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言
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こと
ふりがな文庫
“
言
(
こと
)” の例文
「それだからこの息子は
可愛
(
かわい
)
いよ」。片腹痛い
言
(
こと
)
まで云ッてやがて下女が持込む岡持の
蓋
(
ふた
)
を取ッて見るよりまた意地の汚い
言
(
こと
)
をいう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
毎朝
(
まいあさ
)
、この
窓
(
まど
)
のところへ、べにすずめがきます。あれに
言
(
こと
)
づけしてもらえば、お
母
(
かあ
)
さんは、だれかきっと
私
(
わたし
)
を
迎
(
むか
)
えによこしてくれます。
春近き日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
始は査官
言
(
こと
)
を尽して説き
諭
(
さと
)
しけれど、一向に聞入れねば、止むことを得ずして、他の査官を
傭
(
やと
)
ひ来りつ、遂に警察署へ送り入れぬ。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
だがあなたのように滅法に熱してしまって大声を出されては、私は一
言
(
こと
)
も口を出せませんよ。私の知りたいのはこういうことなんです。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
娘奴
(
めやつこ
)
は二
言
(
こと
)
と問ひかけなかつた。一晩のさすらひでやつれて居ても、服装から見てすぐ、どうした身分の人か位の判断はついたのである。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
『ふン……後の加勢が来るあいだ、世囈い言を聞いていたほうが、其っ
方
(
ち
)
に取っては、無難ではないか。——今度はお小夜に一
言
(
こと
)
云おう』
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は一と
言
(
こと
)
一と言に頬ずりをしてから、
漸
(
ようよ
)
うリリーを下に置いて、忘れていた窓の戸締まりをし、
座布団
(
ざぶとん
)
で寝床を
拵
(
こしら
)
えてやり
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
病人はその
後
(
のち
)
一
言
(
こと
)
もものを言わない。もう口の
周囲
(
まわり
)
に見えていた
微笑
(
ほほえ
)
みの影も消えた。今は
真面目
(
まじめ
)
な、陰気な顔をして
空
(
くう
)
を見詰めている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
なお、近くにある、但馬皇女の、「
言
(
こと
)
しげき里に住まずは今朝鳴きし雁にたぐひて行かましものを」(同・一五一五)という御歌がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
浜野知三郎さんの
言
(
こと
)
に拠るに、「北条子譲墓碣銘」は山陽の作つた最後の金石文であらうと云ふことである。霞亭の家は養子
退
(
たい
)
が襲いだ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
現世
(
げんせ
)
生活
(
せいかつ
)
にいくらか
未練
(
みれん
)
の
残
(
のこ
)
っている、つまらぬ
女性達
(
じょせいたち
)
の
繰
(
く
)
り
言
(
こと
)
をいつまで
申上
(
もうしあ
)
げて
見
(
み
)
たところで、そう
興味
(
きょうみ
)
もございますまいから……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私にしがみついて、懐へ顔をかくして、いやいやをしたもんだから、ついぞ荒い
言
(
こと
)
をいったこともない旦那が、何と思ったか血相を変えて
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すみやかに去れといふ。
真女子
(
まなご
)
涙を流して、まことにさこそおぼさんはことわりなれど、
二三三
妾
(
せふ
)
が
言
(
こと
)
をもしばし聞かせ給へ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
人なみ/\の心より、思へば
汝
(
なれ
)
はこの我を、憎きものとぞ
怨
(
うら
)
むらん、
吾
(
われ
)
も斯くこそ思ひしが、
法
(
のり
)
の庭にて
汝
(
なれ
)
にあひし、人の
言
(
こと
)
の葉きゝけるに
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
姫君は東の室に引き込んで横になっていたが、宰相の君が宮のお言葉を持ってそのほうへはいって行く時に源氏は
言
(
こと
)
づてた。
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
田代 いや、しかし、僕が、はじめてお前さんの家へ行つた時、劉君の
言
(
こと
)
づけだけを伝へて、それで満足すれば、なんのことはなかつたんだ。
昨今横浜異聞(一幕)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「これは歌の御本ね。『古今集』の序に、やまと歌は人の心を種として、よろづの
言
(
こと
)
の葉とぞなれりける、とあったもの。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
夫は僕の方で云う
言
(
こと
)
だ、君こそ心を失ッたのだろう、僕が発見した敵の灸所は今まで詮策した
中
(
うち
)
で第一等の手掛じゃ無いか
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
間さん、私想ふのですね、
究竟
(
つまり
)
かう云ふ女が貴方に腐れ付いてゐればこそ、どんなに申しても私の
言
(
こと
)
は取上げては下さらんので御座いませう。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それがすむまで、ただのひとっ
言
(
こと
)
でも、おまえの口からもれたら、せっかくのしごとがそっくりふいになってしまうのさ。
六羽の白鳥
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
四十歳
(
よそじ
)
にもあまりぬる人の色めきたるかた、おのずから忍びてあらんは
如何
(
いかが
)
はせん。
言
(
こと
)
に打ち出でて男女のこと、人の上を
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
成経が、それに堪えかねて、二
言
(
こと
)
三
言
(
こと
)
言葉を返すと、俊寛はすぐかっとなって、成経に
掴
(
つか
)
みかかろうとして、基康の手の者に、取りひしがれた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「云うぞ、ほんとのことを云うぞ」酔いつぶれている老人が、また(同じ
言
(
こと
)
を)どなり、こんどはふらふらと顔をあげた。
夜の蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「天皇を
佐
(
たす
)
けて天の下を定めたまふ。
毎
(
つね
)
に
侍
(
つかへ
)
執
(
まつり
)
たまふ際に於いて、
輒
(
すなは
)
ち
言
(
こと
)
政事に及びて、
毗
(
たす
)
け補ふ所多し」と記してある。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
田舎言葉
(
ゐなかことば
)
には
古言
(
こげん
)
のまゝをいひつたへてむかしをしのぶもあれど、
言
(
こと
)
の
清濁
(
せいだく
)
をとりちがへて物の名などのかはれるも多し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
而
(
さう
)
して無口な子が
時時
(
ときどき
)
片
言
(
こと
)
交りに一つより知らぬ讃美歌の「夕日は隠れて
路
(
みち
)
は遥けし。
我主
(
わがしゆ
)
よ、
今宵
(
こよい
)
も共にいまして、寂しき
此
(
この
)
身を
育
(
はぐく
)
み給へ。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
然れども
言
(
こと
)
もちて白す事は、それ
禮
(
ゐや
)
なしと思ひて、すなはちその妹の
禮物
(
ゐやじろ
)
五
として、押木の
玉縵
(
たまかづら
)
六
を持たしめて、獻りき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
其歌と云ったら、意味のある様なないようなものだが、如何にも美しい声で節面白う歌うので、聞く者は皆
含笑
(
ほほえ
)
む。また如何にも奇妙な
言
(
こと
)
をいう。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
が、
一
(
ひ
)
ト
言
(
こと
)
二タ言話して見ると極めて
世事慣
(
せじな
)
れていて、物ごし態度も
沈着払
(
おちつきはら
)
っていて二つも三つも
年長
(
としうえ
)
のように思えた。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「川さん、ファザアならファザアだと、なぜひと
言
(
こと
)
いってくれなかったんです。たいへんなことになるところだったわ」
復活祭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そうなると恐ろしいもので、物を云うにも思い切った
言
(
こと
)
は云えなくなる、
羞
(
はず
)
かしくなる、極りが悪くなる、皆例の卵の作用から起ることであろう。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この母の前へ出ると自分の
妻
(
さい
)
などはみじめな者。妻の一
言
(
こと
)
いう
中
(
うち
)
に母は
三言五言
(
みこといつこと
)
いう。妻はもじもじしながらいう。母は号令でもするように言う。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
其文
(
そのふみ
)
開
(
びら
)
けば
唯
(
たゞ
)
一ト
言
(
こと
)
、
美尾
(
みを
)
は
死
(
し
)
にたる
物
(
もの
)
に
御座候
(
ござさふらふ
)
、
行衞
(
ゆくゑ
)
をお
求
(
もと
)
め
下
(
くだ
)
さるまじく、
此金
(
これ
)
は
町
(
まち
)
に
乳
(
ちゝ
)
の
粉
(
こ
)
をとの
願
(
ねが
)
ひに
御座候
(
ござさふらふ
)
。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
米国へ持込んだら
屹度
(
きつと
)
三万円には売れるだらうといつた、その一
言
(
こと
)
を
標準
(
めやす
)
に、大負けに負けて一万円といふのださうな。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
煩悩六根の為めに妨げられたる
其方
(
そち
)
の心では、わが
言
(
こと
)
はえ分るまいが、古き法類ぢや、
少時
(
しばし
)
わがいふことを聞かれよ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
心たふとくやさしき人は他人の願ひ、言語または擧動によりて外部にあらはるれば
言
(
こと
)
に
托
(
よ
)
せてその願ひを
辭
(
いな
)
まず、直ちにこれを己が願ひとひとしうす
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
わたしはこの地上に三十年ばかり生きているが、先輩から価値のある助言、いや真剣さをもっているだけの助言さえ、まだひと
言
(
こと
)
も聞いたことがない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
お宅が芝居のおけいこばになっているから見に来てくれるようにとお
言
(
こと
)
づてのあったおり、わたくしは何ともいえぬ
和気藹々
(
わきあいあい
)
としたものを感じました。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
奥様は今までが今までで、言うに言われぬ弱味が御有なさるのですから、御心配のあまり、私までも御疑いなさるような
言
(
こと
)
を二度も三度も仰いました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ヂュリ お
前
(
まへ
)
の
言葉
(
ことば
)
はまだ百
言
(
こと
)
とは
聞
(
き
)
かなんだが、
其
(
その
)
聲
(
こゑ
)
には
記憶
(
おぼえ
)
がある。ロミオどのでは
無
(
な
)
いか、モンタギューの?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
我がどちや
言
(
こと
)
にこそ
出
(
で
)
ね、今さらの連れにもあらねば、ただ二人ほつりほつりと、日の暮はほつりほつりと、また家路さし
下
(
くだ
)
るのみなり。下るのみなり。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼は上官の命令を守るについて不服はなかったけれど、
一
(
ひ
)
と
言
(
こと
)
でもよいから、出動方面を教えてもらいたかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
言
(
こと
)
は簡なれども、事情の大方は
推
(
すい
)
せられつ。さて何とか救済の道もがなと
千々
(
ちぢ
)
に心を
砕
(
くだ
)
きけれども、その術なし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
同巻十一の「
山吹
(
やまぶき
)
のにほへる妹が
唐棣花色
(
はねずいろ
)
の、
赤裳
(
あかも
)
のすがた
夢
(
いめ
)
に見えつつ」、同巻十二の「
唐棣花色
(
はねずいろ
)
の移ろひ易き
情
(
こころ
)
あれば、年をぞ
来経
(
きふ
)
る
言
(
こと
)
は絶えずて」
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
何でもない、當然の容子で、爐格子を磨けとか、または大理石の
爐
(
ろ
)
を綺麗にしろとか、または壁紙を貼つた壁の
汚
(
よご
)
れを取れとか、ほんの、ひと
言
(
こと
)
云つて
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
知たるかと時に取ては
氣轉
(
きてん
)
の問條此方は聞も及ばざれど名高き奉行は
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
僞
(
いつ
)
はりあらじとおもひしかば如何にも
仰
(
おほ
)
せの通りにて心得ゐるよし答へけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これただ二、三の例証に過ぎませんが、人生の各局部に於て陰に陽に女子が国家の富強に及ぼす映響の莫大なるは、今更
言
(
こと
)
新しく
陳
(
の
)
ぶる必要はありません。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
言
(
こと
)
の
端
(
は
)
にもこれをいわずして、家内、目を以てするの家風を養成すること最も必要にして、この一策は取りも直さず内行防禦の胸壁とも称すべきものなり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「皆の衆……その皆の衆というのは山窩の連中に云うた
言
(
こと
)
じゃろう……表の群集の中に怪しい者は居らんじゃったか。様子を見届けに来たような者は……」
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
恐
(
おそ
)
れながら
御前
(
ごぜん
)
さまはお
大名
(
だいみやう
)
の
御身
(
おみ
)
で
有
(
あ
)
りながら、お月さまと
仰
(
おほ
)
せられましては、
小児
(
せうに
)
童子
(
わらべ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
にて、
歌俳諧
(
うたはいかい
)
にでも月は月で事は
足
(
た
)
り
居
(
ゐ
)
ますやう
存
(
ぞんじ
)
ます。
昔の大名の心意気
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“言”を含む語句
戯言
言出
無言
言語
祝言
囈言
虚言
宣言
言葉
伝言
言上
嘘言
寡言
狂言
方言
言付
言伝
譫言
言問
言立
...