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だいどころ
宗助は五六
日前伊藤公暗殺の
號外を
見たとき、
御米の
働いてゐる
臺所へ
出て
來て、「おい
大變だ、
伊藤さんが
殺された」と
云つて
ひとへに
寄縋る、
薄暗い、
消えさうに、ちよろ/\またゝく……
燈と
言つては
此一點で、
二階も
下階も
臺所も
内中は
眞暗である。
父さんはその
新しい
草履をはいた
足で、お
家の
臺所の
外に
遊んで
居る
鷄を
見に
行きました。
大きな
玉子をよく
父さんに
御馳走して
呉れた
鷄は
以て當寺の
檀家一同へ御目見を仰付らるべし此旨
村中へ申達すべしとの事なり
下男共何事も知らざれば是を聞て
肝を
潰し此頃迄
臺所で一つに
食事を
以前猫を
飼つて、
不潔なものを
吐かれて
困つたばかりか、
臺所を
荒らしたといふので
近所から
抗議を
申し
込まれて、ために
面倒な
外交關係を
起したことがあつてから
こうみえてもまだ
貴樣等の
臺所の
土間におすはりして、おあまりを
頂戴したこたあ、
唯の一どだつてねえんだ。
餘り
大きな
口を
叩きあがると、おい、
暗え
晩はきをつけろよ
次が
臺所で、
水瓶でも
手桶でも
金盥でも何でも好く使込むであツて、板の間にしろ
竈にしろ
釜にしろお
飯櫃にしろ、都て
拭つやが出てテラ/\光ツてゐた。雖然外は
汚ない。
行火へ
焙るならいつでも
床の
中へ
入れて
置いては
成らないぞえ、さんは
臺所の
火のもとを
心づけて、
旦那のお
枕もとへは
例の
通りお
湯わかしにお
烟草盆、
忘れぬやうにして
御不自由させますな
ひとりでこと/\と
臺所に
音をたてゝゐたりするやうになつた。
小六は
何にも
答へなかつた。
臺所から
清が
持つて
來た
含嗽茶碗を
受け
取つて、
戸袋の
前へ
立つて、
紙が
一面に
濡れる
程霧を
吹いた。
あの、
通りだ。さすがに、
疊の
上へは
近づけないやうに
防ぐが、
天井裏から、
臺所、
鼠の
殖えたことは
一通りでない。
聞し
周藏七左衞門の兩人も馳來り勝手より
手燭を取寄る此時村の
小使三五郎は
臺所に
寢て居たりしが
物音に驚き
金盥を
そのお
雛は
井戸から
石段を
上り、
土藏の
横を
通り、
桑畠の
間を
通つて、お
家の
臺所までづゝ
水を
運びました。
其樣な
處へ
歸るに
當るものか
些とも
怕かない
事は
無いから
私が
家に
居なさい、みんなも
心配する
事は
無い
何の
此子位のもの
二人や
三人や
臺所へ
板を
並べてお
飯を
喰べさせるに
文句が
入るものか
それも
下女が
臺所で
働らいてゐるときは、
未だしもだが、
清の
影も
音もしないとなると、
猶の
事變に
窮屈な
感じが
起つた。
裏町、
表通り、
火を
警むる
拍子木の
音も、
石を
噛むやうに
軋んで、
寂然とした、
臺所で、がさりと
陰氣に
響く。
告て
臺所へ下り
所化へも
厚く禮を
述居たる處へ奧の方より
侍僧出來り明日は
未明の御供
揃ひにて相良まで御出あるにより
陸尺仲間を
支度すべしと申渡しけるを
お
家には
廣い
板の
間の
玄關と、
田舍風な
臺所の
入口と、
入口が二つになつて
居ましたが、その
臺所の
入口から
見ますと、
爐邊ではもう
夕飯が
始まつて
居ました。
お
餅を
燒くには
火が
足らないよ、
臺所の
火消壺から
消し
炭を
持つて
來てお
前が
勝手に
燒いてお
喰べ、
私は
今夜中に
此れ
一枚を
上げねばならぬ、
角の
質屋の
旦那どのが
御年始着だからとて
針を
取れば
大根曳きは、
家々の
行事なり。
此れよりさき、
軒につりて
干したる
大根を
臺所に
曳きて
澤庵に
壓すを
言ふ。
今日は
誰の
家の
大根曳きだよ、などと
言ふなり。
例の
如く
臺所から
炭を
持出して、お
前は
喰ひなさらないかと
聞けば、いゝえ、とお
京頭をふるに、では
己ればかり
御馳走さまにならうかな、
本當に
自家の
吝嗇奴めやかましい
小言ばかり
言やがつて
「
泉が、
又はじめたぜ。」その
唯一つの
怪談は、
先生が十四五の
時、うらゝかな
春の
日中に、
一人で
留守をして、
茶の
室にゐらるゝと、
臺所のお
竈が
見える。
續いて、
臺所を、こと/\と
云ふ
跫音がして、
板の
間へ
掛る。——
此の
板の
間へ、
其の
時の
二人の
姿は
來たのであるが——
又……
實際より、
寢て
居て
思ふ
板の
間の
廣い
事。
臺所を
出れば
引窓から、
縁に
立てば
沓脱へ、
見返れば
障子へ、
壁へ、
屏風へかけて
映ります。
心利いて、すばやい
春葉だから、「
水だ、
水だ。」と、もう
臺所で
呼ぶのが
聞えて、
私が
驅おりるのと、
入違ひに、
狹い
階子段一杯の
大丸まげの
肥滿つたのと、どうすれ
合つたか
もう
一呼吸で、
燃え
上るところであつた。
臺所から、
座敷へ、
水も
夜具も
布團も
一所に
打ちまけて、こたつは
忽ち
流れとなつた。が
屈強な
客が
居合せた。
女中も
働いた。
家内も
落ついた。
何時の
間にか、
住居へ
入つて
縁側、
座敷、
臺所、と
氣まゝに
二つが
狂ひ
遊ぶ。
臺所より
富士見ゆ。
露の
木槿ほの
紅う、
茅屋のあちこち
黒き
中に、
狐火かとばかり
灯の
色沈みて、
池子の
麓砧打つ
折から、
妹がり
行くらん
遠畦の
在郷唄、
盆過ぎてよりあはれさ
更にまされり。
ぴつたり
閉めた
襖一
枚……
臺所へ
續くだゞつ
廣い
板敷との
隔に
成る……
出入口の
扉があつて、むしや/\と
巖の
根に
蘭を
描いたが、
年數算するに
堪へず、で
深山の
色に
燻ぼつた、
引手の
傍に
臺所から
縁側に
出て
仰山に
覗き
込む
細君を「これ
平民の
子はそれだから
困る……
食べものではないよ。」とたしなめて「
何うだい。」と、
裸體の
音曲師、
歌劇の
唄ひ
子と
言ふのを
振つて
見せて
此はさすがに、
井戸端で、
名のり
懸けるわけには
行かない、さりとて
用人の
若御新造、さして
深窓のと
云ふではないから、
隨分臺所に、
庭前では
朝に、
夕に、
其の
下がひの
褄の
媚かしいのさへ
臺所の
狹い
張出しで、お
媼さんは
日が
暮れてから
自分で
行水を
使つた。
内の
女中の
情で。……
敢て
女中の
情と
言ふ。——
此の
際、
臺所から
葡萄酒を
二罎持出すと
言ふに
到つては
生命がけである。けちに
貯へた
正宗は
臺所へ
皆流れた。
葡萄酒は
安値いのだが、
厚意は
高價い。
いかゞぢや、それで
居て、
二階で、
臺所一切つき、
洗面所も……
綴蓋の
女房が
狹い
臺所で、
總菜の
菠薐草を
揃へながら
「
臺所の
手桶に
居る。」