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直驀地
重太郎は
既う耳にも入れなかった。これから
直にお葉の行方を追う
意であろう、彼は
旧来し
方へ
直驀地に駈けて行った。
が、何分にも
此方は長い刃物を
振翳していたので、
対手も
流石に
気怯れがしたと見えて、抱えていた赤児を
其処へ
投り
出して、
直驀地に逃げて
了った。
追手の人々も
同く
村境まで走って来たが、
折柄の烈しい
吹雪に
隔てられて、
互に離れ離れになって
了った。
其中でも忠一は勇気を
鼓して
直驀地に駈けた。