直驀地まっしぐら)” の例文
重太郎はう耳にも入れなかった。これからすぐにお葉の行方を追うつもりであろう、彼はもと来しかた直驀地まっしぐらに駈けて行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
が、何分にも此方こっちは長い刃物を振翳ふりかざしていたので、対手あいて流石さすが気怯きおくれがしたと見えて、抱えていた赤児を其処そこほうして、直驀地まっしぐらに逃げてしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
追手おっての人々もおなじ村境むらざかいまで走って来たが、折柄おりからの烈しい吹雪ふぶきへだてられて、たがいに離れ離れになってしまった。其中そのなかでも忠一は勇気をして直驀地まっしぐらに駈けた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
広い桑畑には時々小さい旋風をまき起して、黄竜のような砂の渦が汽車を目がけて直驀地まっしぐらに襲って来る。
春の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)