こと)” の例文
これは当地の中流以下の用うることばで字引にないような発音をするのみならず、前の言ばと後の言ばの句切りが分らないことほどさよう早く饒舌しゃべるのである。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
またそれに続いて、レヴェズが僕を揶揄やゆするのに、あのが裏の蔬菜園から放たれたのだと云って、その中に蕪菁リューベ(Rübe)と一ことを、しきりと躍動させるのだったよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一部の画家ゑかき仲間に天才人と言はれた青木繁が、また借金の名人で、どんな画家ゑかきでも出合頭であひがしらにこの男と打衝ぶつつかつて二ことこと話してゐると、慈善会の切符でも押し付けられたやうに
飛騨国猿神生贄を止むること第八に、猴神にせた生贄を供うれば、神怒りて作物もからず、人も病み郷も静かならず、因って生贄に供うべき人に何度ともなく物多く食わせ太らする習俗を載す。