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其中
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そのなか
ふりがな文庫
“
其中
(
そのなか
)” の例文
貝層
(
かひそう
)
は
極
(
きは
)
めて
淺
(
あさ
)
いが、
其下
(
そのした
)
に
燒土
(
やけつち
)
の
層
(
そう
)
が
有
(
あ
)
つて、
其中
(
そのなか
)
に
少
(
すくな
)
からず
破片
(
はへん
)
がある。
幻翁
(
げんおう
)
の
言
(
げん
)
に
由
(
よ
)
ると、
香爐形
(
こうろがた
)
の
出
(
で
)
た
層
(
さう
)
と
同一
(
どういつ
)
だといふ。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
子守
(
こもり
)
がまた
澤山
(
たくさん
)
寄
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
其中
(
そのなか
)
に
年嵩
(
としかさ
)
な、
上品
(
じやうひん
)
なのがお
守
(
もり
)
をして
六
(
むつ
)
つばかりの
女
(
むすめ
)
の
兒
(
こ
)
が
着附
(
きつけ
)
萬端
(
ばんたん
)
姫樣
(
ひいさま
)
といはれる
格
(
かく
)
で
一人
(
ひとり
)
居
(
ゐ
)
た。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
往来は
暗
(
くら
)
くなる迄込み合つてゐる。
其中
(
そのなか
)
で木戸番が出来る丈大きな声を出す。「人間から出る声ぢやない。菊人形から
出
(
で
)
る声だ」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
又
其中
(
そのなか
)
の一人は同じ村外れの一軒の
廃
(
あば
)
ら
屋
(
や
)
から
金色
(
きんいろ
)
の光りが輝き
出
(
いで
)
て
居
(
ゐ
)
るのを見て不思議に思つて
覗
(
うかが
)
つて見ますと
何様
(
どう
)
でせう
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
云
(
い
)
ひ
終
(
をは
)
るや
愛
(
あい
)
ちやんは、一
本
(
ぽん
)
の
木
(
き
)
に
戸
(
と
)
があつて、
其中
(
そのなか
)
へ
眞直
(
まつすぐ
)
に
這入
(
はい
)
れるのに
氣
(
き
)
がつきました。
愛
(
あい
)
ちやんは『これは
奇妙
(
きめう
)
だ!』と
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
あツと驚いて再び蓋をすると、
其中
(
そのなか
)
で
物馴
(
ものな
)
れた一人が「えてものだ、鉄砲を撃て。」と云ふ。一同
直
(
すぐ
)
に鉄砲を
把
(
と
)
つて、
何処
(
どこ
)
を
的
(
あて
)
とも
無
(
な
)
しに二三
発
(
ぱつ
)
。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
英
(
エイ
)
、
佛
(
フツ
)
、
獨
(
ドク
)
、
露
(
ロ
)
、
白
(
ハク
)
、
伊等
(
イとう
)
各國
(
かくこく
)
の
上等
(
じやうとう
)
船客
(
せんきやく
)
は
何
(
いづ
)
れも
美々
(
びゞ
)
しき
服裝
(
ふくさう
)
して
着席
(
ちやくせき
)
せる
其中
(
そのなか
)
に
交
(
まじ
)
つて、
美
(
うる
)
はしき
春枝夫人
(
はるえふじん
)
と
可憐
(
かれん
)
の
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
との
姿
(
すがた
)
も
見
(
み
)
えた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
尾張町へ来ると客は
殆
(
ほと
)
んど入れ
交
(
かわ
)
った。が、乗って来る客の半分は依然買物に来た婦人達であった。
其中
(
そのなか
)
に彼は先刻資生堂で卓を同じくした婦人を
見付
(
みつけ
)
出した。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
廣庭
(
ひろには
)
に
向
(
むい
)
た
釜
(
かま
)
の
口
(
くち
)
から
青
(
あを
)
い
煙
(
けむ
)
が
細々
(
ほそ/″\
)
と
立騰
(
たちのぼ
)
つて
軒先
(
のきさき
)
を
掠
(
かす
)
め、ボツ/\
雨
(
あめ
)
が
其中
(
そのなか
)
を
透
(
すか
)
して
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
る。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
月より流るゝ
風
(
かぜ
)
梢
(
こずえ
)
をわたる
毎
(
ごと
)
に、一庭の
月光
(
げつくわう
)
と
樹影
(
じゆえい
)
と
相抱
(
あひいだ
)
いて
跳
(
おど
)
り、
白
(
はく
)
揺
(
ゆ
)
らぎ
黒
(
こく
)
さゞめきて、
其中
(
そのなか
)
を
歩
(
ほ
)
するの
身
(
み
)
は、
是
(
こ
)
れ
無熱池
(
むねつち
)
の
藻
(
も
)
の
間
(
ま
)
に
遊
(
あそ
)
ぶの
魚
(
うを
)
にあらざるかを
疑
(
うたが
)
ふ。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ぐつと襟元を
掴
(
つか
)
んで引寄せられるやうな強い魅力を感じると共に、
果
(
はて
)
は我れを忘れて
其中
(
そのなか
)
へ突き
入
(
い
)
つて共に
顛倒
(
てんだう
)
し共に混迷したいやうな気持になるのは
何
(
ど
)
う云ふ
訣
(
わけ
)
であらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
これを
熟視
(
じゆくし
)
されると、
兩對岸
(
りようたいがん
)
が
相
(
あひ
)
接觸
(
せつしよく
)
してゐた
模樣
(
もよう
)
が
想像
(
そう/″\
)
せられるであらうが、さう
接續
(
せつぞく
)
してゐたと
考
(
かんが
)
へてのみ
説明
(
せつめい
)
し
得
(
え
)
られる
地理學上
(
ちりがくじよう
)
の
事項
(
じこう
)
が、
又
(
また
)
其中
(
そのなか
)
に
含
(
ふく
)
まれてゐるのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
其中
(
そのなか
)
に
別
(
わ
)
けて
苦勞性
(
くろうせう
)
のあるお
人
(
ひと
)
しのびやかに
跡
(
あと
)
をやつけ
給
(
たま
)
ひし、
探
(
さ
)
ぐりに
探
(
さ
)
ぐれば
扨
(
さて
)
も
燈臺
(
とうだい
)
のもと
暗
(
く
)
らさよ、
本郷
(
ほんごう
)
の
森川町
(
もりかはちよう
)
とかや
神社
(
じんじや
)
のうしろ
新坂通
(
しんざかどほ
)
りに
幾搆
(
いくかま
)
への
生垣
(
いけがき
)
ゆひ
廻
(
まわ
)
せし
中
(
なか
)
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
稍
(
や
)
々大なる
石片
(
せきへん
)
を
採
(
と
)
り、打ち壞き小破片とし、
其中
(
そのなか
)
より目的に
適
(
かな
)
ひたるものを
撰
(
えら
)
み
出
(
だ
)
す迄は右に記せし所に
同樣
(
どうやう
)
なるべきも、夫より
後
(
のち
)
は或は
左手
(
さしゆ
)
に獸皮の小片を持ち
皮越
(
かはこ
)
しに
石片
(
せきへん
)
を
撮
(
つま
)
み
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
去年から今年にかけて、故国の動乱を避けて、
漂泊
(
さすらい
)
の旅に出た露西亜の音楽家達が、幾人も幾人も東京の楽壇を
賑
(
にぎ
)
わした。
其中
(
そのなか
)
には、ピアノやセロやヴァイオリンの世界的名手さえ交っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
やがて行列が
来
(
き
)
た。何でも長いものだつた。
寒
(
さむ
)
い
眼
(
め
)
の前を静かな馬車や
俥
(
くるま
)
が何台となく通る。
其中
(
そのなか
)
に今話した
小
(
ちい
)
さな娘がゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『さうか、だけど
屹度
(
きつと
)
、
屑
(
くづ
)
が
同
(
おな
)
じ
位
(
ぐらゐ
)
入
(
はい
)
つて
居
(
ゐ
)
たに
違
(
ちが
)
ひない』
帽子屋
(
ばうしや
)
は
不平
(
ふへい
)
たら/″\で、『
麺麭
(
パン
)
庖丁
(
ナイフ
)
で
其中
(
そのなか
)
へ
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
んだナ』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
今度
(
こんど
)
此
(
この
)
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
航海
(
かうかい
)
には
乘客
(
じやうきやく
)
の
數
(
かず
)
は五百
人
(
にん
)
に
近
(
ちか
)
く
船員
(
せんゐん
)
を
合
(
あは
)
せると七百
人
(
にん
)
以上
(
いじやう
)
の
乘組
(
のりくみ
)
であるが、
其中
(
そのなか
)
で
日本人
(
につぽんじん
)
といふのは
夫人
(
ふじん
)
と
少年
(
せうねん
)
と
私
(
わたくし
)
との三
名
(
めい
)
のみ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
追手
(
おって
)
の人々も
同
(
おなじ
)
く
村境
(
むらざかい
)
まで走って来たが、
折柄
(
おりから
)
の烈しい
吹雪
(
ふぶき
)
に
隔
(
へだ
)
てられて、
互
(
たがい
)
に離れ離れになって
了
(
しま
)
った。
其中
(
そのなか
)
でも忠一は勇気を
鼓
(
こ
)
して
直驀地
(
まっしぐら
)
に駈けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
縁側
(
えんがは
)
に
行
(
ゆ
)
きて
戸
(
と
)
を
開
(
ひら
)
き、「いざ
御覽
(
ごらん
)
遊
(
あそ
)
ばさるべし」と
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
ふ。「
一寸
(
ちよいと
)
其中
(
そのなか
)
に
入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
よ」と
口輕
(
くちがる
)
に
申
(
まを
)
されければ、
彼
(
か
)
の
男
(
をとこ
)
ハツといひて
何心
(
なにごころ
)
なく
籠
(
かご
)
に
入
(
はひ
)
る。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕
(
ぼく
)
は
溪流
(
けいりう
)
に
沿
(
そ
)
ふて
此
(
この
)
淋
(
さび
)
しい
往來
(
わうらい
)
を
當
(
あて
)
もなく
歩
(
あ
)
るいた。
流
(
ながれ
)
を
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
くも二三
丁
(
ちやう
)
、
上
(
のぼ
)
れば一
丁
(
ちやう
)
、
其中
(
そのなか
)
にペンキで塗つた
橋
(
はし
)
がある、
其間
(
そのあひだ
)
を、
如何
(
どん
)
な
心地
(
こゝち
)
で
僕
(
ぼく
)
はぶらついたらう。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其中
(
そのなか
)
にバルザツクの旧宅を保管して居ると云ふ老人は内藤
鳴雪
(
めいせつ
)
翁そつくりの顔をして居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
四
圍
(
ゐ
)
を
緑葉
(
りよくえふ
)
の
林
(
はやし
)
でめぐらして
居
(
ゐ
)
る、
其中
(
そのなか
)
の
畑地
(
はたち
)
。
他
(
ほか
)
には
人一個
(
ひとひとり
)
見
(
み
)
えぬ。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
してすつかり
其中
(
そのなか
)
に集めてしまひました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
其中
(
そのなか
)
を
潜
(
くゞ
)
つたが
仰
(
あふ
)
ぐと
梢
(
こずえ
)
に
出
(
で
)
て
白
(
しろ
)
い、
月
(
つき
)
の
形
(
かたち
)
は
此処
(
ここ
)
でも
別
(
べつ
)
にかはりは
無
(
な
)
かつた、
浮世
(
うきよ
)
は
何処
(
どこ
)
にあるか
十三夜
(
じふさんや
)
で。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
糸の
音
(
ね
)
が止むと、又もや
話声
(
はなしごえ
)
や笑い声が聞えた。
其中
(
そのなか
)
にお葉の声も聞えるかと、重太郎は
猶
(
なお
)
も耳を傾けていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼
(
かれ
)
は
室
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
に
疊
(
たゝ
)
んであつた
薄汚
(
うすぎた
)
ない
蒲團
(
ふとん
)
を
敷
(
し
)
いて、
其中
(
そのなか
)
に
潛
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んだ。すると
先刻
(
さつき
)
からの
疲
(
つか
)
れで、
何
(
なに
)
を
考
(
かんが
)
へる
暇
(
ひま
)
もないうちに、
深
(
ふか
)
い
眠
(
ねむ
)
りに
落
(
お
)
ちて
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
恰度
(
ちやうど
)
立去
(
たちさ
)
るべき
時
(
とき
)
が
來
(
き
)
ました、
池
(
いけ
)
にはそろ/\
其中
(
そのなか
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ
澤山
(
たくさん
)
の
鳥
(
とり
)
や
動物
(
どうぶつ
)
が
群集
(
ぐんじゆう
)
して
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
此二
(
このふたつ
)
の
悲劇
(
ひげき
)
が
終
(
をわ
)
つて
彼是
(
かれこれ
)
する
中
(
うち
)
、
大磯
(
おほいそ
)
へ
着
(
つ
)
くと
女中
(
ぢよちゆう
)
が三
人
(
にん
)
ばかり
老人夫婦
(
としよりふうふ
)
を
出迎
(
でむかへ
)
に
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
て、
其
(
その
)
一人
(
ひとり
)
が
窓
(
まど
)
から
渡
(
わた
)
した
包
(
つゝみ
)
を
大事
(
だいじ
)
さうに
受取
(
うけと
)
つた。
其中
(
そのなか
)
には
空虚
(
からつぽ
)
の
折箱
(
をり
)
も三ツ
入
(
はひ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
彌次連
(
やじれん
)
の
其中
(
そのなか
)
から
第
(
だい
)
一に
私
(
わたくし
)
に
飛掛
(
とびかゝ
)
つて
來
(
き
)
た一
人
(
にん
)
は、
獨逸
(
ドイツ
)
の
法學士
(
はふがくし
)
とかいふ
男
(
をとこ
)
、
隨分
(
ずゐぶん
)
腕力
(
わんりよく
)
の
逞
(
たく
)
ましい
人間
(
にんげん
)
であつたが、
此方
(
こなた
)
は
多少
(
たせう
)
柔道
(
じうだう
)
の
心得
(
こゝろえ
)
があるので、
拂腰
(
こしはらひ
)
見事
(
みごと
)
に
極
(
きま
)
つて
私
(
わたくし
)
の
勝
(
かち
)
、つゞいて
來
(
く
)
る
奴
(
やつ
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其中
(
そのなか
)
で、
末吉
(
すゑよし
)
の
貝塚
(
かひづか
)
は、
稍
(
やゝ
)
望
(
のぞ
)
みがある。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
其中
(
そのなか
)
でも、
彼女
(
かれ
)
は蛇の
申子
(
もうしご
)
で、背中に三つの
鱗
(
うろこ
)
が有るということが、一般の人々に最も多く信ぜられていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さうして
兩手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
合
(
あ
)
はして、
其中
(
そのなか
)
へ
黒
(
くろ
)
い
頭
(
あたま
)
を
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
んでゐるから、
肱
(
ひぢ
)
に
挾
(
はさ
)
まれて
顏
(
かほ
)
がちつとも
見
(
み
)
えない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幼君
(
えうくん
)
きつとならせ
給
(
たま
)
ひて、「
決
(
けつ
)
して
出
(
い
)
づることあひならず
一生
(
いつしやう
)
其中
(
そのなか
)
にて
暮
(
くら
)
すべし」と
面
(
おもて
)
を
正
(
たゞ
)
してのたまふ
氣色
(
けしき
)
、
戲
(
たはむれ
)
とも
思
(
おも
)
はれねば、
何某
(
なにがし
)
餘
(
あまり
)
のことに
言
(
ことば
)
も
出
(
い
)
でず、
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
さへ
蒼
(
あを
)
ざめたり。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其中
(
そのなか
)
には
宮籠
(
みやごもり
)
といふ慣例もあつた。三四郎の
家
(
うち
)
では、年に
一度
(
いちど
)
づゝ
村
(
むら
)
全体へ十円寄附する事になつてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯
(
か
)
う
見舞
(
みまひ
)
の
盛花
(
もりばな
)
を、
貴方
(
あなた
)
何
(
なん
)
だと
思
(
おも
)
ひます——
故
(
わざ
)
とね——
青山
(
あをやま
)
の
墓地
(
ぼち
)
へ
行
(
い
)
つて、
方々
(
はう/″\
)
の
墓
(
はか
)
に
手向
(
たむ
)
けてあります、
其中
(
そのなか
)
から、
成
(
な
)
りたけ
枯
(
か
)
れて
居
(
ゐ
)
ないのを
選
(
よ
)
つて、
拵
(
こしら
)
へて
來
(
き
)
たんですもの、……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
宗助
(
そうすけ
)
は
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
懷手
(
ふところで
)
をして
傍
(
そば
)
に
立
(
た
)
つてゐた。さうして
床
(
とこ
)
が
敷
(
し
)
けるや
否
(
いな
)
や、そこ/\に
着物
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
てゝ、すぐ
其中
(
そのなか
)
に
潛
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んだ。
御米
(
およね
)
は
枕元
(
まくらもと
)
を
離
(
はな
)
れ
得
(
え
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幼君
(
えうくん
)
「さて
何
(
なん
)
にても
食
(
しよく
)
を
好
(
この
)
むべし、いふがまゝに
與
(
あた
)
ふべきぞ、
退屈
(
たいくつ
)
ならば
其中
(
そのなか
)
にて
謠
(
うたひ
)
も
舞
(
まひ
)
も
勝手
(
かつて
)
たるべし。たゞ
兩便
(
りやうべん
)
の
用
(
よう
)
を
達
(
た
)
す
外
(
ほか
)
は
外
(
そと
)
に
出
(
い
)
づることを
許
(
ゆる
)
さず」と
言棄
(
いひす
)
てて
座
(
ざ
)
を
立
(
た
)
ち
給
(
たま
)
ひぬ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、代助が
益
(
ます/\
)
頼
(
たの
)
むので、では云つて
上
(
あ
)
げませうと前置をして、代助の
何
(
ど
)
うかしてゐる例を挙げ出した。梅子は勿論わざと
真面目
(
まじめ
)
を装つてゐるものと代助を解釈した。
其中
(
そのなか
)
に
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
食卓
(
しよくたく
)
は、
人数
(
にんず
)
が
人数
(
にんず
)
だけに、左程大きくはなかつた。部屋の
広
(
ひろ
)
さに比例して、
寧
(
むし
)
ろ
小
(
ち
)
さ
過
(
すぎ
)
る位であつたが、
純白
(
じゆんぱく
)
な卓布を、取り集めた花で
綴
(
つゞ
)
つて、
其中
(
そのなか
)
に
肉刀
(
ナイフ
)
と
肉匙
(
フオーク
)
の
色
(
いろ
)
が
冴
(
さ
)
えて
輝
(
かゞや
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は二三の唐物
屋
(
や
)
を
冷
(
ひや
)
かして、
入用
(
いりやう
)
の
品
(
しな
)
を
調
(
とゝの
)
へた。
其中
(
そのなか
)
に、比較的
高
(
たか
)
い香水があつた。資生堂で
練歯磨
(
ねりはみがき
)
を買はうとしたら、
若
(
わか
)
いものが、
欲
(
ほ
)
しくないと云ふのに自製のものを
出
(
だ
)
して、
頻
(
しきり
)
に
勧
(
すゝ
)
めた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“其中”で始まる語句
其中央
其中子
其中間
其中央部