“こと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コト
語句割合
34.8%
18.9%
13.8%
11.1%
4.9%
3.3%
糊塗1.9%
事件1.7%
1.6%
1.0%
0.7%
0.4%
事実0.3%
0.3%
事情0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
事故0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
狐兎0.2%
0.1%
0.1%
一言0.1%
事業0.1%
0.1%
0.1%
大変0.1%
言葉0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
古都0.1%
一事0.1%
一件0.1%
万事0.1%
事實0.1%
事理0.1%
些事0.1%
仔細0.1%
0.1%
労苦0.1%
動作0.1%
問題0.1%
0.1%
子取0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
現象0.1%
0.1%
理屈0.1%
理由0.1%
0.1%
異事0.1%
真相0.1%
0.1%
経験0.1%
0.1%
0.1%
行動0.1%
行為0.1%
記事0.1%
診断0.1%
話柄0.1%
0.1%
議題0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何も下品に育つたからとて良人の持てぬ事はあるまい、ことにお前のやうな別品べつぴんさむではあり、一そくとびにたま輿こしにも乗れさうなもの
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
の一のかはをがれたために可惜をしや、おはるむすめ繼母まゝはゝのために手酷てひど折檻せつかんけて、身投みなげをしたが、それのちこと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
毎朝まいあさ、このまどのところへ、べにすずめがきます。あれにことづけしてもらえば、おかあさんは、だれかきっとわたしむかえによこしてくれます。
春近き日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
八重山宮古の島々はひとり歌謡のきわだっているばかりでなく、極南界にあってその言語音韻も純古にして北の島嶼とうしょとは趣をことにする。
「あのことの主さ。君が大いに見たがった娘さ。せっかく見せてやろうと思ったのに、下らない茶碗なんかいじくっているもんだから」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たゞさへ神仙しんせん遊樂ゆうらくきやうこと私共わたくしどもは、極端きよくたんなる苦境くきやうから、この極端きよくたんなる樂境らくきやう上陸じやうりくしたこととて、はじめはみづかゆめでないかとうたがはるゝばかり。
それもここ二、三年は何とか日和見ひよりみ的態度で糊塗ことして来たが、いまや急なる風雲はもう一日もそれをゆるさなくなって来たのであった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源吉は何か事件ことがあつても、じつとしてゐた。他の者なら、それについて何か云つたり、云ひあつたりする。源吉にはそれがなかつた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
「死にがいも、生れがいもある時の潮が眼に見えて来た。おことらも、生命を惜しめ。ならば散り甲斐のある場所で枕をならべよう」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あ、そうですか、先生が尺八で、あなた様がおことで、わたくしが三味線で……それは至極よろしうございます、お相手を致しましょう。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こまるなあ。おいことわっちまえよ。奮起す。おーい、火山だなんてまるでべつだよ。ちゃんと立派りっぱなビルデングになってるんだぜ。
見そなはす如きわらわ容体ありさま、とても在命ながらえる身にしあらねば、臨終の際にただ一こと阿姐あねごに頼み置きたきことあり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
信吾は心に、ういふ連想からか、かの「恋ざめ」にかかれてある事実こと——いなあれを書く時の作者の心持、否、あれを読んだ時の信吾自身の心持を思出してゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
たいてのことなり候や、二町目へすてしめてもよかろふのふ。
事情ことわけて叱りつけ、それでもきき入れないとなりゃ、せめてわたくしの手にかけてねむらせてやりたいと思うんでございます。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
またそれに続いて、レヴェズが僕を揶揄やゆするのに、あのが裏の蔬菜園から放たれたのだと云って、その中に蕪菁リューベ(Rübe)と一ことを、しきりと躍動させるのだったよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
引寄ひきよせれば如何いかに市之丞が持來りし廿五兩の金子きんすつゝみまゝ火入ひいれわきに有ければ文右衞門は女房お政をび此金子は何如いかゞいたしたるやあれほどことわりたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
遮那しゃなよ、おことも、はや十六とはなったぞよ。ことしは髪をおろさねばなるまい。出家は嫌いと云いおるそうじゃが、生れてより持って出た宿命、生い立ち、今の時勢など、もうわきまえがついたであろう。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに事故ことありと聞きつけて、通行の人集ひとだかりをはばかって、さりげなく知合が立話でもするごとく装おうとしたらしい。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「わたくしはイギリス人の案内役もときどき頼まれますが、これはことわっております」
罌粟の中 (新字新仮名) / 横光利一(著)
心の底には他の無識無謀を冷笑すると共に、ことさらにつとめてその言わざる所を言い、その好まざる所を行い、一切の言行を世論の反対に差向さしむけて意気劇烈、些少さしょうす所なく
勿體もつたいないことであつたれどらぬことなればゆるしてくだされ、まあ何時いつから此樣こんことして、よくそのよはさわりもしませぬか、伯母おばさんが田舍いなか引取ひきとられておいでなされて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
口約束だけで間に合わせて行く。しかも然諾ぜんだくを重んずる。子供の頃には羊にる。弓をひいて鳥を射る。青年になると馬に騎って、弓をひいて狐兎ことを射る。食い物といえば肉ばかりだ。
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
蒲原かんばら郡の新潟にひがたは北海第一のみなとなれば福地たることろんまたず。此余このよ豊境はうきやうしばらくりやくす。此地皆十月より雪る、そのふかきあさきとは地勢ちせいによる。なほすゑろんぜり。
ピストルのたまは前額に深く這入っていたがまだこと切れてはいなかった。余はその知覚を失いながら半身を動かしつつある古白君をただあきれて眺めた。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
むかし一言ことせりふ、一目のおもいれもて、萬人に幸福を與へしおん身なるを。アヌンチヤタ。幸福は妙齡と美貌とに伴ふものにて、ざえと情との如きは、その顧みるところにあらざるを奈何せん。われ。
「そりゃもう、皆さんの成さる事業ことですから、私が何を言おうでは有りませんが……何時まで待ったらけんが見えるというものでしょう。どうも吾夫やどの話ばかりでは私に安心が出来なくて……」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
我が歌はつたなかれどもわれの歌ことびとならぬこのわれの歌
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
「主税こと解きましてござります」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大変ことだぞ、もしやイワンが『いいえ、旦那様、にきびどころか、肝腎の鼻がありゃしませんや!』
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
そやろ? お前がいやがる娘を無理にそうしたんやったら、そらわいの言うた言葉ことに気がさわらんならんやろ。しかし、お前はかえってあの娘が芸子になる言うたのを反対打ったぐらいやないか。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「いえ、花井さんを呼んでことづけて貰いました。」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またその天の尾羽張の神は、天の安の河の水をさかさまきあげて、道を塞き居れば、あだし神はえ行かじ。かれことに天の迦久かくの神を遣はして問ふべし
上のくだり、五柱の神はことあまかみ
『……そのことか』と、いと古めかしい過去を思い出されるように——『おことらは、忠盛の風流を、今ごろ知って、取りざたするか』
ことらが、山科道理やましなどうりをいいたてては、おかしいぞ。そうことあららげるな、余りには
オリオンという、はじめてその名をしったぼしを見あげると、みよこのかおが、ぽうーっと、うかんできた。五百光年こうねん、アテネ・ローマの古都こと——。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
ローマの古都ことに 月たか
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
たゞわけもなく考想かんがへてうちにふとおもうかんだ一事ことがある。
上方者は自分の物だと言って他人の物を引入れましたかどは重罪でございますけれども格別のお慈悲を以て所払いを仰せ付けられまして其の一件ことは相済みましたが、深見新左衞門の奥方は
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
旧幕時代の万事ことを知るものが、その身分々々によって肝煎きもいりをした。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私は、彼女が大層暖かな晴れた午後などに下りて來て、テムプル先生に附き添はれてお庭に出るやうな事が、一二度あつたといふ事實ことからして、この考へを確信してゐた。
かほどまでに事理ことを別けて頼んでおるではないか——こういう用がある以上、いま直ぐ貴殿の繩にかかるという訳には参らぬが、その代り、何年、いや、何十年かの後、この十七人の十七人目
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おなじ時代を歩んでいるのではあるが、まあ、なんと、今日いまから見れば、そんな些事ことを——といわれるほどの、何もかもの試練にさらされて来た人たちだろう——
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「少し尋ねたい仔細ことがあってな」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに不義理の不人情の言いなはるが、こんなことは世間に幾らもあります。家風に合わンと離縁じえんする、子供がなかと離縁じえんする、悪い病気があっと離縁じえんする。これが世間の法、なあ武どん。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
お弟子もいかいこと居りますが、お弟子と同じように働き、立木たちきりまして薪などにいたす事は労苦ことともしませんと云う、実に妙な尼でございます、重助は此れへ毎日/\参りまして
源は反返そりかえって笑いました。人間は時々心と正反対うらはら動作ことをやる——源の笑いが丁度それです。話好な書記は乗気になって
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それから私はフェアファックス夫人へ手紙を送つて、その問題ことに關する知らせを戴けるかと願つてやつた。私はこの處置がきつと私の目的を達してくれると思つてゐた。
伝えるところによればこれは陽列天の作で、漢王即位の時伶人この曲をことし、一鼓を打って天下の和平を慶ぐという目出度い曲なのだ。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
胸中ことに察するに余りあるが、その燕路は今夏不遇裡ふぐうりに、かの歌笑と相前後して没し、かしくは郷里の野州やしうへかへつて以来、消息を聞かず、おもひでは共に寂しい。
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
子曰く、賜や、なんじわれを以て多く学びて之を識る者と為すかと。ことえて曰く、然り、非なるかと、曰く、非なり。われ一以て之を貫くと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
着物を二枚ことづかつて来た事なぞは、口止めをされてゐるのでしばらく黙つてゐたが、何だかそれではおかみさんの前を偽つてゐるやうで変であつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
同じく大刀根岳よりはつするものたり、数間ことかなら瀑布ばくふあり、而して両岸をかへりみれば一面の岩壁屏風びやうぶの如くなるを以て如何なるあやうき瀑布といへども之をぐるのほかみちなきなり、其危険きけん云ふべからず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
うしたときにはまたみょう不思議ふしぎ現象ことかさなるものとえまして、わたくし姿すがたがそのみぎ漁師りょうしつま夢枕ゆめまくらったのだそうでございます。
と清之介君はことけて頼んだ。
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ナ——ンだ、そうか、こんなことか! ……こんな見易い理屈ことだったのか! ……よし、解った、これで破った、陣十郎の『逆ノ車』俺においては見事に破った!」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「女子供と思って理由ことをわけていうのに、わっぱめ、つけ上がって何をいうか」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
澄み透るような静かな陽射し、このさまをみては武陵桃源という文字もありそうなことだと思うし、白髪の仙人がことをもった童児を従えている図も絵空ごととは思えない風景である。
中支遊記 (新字新仮名) / 上村松園(著)
きませ、措きませい。無駄な事よ、殿、地獄の火でも呼ばぬ事には、明るくしてかて、殿たちの目に、何が見えよう。……見えたら異事ことじゃぞよ、異事じゃぞよ、の。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それで漸々ようよう真相ことが解かりましたわい。実は私も見付の在所で、お下りのお客様からそのお噂を承りましていささか奇妙に存じておりましたところで……と申しますのはほかでも御座いませぬ。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
朱絃舎浜子の爪音つまおとが、ちょっと、今の世に、類のないことの妙音であること、それは、いにしえから今にいたるまでも、数少ないものであろうと思っていたし、性格やその他
その後、いささか礼節を知ったのか、まだ、一人で一万円の肉を食った経験ことはない。
牛鍋からすき焼へ (新字新仮名) / 古川緑波(著)
と再び呼んでも、なほ返事を為ようとも為ない。これは不思議だと怪んで、急いで傍に行つて見ると、体がぐたりとして水涕みづつぱなを出したまゝ、早既にことが切れて居る。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
わたくしをば母親はゝおやおもざしるにかんたねとてせつけもいたされず、朝夕あさゆふさびしうてくらしましたるを、うれしきことにていまわたくしわがまゝをもゆるたまひ、おもことなき今日此頃けふこのごろ、それは勿體もつたいないほどの有難ありがたさも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『モ少許すこし真摯まじめに考へて見ませう……若しの際、那処あそこに居たのが貴女でなくて別の人だつたらですね、僕は同じ行動ことるにしても、モツト違つた心持でつたに違ひない。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
コノール 聖僧どるいどよ、この世には、わしのした行為ことよりほかに、青年が殺されることもないのか? 尊い名が塵に堕ちることもないのか?
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
『新聞を?』と校長は不思議さうに丑松の顔を眺めて、『へえ、何か面白い記事ことでも有ますかね。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「詳しい診断ことはとにかく避病院へおいでになってからにしませう。」
コレラ (新字旧仮名) / 原民喜(著)
君がいわゆる実家さと話柄こととて、喋舌しゃべる杢若の目が光る。と、黒痘痕くろあばたまなこも輝き、天狗、般若、白狐の、六箇むつの眼玉もかッとなる。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
令史れいし堂前だうぜんまくなか潛伏せんぷくしてつ。二更にかういたりて、つまれいごとでむとして、フトこしもとうていはく、なにつてのあたりにいきたるひとあるや。これをくににては人臭ひとくさいぞとことなり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つい妙なぐあいに自分ばかりその油御用の議題ことに引っかかってなんどき経っても一つことを繰り返しているので、近藤相模守には、ああして聾者つんぼ真似まねをされるし、今また
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)