方々かた/″\)” の例文
今宵こよひ家例かれいり、宴會えんくわいもよふしまして、日頃ひごろ別懇べっこん方々かた/″\多勢おほぜい客人まろうどまねきましたが、貴下こなたそのくみくははらせらるゝは一だん吾家わがや面目めんもくにござる。
エヘヽヽおもてとほ女子達をなごたちみな立留たちどまくらゐのもんで、ういふ珠揃たまぞろひのお方々かた/″\世辞せじあきなひしてらつしやるところかひましたのは手前共てまいども仕合しあはせ
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いかに方々かた/″\御前ごぜんまをし、何某殿なにがしどの御内室ごないしつをも一所いつしよ此中このなかまをさむか、雌雄つがひならでは風情ふぜいなくさふらふ」などと散々さん/″\
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
五人ごにん方々かた/″\わたししいとおももの註文ちゆうもんして、それを間違まちがひなくつてくださるかたにおつかへすることにいたしませう
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
こんなすぐれたうたが、しかも非常ひじようたふと方々かた/″\のおさくてゐるにかゝはらず、世間せけん流行りゆうこうは、爲方しかたのないもので、だん/\、わるほうへ/\とかたむきました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
我は側なるつくゑを指ざして、むくいせんと思ふ方々かた/″\は、金錢にもせよ珠玉首飾の類にもせよ、此上に出し給へと云ひぬ。
「はあ、成る程、………それでも時々訪問者はございましょうな、学生だとか、又は友人の方々かた/″\であるとか。」
蘿洞先生 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わたしはいまほんを、ちひさい兄弟姉妹けうだいしまいたちである日本にほんどもたちおくります。また。そのどもたちおやであり、先生せんせいである方々かた/″\にも是非ぜひんでいたゞきたいのです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
干飯ほしいひ古酒こしゆ一筒ひとづつ、ちまき、あうざし(青麩あをふ)、たかんな(筍)方々かた/″\の物送りたまふて候。草にさける花、木のかはかうとしてほとけに奉る人、靈鷲山れいしうざんへ參らざるはなし。
くらゐ方々かた/″\身分みぶんのある奧樣おくさまがたとの御交際おつきあひもして、かく原田はらだつま名告なのつとほるには氣骨きぼねれることもあらう、女子をんなどもの使つかひやう出入でいりのもの行渡ゆきわた
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今や御一門の方々かた/″\屋島の浦に在りて、生死を一にし、存亡を共にして、囘復の事叶はぬまでも、押寄する源氏に最後の一矢を酬いんと日夜肝膽を碎かるゝ事申すも中々の事に候へ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「これは趣向だ。方々かた/″\、今日は主人秘蔵の恵慶が拝見出来ようかも知れませぬぞ。」
『さうなつたらわたしうすればいかしら?方々かた/″\おそろしくも、此處こゝ人々ひと/″\あたまねたがつてられるが、それにしてははなは不思議ふしぎことにも、のこつてるもののあることだわ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
他人の事と思はれず、我身わがみほまれ打忘うちわすれられてうれしくひとりゑみする心のうちには、此群集このぐんしふの人々にイヤ御苦労さまなど一々いち/\挨拶あいさつもしたかりし、これによりて推想おしおもふも大尉たいゐ一族いちぞく近親きんしん方々かた/″\はいかに
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
もっともこのかたち古墳こふんは、むかしでもえらひとはうむるためにつくつたものでありまして、天皇樣てんのうさまだとか、皇族こうぞく方々かた/″\御墓おはかおほもちひたのでありまして、下々しも/″\のものはやはり、まるつかもちひたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
方々かた/″\と、そばなるてつ圓柱まるばしら
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
カピ長 (ロミオの一群に)ようこそ、方々かた/″\! 肉刺まめなやんでらん婦人ふじんは、いづれもよろこんで舞踏敵手おあひてになりませうわい。
わるいことはまをさぬ。これに御同感ごどうかん方々かた/″\は、三味線さみせんでおきになるより、でおみになるはう無事ぶじである。——
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あま美味おいしくはございませんが、東京見物とうきやうけんぶつ他県たけん方々かた/″\が、故郷くに土産みやげつてつたものと見えまする。
おきなはりきみました。ひめも、年寄としよつた方々かた/″\老先おいさき見屆みとゞけずにわかれるのかとおもへば、おいとかかなしみとかのないあのくにかへるのも、一向いつこううれしくないといつてまたなげきます。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
まろも先達せんだち方々かた/″\から、そなたはまるで女子おなごのようだと、たび/\からかわれた覚えがある。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
十一ぐわつの二十八にち旦那だんなさまお誕生日たんぜうびなりければ、年毎としごと友達ともだち方々かた/″\まねまいらせて、周旋しうせんはそんじよしやうつくしきをりぬき、珍味ちんみ佳肴かこううちとけの大愉快おほゆくわいつくさせたまへば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此等これらあとから皇子わうじえました、丁度ちやうどにんらせられて、ちひさな可愛かあい方々かた/″\いとたのしげに、つてお二人ふたかたづゝんでおでになりました、いづれもみん心臟ハートかざりたてられてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
……方々かた/″\、ようこそせられた……(樂人を顧みて)さゝ、樂人共がくじんども、はじめい。……(一同に對ひ)ひらいた/\! つゝとひらいて、さゝ、舞踏をどったり、娘達むすめたち
本來ほんらいならせきで、工學士こうがくしはなした或種あるしゆ講述かうじゆつを、こゝに筆記ひつきでもしたはうが、まるゝ方々かた/″\利益りえきなのであらうけれども、それは殊更ことさら御海容ごかいようねがふとしてく。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これの時のおかゝりの方々かた/″\のお詰所つめしよと見えまして、此所こゝ御拝ぎよはいがあるといふことをうけたまはりました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
都のことは定めし方々かた/″\も御存知でしょうが、わたしはもと、尊氏将軍のおん時に、糟屋の四郎左衛門と申して近侍に召し使われていまして、十三の年から御所へ参り、礼佛礼社らいぶつらいしゃ
三人法師 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
れでもわたしそのやうな悋氣沙汰りんきさたまうすのでは御座ござりませぬ、今日けふ會席くわいせきにぎやかに、種々いろ/\方々かた/″\御出おいでなかれとて世間せけんきこえぬもく、このやうのお人達ひとたちみな貴郎あなたさまの御友達おともだちかとおもひますれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やあ、方々かた/″\かうべあるとかうべなきといづれがきや。とき賈雍かよう從卒じうそつ、おい/\といてまをしていはく、かしらあるこそさふらへ。ふにしたがうて、將軍しやうぐんしかばねいてうまよりつ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あれに見えるあの松の下にお埋め申してあるのですが、おさない方々かた/″\は毎日お二人して泣く/\荼毘所だびしょへお参りになります、きょうもお供をいたしましょうと申しましたら、いや
三人法師 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さもければ那樣そんなことをこはがると理窟りくつがないて。一體いつたいまへさんにかぎらず、乘合のりあひ方々かた/″\またうぢや、初手しよてからほど生命いのち危險けんのんだとおもツたら、ふねなんぞにらぬがいて。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
嵐気らんきしたゝる、といふくせに、なに心細こゝろぼそい、と都会とくわい極暑ごくしよなやむだ方々かた/″\からは、その不足ふそくらしいのをおしかりになるであらうが、行向ゆきむかふ、正面しやうめん次第しだい立累たちかさなやまいろ真暗まつくらなのである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
方々かた/″\様子やうすみなほゞわかつた、いづれも、それ/″\お役者やくしやである。が、白足袋しろたびだつたり、浴衣ゆたかでしよたれたり、かひくちよこつちよだつたり、口上こうじやう述損のべそこなつたり……一たいそれはなにものだい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
多日たじつやまひしようして引籠ひきこもり、人知ひとしれず諸家しよか立入たちいり、内端うちわ樣子やうすうかゞるに、御勝手ごかつてむなしく御手許おてもと不如意ふによいなるにもかゝはらず、御家中ごかちう面々めん/\けて老職らうしよく方々かた/″\はいづれも存外ぞんぐわい有福いうふくにて
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもつてお請申うけまをせば、列座れつざ方々かた/″\滿足々々まんぞく/\とのたまふこゑずらりと行渡ゆきわたる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二百十日にひやくとをかもおなじこと、日記につきしる方々かた/″\は、一寸ちよつとづけを御覽ごらんねがふ、あめはれも、毎年まいねんそんなにをかへないであらうとおもふ。げん今年ことし、この四月しぐわつは、九日こゝぬか十日とをか二日ふつかつゞけて大風おほかぜであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
次手ついでに、御挨拶ごあいさつまをしたい。の三本木ぼんぎ有志いうし方々かた/″\から、こゝで一ぱくして晩餐ばんと一しよに、一せき講話かうわを、とあつたのを、ひらにおわびをしたのは、……かるがゆゑにはかまがなかつたためではない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ついては、それあだか黄道吉辰くわうだうきつしんなれば、そろつて方々かた/″\婿君むこぎみにおむかまをすとふ。あせつめたくしてひとりづゝゆめさむ。くるをちて、相見あひみくちはするに、三人さんにんおなじうしていさゝかことなることなし。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さつしあれ、知己ちき方々かた/″\。——わたし下駄げたひきずつて横飛よことびに逃出にげだした。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)