
前
(
まへ
)
へ、
長椅子
(
ながいす
)
を
斜
(
なゝめ
)
に、ト
裳
(
もすそ
)
を
床
(
ゆか
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
斜
(
なゝめ
)
に振り上げて、亂れかゝる鬢の毛を、キリキリと噛んだ女の顏は、そのまゝ
歌舞伎芝居
(
かぶきしばゐ
)
の舞臺にせり上げたいほどの
艶
(
あで
)
やかさでした。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
我等に山の
斜
(
なゝめ
)
にて上りうべきところを告げよ、そは知ることいと大いなる者時を失ふを厭ふことまたいと大いなればなり。 七六—七八
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
横手
(
よこて
)
の
桟敷裏
(
さじきうら
)
から
斜
(
なゝめ
)
に
引幕
(
ひきまく
)
の
一方
(
いつぱう
)
にさし込む
夕陽
(
ゆふひ
)
の光が、
其
(
そ
)
の進み入る
道筋
(
みちすぢ
)
だけ、空中に
漂
(
たゞよ
)
ふ
塵
(
ちり
)
と
煙草
(
たばこ
)
の
煙
(
けむり
)
をばあり/\と眼に見せる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
見
(
み
)
ると、
太陽
(
たいやう
)
がキラ/\と
輝
(
かゞや
)
いて
居
(
を
)
る
東
(
ひがし
)
の
方
(
ほう
)
の、
赤裸
(
あかはだか
)
の
山
(
やま
)
の
頂
(
いたゞき
)
を
斜
(
なゝめ
)
に
掠
(
かす
)
めて、
一個
(
いつこ
)
の
大輕氣球
(
だいけいききゆう
)
が
風
(
かぜ
)
のまに/\
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
草木
(
さうもく
)
及
(
およ
)
び
地上
(
ちじやう
)
の
霜
(
しも
)
に
瞬
(
まばた
)
きしながら
横
(
よこ
)
にさうして
斜
(
なゝめ
)
に
射
(
さ
)
し
掛
(
か
)
ける
日
(
ひ
)
に
遠
(
とほ
)
い
西
(
にし
)
の
山々
(
やま/\
)
の
雪
(
ゆき
)
が
一頻
(
ひとしきり
)
光
(
ひか
)
つた。
凡
(
すべ
)
てを
通
(
つう
)
じて
褐色
(
かつしよく
)
の
光
(
ひかり
)
で
包
(
つゝ
)
まれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
花吉はがツくり島田の
寝巻姿
(
ねまきすがた
)
、投げかけし
体
(
からだ
)
を左の
肱
(
ひぢ
)
もて火鉢に
支
(
さゝ
)
へつ、何とも言はず
上目遣
(
うはめづか
)
ひに、低き天井、
斜
(
なゝめ
)
に眺めやりたるばかり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
たゞされしかば富右衞門の
女房
(
にようばう
)
お
峰
(
みね
)
其子城富は申に及ばず
親族
(
しんぞく
)
に至る迄
皆
(
みな
)
大岡殿の
仁智
(
じんち
)
を感じ
喜悦
(
きえつ
)
斜
(
なゝめ
)
ならず
殊
(
こと
)
さらに實子城富は見えぬ
眼
(
め
)
に
涙
(
なみだ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
こゝを
先途
(
せんど
)
とまづ
貯
(
たくは
)
へたまひけるが、何れの武官にやそゝくさ此方へ来らるゝ
拍子
(
ひやうし
)
に清人の手にせし皿を
斜
(
なゝめ
)
めにし、鳥飛んで空にあり、魚
床
(
ゆか
)
に躍り
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
其れと
斜
(
なゝめ
)
に対して
右方
(
うはう
)
に
聳
(
そび
)
えたウフイツチ邸は階下の広大な
看棚
(
ロオヂア
)
を広場に面せしめて、
其
(
その
)
中には
希臘
(
ギリシヤ
)
羅馬
(
ロオマ
)
時代の古彫像が生ける如く
群
(
ぐん
)
を成して居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
暫時
(
しばら
)
くすると
箱根
(
はこね
)
へ
越
(
こ
)
す
峻嶺
(
しゆんれい
)
から
雨
(
あめ
)
を
吹
(
ふ
)
き
下
(
おろ
)
して
來
(
き
)
た、
霧
(
きり
)
のやうな
雨
(
あめ
)
が
斜
(
なゝめ
)
に
僕
(
ぼく
)
を
掠
(
かす
)
めて
飛
(
と
)
ぶ。
直
(
す
)
ぐ
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
の
草山
(
くさやま
)
を
灰色
(
はひいろ
)
の
雲
(
くも
)
が
切
(
き
)
れ/″\になつて
駈
(
はし
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
日本
(
につぽん
)
で
最初
(
さいしよ
)
造
(
つく
)
られた
銅器
(
どうき
)
は
前
(
まへ
)
よりは
幅
(
はゞ
)
の
廣
(
ひろ
)
い
銅
(
どう
)
の
劍
(
つるぎ
)
や
鉾
(
ほこ
)
の
類
(
るい
)
でありまして、その
一
(
ひと
)
つはくりす
型
(
がた
)
といふ
劍
(
つるぎ
)
で、この
劍
(
つるぎ
)
はつばに
當
(
あた
)
るところが
斜
(
なゝめ
)
にまがつてゐます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
庵室の屋根はつい其處に見えてゐるのに、いざ辿り着くまでの細路がなか/\遠くて、
石徑
(
せきけい
)
斜
(
なゝめ
)
なりといふ風情があつた。もう三月ではあつたが、山懷には霜柱が殘つてゐた。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
水は
斜
(
なゝめ
)
に巨巖の上を幾段にも錯落離合してほとばしり下るので、白龍
競
(
きそ
)
ひ下るなどと古風の形容をして喜ぶ人もあるのだが、この瀧の佳い處はたゞ瀧の末のところに安坐して
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
純紫色
(
じゆんしゝよく
)
は自然の神の惜みて容易に人間に示さゞる所、晩秋の候、天の美しく晴れたる日、
夕陽
(
せきやう
)
を帶びて、この木曾の大溪を傳ひ行けば、駒ヶ嶽
絶巓
(
ぜつてん
)
の紅葉
斜
(
なゝめ
)
に夕日の光を受けて
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
代助は椅子の
足
(
あし
)
を
斜
(
なゝめ
)
に立てゝ、
身体
(
からだ
)
を
後
(
うしろ
)
へ
伸
(
のば
)
した儘、答へをせずに、微笑して見せた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
伝
(
つたへ
)
ていふ、
白髪
(
はくはつ
)
白
衣
(
い
)
の
老翁
(
らうをう
)
幣
(
へい
)
をもちてなだれに
乗
(
の
)
り
下
(
くだ
)
るといふ。また此なだれ須川村の方へ二十町余の処
真直
(
まつすぐ
)
に
突
(
つき
)
下す年は
豊作
(
ほうさく
)
也、菖蒲村の方へ
斜
(
なゝめ
)
にくだす年は
凶作
(
きやうさく
)
也。
其験
(
そのしるし
)
少
(
すこし
)
も
違
(
たが
)
ふ事なし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
みのるは机に寄つかゝつて頭を右の手で押へながら男の顏を
斜
(
なゝめ
)
に見てゐた。義男の顏は、眼の瞬きと、蒼い顏の筋肉の動きと、唇のおのゝきと、それがちやんぽんになつて電光をはしらしてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
「また始めやがツた。」と俊男は
眉
(
まゆ
)
の間に
幾筋
(
いくすぢ
)
となく
皺
(
しわ
)
を寄せて
舌打
(
したうち
)
する。
切
(
しきり
)
に
燥々
(
いら/\
)
して來た
氣味
(
きみ
)
で、奧の方を見て眼を
爛
(
きら
)
つかせたが、それでも
耐
(
こら
)
えて、體を
斜
(
なゝめ
)
に兩足をブラり
椽
(
えん
)
の板に落してゐた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
函館の
棧橋
(
さんばし
)
からそこへ通ふ小蒸汽船に乘つて、
暗褐色
(
あんかつしよく
)
の波のたゆたゆとゆらめく
灣内
(
わんない
)
を
斜
(
なゝめ
)
に横切る時、その
甲板
(
かんぱん
)
に一人
佇
(
たゞず
)
んでゐた私の胸にはトラピスト派の神祕な教義と、
嚴肅
(
げんしゆく
)
な修道士達の生活と
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
とて、
斜
(
なゝめ
)
ならず
王鬼
(
わうおに
)
の
勘氣
(
かんき
)
を
蒙
(
かうふ
)
り、
官
(
くわん
)
を
剥
(
は
)
がれ
世
(
よ
)
に
疎
(
うとま
)
れ
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こころもち
斜
(
なゝめ
)
に坐つて。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蟻は
斜
(
なゝめ
)
に、まじくらに
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
斜
(
なゝめ
)
におとす
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
八五郎は少し
斜
(
なゝめ
)
になつて、プイと外へ出てしまひました。此上お北の爲に、働いてやる工夫のないのが、淋しくも張合のない樣子です。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
與吉
(
よきち
)
は
斜
(
なゝめ
)
に
身
(
み
)
を
置
(
お
)
くのが
少
(
すこ
)
し
窮屈
(
きうくつ
)
であつたのと、
叱言
(
こごと
)
がなければ
唯
(
たゞ
)
惡戲
(
いたづら
)
をして
見
(
み
)
たいのとで
側
(
そば
)
な
竈
(
かまど
)
の
口
(
くち
)
へ
別
(
べつ
)
に
自分
(
じぶん
)
で
落葉
(
おちば
)
の
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
袂
(
たもと
)
に
黒
(
くろ
)
く、こんもりと
濃
(
こ
)
い
緑
(
みどり
)
を
包
(
つゝ
)
んで、
遙
(
はる
)
かに
星
(
ほし
)
のやうな
遠灯
(
とほあかり
)
を、ちら/\と
葉裏
(
はうら
)
に
透
(
すか
)
す、
一本
(
ひともと
)
の
榎
(
えのき
)
の
姿
(
すがた
)
を、
前
(
まへ
)
に
斜
(
なゝめ
)
に
見
(
み
)
た
處
(
ところ
)
で
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
梯子段
(
はしごだん
)
の二三段を
一躍
(
ひとと
)
びに
駈上
(
かけあが
)
つて
人込
(
ひとご
)
みの中に
割込
(
わりこ
)
むと、
床板
(
ゆかいた
)
の
斜
(
なゝめ
)
になつた低い
屋根裏
(
やねうら
)
の
大向
(
おほむかう
)
は大きな船の底へでも
下
(
お
)
りたやうな
心持
(
こゝろもち
)
。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
此
(
この
)
東風
(
ひがしかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて
來
(
き
)
た
爲
(
ため
)
に、
吾
(
わ
)
が
輕氣球
(
けいきゝゆう
)
は、
忽
(
たちま
)
ち
進行
(
しんかう
)
の
方向
(
ほうかう
)
を
變
(
へん
)
じて、
今度
(
こんど
)
は、
陸
(
りく
)
の
方面
(
ほうめん
)
から
斜
(
なゝめ
)
に、
海洋
(
かいやう
)
の
方
(
ほう
)
へと
吹
(
ふ
)
きやられた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かくいへる時彼は目を
斜
(
なゝめ
)
にしてふたゝび
幸
(
さち
)
なき
頭顱
(
かうべ
)
を噛めり、その齒骨に及びて強きこと犬の如くなりき 七六—七八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「イヤ、
例令
(
たとへ
)
如何なる事情があらうとも、此の軍国多事の際、
有為
(
いうゐ
)
の将校に重傷を負はしむると云ふは容赦ならぬ」と、言ひつゝ将軍は
斜
(
なゝめ
)
に篠田の後影を
睨
(
にら
)
みつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
狭き谷の麦圃に沿ひ、
北行
(
ほくかう
)
良
(
やゝ
)
久しく、西日まばしく
馬影
(
ばえい
)
斜
(
なゝめ
)
に落つる頃、路の左に
聳
(
そび
)
え起る一千尺ばかりの山を見る。中腹
石屏
(
せきびやう
)
を立てたる如き
山骨
(
さんこつ
)
露
(
あら
)
はれ、
赭禿
(
あかはげ
)
の山頂に小き建物あり。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
本殿の
眞後
(
まうしろ
)
へ𢌞はつた時、
斜
(
なゝめ
)
に
破風
(
はふ
)
の方を
仰
(
あふ
)
ぎながら、お光はこんなことを言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
夜は聴く
猿
(
ましら
)
の
孤樹
(
こじゆ
)
に
啼
(
な
)
いて遠きを、
暁
(
あかつき
)
には
看
(
み
)
る
潮
(
うしほ
)
の
上
(
のぼ
)
って
瘴煙
(
しやうえん
)
の
斜
(
なゝめ
)
なるを。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
代助は
五味台
(
クルエツト、スタンド
)
を
中
(
なか
)
に、少し
斜
(
なゝめ
)
に
反
(
そ
)
れた位地から令嬢の
顔
(
かほ
)
を眺める事になつた。代助は其
頬
(
ほゝ
)
の肉と色が、
著
(
いちぢ
)
るしく
後
(
うしろ
)
の窓から
射
(
さ
)
す光線の影響を受けて、鼻の
境
(
さかひ
)
に
暗過
(
くらす
)
ぎる
影
(
かげ
)
を作つた様に思つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
亭亭
(
ていてい
)
と
大毛槍
(
だいけやり
)
を立てた如くに直立し又は
斜
(
なゝめ
)
に交錯して十丈以上の高さに達して居る
椰子
(
やし
)
林を
颯爽
(
さつさう
)
たる
驟雨
(
しうう
)
に車窓を打たれ
乍
(
なが
)
ら、五台の馬車が赤い土の水
烟
(
けむり
)
を馬蹄の音高く蹴立てて縦断するのは
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
露の深い路地、下水に半分身を落して、乙女の身體は
斜
(
なゝめ
)
に
歪
(
ゆが
)
み、
裳
(
もすそ
)
の紅と、蒼白くなつた
脛
(
はぎ
)
が、淺ましくも天に
冲
(
ちゆう
)
してゐるのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
與吉
(
よきち
)
は
卯平
(
うへい
)
の
側
(
そば
)
から
斜
(
なゝめ
)
に
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
卯平
(
うへい
)
は
與吉
(
よきち
)
の
小
(
ちひ
)
さな
足
(
あし
)
の
甲
(
かふ
)
へそつと
手
(
て
)
を
觸
(
ふ
)
れて
見
(
み
)
た。
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
孰
(
どつち
)
もざら/\とこそつぱかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
二羽
(
には
)
一処
(
ひとところ
)
にト
三羽
(
さんば
)
一処
(
ひとところ
)
にト
居
(
ゐ
)
てそして
一羽
(
いちは
)
が六
尺
(
しやく
)
ばかり
空
(
そら
)
へ
斜
(
なゝめ
)
に
足
(
あし
)
から
糸
(
いと
)
のやうに
水
(
みづ
)
を
引
(
ひ
)
いて
立
(
た
)
つてあがつたが
音
(
おと
)
がなかつた、それでもない。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見よ諸〻の星を
携
(
たづさ
)
ふる一の圈、かれらを呼求むる世を足らはさんとて、
斜
(
なゝめ
)
にかしこより
岐
(
わか
)
れ出づるを 一三—一五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
勿論
(
もちろん
)
、
旋風
(
つむじかぜ
)
の
常
(
つね
)
とて
一定
(
いつてい
)
の
方向
(
ほうかう
)
はなく、
西
(
にし
)
に、
東
(
ひがし
)
に、
南
(
みなみ
)
に、
北
(
きた
)
に、
輕氣球
(
けいきゝゆう
)
は
恰
(
あだか
)
も
鵞毛
(
がもう
)
のごとく、
天空
(
てんくう
)
に
舞
(
ま
)
ひ
揚
(
あが
)
り、
舞
(
ま
)
ひ
降
(
さが
)
り、マルダイヴ
群島
(
ぐんたう
)
の
上
(
うへ
)
を
斜
(
なゝめ
)
に
飛
(
と
)
び
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夕日
斜
(
なゝめ
)
に差し入る狭き
厨房
(
くりや
)
、今正に
晩餐
(
ばんさん
)
の準備最中なるらん、
冶郎蕩児
(
やらうたうじ
)
の
魂魄
(
たましひ
)
をさへ
繋
(
つな
)
ぎ留めたる
緑
(
みどり
)
滴
(
したゝ
)
らんばかりなる
丈
(
たけ
)
なす黒髪、グル/\と引ツつめたる
無雑作
(
むざふさ
)
の
櫛巻
(
くしまき
)
、
紅絹裏
(
もみうら
)
の長き袂
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
硝子
(
がらす
)
を
通
(
とほ
)
して
斜
(
なゝめ
)
に遠方を
透
(
す
)
かして見るときは猶
左様
(
さう
)
いふ感じがした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
白
(
はく
)
銅の
持合
(
もちあはせ
)
が無いので一人が十銭銀貨を
投
(
なげ
)
入れると、彼は黒い大きな
体
(
たい
)
を
斜
(
なゝめ
)
に海中に跳らせて銀貨が
未
(
ま
)
だ波の間を舞つて居る瞬間に其れを捉へて
上
(
あが
)
つて来る。ベツクリンの絵の中の怪物の心地がした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
傷口は
喉笛
(
のどぶえ
)
から右耳の下へ
斜
(
なゝめ
)
に割いた凄まじいもので、得物は
匕首
(
あひくち
)
か脇差か、肉のハゼて居るところを見ると、相當刄の厚いものらしく
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人
(
ひと
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にして
居
(
ゐ
)
るではありませんか。あたりの
山
(
やま
)
では
処々
(
ところ/″\
)
茅蜩殿
(
ひぐらしどの
)
、
血
(
ち
)
と
泥
(
どろ
)
の
大沼
(
おほぬま
)
にならうといふ
森
(
もり
)
を
控
(
ひか
)
へて
鳴
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
る、
日
(
ひ
)
は
斜
(
なゝめ
)
、
谷底
(
たにそこ
)
はもう
暗
(
くら
)
い。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一とくさりの經が濟むと、後ろの物の氣配に誘はれたものか、女は
斜
(
なゝめ
)
に後ろ手を突いて、靜かに振り返りました。實に美しいポーズです。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
門外
(
おもて
)
の
道
(
みち
)
は、
弓形
(
ゆみなり
)
に
一條
(
ひとすぢ
)
、ほの/″\と
白
(
しろ
)
く、
比企
(
ひき
)
ヶ
谷
(
やつ
)
の
山
(
やま
)
から
由井
(
ゆゐ
)
ヶ
濱
(
はま
)
の
磯際
(
いそぎは
)
まで、
斜
(
なゝめ
)
に
鵲
(
かさゝぎ
)
の
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
したやう
也
(
なり
)
。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
金襴も
軸
(
ぢく
)
の
彫
(
ほり
)
も
和物
(
わもの
)
らしく、切り離した刄の跡は、ひどく亂暴で
斜
(
なゝめ
)
になつてをりますが、刄物は
鋏
(
はさみ
)
ではなく、鋭い切出しか匕首などの樣子です。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
間近
(
まぢか
)
な
火
(
ひ
)
は
樹
(
き
)
に
隱
(
かく
)
れ、
棟
(
むね
)
に
伏
(
ふせ
)
つて、
却
(
かへ
)
つて、
斜
(
なゝめ
)
の
空
(
そら
)
はるかに、
一柱
(
いつちう
)
の
炎
(
ほのほ
)
が
火
(
ひ
)
を
捲
(
ま
)
いて
眞直
(
まつすぐ
)
に
立
(
た
)
つた。
續
(
つゞ
)
いて、
地軸
(
ちぢく
)
も
碎
(
くだ
)
くるかと
思
(
おも
)
ふ
凄
(
すさま
)
じい
爆音
(
ばくおん
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“斜”の意味
《名詞》
(シャ 主に例句で)正面からずれた位置。
(出典:Wiktionary)
斜
常用漢字
中学
部首:⽃
11画
“斜”を含む語句
傾斜
斜向
斜違
斜面
斜視
左斜
斜陽
傾斜地
狭斜
斜交
斜子
黒斜子
斜上
斜坑
斜後
傾斜面
横斜
斜掛
第二斜檣
緩傾斜
...