“だいどころ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
台所58.5%
臺所29.3%
台処3.7%
厨処2.4%
厨房1.2%
庖厨1.2%
臺處1.2%
1.2%
厨所1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もなく、おんなのマリちゃんが、いまちょうど、台所だいどころで、まえって、沸立にえたったなべをかきまわしているおかあさんのそばへました。
ひとへに寄縋よりすがる、薄暗うすぐらい、えさうに、ちよろ/\またゝく……あかりつてはこの一點ひとつで、二階にかい下階した臺所だいどころ内中うちぢう眞暗まつくらである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
食物は時折電話でてんやものを取寄せ、掃除は月に一、二度派出婦を呼んでさせるので、台処だいどころの流しや戸棚の中は家族の多い貧乏世帯よりはかえって奇麗になっている。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
混堂ゆやつゞきて厨処だいどころあり、かまどにも穴ありて地火を引て物をにることたきゞに同じ。次に中のあり、ゆかの下より竹筩たけつゝを出し、口には一寸ばかりあかゞねはめて火をいださしむ。
厨房だいどころすみからすみまでけむりで一ぱいでした、公爵夫人こうしやくふじん中央まんなかの三脚几きやくきつてッちやんにちゝましてました、それから料理人クツク圍爐裡ゐろり彼方むかふ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
厨房だいどころるものでくさめをしないのはたゞ料理人クツクと、それからへツつひうへすわつて、みゝからみゝまでけたおほきなくちいて、露出むきだしてた一ぴき大猫おほねこばかりでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
下人 おかたさま、お客人きゃくじんわたらせられ、御膳部ごぜんぶました、貴下こなたをばおめしひいさまをばおたづね、乳母おんばどのはお庖厨だいどころ大小言おほこゞとなにもかも大紛亂おほらんちき小僕わたくしめはこれからお給仕きふじまゐらにゃなりませぬ。
乳母 お庖厨だいどころでは、なつめ榲桲まるめろれいとんでゐます。
ひと女房にようぼうにだけはならずにくだされと異見ゐけんはれしが、かなしきは女子をなご寸燐まつちはこはりして一人口ひとりぐちすぐしがたく、さりとてひと臺處だいどころふも柔弱にうじやく身體からだなればつとめがたくて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
太吉たきちつてますからといふに、おゝ左樣さうだとおもしたやうにおびいてながしへりれば、そゞろにむかしの我身わがみおもはれて九しやくけん臺處だいどころ行水ぎようずゐつかふとはゆめにもおもはぬもの
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三娘はそれからだいどころへ入って往って母にかわって炊事をし、里の両親に御馳走をした。
水莽草 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
張順は引っ返して、厨所だいどころから料理庖丁いたまえぼうちょうを手にかくして来た。江上稼こうじょうかせぎの悪船頭、截江鬼せっこうきをここで見てはもう見のがしておけないという気になっていたのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)