こと)” の例文
孫の隼人を初め江原もことの不思議に驚いて、この上は唯一図いちずに嘘だとか馬鹿馬鹿しいとかいい消して了う訳には往かぬ。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ピストルのたまは前額に深く這入っていたがまだこと切れてはいなかった。余はその知覚を失いながら半身を動かしつつある古白君をただあきれて眺めた。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
この隠居が椽端えんばた近く歩み出て、今や掻堀を面白半分に騒ぎ立つ家来共を制して、もうもうそれには及びませぬ、ことの仔細はわしう知っていますと云うから
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)